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インパール作戦は、あまりにもひどい愚行として、軍事史で名高い。先日も、NHK で特集番組が放送された。
→ NHKスペシャル | 戦慄の記録インパール
その趣旨はこうだ。
不利な戦局の好転を狙って、日本軍はビルマを出て、インドのインパールを侵攻しようとした。だが、食糧などの兵站(へいたん)もろくにないまま、「大和魂さえあれば何とかなる」という根性主義の方針で、無謀な行進を続けた。参謀長などは「兵站不足で軍事作戦は不可能」と具申したのだが、それらの参謀長をクビにして反対意見をつぶし、無謀な作戦を続けた。結果的には兵隊の大半は餓死。生き残ったのは、仲間の死体を食べた人だけ。大本営は、自らこの方針を認定しておきながら、「ビルマ方面長が勝手にやっただけ」と言って、あとで責任回避した。
さすがにこんな馬鹿げたことは、もはや今では やらないだろう……と思ったのだが、実はやっている。呆れたことだが。
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自衛隊が「離島奪回」の演習をしているそうだ。オスプレイを飛ばしたりして。
陸上自衛隊が実弾を使う最大の訓練「富士総合火力演習」が27日、静岡県の東富士演習場で公開された。富士山の裾野を離島に見立てた奪回作戦で、ヘリコプターや戦車による攻撃の支援で隊員らが「上陸」。29倍の抽選でチケットを得た5千人を含む2万4千人が観客席から見入った。
今年は大型モニターで、攻撃や輸送などで想定される海自や空自との「統合運用」による作戦の進行を説明し、上陸する隊員を運ぶ手段として陸自が導入するオスプレイも紹介。新たに購入した水陸両用車AAVが演習場を走った。戦車などの「火力」を強調する従来の砲撃訓練もあった。
2時間近くの演習には隊員2400人、戦車や装甲車80両、大砲60門、ヘリや戦闘機を含む航空機20機が参加し、2億9千万円分の弾薬36トンを使った。
( → 陸自最大の実弾演習「富士総火演」:朝日新聞 2017-08-28 )
オスプレイを使ったりして、面白そうなことをやっているように思えるが、オスプレイを離島に使うことについては、私が前に軍事的に批判した。「そんなことはありえない」と。
なぜなら、オスプレイを離島に飛ばせば、敵軍の戦闘機や地対空ミサイルの餌食となり、あっさり撃墜されてしまうからだ。飛んで火に入る夏の虫だ。
→ オスプレイ導入の是非
参考:
→ オスプレイは軍事的に無意味
→ オスプレイを尖閣諸島へ?
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仮にオスプレイやヘリコプターなどが有効に使えるとしたら、敵軍が占領する前に、あらかじめ離島に軍隊を配備しておく場合だけだ。
しかし今回の演習は「奪回訓練」である。つまり、すでに敵がその場所を占拠していて、その後の作戦だ。したがって、敵の地対空ミサイルがすでに配備されている。携帯式防空ミサイルシステムもある。(敵が圧倒的に有利。)
また、航空面では、離島には滑走路はないだろうからこの点は無視するとして、敵も日本もどちらもただの空中戦となる。
そうなれば、戦闘能力がほとんどない輸送機であるオスプレイは、敵の戦闘機の餌食となるだけだ。空対空ミサイルであっさり撃墜されるだろう。あるいは、機関銃で撃墜されるかも。(ノロマだからだ。)
こんなふうに「大被害が生じる」ことが自明の作戦を、自衛隊は堂々と実行する。なぜか? 次の前提とをるからだ。
「敵は離島を占拠しているが、敵の戦力はゼロである。ゆえに、ノロマのオスプレイも一切、撃墜されない」
まったく、荒唐無稽なこと、このうえない。「敵が離島を占拠した」ということを前提としながら、「敵は一切攻撃してこない」という前提で演習しているからだ。(だから結果的に「飛んで火に入る夏のオスプレイ」となるはずの演習をする。盲目的に。)
これは、インパール作戦よりも、さらにひどい。インパール作戦のときには、「敵は一切攻撃してこない」という前提は取らなかった。「敵は攻撃してくる」という前提で方針を決めた。しかるに、今の自衛隊は、「敵は一切攻撃してこない」という前提を取っているのだ。だから、「オスプレイで大量の人員を運べる」と思っていて、「オスプレイはすべてあっさり撃墜される」という事実を理解できないのだ。
こんなにバカな自衛隊は、本当に戦争が始まったとき、まともに戦えるのだろうか? 「あ、戦闘機はあるけど、燃料が足りないので飛べません」とか、「銃はあるけど、弾薬はありません」とか、そういうことになるんじゃないの? あるいは、最初の攻撃で、オスプレイを全機出動させて、隊員もろともすべて撃墜されるんじゃないの?
