2018年01月12日

◆ 大雪で列車停止を防ぐには?

 大雪で列車が途中停止する、という災難があった。この問題を防ぐには?

 ──

 大雪で列車が途中停止する(立ち往生する)、という災難があった。
 《 信越線の列車、移動を再開 乗客430人が一夜明かす 》
 11日午後7時ごろ、JR信越線の普通列車(4両)が新潟県三条市内の東光寺―帯織駅間で積雪の影響で立ち往生した。列車は半日以上動けず乗客も車内に取り残されていたが、12日午前10時26分に移動を再開した。
 同日早朝に家族らが車で迎えに来た一部の乗客が列車を降り始めたが、午前9時現在で約200人が車内に残っていた。JRは当初、約600人としていた乗客について、現場で確認したところ、約430人だったと発表した。
 車内は暖房が機能しているものの、立ったまま待っている乗客もいた。12日午前0時すぎには、体調不良を訴えた中年男性1人が駆けつけた救急隊に担架で運び出された。JRは午前2時40分ごろに乗客に水を配り、同5時ごろには食料も届けたという。
 JR東日本新潟支社によると、列車は雪をかき分けて進んでいたが、前部に徐々に雪が積もって動けなくなったという。周辺の道路も積雪が増えており、二次被害を防ぐため、バスやタクシーでの代替輸送も見合わせているという。
( → 朝日新聞 2018-01-12

 何で自動車で助けに行かないのか、と思ったが、自動車も動けないありさまなのだろう。列車が止まるほどならば、自動車だってまともに動けないはずだ
 実際、(新潟県内は渋滞だらけだったようだ。
  → 電車もバスも車も混乱 新潟では大雪でけが人も
  → 中下越中心に大雪、交通機関に乱れ 列車立ち往生や集落孤立も

 その視点で指摘する記事も、すでにあった。JR広報担当者に取材して聞いた話。
「安全のことを第一に考えました。車両は、駅と駅の間の線路に留まっています。周りは田園地帯であり、側溝などもあって、通常の状態でも線路の上を歩くのは危険な場所となっています」
「この日は、さらに降雪があり、足元がどのような状況になっているかわからない。400人以上の人を誘導する方が危険だという判断をしました」
そもそも電車から降りること自体が危険だ、との判断が真っ先にされたという。
危険な道を数百メートル誘導したとしても、その先にある最寄りの東光寺駅は無人駅。一方で、車内は暖房も効いており、トイレも付いていた。
また、並行してバスやタクシーの手配も実施していたが、積雪の状況がそれを阻んだ。
「合わせて代替輸送も検討しました。仮にバスやタクシーが手配できれば、足場を踏み固め少しずつ誘導するという方法もあり得たかもしれません」
「しかし、通常例のない雪の降り方だったため、周辺の一般道も大渋滞するなど混乱していました。各社とも手配ができる状況ではありませんでした」
( → 大雪で立ち往生したJR。なぜ乗客を降ろすことができなかったのか?:BuzzFeed

 これに納得している人が多いようだ。
  → はてなブックマーク

 しかし、納得しているばかりでは、事件の再発を防げない。では、どうすればいいか? 

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。名案を出そう。
 「事件が起こってからでは、うまく対策ができない。ならば、事件が起こらないようにすればいい。具体的には、大雪になったら、列車が立ち往生する前に、手前の駅で止まればいい」

 Google マップでざっと見たが、現場付近には、駅がいっぱいある。





 だいたい4キロおきにあるとして、時速 60km なら、4分ごとに次の駅に着く。だったら、いくらでも途中停車する機会はある。
 だから、大雪で立ち往生する危険があったなら、実際に立ち往生する前に、事前に駅で停車すればいいのだ。

 ただ、Google マップで見ると、今回の最寄り駅の帯織駅は、青い駅であって、無人駅だ。ここで停車するのはちょっとまずい。その前後にある「三条駅」「見附駅」で緊急停止するのが妥当だろう。
 これらの駅ならば、人家が多い。大きめの三条駅は言うに及ばず、小さめの見附駅でさえ 駅前に旅館だってある。




 こういう駅で臨時停車しておけば、立ち往生した列車で一夜を過ごすという危険にさらされずに済んだのだ。(ホテルや旅館があるからだ。)

