2017年12月04日

◆ 仮設住宅の問題

 仮設住宅にはいろいろと問題があるが、やはり解決されないままであるようだ。

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 仮設住宅にはいろいろと問題がある、と前に何度も示した。東日本大震災のときにも、熊本地震のときにも。
  → サイト内検索「仮設住宅」

 一方、過去でなく将来に目を向けると、南海トラフ地震のときにはどうなるか、という話題もある。これについては、前に軽く言及した。
  → 南海トラフ地震と仮設住宅: Open ブログ
 ここでは、「南海トラフ地震のときに仮設住宅が大量に必要だが、必要数の4割しかなくて、不足する」という記事を紹介して、それを批判している。非常に大量の仮設住宅の建設などはもともと不可能であるが、かわりに空き家を使えば解決が可能だ、という趣旨。

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 以上は、過去記事の紹介だ。
 一方、朝日新聞 2017-11-27(朝刊)では、同じく「南海トラフ地震で仮設住宅が足りない」という話題で、国の試算を紹介している。
  → 南海トラフ、仮設205万戸必要 首都直下は94万戸:朝日新聞
  → (災害大国)仮住まい、「借り上げ」が主流 阪神ほぼゼロ・東日本6割・熊本8割:朝日新聞

 必要となる仮設住宅は、南海トラフ地震で 205万戸、首都圏直下地震で 94万戸、と試算している。

 ここでは、空き家・空き室を利用した「みなし仮設」を利用することも示されている。ただし、その場合でも、いくらか不足するそうだ。南海トラフ地震で 84万戸、首都圏直下地震で 8万戸が、それぞれ不足するそうだ。
 不足するとは言っても、全部を仮設住宅でまかなうのに比べれば、ずっと必要数は減る。それでもまだ、不足が生じるという。

 では、どうするか? 「広域避難」をすることが示されている。つまり、地震の被害が起こった場所から「疎開」して、他の地域の空き家・空き室を利用するわけだ。
 これは、本サイトの主張に合致する見解だ。

 では、これで解決するか? どうも、解決しないと思える。というのは、被害地域と、空き家・空き室を提供する地域が、別々だからだ。それぞれの自治体が、それぞれ別個に活動するので、需要と供給がうまく結びつかない。
 たとえば、静岡県や神奈川県で大被害が生じたとして、被害のない埼玉県や栃木県に疎開すればいい、としよう。それらの北部地域には、空き家や空き室がいっぱいあるから、そこに広域避難すればいい。それが原理だ。
 しかるに、その連携がうまくできていないようだ。単に家賃を払って引っ越しをするのならば簡単だが、現実には、被災者は、家賃を払えない。家賃を無料にしてもらう必要がある。ところが、どの住宅が家賃無料になるか、その情報がわかりにくい。また、条件もわかりにくい。

 とすれば、現状の問題点と対策は、こうだ。
 「広域避難が重要だとわかっているが、それについての自治体間の連携ができていない。ゆえに、将来の地震への対策として、何よりも必要なのは、自治体間の連絡をシステムを構築することだ」


 これは、情報連携の問題だ。
 情報が不足するから、需要と供給のミスマッチが起こって、問題が解決しない。そして、その問題を解決をするのは、情報をきちんと提供することだ。
 現状では、そういうシステムができていないのだから、そういうシステムを今のうちに構築しておくべきだ。

 将来、地震で必要となる住宅の数は、数百万となる。その数百万の住宅について、ミスマッチが起こらないように、十分に情報を提供することが大切だ。そのためのシステムを、今のうちに構築しておくべきだ。

 ※ これは、自治体が個別に対処するのでは足りない。
   国が全体的な視点から、システムを構築するべきだ。

 ※ 現在の自治体では、住民票の請求でさえ、別個のシステムだ。
   こういうバラバラのシステムでなく、統一的なシステムが必要だ。
   特に、地震のときには。

 ※ 過去の地震のときには、最低限の必要な情報でさえ、
   Google や Yahoo のような(自発的な)民間任せだった。
   国自身ではシステムをつくれなかったわけだ。ひどいね。



 【 補説 】

 実を言うと、「地震には仮設住宅が必要だ」という発想そのものが間違っている。被災者にとって、仮設住宅など、まったく必要ない。夏は暑くて冬は寒いという、健康に悪い安普請の(断熱性の悪い)住宅など、誰も住みたがるはずがない。
 それなのにどうして人々が仮設住宅を求めるかというと、家賃が無料だからだ。
  → 仮設住宅の家賃は無料
 
 被災者が求めているのは、(住み心地の悪い)仮設住宅ではなくて、家賃ゼロの住宅なのである。そして、家賃ゼロあるためには、仮設住宅である必要はまったくない。同じ額の公金を投入して、立派な住宅を建てればいいのだ。下記を参照。
  → 仮設住宅から出たらどうする?: Open ブログ
 ここで示したように、新築の立派な家は 2000万円(2階建て)で建てられる。なのに、住み心地が悪くて耐用年数も短いオンボロの仮設住宅に 1000万円(撤去費込み)をかけるなんて、あまりにも馬鹿げている。大金をドブに捨てているのも同然だ。むしろ、2階建ての家を2世帯で使う方が、はるかに合理的だ。同じ金で、はるかに快適となるし、しかも長寿命だ。
 ともあれ、こういうまともな住宅を建てて、それを無償で提供すれば済む話だ。大切なのは仮設住宅ではなくて、無償の住宅なのである。そこを人々は根本的に勘違いしている。(無償であれば、仮設住宅である必要はまったくない。)

 さらに言えば、空き家・空き室を使って、それに家賃補助をすれば、はるかに少額で済む。仮設住宅ならば、撤去費込みで1世帯 1000万円( → 上記項目)だが、空き家・空き室ならば、
  8万円×12カ月×5年= 480万円
 で済む。5年は最長だから、平均して3年ならば 288万円で済む。仮設住宅の3割だ。しかも、ここには土地代も含まれているから、土地造成費の分がまるまる浮く。ずっとお得だ。

 とにかく、仮設住宅と無償住宅を混同しているような根本的な認識ミスを改めるのが、最重要だろう。
 「被災者は可哀想だ」と思うのであれば、仮設住宅を提供するかわりに、家賃補助をすれば済む問題なのだ。単に金を出せば済む問題に、莫大な手間暇を掛けて、莫大な無駄建築をするのは、愚の骨頂だ、と知るべきだ。

( ※ こういう主張は、本サイトでは何度もしてきたので、特に新しい主張ではないが。)



 【 関連動画 】




posted by 管理人 at 22:53| Comment(0) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
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