2017年10月12日

◆ 希望の党の急落

 希望の党は、人気や支持率が急落した。それを分析する。

 ──

 希望の党については、これまで3項目で論じた。
  → 希望の党は政権を取れるか?: Open ブログ
  → 希望の党の続報(10月2日): Open ブログ
  → 希望の党はどうなる?: Open ブログ

 2番目の記事には、次の支持率が掲載されている。(再掲)
 (1) 9月28日

    自民 32%、希望 13%、民進 8%、公明 6%

 (2) 10月02日

    自民党 30.8%、民進党 3.9%、公明党 3.8%、共産党 3.3%、維新 .0%、希望の党 5.4%、

 3番目の記事には、次の支持率が掲載されている。(再掲)
 (3) 10月04日

  自民 35%、希望 12%、立憲民主と公明が 7%、共産 6%


 ──

 さて。上記項目を書いたあとで、また新たな情報が出た。
 (4) 10月10日 (NHK世論調査

  民党 31.2%、希望の党 4.8%、公明党 3.8%、共産党 2.7%、立憲民主党 4.4%、維新 1.3%


 さらに、獲得議席数の予想も出た。
 「希望の党」は選挙区で苦戦し、比例代表と合わせても70議席程度にとどまる
( → 与党300議席に迫る勢い:日本経済新聞

 似た記事は他にもある。
  → 【衆院選】序盤情勢  - 産経ニュース
  → 朝日新聞情勢調査概況 - 2017衆議院選挙(衆院選)

 ──

 さて。以上をまとめて評価すると、こうなる。
 「希望の党は当初、13%という高い支持率を得ていた。これを見た民進党(前原)が、希望への合流を決めた。このとき、民進 8% 合流することで、合計 21 %となり、自民への対抗勢力となる、という見込みだった。
 ところが合流後の希望は、支持率が 12% で、民進党の合流前よりもかえって減ってしまった。ヤブヘビ。それでもこの時点では、 12% という支持率のおかげで 80〜100議席を取れると見込んでいた。
 しかしその後、希望の党の支持率はさらに低迷した。支持率は 4.8% ぐらいまで落ち込み、予想の獲得議席は 70議席ぐらいへと落ち込んだ。当初は立憲民主の2倍近い支持率を得ていたが、今では立憲民主とほとんど同じぐらいの支持率しか得ていない」

 さらにまとめると、こうなる。
 「希望の党は当初、13%という高い支持率を得ていたが、民進党の合流を決めたあとでは、世論の不評を買って、支持率が激減した」

 ──

 以上を見て、希望の党の行方を判断しよう。こうだ。
 「希望の党は、もともと保守2大政党をめざした。保守を強調することで、自民党の票を食い、自民党に代わる保守政党となろうとした。ちょうど都議会で、都民ファーストが自民党を越えたように。
 しかしながら、歴史的には、自民党に代わるような保守政党がまともな規模を取ったことはない。自民党から分裂してできた新党が一定規模の議席を占めたことがあるが、いずれも選挙のたびに議席数を激減させてきた。古いところでは、新自由クラブがある。
 近年では、(自民党から離脱した議員を含む)民主党という成功例があるが、これは、保守ではなくてリベラルだから、保守2大政党とは異なる。
 つまり、保守の新党は、常に失敗しているのである。そこへ希望の党が出現して、都議会では成功した。しかしながら、国政では、成功するはずがないと見込める。そして実際、急激に縮小しつつある。今後も、その延長で、縮小するばかりだろう」

 ──

 ここで疑問がある。
 「ではどうして、当初は 13%という高い支持率を得て、民進党を大幅にしのいだのか?」

 その理由は明らかだ。
 「 13%という高い支持率を得たのは、民進党の票を食ったからだ。反自民の票を食って、自民への対抗馬となると期待されたからだ。この際、自民の票を食ったわけではない」