 今回はたまたま運良く死者が出なかったが、下手をしたら、死者が出てもおかしくなかった。電気が通じていたのが幸いだったが、下手をすれば、電線が切れて、電気が通じなくなり、凍死者が出たかもしれない。
 そういうことが起こらないようにするには、「自動車を出すことはできませんでした」なんて弁解をするのではなく、「大雪のときには立ち往生する前に列車を停める」という方針を出すべきなのだ。
 失敗に懲りたら、反省するべきだ。逆に、「うまくやった」なんて自惚れているようでは駄目だ。



 [ 付記1 ]
 「ホテルや旅館の代金はどうするんだ?」
 という声もあるだろうが、ロビーあたりに入れておけばいいだろう。それでは困るという人は、金を払って、部屋を取って休めばいい。(金は立て替えを認める。学生証などがあれば何とかなる。)
 また、このへんは人家が多いし、店も多い。時間からして、まだ開いている店が多いようだから、店で過ごして、椅子で仮眠を取ることもできただろう。……少なくとも、列車のなかで立ちっぱなしというよりは、ずっとマシだ。
 とにかく、金のこととか何とかを心配するよりは、列車の外に出て、建物の中に入ることが何よりも大切だ。その方針を基本原則とするべきだ。
 「自動車で救おうか」
 なんていう発想は、あくまで応急処置 or 対症療法の発想であって、物事の根源からは程遠いのだ。

( ※ 大事なのは、予防安全なのである。自動車事故で言えば、衝突しても大丈夫なようにエアバッグを義務づけることよりも、自動ブレーキを義務づけることの方が大切だ。……そういうことがわからないから、自動車による事故が続々と起こる。高齢者が高校生を轢いた事故 もそうだ。)

 [ 付記2 ]
 予測の可能性について、
 「立ち往生する場所の予測が付かない」
 という見解があった。
AKIMOTO  どの箇所で立ち往生するかわからないから発生するのであって。「株は暴落する前日に売っちゃえば安全では」みたいな
( → はてなブックマーク

 しかし、予測は簡単だ。「場所で予測する」のではなく、「降雪量で予測する」からだ。
 「あまりにもひどい大雪なので、立ち往生しそうだな」と思ったら、あらかじめ、少し前に停車すればいい。
 株ならば、暴落を事前予想することは不可能だ。しかし大雪は、事前予想が可能だ。ある瞬間に急激に大雪になるわけではないからだ。雪が積もるには、何時間もかかる。その間にいくらでも判断できる。
 実は、天気予報では、「明日は大雪です」と前もって十分に警告されていた。だから、JR は、あらかじめ「明日は大雪なので、駅で停止する可能性があります」とあらかじめ告知しておくべきだった。また、大雪が始まった段階で、そのことを何度も警告しておくべきだった。
 繰り返す。株ならば、暴落を事前予想することは不可能だが、大雪は、事前予想が可能だ。停車の危険性は、あらかじめ十分に予想できるし、事前告知も可能なのだ。……それが科学というものだ。

( ※ ついでだが、近年、2〜3日の気象予報のレベルがとても向上している。20年ぐらい前に比べると、格段に精度が上がっていると実感できる。)

 p.s.
 もしかして、上のコメントの人は「特定の箇所でのみ大雪が発生した」と考えているのかもしれない。だが、そんなことはない。
 大雪は地域全体に発生した。そのなかで、特にひどくなるのがどこかは、予想は付かない。しかし、どこがひどくなろうが、さして違いはないのだ。今回、帯織駅のそばで立ち往生したが、そこで立ち往生しなければ、別の場所で立ち往生しただろう。どっちみち、どこかで立ち往生したのだ。場所がどこかは、問題にならない。大事なのは、「だいたいこの時刻に立ち往生する危険がある」ということだけだ。

 [ 付記3 ]
 予測はなされていた、という証拠を示す。
 まず、結果としての現実は、こうだ。
 11日から一気に80センチのドカ雪となった新潟。市街地は一晩ですっかり雪国に。積雪は平年の11倍以上。8年ぶりの大雪となった。今週、日本列島に居座っている今シーズン最強寒波。11日から12日にかけて北陸地方を中心に記録的な大雪を降らせている。
( → テレ朝 (2018/01/12) )

 予測はこうだ。






 規模では「時間毎の降雪量を観測するようになった2004年以降で最多となっています」と示されているし、今後に急増することも予想されている。
 この時点で JR は運行停止の「予告・予想」をするべきだったし、以後も何度か警告をした上で、実際に「運行停止」を実行するべきだった。

 [ 付記4 ]
 JR だけに責任を帰すべきではない。一般の会社や学校も、こういうときには「休み」や「早退」にするべきだった。前にも述べたとおり。
  → 大雪の日は休業・休校を: Open ブログ
  → 雪では学校を休め: Open ブログ

