2017年09月24日

◆ 二時間サスペンスの衰退

 テレビドラマの二時間サスペンスがどんどん減ってきている。それについての感想。

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 テレビドラマの二時間サスペンスは、もともとかなり人気があった。20%ぐらいの視聴率を取ることもあった。
  → 再放送でも視聴率安定!定番【2時間ドラマ】の人気サスペンスシリーズ
  → お約束がてんこ盛り!2時間サスペンスドラマあるある

 しかし最近は、二時間サスペンスがどんどん減ってきている。これについて分析した記事もいくつかある。
  → 消えた」2時間ドラマの謎 “容疑者”は高齢化の波?/合わぬ費用対効果
  → 2時間ドラマ崖っぷち テレビ離れ、習慣変化… 放送枠減少
  → 消えゆく2時間ドラマ 主演500万ギャラ等低コスパも原因か
  → “夜の2時間ドラマ”が終焉 エンタテインメントシーンにおける功績とは?

 理由は、次のことが挙げられている。
  ・ 視聴率が 10%ぐらいまで落ちた。
  ・ 製作費がバラエティの倍もかかる。
  ・ 主人公の俳優が高齢化した。
  ・ 俳優が同じ顔ぶればかり。


 まあ、「ごもっとも」という感じの指摘だが、それとは別に、私の見解も述べておこう。

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 そもそも、日本のサスペンスドラマは、総じて出来がいい。海外のドラマ(特に米国製)が、「悪人を逮捕するサスペンスドラマ」という感じで、いかにも単純な構造を持つのに対して、日本のドラマは、「犯人の動機」を深く追求する。
 つまり、殺人をした犯人の方に正義があって、殺された方が悪人だ、となることが多い。これは米国のドラマ(スーパーマンやバットマンやスパイダーマンに代表されるもの。悪党を懲らしめるもの)とは正反対だ。
 で、最後のあたりでは、「そんなに深い事情があったのか」ということが判明して、悲劇的な事情や心情に視聴者はポロリと涙をこぼす、というふうになって、人間ドラマふうの感動を得られる。もともとが「犯人捜し」だけの西村京太郎の原作でさえ、ドラマ化されると、犯人についての人情ものに化けてしまう。(化けるというか、人情の話が追加される。)
 こういう点は、「サスペンスもので文学的な人間性を味わえる」という点で、作品に深みを与えることになり、たいへん好ましい。お子様向けみたいな米国ドラマよりも、大人の鑑賞に堪えるものになっており、日本のサスペンスドラマの長所となっている。

 一方で、短所もある。二時間サスペンスの場合、「犯人の意外さ」を追及するあまり、推理ものとしては無理が来ているのだ。とにかく、怪しい人物を次々と出して、その人物が次々と殺される。そして、最後に残ったのは、一番怪しくない人間だ。そいつが真犯人だ。
 しかし、一番怪しくない人間が真犯人だとすると、動機はともかく、手口がおかしい。一番怪しくない人間は、とても殺人犯らしくないので、たいていは、殺人をしていない。では何をしているかというと、こうだ。
 「悪党ともみあっているうちに、相手を倒してしまった。そうしたら、その相手がたまたま死んでしまった」
 具体的には、次のような感じ。
  ・ 階段を転げ落ちて死ぬ。
  ・ ビルの屋上から落ちる。
  ・ 橋から落ちる。

 何というか、いかにも無理でしょ。階段を落ちたぐらいで死ぬというのも変だし、華奢な女性が男性ともみ合って男性を屋上から突き落とすというのも変だ。
 要するに、殺人の手口が、あまりにも不自然だ。これは推理ものとしては致命的だ。
 ま、たまにそういうものがあるのなら、仕方ない。しかし現実には、大半のサスペンスが、上記のような無理な手口で殺人(正しくは過失致死)をしている。これじゃ、とうてい納得できない。「馬鹿にするな」と言いたくなるね。「犯人捜し」をしていると思ったら、「たまたま事故で死んでしまっただけです」という感じだ。そういうドラマばかりだから、うんざりする。

