2017年10月24日

◆ 希望の党がやったこと

 今回の選挙で、希望の党がやったことは何か? 評価してみよう。

 ──

 希望の党がやったことは何か? まとめてみる。

 (1) 小選挙区で、立憲の候補者のいるところに、競合候補(刺客?)を送ることで、立憲の候補者を落選させ、自民党の候補者を当選させた。(立憲の候補者がもともと強い地域なので、希望の党の候補者は当選するはずもなく、単に立憲の妨害行為だけをした。)……つまり、自民党の助太刀。

 (2) 小選挙区で、希望の党自身が議席を獲得した地域もある。ただしそれは、もともと民進党出身の前職が強かったところであり、希望の党自身の効果はなかった。というか、逆効果があった。もともと民進党出身の前職が強かった地域で、希望の党のブランド力(マイナス効果)が加わり、票を減らした。それでも、もともとの前職の力が強かったので、かろうじて当選した。とはいえ、かろうじて当選することができず、落選してしまった地域も多い。……いずれにせよ、民進党出身の前職に対して、マイナス効果だけをもたらした。

 (3) 比例区では、32議席を獲得した。これだけは、純然たるプラス効果だった。(衆院選前の議席はゼロだから。)
 とはいえ、それで得た議席は、小選挙区の敗れた候補者の復活分であるから、得た議席は民進党出身者の議席となってしまった。ここでは、希望の党に投じられた票を、民進党出身者に横取りされてしまったようなものだ。仮に、今後、これらの議員(民進党出身で、比例区で復活当選した議員)が、希望の党を離脱して、民進党系に合流したら、希望の党の票は盗まれてしまったようなものだ。

 ──

 (1)(2) は当然だろう。すでにわかっているはずだ。(ここではきちんと整理しておいたが。)

 (3) が問題だ。「希望の党の票は盗まれてしまったようなものだ」というふうになりかねない。
 実は、小池百合子が恐れていたのは、このことかもしれない。こうなるとまずいと思って、「あとで分離・離脱することのないような、非リベラル系の議員のみを選ぶ」というふうにしたがったのかもしれない。
 それはもっともらしく思えるが、もしそうだとしたら、あまりにも残念だ。それは「自分には求心力がなくて、傘下に集まった人々に見捨てられる」ということを前提としているからだ。自信のなさの表れとも言える。
 小池百合子に(独裁力でなく)強力なリーダーシップがあったなら、多くの人々を引きつけることができただろうし、「あとで逃げられたら」という心配をすることもなかっただろう。それなら、入党に際して「踏み絵」を迫ることもなかっただろう。
 おのれの能力不足を自分でもよくわきまえていたがゆえに、能力不足に起因する問題を避けようとした行為が「踏み絵」だった。
 「踏み絵」は、あまりにも不評だったので、この「踏み絵」という方針は、のちに実質無効のような扱いになったらしい。だが、いったんやったという事実は消えない。悪評は最後までつきまとった。

 ──

 なお、(3) で小池が懸念していたこと(民進党出身者の分離)は、実際にはまだ実現していない。分裂や分離は、起こりそうだが、今のところは起こっていない。
 希望の党をめぐる第二幕は、このあといつか起こるだろう。私としては、「希望の党は消滅するだろう」と予想している。
  → 希望の党は消滅するだろう: Open ブログ

( ※ 民進党は、評判が悪くて、実質解党に至った。希望の党は、もっと評判が悪いのだから、もっと早く解党することになりそうだ。) 



 [ 付記 ]
 「希望の党は比例区の票を、民進党出身者に盗まれた」というふうに記したが、実は、これは妥当ではない。
 なぜなら、もともとの現有議席(そのほとんどは民進党出身者)の 57 から、新議席の 50 へと、議席数を減らしているからだ。
 つまり、希望の党が比例区で獲得した議席数の 32 は、小選挙区で減らした分( 32+ 7 )を補っていない。だからこそ総計では 7 議席も減らしてしまっている。
 民進党出身者としては「 32 議席を奪った」というよりも、「 39 議席を奪われて、32議席を補填してもらっただけだ。まだ不十分だ」と感じているかもしれない。
 ま、理由が何であれ、総数が減っているんだから、大失敗であることは間違いない。
 


