2017年12月08日

◆ 囲碁AIを人間は認識できるか?

  囲碁AIの「アルファ碁」の思考を、人間は理解できるか? 

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 これについて、興味深い記事がある。古い記事だが、紹介しよう。(朝日新聞の記事。)
 《 まさか、これも囲碁なのか アルファ碁同士の対戦、2棋士が語る衝撃 》

 囲碁AI(人工知能)「アルファ碁」が5月、中国の世界最強棋士を3戦全勝で下したあと、ネット上に公開されたアルファ碁同士の対戦譜50局は、序盤から人間界で悪手とされていた手が続出。プロの囲碁観を根底から覆しつつある。加藤充志九段と大橋拓文六段がその衝撃を語った。(大出公二)

 ■第2局 え、そこ?
加藤 アルファ碁同士の棋譜は並べるのがたいへんだね。プロは次の一手はここだろうと見当をつけて探す。ところが候補手にない手を打たれる。
 大橋 そうそう。えっ、そこなの? みたいな。
 加藤 第1譜黒15のコスミツケに定型のAの立ちはハサマれて重いとみてる。でもいきなり白16の三々は人間の対局で見ない。白Bあたりに外して黒Aとたたかせ、白Cに回るとか。BとCの2手より隅を荒らす方が大きいのか。見ればなるほどと思う。
 大橋 第2譜黒23に白は手抜きですか。
 加藤 僕なんか黒Aと封鎖されて、後手で生かされるのはつらいと思うけど。封鎖にはまた手を抜くんだろうね。
 大橋 黒はもう一手かける分、足が遅い意味がある。黒25の模様拡大を待って白32と逃げる。いまがベストのタイミングでしょ、と。逃げと模様の消しの一石二鳥か。
 加藤 手を抜いたりまた戻ったり、そういう微妙な雰囲気の手が多い。白34、黒35と交換してまた手抜き。厳しい攻めはないでしょ、と。この足の速さが魅力。人間なら黒Bにハネられ気分が悪いけどね。
 大橋 全部信用していいのかと思うところもある。
 加藤 第3譜白1。なにこれ、理解できない。人間にない感覚。ふつうは白5のハイでしょ。白1は黒5と打たれると、自ら左右裂かれにいったに等しい。人間は石が切れるとなにかと悪いことが起きるという感覚が染みついているけど、平気で打つ。
 大橋 黒5に白A、黒Bのあと白Cにトンで、黒の大石に迫っているからいいとみているんですかね。
 加藤 この碁では黒Dのコウが大問題で、黒の大石が強くなると仕掛けられる。それを警戒する意味でも黒を脅しているんだね。
 大橋 黒も2、4と打って白5のハイを許している。白の主張が通ったけど、白1は人間には打てないポジションですよね。
 加藤 難しすぎてわからない。
 大橋 打ち手がアルファ碁と知らずにこの棋譜を見て、いい手と信じますか?
 加藤 いやあ、信じられないな。

 ■第8局 どんどん
 大橋 星への三々入りをばんばん打っています。
 加藤 序盤早々、隅のわずかな地と引き換えに全局ににらみを利かせる外勢を築かせるのは、取引にならないとされていた。僕には打てないな。
 大橋 進化したんでしょうね。今年1月ごろたまに打つようになっていて、うまくいったからさらに打ち出したんじゃないか。棋士もどんどんマネしてます。
 加藤 いい手だと理解して打ってる人は、いないんじゃないか。アマチュアにはおすすめできない。
 大橋 第1譜白6の三々入りに続き、黒も17の三々入り。
 加藤 これはさすがに人を超えたね。黒は模様の碁なのだから、17でAのトビならわかるけど。
 大橋 第2譜白1のカド。黒2の白石への当たりが強いから、人間ならもっと離して打ち込みます。
 加藤 さらに理解できないのは、白7に対する黒の手抜き。いま石がぶつかり合ってすごく忙しいとき。このへん以外、絶対打っちゃだめですよというところで別のところに打つ。
 大橋 人間なら黒Aの二段バネか。白Bと切って黒C以下白Lの押し。△が生きる展開になるかも。
 加藤 けっこうな形になるか。
 大橋 手抜きのタイミングが正確なんですね。
 加藤 それは信じるかどうかだよね。
 大橋 もはや信者かどうかの世界。
 加藤 後付けで意味を探ってるけど、白をいてこます絶好の機会なのに手抜きはないでしょ。カドに打たれてダメなら、辺の星はもうダメということになる。

 ■第27局 だれも…
 大橋 左上と右上の隅で互いに三々に入って、左右同型。信じがたい。これも囲碁なんですね。
 加藤 笑うしかないね。
 大橋 でも打つと勝てないんだろうな。世界最強の柯潔もぼろぼろになったんだし。
 加藤 僕らには意味がわかんない。
 大橋 いつか理解できるようになるんですかね。そこまでいくのはたいへんだな。現状、わかる人間はいないでしょうね。
 加藤 勝てないんだから、誰も。理解できないというのは、相当差があるんだね。
 大橋 まさか生きてる間にこんな碁が見られるとは思わなかった。

( → 朝日新聞 2017年6月29日


 それにしても、朝日新聞には面白い記事がいっぱいあるね。こういう記事を読めるのも、朝日新聞ならでは。新聞を読まないと、こういう情報に接することができない。
( ※ 「Openブログで紹介してもらえるからいいや」と思うかもしれないが、私が紹介するのはごく一部だけだ。また、本記事の紹介は、記事の掲載から半年遅れだ。朝日新聞を読まないと、情弱になるね。知識人たるには致命的。)
posted by 管理人 at 23:18| Comment(0) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
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