2017年08月31日

◆ 誤発進の防止に単眼カメラは無効

 自動車で誤発進の事故(アクセルとブレーキの踏み間違い)が頻発している。これを防止する装置があるが、単眼カメラ方式は無効だ。

  ※ 後半に 【 補説 】 あり。トヨタの新方針のニュース記事(紹介)。

 ──

 単眼カメラ方式は、次の原理で、対象との距離を測定する。
  ・ 自動車が走行する。
  ・ 時刻 T1 と T2 における画像の変化を見る。
  ・ 二つの画像の変化をコンピュータで計算して、対象との距離を推定する。


 こういうことを、流れる時間のなかで次々と処理することで、対象との距離を推定する。





 では、自動車が停止しているときは? 時間がたっても、画像の変化はない。となると、対象との距離もわからない。
 したがって、「停車中の自動車が、前方に障害物(壁など)があるかどうか」を検知することは、単眼カメラ方式では不可能だ。
 調べるなら、超音波のソナーか、ミリ波レーダーを使う必要がある。

 以上のことからわかるように、単眼カメラ方式(単体)では、誤発進の防止に役立たない。誤発進の防止には、次のいずれかが必要だ。
  ・ ミリ波レーダー (近距離向けではない)
  ・ 超音波ソナー (最適)
  ・ ステレオカメラ方式


 いずれであってもいいが、単眼カメラ方式(単体)では、誤発進の防止に役立たないので、無効である。
 単眼カメラ方式の弱点が、ここでも出ている。

( ※ 発進したあとでなら、自動車は動いているので、距離の測定は可能だ。しかしそのときにはすでに、直前にある壁に衝突してしまっている。)



 [ 付記1 ]
 ステレオカメラ方式は、どうか? 目の前が灰色の壁ならば、ぶつかってしまうか?
 実は、そうではない。ステレオカメラ方式ならば、輪郭抽出は必要ないので、コントラストが弱い壁であっても、検出は可能である。まったくの同一色ならば検出はできないが、普通の壁は、汚れや凸凹があるので、少しは検出が可能だ。その少しの違いが、画面の全体にあれば、コントラストが弱くても、(左右の)位相差の検出は可能となる。
 ちなみに、本ブログの背景は、灰色のコントラストの弱い模様だ。これは、輪郭抽出が困難なので、単眼カメラでは認識できないだろうが、ステレオカメラならば(左右の)位相差の検出は可能となるだろう。
( ※ その証拠に、あなたはこの灰色模様の位置を、肉眼で検出できる。あなたにできるのであれば、ステレオカメラにもできる。)

 [ 付記2 ]
 後退する場合の誤発進を防止するには、(前方を見る)単眼カメラもステレオカメラも作動しないので、別途、後方を見る超音波ソナーを搭載するのが最適だろう。これと、後方を見る単眼カメラを併用すると、「バック駐車をする自動駐車装置」ができる。(実現済み。)





 これを見て、「すごい。便利だ」と思う人も多いだろうが、これは「誤発進防止」機能とは違うので、お間違えなく。
 お買い物のときに自動駐車するまではいいが、お買いもののあとで自動車を発車させようとしたら、誤発進しかねない。





 【 補説 】

 自動車の誤発進を防止する装置を、トヨタが標準搭載するそうだ。
 《 トヨタ 9割以上の乗用車に誤発進防止機能搭載へ 》
 トヨタ自動車は再来年3月までに国内で販売する9割以上の乗用車にブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進を防ぐ機能を搭載すると発表しました。
 トヨタ自動車によりますと乗用車に搭載するのは、車に取り付けたセンサーで周囲の障害物を検知しブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進を防ぐ機能です。現在、国内で販売する乗用車のおよそ3割に搭載していますが、再来年3月末までに9割以上に拡充するとしています。
 また、ことし中に国内で販売するほぼすべての乗用車に自動ブレーキを搭載する計画で、トヨタによりますと、自動ブレーキなどの機能を搭載した車は搭載していない車に比べて追突事故の発生率がおよそ9割少ないということです。
( → NHKニュース 2017-08-28

 最後の「追突事故の発生率がおよそ9割少ない」という点は、下記。
 《 トヨタ、自動ブレーキ搭載で追突事故を9割減 》
 衝突回避支援システム「Toyota Safety Sense P」搭載車の追突事故は、非搭載車に比べて約50%少なかった。一方、同システムと誤発進抑制システム「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」の両方を搭載した車両の場合は、いずれのシステムも搭載しない車両に比べて約90%減った──。
 トヨタ自動車は2017年8月28日、同社の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した車両に関する事故発生件数の調査結果を発表した。

  ̄ ̄
 なお、トヨタのSafety Sense Pはミリ波レーダーと単眼カメラを使って車両の前方を監視し、(1)車両や歩行者対応の自動緊急ブレーキ、(2)車線逸脱抑制、(3)全車速対応の先行車追従、(4)オートハイビームの4機能を提供する。
 一方ICSは、車両の前後に搭載した8個の超音波センサーを使う。駐車時や低速走行時に障害物に衝突する恐れがあるときや、アクセルペダルの踏み間違いや踏みすぎによる急発進、シフトポジションの選択を誤って発進したときに、自動でブレーキを作動させて、壁などの障害物との衝突を回避あるいは衝突の被害を低減するものである。
( → 日経テクノロジーオンライン

 この記事の後半を読むと、最初の記事との齟齬が見つかる。
  ・ 自動ブレーキシステムでは5割減だが、ソナー付きだと9割減。
  ・ 標準搭載するのは、前者でなく後者らしい。


 つまり、「9割減」は「自動ブレーキなど」(ソナーも)を搭載した車種。一方、標準装備にするのは、「自動ブレーキなど」ではなく、「自動ブレーキ」のみらしい。(あるいはソナーをひとつだけ、か。)
 記事を読むと、「9割減になる装置を標準搭載」というふうに読めそうだが、実は、そんなことはないのだ。
 ちなみに、クラウンでも、後者のソナーを搭載するのはごく限定的らしい。
 《 「クラウン」に誤発進防止機能=トヨタ 》
 トヨタ自動車は、高級車「クラウン・アスリート」に、アクセルとブレーキの踏み間違いによる誤発進を防止する先進安全機能「ICS」を搭載した特別仕様車を発売。価格はターボエンジンを搭載したガソリン車が 454万6800円
( → 時事 2017-08-28

 高価格の特別仕様車であり、標準搭載とは程遠い。「標準搭載」を公表したその日の発表で、「一部の限定車種だけに搭載」ということを実行している。
 ほとんど詐欺みたいなものだ。

posted by 管理人 at 22:04| Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ほとんど詐欺みたいなものだ。

トヨタのミライのサイト
http://toyota.jp/mirai/
を見てみると、未だに受注しているようです。売れているかどうか知りませんが。

”燃料電池車を開発、上市にこぎつけた。決して失敗ではない。”という体面を保っておきたいのでしょうか。MRJのように今更引くに引けなくなって細々と続いていくのかも。ある意味日本の伝統なのか?

トヨタの大口に踊らされて購入してしまったユーザーこそいい面の皮かと。
Posted by 作業員 at 2017年08月31日 23:24
後学のために
単眼カメラだけで誤発進防止をしている車種は現存しているのでしょうか?
Posted by のぶきち at 2017年09月24日 03:40
> 単眼カメラだけで誤発進防止をしている車種は現存しているのでしょうか?

 本項のタイトルを見ればわかるでしょ。
 仮にそんな車種があれば、本項の話は成立しません。
Posted by 管理人 at 2017年09月24日 06:19
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