2018年01月14日

◆ 燃料気化爆弾の威力

 燃料気化爆弾というものは恐ろしい威力のある大量破壊兵器だ。

 ──

 前項では「湾岸戦争でイラク人を生き埋めにした」という話をした。しかし、疑問が生じる。
 どうして塹壕にいる人間が生き埋めになったのか? なぜ逃げようとしなかったのか? 
 それは、燃料気化爆弾が使われたからだ、と推定される。これによって、大量の人々が、死に至るが、死に損なって動けなくなった人も多い。これらの人々を生き埋めにしてしまうわけだ。(一種の戦争犯罪だ。仮に第二次参戦のとき、日本人が米兵の捕虜を生き埋めにしたら、戦犯となっていただろう。)

 ──

 燃料気化爆弾とは、何か? 
 通常の爆弾は、一点で強い爆発力を持ち、建造物や兵器などを破壊する。
 燃料気化爆弾は、広い範囲で弱い爆発力を持ち、人間を死傷させる。
 つまり、「狭く深く」か「広く浅く」かの違いだ。

 次の説明がある。(一部に誇張を含む。)
 アメリカは、燃料気化爆弾と呼ばれる、恐るべき破壊力を持った大量殺戮兵器を開発・配備している。燃焼性の非常に高い液体状態の燃料を詰めた容器を投下し、目標近くで破裂させ、広域に液体燃料をばらまく。この燃料のミストが空気と混合された時点で、時間差で点火、爆発的な燃焼を起こさせるというものである。その延焼効果を伴った破壊力はすさまじく、TNT等を使った通常の炸薬よりもはるかに大きい。核兵器に次いで威力のある兵器とされている。
 この爆弾が爆発すると、衝撃波によって地上の構造物はことごとく破壊され、数km四方が火の海となる。さらにその激しい燃焼によって周辺地域では急激に酸素が奪われる。たとえ、塹壕や地下に隠れていたとしても、数km以内に存在する人間は高温の炎と窒息効果によってことごとく死に至る。また、酸素の減少と凄まじい上昇気流によって生じた急激な気圧低下は、内臓破裂等を引き起こす効果があるとも言われている。気化爆弾には、いくつかのタイプがあるが、最大のものでは、その効果範囲は半径8kmである。
 その破壊力、殺傷力の大きさは焼夷弾や、ベトナムで多用されたナパーム弾の比ではない。明らかな無差別大量殺戮兵器である。
( → 燃料気化爆弾(FAE Fuel / Air Explosive)

 上の話には、程度についてかなり誇張が含まれるが、程度を下げれば、おおざっぱには正しい。
 これが湾岸戦争で使われた、という報道もある。
 1990年代初頭の湾岸戦争において、広範囲の砂漠に分散して砂中に隠されたイラク軍戦車部隊や随伴歩兵らの兵力を削ぐべく同兵器が使用されたが、これにより多数のイラク兵が同兵器作動時に発生する巨大な火球によって塹壕や戦車の中で蒸し焼きになって焼き殺されたり、衝撃波で(目立った外傷も無く)圧死した。[要出典]
( → 燃料気化爆弾 - Wikipedia

 短期間での首都包囲陣の構築を狙うアメリカ軍が、バグダッド師団の一挙的壊滅を目的に燃料気化爆弾を使用した可能性は強い。
 燃料気化爆弾は極めて大きな破壊力を持ち、窒息性ガス兵器と同じような効果を持つ。国連人権小委員会の決議でも認められているように、明らかな大量破壊・非人道兵器である。
 広大な空間が一挙に1000度以上に加熱されるので、数百メートル四方が焼き尽くされ、激しい燃焼は周辺地域の酸素を奪う。激しい上昇気流は、大気上層に達するようなキノコ雲を作り出す。たとえ、地下壕に隠れ、衝撃波を免れたとしても、高温の炎と窒息効果によって、投下地点周辺に存在する人間は、ことごとく殺されるのである。
 通常兵器の範疇をはるかに超え、戦術核に準ずるような破壊力の大きさ、殺傷効果の無差別性、非人道性からして、BLU−82および燃料気化爆弾は、明らかな大量破壊兵器・非人道兵器である。また、この燃料気化爆弾は窒息性の効果を持つため、国際的に使用が禁じられている窒息性ガス兵器に該当する。
( → 米軍が大量破壊=非人道兵器”燃料気化爆弾”を使用!

