2017年11月21日

◆ マシュマロ実験

 マシュマロ実験というものが知られている。子供の我慢する能力を調べるもの。
 
 ──

 子供の知性というと、学力試験や IQ が有名だが、これらは社会的な成功とはあまり相関度が高くないことが知られている。学力試験や IQ が高くても、社会的には落後した人々も多い。
 そこで、もっと相関度が高いものを調べようとして、次の実験がなされた。

 この実験は、マシュマロ実験と言われる。子供の目の前にマシュマロを与えて、それを食べるのを我慢させる。我慢できるかどうか、という点を調べる。
 これはつまり、単純な知能よりも、おのれの欲望を制御する自制心を調べるものだ。
 詳細は下記。
  → マシュマロ実験 - Wikipedia

 ここには、次の記述がある。
 幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響する。
 この傾向が生涯のずっと後まで継続している。

 では、どうしてか? 私の解釈は、こうだ。
 知能(IQ)は、左脳や右脳がつかさどるが、自制心は、前頭前野がつかさどる。前頭前野は、脳全体をコントロールする司令官のようなものだ。その部分の能力が高いということは、脳全体へのコントロール能力が高いということを意味する。この能力が高ければ、左脳や右脳をいかに働かせるかという能力も高い。逆に、この能力が低ければ、左脳や右脳の能力が高くても、人間全体としては間違った方向に進む。
 この点からして、前頭前野の脳力こそが重要だ、と結論できる。

 ──

 ちなみに、トランプ大統領は、「知能は高いが、自制心が低い」と認定できそうだ。たとえば、次の報道がある。
 《 「恩知らず!」トランプ氏、「万引き」学生の父とバトル 》
  中国で万引きをした疑いで拘束されていた3人の米学生が解放されたことをめぐり、トランプ大統領と学生の父親がバトルを繰り広げている。
 トランプ氏は15日にツイッターで「3人のUCLAのバスケット選手は、トランプ大統領にありがとうを言うと思うか? 彼らは10年間も投獄されそうだった」と感謝を求めた。
 ところが、3人の学生のうち、一人の学生の父親がスポーツ番組で、トランプ氏の働きかけについて聞かれ、「誰だ? トランプ氏は何のために中国にいたのか。誰もが自分が助けたようにしたいものだ」とコメントした。
 これにトランプ氏は激怒。19日のツイッターで「…(中略)…」と怒りをぶちまけた。
 こうしたトランプ氏の発言に対し、民主党のシフ下院議員はツイッターで「……これほど大きな任務のある人間が、どうしてこんなに小さい人間なのか」と批判している。
( → 朝日新聞 2017-11-21

 ──

 結語。

 人間の知性で大切なのは、学力や知能ではなくて、意思コントロールの能力だ。自分で自分を律する能力だ。それは、我慢する能力であり、困難や苦悩に耐える能力だ。そういう能力を持つ人だけが、苦しい努力を積んで、他人にはできないことができるようになる。
 逆に、自分で自分をコントロールできないと、いくら知能があっても、感情的に爆発するようになり、誤った方向に進みやすい。

 ──

 教訓。

 子供に教育するのならば、何よりも「我慢する訓練」をするべきだ。子供が「マシュマロを食べたい」と言ったら、マシュマロを与えるのではなく、それを我慢するように訓練するべきだ。
 親がそういう教育やしつけをした子供は、あとで成功する。親がそういう教育やしつけをしなかった子供は、我慢できないわがままな大人に育つ。トランプのように。

 もちろん、このことは、マシュマロに限らない。オモチャや、お菓子や、キャラ弁などにも当てはまる。こういうものを与えれば与えるほど、子供は我慢する能力を削られ、未来の可能性を削られる。

 ただし、何も与えなければいいというものでもない。 ビル・ゲイツの親は、裕福だったので、ビル・ゲイツに(当時は)すごく高額なコンピュータを与えた。これは親が金持ちだったからこそできたことだ
   ※ 上記は間違いだったので取り消します。コメント欄を参照。

 子供に与えてもいいのは、子供の教育の機会だ。それは、金がかかることもある。とにかく与えるものは、子供の欲望とは関係のないものであるべきだ。

 子供に何を与えて、何を与えなければ、良いのか? それを親はじっくりと考えるべきだろう。親が子供に与えるべきものは、オモチャでもゲーム機でもない。子供の成長する機会だ。その機会を奪う親があまりにも多すぎる。……だから今の若者は、スマホ漬けとなって、考える能力を失っている。



 【 関連項目 】

 → 若者とスマホ: Open ブログ



 【 関連サイト 】

 (1)
 我慢できないこともの例。子供が「オモチャをほしい」と駄々をこねたら、我慢させずに、財布を開いて買い与える、という親が多い。
 その一例として、「オモチャ消しゴム」がほしい、と駄々をこねる子供に、それを与える。
  → (本谷有希子の間違う日々)本当は欲しかった消しゴム:朝日新聞
 「ほしかった」という子供の心を論じているが、ここでは「我慢させる教育機会を失っている」ということには、気づいていない。

 (2)
 「子供を我慢強くさせよう」
 というかわりに、
 「子供にマシュマロ実験を何度も繰り返して、マシュマロ実験で高得点を取れるようにしよう」
 という本末転倒みたいなことを主張する父親がいる。この父親本人は、自制心がまったくない駄目男。呆れた妻は、離婚を考えているそうだ。まるでジョークみたいな話。
  → はてな匿名ダイアリー

 (3)
 マシュマロ実験の記事
  → マシュマロ実験で判明!学力に重要なのはIQより○○



 【 関連動画 】







 【 追記 】
 「マシュマロ実験の再現に失敗した」という最新記事が出た。
  → 子どもの自制心が将来を左右するという「マシュマロ実験」が再現に失敗、自制心よりも大きな影響を与えるのは「経済的・社会的環境」 - GIGAZINE