 ──

 ここまで見れば、希望の党の立ち位置もわかる。希望の党は、いくら保守政党を自負していても、その支持層は基本的には反自民の票なのである。つまり、もともとは民進党に行っていた票なのである。
 換言すれば、希望の党は自民党の票を食うことには失敗した。なるほど、政策的には、希望の党と自民党の政策はよく似ている。それを見て、小池百合子は
 「両者は似ているから、保守系の有権者は希望の党に投票してくれる」
 と期待したのだろう。しかし実際には、
 「両者は似ているから、保守系の有権者は自民党に投票する」
 というふうになった。ま、これは当り前である。前にも述べたように、歴史的に、保守系の人々の投票行動は、「常に自民党」なのである。換言すれば、
 「保守系の人々は、小選挙区制のもとでは、死票になるような第二政党には投票しない」
 のである。
 仮に中選挙区制ならば、保守系の第二候補に投票することもあっただろうが、小選挙区制では、当選しそうもない二番手候補に投票するはずがない。つまり、保守系の政党は、
 「二番じゃ駄目なんです」
 が成立する。こうして保守系の二番手政党は排除されてしまうのだ。希望の党の行方は、お先真っ暗と言えるだろう。
( ※ 維新のように、特定の地域だけで圧倒的な人気を得た政党ならば、地域政党としては生き残れるだろう。だが、希望の党は、東京ですらもはや弱小政党となってしまった。)

 ──
 
 以上から探れば、本質はこうだ。
 「希望の党は、本質的は反自民の有権者の支持を得ていた。なのに、保守を標榜することで、民進党議員を排除した。このとき、民進党議員(リベラル)を排除するだけでなく、反自民(リベラル)の有権者をも排除してしまったのだ。


 比喩的に言えば、テレビ局が番組のスポンサーを切ってしまうようなものだ。「自分の言いたいことを言います」と啖呵を切って、スポンサーを切り捨てるような発言をする。こんなことをすれば、スポンサーは「あっそう。じゃ、バイバイ」と言って去るだけだ。かくて、番組は資金的に成立しなくなり、製作中止となる。
 これと同様なのが、希望の党だ。反自民の有権者から支持を得ていたのに、その有権者を切り捨てるような方針を取った。こうなれば、切り捨てられた有権者の方が、希望の党を切り捨てる。……これが現状だ。

  ※ この件は、最初に述べた項目とも、趣旨が似ている。
     → 希望の党は政権を取れるか?: Open ブログ
    保守思想を優先させて、政権獲得を軽視した、という趣旨。

 ──

 小池百合子は、そもそも、自分の立ち位置を理解していなかった。
 小池百合子が支持されたのは、彼女の保守的な思想が支持されたからではない。自民党および自民党都連への反発が都民にあったから、それを改革しようとする小池百合子の方針が支持されたのだ。
 しかも、それは、実際の改革が支持されたのではなくて、改革のポーズだけが支持された。その具体例が、豊洲市場だ。結局、何も改革はせず、単に事業を遅らせただけなのだが、改革のポーズだけで、高い支持を得た。
 ところが、小池百合子は、ここを誤解した。「自分の政策や思想が支持された」と思い込んだ。だから「改憲」のような右翼的政策を掲げて、リベラルを排除することで、「信念のある自己を保守系の人々に支持してもらおう」と狙った。
 ところが実際には、保守系の人々はもともと自民党支持であり、小池百合子には流れなかった。一方で、自分を支持してくれていたリベラルな人々(改革の好きな人々)の支持を失ってしまった。失ったというよりは、自ら切り捨ててしまった。ちょうどスポンサーを切り捨てるように。
 このとき、「彼女の改革はただのポーズにすぎなかった。実体は自民党の補完勢力にすぎない」と気づいた人々が、小池百合子を切り捨てた。
 ……これが、現実に起こったことの真相だ。

 小池百合子は根本的に勘違いしていた。東京都では、都民は彼女に票を与えたが、それは、彼女を支持したからではない。自民党が横暴だから、自民党にお灸をすえるために、当て馬としての彼女に票を入れただけだ。
 これらの人々は、決して小池百合子の思想を支持しているわけではない。仮に自民党にまともな党首が誕生したら、保守系の人々はこぞって自民党に投票するだろう。今年の6月ごろは、安倍首相があまりにもひどかったから、それへのお灸という形で、都民は小池百合子の党派に投票した。だが、そういうムードが薄れれば、もはや自民党にお灸をすえる必要もなくなり、当て馬に投票する必要もなくなる。かくて、第二保守政党に投票することはなくなる。その一方で、本来の支持者であるリベラルな人々の票は、希望の党に切り捨てられたあとで、立憲民主党に吸収されることになった。(切り捨てたスポンサーの金が、ライバル番組に移動するようなものだ。)