 [ 付記5 ]
 関連ツイート。





 コスト削減でラッセル車を廃止した。それで運休が増えたら、客から苦情が来た。そこで無理やり運行したら、積雪に負けて立ち往生。……というわけだ。
 ちょっと落語っぽい。

 [ 付記6 ]
 JR の支社幹部による謝罪があった。
 会見した同支社によると、列車は雪をかき分けて進んでいたが、前部に徐々に雪が積もって動けなくなった。「ある程度の積雪は列車の重さや動力の強さで払いのけられると判断して運行した。止まった時点で脱線の危険があり、無理に進むべきではないと判断した」と説明した。
( → 信越線430人足止め、JR東謝罪「脱線の危険あった」:朝日新聞 2018-01-13

 「雪をかき分けて進んでいた」「列車の重さや動力の強さで払いのけられる」という記述から、ラッセル車のようなつもりで走らせていた、とわかる。
 とすれば、列車の全面に、ラッセル車のような V 字形の雪除け板でもあったのだろうか? そう思って、画像検索をしたら、次の画像が見つかった。

 まず、昔の国鉄時代のもの。まさしく、V 字形の雪除け板があった。
  → 下記サイトの画像例
  → 旧形国電編 70形 いろいろ(上記の出典)

 現代ではどうか? 信越線にも、似たような V 字形の雪除け板がある車両がある。(ただし、V 字形の角度が弱いので、上の画像よりは雪掻きの能力は弱そうだ。)
  → 信越線・高崎駅で (出典

 では、今回の車両ではどうか? やはり同じようになっているか? テレビ・ニュースの画像を調べたら、違った。


yuki-densha.jpg
(FNNニュース)


 明らかに、V 字形の雪除け板はない。念のため、工法でなく前方の車両であることを確認しようとして、動画を見たが、列車が前方に進行中なので、こちらが前方であることは間違いない。
 別の画像もある。


yuki-densha2.jpg


 V 字形の雪除け板がないので、雪が車体下部(車輪の前)に、変なふうにくっついている。これが、立ち往生した理由だろう。
 昔の国鉄車両のように、強力な雪除け板が付いていれば、今回のような立ち往生は発生しなかったかもしれない。

  ※ 「雪除け板」は正確には「排雪板」というそうだ。
    用語の訂正をしておきます。

 [ 付記7 ]
 実は、JR の対応はあまりにもひどいものであったと判明した。立ち往生は、いきなり起こったのではなく、その前に何度も停止(軽度の立ち往生)があった。そのたびに、無理して前進したが、やがてとうとう動けなくなったそうだ。
 保内駅の次の東三条駅を出てからは、積雪で何度も停止し、そのたびに乗務員が雪かきをして発車するという繰り返し。東光寺駅を出て約三百メートルの地点で止まった際、雪かきを試みても電車はわずかに動いただけで、ついに立ち往生を余儀なくされた。
( → 東京新聞:新潟、電車立ち往生 運転中止の機会逃す:社会(TOKYO Web)


 
 東三条駅から三条駅の間で、何度も停止した。そのどこかで、運行停止の判断ができた。なのに、あえて無理をして運行した。そのせいで、とうとう、にっちもさっちも行かなくなって、立ち往生した。あげく、大被害。愚の骨頂。

 ただし、これと似た例はある。下記だ。
  → 八甲田雪中行軍遭難事件 - Wikipedia
  → 八甲田山の雪中行軍遭難事件がヤバ過ぎる! - NAVER まとめ

 一部抜粋。
 田茂木野において地元村民から行軍の中止と、もし行くのなら案内をという助言を無視して地図とコンパスのみでの八甲田山雪中行軍を強行
( → 八甲田山の雪中行軍遭難事件がヤバ過ぎる! - NAVER まとめ

 今回の事件にそっくり。今回は被害がなかっただけマシ。
posted by 管理人 at 19:17| Comment(14) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近のJR東日本に多くお得意の、「◯◯が見込まれるため(今回は大雪)」という理由で運転見合わせにしたほうがスッキリするのではないか。今回はそれがなかった。
それを考えると、甘く見ていたのではないか。
Posted by たかちゃん at 2018年01月12日 20:16
 最後に [ 付記2 ] を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2018年01月12日 20:23
降雪量の予測で”駅で停止する可能性があります”と告知し、大事に至る前に手前の駅で止まっておく、そういった判断はやはり運行指令レベルの責任者が下すことになるかと。
予測を下に現場の判断で停車した場合、ダイヤ乱すことになります。フェイルセーフの考え方を採ればそれが正しいのですが、運行可能であったにも拘らず停車したと受け止められると現場の評価は斟酌されることなく大きく減点されてしまうような。

