2017年12月26日

◆ 石炭発電を中国が推進

 途上国で石炭発電を中国が推進している。そのせいで、世界的に炭酸ガス排出量が激増する。
 
 ── 

 アジア・アフリカの途上国で、石炭発電を中国が推進している。途上国の発電を支援し、中国自身も儲ける。その一方で、世界的に炭酸ガス排出量が激増する。
 朝日新聞の記事を引用しよう。
 《 中国、石炭火電輸出に力 「一帯一路」のアジア・アフリカへ次々 》
 中国がシルクロード経済圏構想「一帯一路」の下、二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電所をアジア・アフリカに続々と輸出している。
 石炭火力輸出は、中国が00年代に加速させた国家戦略「走出去(海外に打って出る)」の下で進んだ。拍車をかけたのが、13年に習近平(シーチンピン)国家主席が打ち出した「一帯一路」だ。先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)は15年、国外での石炭火力の建設・運営支援を高効率・低排出型に限ることにしたが、非加盟の中国は途上国が求める安い設備を供給できるのが強みだ。
( → 朝日新聞 2017-12-26

 石炭発電をするなら、「高効率・低排出型に限るべきだ」と思ったのだが、そんな当り前の規制はすでにできている。しかるに、中国はその規制の枠外にあるので、勝手に「安くて汚い」タイプの石炭発電を輸出する。途上国は炭酸ガス規制の枠外にあるので好き勝手なことをするし、中国は自国の製品を輸出して儲ける。こうして win-win の関係になるわけだ。両国とも大喜び。その一方で、地球全体は大敗北してしまうわけだ。
 まったく、何やっているんだか。

 ──

 この件については、私は前に次のように論じた。
  「炭酸ガス削減は地球規模でやれ
 一部抜粋しよう。
 炭酸ガス削減は、国別に目標がある。しかし、国別よりも、地球規模でやるべきだ。つまり、個別量でなく総量の削減をめざすべきだ。
 とにかく、日本なんかで「炭酸ガス削減」の努力をするよりも、米国や中国で「炭酸ガス削減」の努力をする方が、ずっと効率的なのだ。
 たとえば ……(以下略) 炭酸ガスの削減をめざすならば、国別でやるより、国境を越えた地球規模でやる方が、ずっと効率的なのだ。
 そもそも、炭酸ガスの削減は、国別でやっても意味がない。大気は地球全体で共有されるからだ。なのに、国別で炭酸ガスの削減の努力をするなんて、あまりにも非科学的である。
 「炭酸ガス削減は、どこでやろうが関係ない。国境なし」
 というふうにするべきだ。これが、私の結論だ。
( → 炭酸ガス削減は地球規模でやれ: Open ブログ

 具体的な例で示すなら、こうだ。
 「太陽光発電の推進のために、国内で多額の金を出すのは無駄だ。むしろ、国外で大量の炭酸ガスを排出する設備を削減させた方がいい」
 図式的に言うと、こうだ。
 (誤) 炭酸ガス排出量が 10 である石油発電を半減する
 (正) 炭酸ガス排出量が 100 である石炭発電を半減する

 効果の比較は、計算すればわかる。
  ・   10 を半減しても、 5 しか減らない。
  ・  100 を半減すれば、50 も減る。

 つまり、どうせ「半減するために同じ費用を掛ける」としても、元の量が 10 であるか 100 であるかで、効果は段違いとなる。
 つまり、きれいな石油発電を減らしても効果は小さいが、汚い石炭発電を減らせば効果は大きい。
 とすれば、国内で太陽光発電の推進なんかに莫大な金を掛けるよりは、途上国における石炭発電を是正する(汚いタイプからきれいなタイプに置き換える)ことのために金を掛ける方が、ずっと有効なのだ。
 数字で計算すれば、そういうことがすぐにわかる。小学生でもわかるレベルの計算力で済む。……なのに、そんな簡単なことがわからないのが、日本の環境主義者だ。

 ──

 「太陽光発電を推進せよ。そのために多額の補助金を出せ」 という人が多い。そのせいで、その制度が日本では行われている。結果的に、日本は世界でもトップレベルの太陽光発電能力を備えるようになった。
 1位 中国
 2位 日本
 3位 ドイツ
 4位 米国
( → 世界の太陽光発電能力 国別ランキング・推移 - Global Note

 人口の多い中国を別格とすれば、先進国中では日本が世界1位だ。これほどにも多くの太陽光発電能力を備えるようになった。換言すれば、太陽光発電というコスパの悪い方法に巨額の金を投入するようになった。
 しかし、どうせなら、(低効率の)石炭発電のような汚いものをなくすために、同じ金を投入するべきだった。たとえば、次のように。
 「石炭発電を、低効率から高効率のものに置き換えるために、資金援助する」

 こういう形で、途上国に援助する(資金を無償供与する)ことにすれば、はるかに効率的に炭酸ガス排出量を削減できたはずだ。 それがつまり、「炭酸ガス削減は地球規模でやれ」ということだ。



 【 関連項目 】
 「炭酸ガス削減は地球規模でやれ」という件については、別項でも論じた。
 → 炭酸ガス削減は地球規模でやれ: Open ブログ
 → 炭酸ガス削減は尻抜け(中国): Open ブログ
 → 二国間クレジット制度: Open ブログ
 


 【 追記 】
 石炭発電については、高効率のものもいくらかあるようだ。
  → 石炭発電 高効率 - Google 検索

 一方、数年前に話題になった IGCC(石炭ガス化複合発電)というものがある。これは画期的なものだと期待された。本サイトでも論じたことがある。
  → 石炭火力の論理ペテン: Open ブログ
 上記でも記しているように、IGCC は高効率石炭発電は、いくらきれいだといっても、LNG 発電よりはずっと汚い。すごく汚い旧式の石炭発電よりはいくらかマシだ、という程度。

 ただし、である。その IGCC は、開発が難航しており、もはや「開発は失敗」というレッテルが貼られてしまったようだ。
  → 世界中で失敗が続く IGCC(石炭ガス化複合発電)(pdf)
 これは 2016年11月の情報。比較的新しい情報となる。石炭発電の分野では、こういう状況があるわけだ。

posted by 管理人 at 21:00| Comment(6) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 IGCC は、開発が難航している、という話。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2017年12月27日 00:58
最後のPDFリンク、アドレスが無効で開けませんと表示されます by iPhone
Posted by かーくん at 2017年12月27日 08:20
> 最後のPDFリンク

修正しました。ご指摘ありがとうございました。
Posted by 管理人 at 2017年12月27日 08:27
対応ありがとうございます
Posted by かーくん at 2017年12月28日 06:52
日本の環境主義者をどのように定義されているのかによりますが、悪いのは日本の政治家や外務省であって、日本の環境問題の専門家や研究者、環境省や環境省職員ではないと思う。
Posted by Dr.X大好きDr.Kakako at 2017年12月30日 08:14
 日本の環境主義者というのは、本文中では「太陽光発電の推進者」という意味です。
 これは、どこに所属しているかは関係なくて、主義・主張によります。公的部門にも民間部門にもいて、日本では多数派を占めていて、政策を推進しています。「誰が悪い」という話ではなく、「主義・主張が悪い」という話です。
 対策は、該当部門の人をクビにすることではなく、(日本全体で)正しい発想を取るように頭を是正することです。
Posted by 管理人 at 2017年12月30日 08:34
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