 小池百合子は、もともと、国政を託されてはいなかったのである。なのに、「国政を託される」「自分は首相になれる」というふうに自惚れた。その自惚れと独善に、彼女の失敗の原因はある。



 [ 付記 ]
 思えば、その兆候は、別のところにも見出される。それは、都民ファーストの音喜多議員の離脱の理由である。あまりにもひどい独裁体質があった。
  議員活動の制限の1つ、「飲み会禁止令」については都議選後の7月、新人都議の数人と食事に行こうとした際、事実を知った幹部から会を中止され「派閥作りの分派行為だ」と厳重注意を受けた。同様の事例が他の議員にも複数あったという。SNSも管理され「発信内容が役員の意思と違う場合は呼ばれ、しかられた」と振り返った。
( → 音喜多氏ら小池知事の独裁にNO「許せなかった」 : 日刊スポーツ

「議員によってレベル差はあったと思う。少なくとも私はメディア出演が厳しく規制されていて、事実上出られない状態だ」
「新人議員と食事に行こうとしたら、『分派活動、派閥づくりの行動』だということで呼び出され、党役員から厳しく叱責を受けた」
( → 全音喜多駿氏が「疑問」抱いた小池氏の言動: J-CASTニュース

 こうなるともはや、「都民ファースト」というより、「党員ファシスト」みたいな感じだな。







 【 関連サイト 】
 もし小池百合子が民進党議員(リベラル)を拒まなかったら、どうなっていたか? 政権を取れていた可能性もある。
 実際、「排除の論理」を打ち出す直前の世論調査では、その可能性があったそうだ。以下、引用。
 2日午後に官邸・自民党に「現有288から200割れの可能性が濃厚。希望160前後の勢い」という信じられない情勢調査の結果が上がってきた。
( → 「希望の党」〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

 こうなれば政権獲得の可能性も生じる。
 ところが、小池百合子の「排除の論理」が出た。かくて、すべての夢は一夜にして瓦解した。それに遅れて、希望の党もまた、瓦解しつつある。
 希望の灯(ひ)はついえた。希望は失望に代わった。
posted by 管理人 at 23:59| Comment(5) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最新の議席予想。朝日 2017-10-14。

党  総数(比例)
自民 286 (69)
希望 56 (32)
立憲 41 (30)
公明 29 (21)
共産 15 (14)
維新 12 ( 9)
 → http://www.asahi.com/articles/DA3S13179227.html

 ──

 ※ 希望が急減して、立憲が増えている。両者は大差ない。この勢いが続くと、両者の逆転もあるかも。

Posted by 管理人 at 2017年10月14日 10:15
 比例区の(専用候補でない)重複候補への供託金規定はきわめて厳しい。
  → http://j.mp/2z73czK
 ゆえに、希望の党で小選挙区に落選して比例区復活しなかった議員の、比例区供託金(300万円)は、たいていが没収される。
 希望の党は小選挙区に大量立候補したが、見込み違いで、供託金の没収がひどいことになりそうだ。

 立候補者数
  → http://www.tokyo-np.co.jp/senkyo/shuin2017/todokede/touha.html

 希望は 198人も立候補した。そのうち 130人ぐらいが供託金没収かな。(比例区の 300万円)
 さらに、小選挙区の供託金 300万円も没収される可能性がある。(得票率が 10%以下でそうなる。)
Posted by 管理人 at 2017年10月14日 11:41
 すぐ上のコメントに対応するが、
 「希望の党は比例区に大量の候補者を立てた」
 という新聞記事がある。
  → http://www.asahi.com/articles/DA3S13180519.html

 ただし、供託金の話はない。私のコメントの方が、話は進んでいるね。朝日は遅れている。
 希望の党は今ごろ青ざめているはずだ。
Posted by 管理人 at 2017年10月14日 18:05
希望の党ならぬ野望の党ですね
いきなり潰えたけど
Posted by ななし at 2017年10月17日 06:13
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