それでは運行指令レベルでそういった判断ができるかというと、先日起きた東海道新幹線の台車亀裂事案が想起されるわけです。現場と指令所で認識のズレがあったものの、指令所は、結果として現場からの新大阪駅での停止、点検の提案を却下し、運行継続の指示を出してしまい、名古屋駅での長時間停止という状態に至りました。

重大な決定は、それなりに責任ある立場から下される必要がありますが、果たしてどこまで適切な判断ができるかというと、ちょっと心許ないなあ、というのが素直な印象です。
Posted by 作業員 at 2018年01月12日 22:51
 最後に [ 付記3 ] を加筆しました。
 予測はなされていた、という証拠。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年01月12日 23:12
 最後に [ 付記4 ] を加筆しました。
 雪の日は休め、という話。
Posted by 管理人 at 2018年01月12日 23:19
雪国に住めばわかりますが、雪は突然降り方が強まったりある場所にすごく吹き溜まったりすることがあります。吹き溜まりができやすい・できにくいと、あらかじめ分かる所もありますし、その時々、予測しづらい事もあります。
5km離れると積雪状況が全然違うのも当たり前にあります。

だから、「降雪量で判断」するためには、かなり細かいメッシュで把握ほうが正確ですが、それは無理なので大雑把にエイヤっと判断するしかありません。
その場合、「ここでは大して積もってないのに、何で運転中止するの?」というクレームは出そう。

各有人駅の駅員からリアルタイムの情報を電話ででも集めて状況を的確に把握するような運用くらい昔からあったんじゃないかと思うんですが、実際には無かったんでしょうか。それとも、そのやり方が通用しないくらいの激しい降雪だったんでしょうか。

まあ、そういうことを検証しようっていう事なんでしょうね。
Posted by けろ at 2018年01月13日 00:29
> 「ここでは大して積もってないのに、何で運転中止するの?」というクレームは出そう。

 出ないと思います。 [ 付記3 ] からもわかるように、今回の積雪は記録的なものでした。新潟各地は言うに及ばず、北陸から九州までの裏日本全域で大量の降雪がありました。今シーズンでは、今回が初めての積雪量です。めったにないことでした。
Posted by 管理人 at 2018年01月13日 07:23
 最後に [ 付記5 ] を加筆しました。
 関連ツイートの追加。
Posted by 管理人 at 2018年01月13日 07:24
 最後に [ 付記6 ] を加筆しました。
 V字形の雪除け板があれば 立ち往生しないで済んだ、という話。
Posted by 管理人 at 2018年01月13日 10:42
新聞に出てましたが、JRもどこかの駅で停車したほうが
いいと検討されましたが
でもいつもどおり運転するほうが重要、雪をかきわければ
できるという判断がくだされたとのことです。
普段と違う異常事態でも、いつもどおりやらなければ
いけないという考えで最悪の事故につながるのはこのJRだけではなく
日本の社会でよくある出来事でしかないので、
フェイルセーフという考えは日本にはなじまないと思います。
何があってもいつもどおりやらねばならないという日本人の信仰を変えるのは無理でしょう
Posted by RFT at 2018年01月13日 10:59
職人がいなくなって
勘という言葉も死語になりますね。
保線の研修もしたことがない指令官なら
なおさらです。
Posted by 先生 at 2018年01月13日 12:06
> 新聞に出てましたが

 [ 付記6 ]で記した記事ですね。
 あるいは、これかな? 
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011302000125.html

> 雪をかきわければできるという判断がくだされ

 なのに、雪をかきわける機構(V字形の雪除け)がない、という間抜けっぷり。
 落語みたい。
Posted by 管理人 at 2018年01月13日 12:08
 最後に [ 付記7 ] を加筆しました。
 立ち往生の前に、途中で何度も停止があったが、無理して運行した、という話。
Posted by 管理人 at 2018年01月13日 12:32
三条市から、救助のためにマイクロバスを提供するとの申し出があったが全員が乗れないためJRが断ったとニュースにありました。ここまでゆくと笑えないコントです。いざという時は自分の身は自分で守る、誰かをあてにしないほうと決めてたほうが良さそうです
Posted by RFT at 2018年01月20日 20:59
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