 しかしこれは誤報だ。この記事にもあるが、
 「オリジナルの実験はスタンフォード大学のコミュニティ内の被験者に限られていた」
 ということなので、元の実験はほぼ均一集団だったことになる。
 一方、今回の新たな実験は、多様な集団を対象としていた。(特に貧富の差が大きい多様な集団。)
 このような多様な集団では、先天的なこと(自制心)よりも、後天的な環境(貧富)の方が大きな影響があった、ということだ。
 一方、元のマシュマロ実験が示したのは、「後天的な環境をそろえた集団で、先天的な差を見ると、IQ よりも自制心の方が大きな影響がある」ということだ。

 以上を図式的に言えば、元の実験は、先天的な要素について
     A1 < A2
 と示したのに対し、今回の実験は、先天的な要素と後天的な要素を比べて、
     A < B
 と示した。

 両者は、比べているものがまったく違うので、比較にならない。
 当然ながら、「元の実験が再現されなかった」という報告は、間違いである。正しくは、「元の実験とは全然別の実験をしたので、元の実験については何も言えない」ということだ。

 それにしても、こんな馬鹿げた嘘記事に引っかかってしまう人が多いのだから、呆れる。科学的リテラシーがないね。(嘘記事を書く方もどうかしているが、引っかかる方もどうかしている。)
 引っかかった人は、下記にいっぱい見られる。
  → はてなブックマーク

posted by 管理人 at 22:06| Comment(8) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イチゴのショートケーキを食べさせてみて、(それが好物だとして)イチゴをいつ食べるのかを調べるのにも似ているような。個性だと思っていましたが、自律とか我慢に関連した側面があるのかも、と思いました。
実社会では欲しいが不急のものを購入するのに、ローンを組むのか、或いは、貯蓄するのか、といった話にも似ている気がします。こういった時、低金利やら、リボ払いでローンを勧める金融機関の甘い誘惑にはすさまじいものを感じます。これでは、いつまで経っても自制や自律の力など養われないなぁ、と。金融機関にとっては顧客に自制や自律の力を持たれるのも都合が悪い話かもしれません。
Posted by 作業員 at 2017年11月21日 23:27
>ビル・ゲイツの親は、裕福だったので、ビル・ゲイツに
>(当時は)すごく高額なコンピュータを与えた。

ゲイツ氏がコンピューターを勉強・研究する機会を得たのは
学校に入学した後にそこに接続されている汎用機の端末を
操作する機会を得たからで、親が(買い)与えた物ではあり
ません。

当時のコンピュータは滅茶苦茶高価な代物で、いかに裕福な
家庭でも個人レベルで与える事は不可能です。

個人レベルで購入・所持する事が出来るようになったのが
かの「アルテア」で、それを使ったビジネスを展開しよう
とした人は(挫折・消滅した人・企業を含め)当時のアメ
リカにたくさんいましたから(裕福な家庭故コンピュータ
に触れる機会を得たのは事実でも)事例として示すのは
どうかと思います。

この事例に限らず、

・メインフレーム(汎用機)
・ワークステーション(もともとは廉価で制作することを
 前提にした小型汎用機。制作費用をケチる為にUNIX
 が作成され、搭載された。厳密にはパソコンではありま
 せん)
・パソコン

がごっちゃに語られているケースは非常に多いですね。

ここら辺の内容はWikiよりはるかに早い90年台前半に
ヤングジャンプで劇画化されたり、(ミーハーの為の見栄
講座の)ホイチョイ・プロダクションがコラムで指摘して
いたりします。

古手のシステムエンジニアがこうした顧客の誤解に過去
結構悩まされてきた事を思い出しました(「こんな事
パソコンでできるだろ!!」とか^^;)。
Posted by ky12 at 2017年11月22日 00:17
> 親が(買い)与えた物ではありません。

 ご指摘ありがとうございました。修正しました。
 大学ではなく、民間会社(CCC と ISI)の機械だったようですね。
  → http://j.mp/2BaZ2J9
Posted by 管理人 at 2017年11月22日 07:16
子供の魂に「自分は親や他人に愛されている」の気持ちを刻みつける=愛を与える=辛抱出来る子供 
Posted by おじいさん at 2017年11月22日 16:52
英国でいうところのdiscplineですか

我が国は戦前は貧しかったですが、教育レベルは高かったのかもしれませんね
Posted by skier at 2017年11月22日 19:25
しかし、これだけ有益な情報がネットにはあるのに、ちっともスマホ漬けの若者(だけに限らないが)は減りませんね…。
何とかならないものでしょうか。
Posted by 名無し at 2017年11月23日 00:07
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2018年06月05日 20:26
→ 子どもの自制心が将来を左右するという「マシュマロ実験」が再現に失敗、自制心よりも大きな影響を与えるのは「経済的・社会的環境」 - GIGAZINE
 この記事は、タイトルの「再現に失敗」が表現として間違っていると思いますが、記事の内容自体は間違ってはいないと思います。
 今回の実験では、後でその子がどうなったかを追跡調査(SATの点数など)をしていないので、再現に失敗したかどうかは分からないですね。

→ はてなブックマーク
 タイトルにだまされた人もいるし、正しく理解した人もいるようですね。

 タイトルにだまされる人と、そうでない人を、トランプ支持か不支持か、安倍支持か不支持か、比較してみたら面白そうだと思いました。管理人さんの考えどおりになるかどうか、興味があります。
Posted by N. Feldstein at 2018年06月06日 08:27
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