 というわけで、塹壕にいる大量の兵士を生き埋めにすようなことは、現実にあるわけだ。それには、燃料気化爆弾を使って、多くの人々を窒息死させればいいわけだ。そのうちの一部は、生き残っているが、生き残った兵士は、死んだ兵士といっしょに、埋められてしまうわけだ。
( ※ 「なぜ逃げないのか」という疑問への答えも、これでわかる。逃げないのではなく、逃げられないのだ。たぶん失神している。)



 [ 付記 ]
 なお、情報の誤りを指摘する意見もある。冒頭の引用記事についての批判だ。
 「その効果範囲は半径8kmである」
 という記述について、「そんなことは物理的に全く有り得ない」と批判している。
 半径8kmの効果範囲・・・この記事を書いた人は、果たしてその数値の持つ意味の重さを理解しているのでしょうか? これだけの被害半径は、メガトン級の核爆弾でようやく達成できる数値です。(爆風効果範囲を対人殺傷で評価した場合)また、付随効果(酸欠、窒息など)の説明も間違っています。というかこの解説からは正しい個所を禄に発見できません。一体、どんな資料を参考にしたのでしょうか。噂では結構著名な軍事誌がソースらしいのですが・・・
( → 燃料気化爆弾の威力についての誤解を解く : 週刊オブイェクト

 これはたぶん、翻訳の誤解によるものだろう。
 燃料気化爆弾は、点攻撃をするものではなくて、面攻撃をするものだ。(東京大空襲の)焼夷弾・ナパーム弾と同様である。当然ながら、一発だけ使用することはあり得ず、大量に投下する。
 (東京大空襲の)焼夷弾では、一発の親爆弾が、空中でばらけて、多数の子爆弾になって、広範囲に投下された。
 爆撃時は多数の子爆弾は、まとめて親爆弾に収納された上で爆撃機に搭載され、投下された。
( → M69焼夷弾 - Wikipedia

    ( ※ 空中でばらけていく様子を示した動画を見たことがある。リンクを探してみたのだが、ちょっと見つからない。)

 このように大量に投下されるのであるから、1回の攻撃で「半径8kmの効果範囲」ということは十分にあり得る。というか、作戦としては、半径8kmの対象地域を1回の攻撃で殲滅させることは普通にあるだろう。ただし、そこで使われた爆弾の数は、1個ではなくて多数であるわけだ。

 とすれば、「爆弾」というのを、単数で理解するか複数で理解するか、という翻訳上の問題であるに過ぎまい。
 たぶん、勘違いがあったのだろう。記述が不正確だったと言えば、その通りだが。誤読があったのかな。

( ※ しかしながら、誤読と言えば、批判者であるオブイェクトだって同様だ。彼は、「核爆弾に匹敵する」というのは誤りだ、といきまいている。しかし原文には、そんなことは書いてない。なのに勝手に誤読しているだけだ。オブイェクト自身が誤読しているくせに、他人を批判できるようなものじゃない。)



 【 関連動画 】




posted by 管理人 at 08:33| Comment(7) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
燃料気化爆弾のこと全然わかってない。
死因は爆風による圧力が主だろ。


>(東京大空襲の)焼夷弾では、一発の親爆弾が、空中でばらけて、多数の子爆弾になって、広範囲に投下された

それは多数の親爆弾での広範囲でその場合の単位
は、半径何キロメートルじゃなくて何平方キロメートルだろ。

>彼は、「核爆弾に匹敵する」というのは誤りだ、といきまいている。しかし原文には、そんなことは書いてない。なのに勝手に誤読しているだけだ。オブイェクト自身が誤読しているくせに、他人を批判できるようなものじゃない。

誤読してるのはあなただ。あなたの引用した部分に【戦術核に準ずるような破壊力】と書いてるじゃない。準ずるの意味は同等に扱うだったよね。

Posted by 巫女の竜 at 2018年01月17日 00:09
>死因は爆風による圧力が主だろ。

 Wikipedia によると、
 「燃料気化爆弾は周囲を酸欠にしてその場にいる人間を窒息死させると言われることがあるが、 厳密には上記されているように急性無気肺と一酸化炭素中毒と酸素分圧の低下による合併症による窒息死である」
 とのことです。