 で、どうしてこういうことになったかというと、二時間サスペンスという構造自体に原因がある。なぜか? 二時間サスペンスというのは、長すぎるのだ。だから、3〜5人の被害者が出る。それらの被害者が次々と死ぬように仕向けるから、どうしても無理が出てしまうのだ。

 この問題は、1時間サスペンスでは生じない。1時間サスペンスなら、被害者は1人だし、トリックなども1つか2つだけだ。だから、犯行の本質を探って、深く追求できる。話もわかりやすいし、緊張も続く。
 二時間サスペンスは、時間を持たせるために、次々と殺人が起こるので、話が込み入ってしまって、複雑になりすぎてしまって、その話を追うのが面倒になってしまう。多くの登場人物の関係もゴチャゴチャしすぎだ。

 実際、1時間サスペンスは、近年では秀作が多い。有名なところでは、長く続いた「相棒」「科捜研の女」があるが、近年はこれらと同程度の出来映えを誇る秀作が多い。「緊急取調室」「刑事七人」などだ。
 というわけで、1時間サスペンスが好調なので、二時間サスペンスが衰退しても、特に問題ない。むしろ、その方が好ましいとすら言える。

 ただし、である。二時間サスペンスには、「深くじっくりドラマを味わう」という美点もある。それなりに深みを出せるのだ。これを特にうまくやっているのが、北大路欣也・主演の「事件」というシリーズだ。
 これは、二時間サスペンスには珍しく、「犯人は1人で、しかも最初からわかっている」というタイプだ。刑事コロンボにも似ている。ただし、通常の推理ものとは違って、法廷ものだ。弁護士と被告がいて、何らかの隠された真実を解き明かす。冒頭の犯人(被告)とは別に真犯人がいた、というふうになることも多い。
 これは、人間心理を扱うので、深い感動が得られることも多い。ただし、いかんせん、法廷ものなので、ドラマの「絵」(情景描写)が楽しくない。この点、西村京太郎シリーズだと、全国各地の景勝地をめぐるので、ドラマの「絵」(情景描写)が楽しい。どうも、一長一短のようだ。

 ──

 結語。

 二時間サスペンスは、近ごろ衰退している。
 それでも、動機や人間性を追求しているという点は、日本のドラマの美点である。
 しかし、その長さゆえ、ストーリーが複雑化しすぎて、話に無理が生じがちだ。これでは人気が落ちるのも仕方ない。
 かわりに1時間サスペンスに秀作が増えているので、特に問題はない。
 残る二時間サスペンスは、今のように複雑性や謎を追う方針は改めた方がいい。むしろ、動機や人間性を追う方がいい。

 ──

 最後に一つ。
 主演の俳優が、高齢化しすぎて、しかも、ギャラの安い人が多い。もっと中堅クラスの人を出す方がいい。(私のお薦めは、星野真里だ。演技力や存在感がすごい。ドラマ全体が、ぐっと引き締まる。)
 また、若い新人の美人を出すといい。有名どころでなければ、ギャラも安くなるはずだ。(無名なので、例示はなし。)
 ちょっとぐらい有名な美人も出してほしいところだ。私のお薦めは、真野恵里菜だ。この人、演技力もある。もっと頻出していいのだが。(美人の割にはギャラはあまり高くないらしい。)

 現状では、いかにもギャラが格安ふうの中堅女優がヒロインになっていることが多い。かつては、片平なぎさや名取裕子が存在感を放っていたが、この二人に匹敵するような後継者は出ていない。存在感の薄い女性ばかりがやたらと頻出する。これでは、番組全体のレベルが落ちるので、やめてほしいね。