 【 追記 】
 本日の朝日の報道によると、野党の得た票の総数は自民党を上回っていたそうだ。(自民の得票率は 50%以下。)したがって、
 「野党が共闘して、統一候補を立てていたら、自民に勝てた選挙区が多かったので、勝負は半々に近いところまで持ち込めた」
 という結論になるそうだ。
  ( → 共闘、実現していたら… 「63選挙区逆転」の試算 衆院選:朝日新聞

 仮に、小池が前原の提案を受けて、民進党を丸呑みしていたら、当時は希望の党の人気が高かったこともあって、現状以上の票を獲得して、政権交替も可能だったかもしれない。
 現実には、小池が「排除の論理」を持ち出して、野党は分断された。結果は、自民の大勝。
 小池の判断一つで、「自民の勝利/野党の勝利(かも)」というふうに、結果は正反対となったわけだ。たった1人の気持ちひとつで、1億人以上の運命が左右された。……バタフライ効果みたいなものだ。(正しくは分水嶺効果)

 《 オマケ 》

 この件で、朝日新聞に文句を言っている人が多い。はてなブックマークに見られる。
  → はてなブックマーク
 「野党統一候補というが、希望の党を支持するような人が、共産党に票を入れるわけがないだろう」
 というような文句。
 どうも、頭が悪い人が多いね。仮定は次の二点だ。
  ・ 希望の党が「排除の論理」を持ち出さなかったら。
   (二党が合同して、巨大野党が成立していたら。)
  ・ 共産党が対立候補を自主的に引き下げたら。

 この二点は、十分に可能なことだった。9月29日の時点では。
  → 希望の党は政権を取れるか?: Open ブログ
 しかるに、小池が「排除の論理」をもちだしたせいで、すべては覆った。

 このことを理解できない人が多いね。「希望の党と立憲と共産党が共闘したら」というのは、仮定ではない。「小池が排除の論理をもちださなかったら」というのが、仮定だ。
 小池が排除の論理をもちだしたあとでは、希望の党の評判はガタ落ちなので、もはや何を言っても無意味だ。そんなことを論じても仕方ないし、朝日もその趣旨で語っているのではあるまい。(そんなことは何も書いてない。単に計算しただけだ。)



 【 関連サイト 】

 → こじるり無双!現場も驚く小島瑠璃子選挙リポート力 : 日刊スポーツ

 動画



posted by 管理人 at 07:14| Comment(4) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私の予測(よそくはくそよ)

1.希望の党は、「発展的解消」と称して党名変更。
2.その党では、前原さんが党首となる。
3.新党の一部は、離党して立憲民主党に移籍する。
4.小池さんは、新党と関係をたち、都政に専任して、政治生命を終える。
Posted by senjyu at 2017年10月24日 09:58
衆院選に先んじた都議選で都ファが大躍進、第一党となったわけですが、この都ファの中には旧民進系都議が無視できない割合で含まれています。現幹事長も旧民進系都議ですし。

このことを考えれば旧民進系都議による都ファの乗っ取りとまではいかなくとも、都ファに旧民進の色がついてしまうことは十分想定できます。小池氏と都ファ設立メンバーだけでそれを御するのはなかなか容易ではないかと。衆院選での排除、踏み絵はその反動というか、同じ轍を辿らないという姿勢が具現化した小池専制だったのではないでしょうか。

都議選での都ファの大躍進が希望の党結党に繋がったのは間違いありませんが、同時にその大躍進こそが衆院選敗北の原因というのも皮肉な話です。
Posted by 作業員 at 2017年10月24日 13:21
 http://www.asahi.com/articles/ASKBS3PWJKBSUZPS007.html

 朝日新聞の世論調査。政党支持率。(%)
  自民 39
  立憲 17
  希望 3
  民進 0

 希望の党はすでに実質的に消滅に近いほど、支持率が低い。
 民進は 0 になってしまった。まだ参院には47 人もいるし、無所属で立候補した民進の衆院議員も 17人 いるのだが。
Posted by 管理人 at 2017年10月25日 08:51
排除(非蜘蛛の糸)の真意は「免罪符」でしょうね。
民進党員の肩書(左)では当選できないと踏んで希望の党に移ってきたのですから、「民進党員」という肩書を消してしまう必要がありますから。
ところが、日本のマスコミは「水面で騒ぐ雑魚」です。
彼らの薄っぺらさをすっかり忘れてしまっていたのでしょうね。
それを慢心と言ってしまえばそうなりますが、油断大敵ですね。
Posted by skier at 2017年10月26日 00:13
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