> それは多数の親爆弾での広範囲でその場合の単位

 そりゃ、そうです。
 別に、元の記述が正しかったと言っているわけじゃない。似ているので勘違いしていたんだろ、と言っているだけです。

> 準ずるの意味は同等に扱うだったよね。

 準ずると匹敵するのとは、違います。
 準ずるというのは、一段 下になる。

 準優勝は、優勝よりも劣る。優勝に匹敵する引き分けとは違います。
 ※ 引き分けは、サッカーでは PK による決着に相当する。

 軍事知識がない人向けには、次の解説がある。
  → http://karapaia.com/archives/51501940.html

 これを読めば、ちゃんとした知識を得られる。
Posted by 管理人 at 2018年01月17日 07:58
準ずるは下という意味ではありません、基準にするという意味です。

1 あるものを基準にしてそれにならう。また、あるものと同様の資格で扱う。「処置は前例に―・ずる」「待遇は正会員に―・ずる」

2 あるものを基準にしてそれに見合った扱いをする。「経験年数に―・じて手当を出す」

>>軍事知識がない人向けには、次の解説がある。

として、軍事知識がない方が適当に書いたまとめブログを勧めるのはいかがなものか。
Posted by きゅうとぴ at 2018年01月24日 22:08
> 準ずるは下という意味ではありません

 それは建前でしょう。あなたの言った例でも、「少し下」になっていますよ。
 準会員の待遇が正会員と同じはずがない。
 他に、「準惑星」というのも、正規の惑星とは違うから、いちいち「準惑星」という別の名前にしている。

> 適当に書いたまとめブログ

 カラパイアは、まとめブログじゃないですよ。外国のサイトを調べて、独自にニュースを発掘しているサイトです。たいていは日本で最初の記事です。
 紹介記事も、適当に書いたんじゃなくて、外国の情報を紹介しているだけでしょう。ちゃんと読んでかから書いてください。読みもしないで批判しちゃダメだよ。
Posted by 管理人 at 2018年01月24日 22:36
>>それは建前でしょう。あなたの言った例でも、「少し下」になっていますよ。

あるものと同様の資格で扱う。と書いてありますが。
基準の「準」に下という意味がありますか?

>>カラパイアは、まとめブログじゃないですよ。外国のサイトを調べて、独自にニュースを発掘しているサイトです。たいていは日本で最初の記事です。
 紹介記事も、適当に書いたんじゃなくて、外国の情報を紹介しているだけでしょう。

それをまとめブログとよぶんですが。
別に2chをまとめてるのがまとめブログじゃないですよ。
娯楽として読むことを否定しているわけではありません。
出典もろくにない、文章を「ちゃんとした知識を得られる」としてあげる意味がないのです。
Posted by きゅうとぴ at 2018年01月24日 22:43
>準ずるは下という意味ではありません、基準にするという意味です by きゅうとぴ

>準ずると匹敵するのとは、違います。
 準ずるというのは、一段 下になる。 by 管理人

 きゅうとびさんの意味が本来の使い方で、後で管理人さんの意味でも使われるようになったものですね。
 つまり、どちらの意味でも使われているわけです。
 燃料気化爆弾の威力は、戦術核に次ぐ威力なので、管理人さんの言っている意味が正しいです。

きゅうとびさんへ
 使われている言葉の意味が、いつでも辞典に載っている通りとは限りませんよ。

管理人さんへ 
 「こういう意味もあるのですよ」とやさしく教えてあげてください。

 

Posted by ishi at 2018年01月25日 09:45
> やさしく教えてあげてください。

 なるほどね。言ってもわからない人には、言っても無駄だと思ったが、やさしく教えてあげるのも大切ですね。
 そこで、追加で説明すると……

 カラパイアの爆弾解説記事は、「適当に書いたまとめブログ」の話じゃなくて、どこにでも見つかる平凡な初歩的情報です。Wikipedia などでも同様の記述が見つかります。ただ、Wikipedia だと、情報が多すぎて、必要なその情報がどこにあるか、見つかりにくい。だから、内容は同じでも、一部抜粋したカラパイアの記事を紹介しただけです。

 「出典がない」
 という文句があったが、どこにでも見つかる初歩的情報に出典を付ける必要はありません。これには「ググレカス」という一語で説明できる。

 きゅうとぴ さんは、ここでいちいち文句を言う前に、自分の論点をググればいいんですよ。そうすれば、私に文句を言う必要がない、とわかる。
 私の話は、私の独自見解ではありません。単なる情報紹介です。同様の情報はネット上に溢れている。
 文句を言う前に、ググりましょう。ググれば済む問題。
Posted by 管理人 at 2018年01月25日 12:04
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