( ※ 後継者として、私のお薦めは、矢田亜希子だ。演技力もかなりある。美人すぎるので、主人公よりは、隠れた真犯人向きだが。ただし、私的な事情によってギャラが格安になったのは、有利な点だろう。)
( ※ 星野真里は、主人公の探偵役には向かないが、「犯人だか善人だかわからないミステリアスな役」としてはピカイチだ。本人に両面性が感じられる。ひるがえって、沢口靖子だと、善人役にしか向かないが。)



 [ 付記 ]
 二時間サスペンスは、玉石混淆である。1時間サスペンスならば、駄作は淘汰され、秀作がシリーズものとして生き残る。二時間サスペンスは、単発なので、出来映えが異なる。
 ただし、うまく見分けるコツもある。こうだ。
 「主演や助演が大物ならば、金をかけているで、秀作が多い。主演や助演が小物ならば、金をかけていないので、駄作が多い」
 ここで、金をかけているかどうかは、脚本の出来に直結する。脚本家が低ギャラなら、駄作だ。脚本家が高ギャラなら、秀作だ。脚本家に金を払うかどうかは、製作費の総額で決まる。製作費の総額は、主演や助演のギャラに直結する。
 だから、主演や助演のギャラを見れば、脚本家のギャラも見当が付くし、作品の出来映えも見当が付く。








posted by 管理人 at 09:07| Comment(6) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後のあたりに [ 付記 ] を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2017年09月24日 15:07
「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」の倒叙式の番組は好きでした。犯人と刑事が予め分かっているので、トリックを考えるのが大変かもしれません。
私は、「科捜研の女」を楽しみにしています。
Posted by senjyu at 2017年09月25日 11:20
youtube動画やストリーミングやザッピングに慣れてしまって、長時間のストーリーをじっくり観ることが面倒になる人が増えてしまったのかも。
短尺の映画が売れるようになってきたのと同様に。
Posted by けろ at 2017年09月26日 00:13
殺人方法にバリエーションが乏しい(というかご指摘のようにほとんど事故もどきになってしまう)のは、スポンサーのせいだという話を聞きます。殺人に自社の商品が絡むとなるとつい敬遠してしまう。食品を使った毒殺も自動車がらみも「これはフィクションだから」といっても文句が出ては困る。あるいは有害な深層心理的刷り込み効果に過敏になっているからかもしれない。

基本的に日本のテレビは「安心メディア」としての使命を帯びているので、何があっても「まぁ、これを見て寝ちゃえば明日はまたやってきますよ」というコンテンツじゃないと困るからね。

世界的に見てもあまりよろしくないレベルの政府にとっては、こういう愚民政策は必須というか……大衆の文化レベルを低く抑えとかないと、下手に意識が高くなってドラマにも世界的常識レベルの葛藤を盛り込まれたりするとその余波が政治に及んで面倒なことになる……という見方はどうでしょう。
Posted by noname at 2017年09月27日 23:20
死因で圧倒的に多いのは、
  ・ 酒やコーヒーに毒物
  ・ ナイフや包丁で刺殺
 です。いずれもスポンサーの文句はあり得ないでしょう。
 事故もどきになってしまうのは、バカな脚本家の場合に限られます。まともな脚本家なら、そんなことはやらない。
Posted by 管理人 at 2017年09月28日 00:51
 本文中でお薦めした真野恵里菜が、テレビ朝日 10:00〜11:50 日曜ワイド「白い刑事」で、主役として出演した。
  http://www.tv-asahi.co.jp/nwide/story/0027/

 熱演していた。 twitter でも好評だ。私がお薦めした効果があったかな? 

 ただ、(刑事のせいか)おしろいをしていなくて、肌が黒っぽかった。この人、地肌は色黒なんですね。知らなかった。
 色黒でも、別に悪くはないけどね。問題なし。かわいい。というか、トップレベルの美人だな。白石麻衣や新垣結衣とどっちが上か? たぶん同レベル。
 演技力では真野恵里菜の圧勝。運動神経やダンスや歌唱力も同様。
 ギャラはたぶん白石麻衣が一番安い。というか、演技できなさそう。比較外。
Posted by 管理人 at 2017年10月23日 19:58
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