あるいは、「ヘリ空母はいっぱいあるけど、ヘリ空母に乗せるヘリコプターがありません」とか。「陸上自衛隊にはヘリコプターがいっぱいあるけれど、海上自衛隊にはヘリコプターが全然足りません」とか。
まるで笑い話みたいな馬鹿げた話だが、朝日の記事によれば、今の自衛隊では、そういうことが現実化している。事実は笑い話よりも奇なり。
( ※ 「離島奪回作戦」というのだから、本来ならば、その場所には敵がいるはずだ。ところが演習では、敵からの攻撃が一切ないし、仮想敵軍も用意されていない。何やっているんだか。「間違えて、敵のいない島に上陸してしまいました」という演習なのだろうか?)
[ 付記 ]
「陸上イージスは、同時多発のミサイルには対抗できないので無駄だ」ということも朝日の記事にあった。
→ 陸上イージス 巨額コスト・迎撃力に限界:朝日新聞 2017-08-29
この点は、本サイトでも前に述べた。
→ 地上型イージスシステム
軍事的には意味のない迎撃ミサイルに巨額の金を投資する。狂気の沙汰だが、これもまた、インパール作戦と同様で、日本軍の愚行なのだろう。
【 関連サイト 】
今回と同様の演習は、2013年にもなされた。場所は米国だが。
【 追記1 】
自衛隊の愚かさを指摘する、というのは、私は前にもやっていた。
「大量のミサイルの飽和攻撃に対しては、迎撃ミサイルは無効になる。ゆえに迎撃ミサイルシステムを配備するのは無意味だ」
ということだ。2009年に指摘した。
「ミサイル防衛網は、戦争のときには、無効となる。特定の箇所に向けて、多数のミサイルを発射すれば、その特定の箇所では迎撃ミサイルが弾切れになるからだ」
( → ニュースと感想 (135) )
このことを、朝日新聞は今になって指摘している。(上記リンク)
私が先んじて問題点を指摘して、その後、配備したあとで、マスコミが遅れて問題点を指摘する。迎撃ミサイルでは、そういうことがあった。
島嶼防衛についても同様だろう。「オスプレイなんかを投入しても、飛んで火に入る夏の虫だから、無意味だ」と私が先んじて指摘する。その後、8年ぐらいたってから、マスコミが遅れて指摘する。……そういうふうになりそうだ。
【 追記2 】
「離島奪回作戦」ならば、最重要なのは、陸だけでなく、海・空の戦力との連携だ。
特に、ヘリ空母との連携は重要だ。(どうせ撃墜される)オスプレイなんかで人員を派遣するよりは、(敵を追いだしたあとの離島に)ヘリ空母でヘリコプターと大量の人員を派遣する方が有効だ。ここで、海空の連携が必要となるのだが、その連携がうまくできていないようだ。困ったことだ。
ただ、実を言うと、「ヘリ空母はあっても搭載するヘリコプターがない」という実状があるのかもしれない。「銃はあっても弾がない」という冗談が、現実化しているのかもね。
【 追記3 】
ロケットランチャーへの対策としては、ドローンで敵を見つけるのが有効だと思える。陸上自衛隊は、オスプレイなんていう「高価なゴミ」を買うよりは、軍事用ドローンの研究開発に金を投じた方がいいのだが。無人偵察機は無理でも、軍事用ドローンならば何とか手が届くだろう。オスプレイに 3000億円も出すより、ずっと有効だ。
【 追記4 】
本項の話の本質は、「自衛隊の演習は馬鹿げている」ということではない。(表面的にはそうだが。)
核心は「離島奪還にオスプレイは役立たない」ということだ。そこから得られる最終的な結論は、「オスプレイは日本にとっては必要ないゴミだ」ということだ。
そもそもオスプレイを導入している軍隊など、ほとんど存在しない。米国(主に海兵隊)を除けば、日本以外の国ではオスプレイを兵器として導入していない。導入した国は少しあるが、遭難救助機として利用するだけだ。(これならわかる。)
日本でも遭難救助機として導入するならまだわかるが、遭難救助機なら日本には飛行艇がある(それで十分だ)。
結局、オスプレイの真の目的は「米国に金を払って武器購入すること」だけだ。(あとは、「陸自の予算を増やす」というメンツの問題だ。)
オスプレイなんてものは高価なゴミにすぎない、ということが、本項の話の核心だ。
【 追記5 】
ここまで見ると、演習の本質が見えてくる。それは「オスプレイは役立たずだ」という真実を隠蔽することだ。
仮に敵軍が存在すれば、敵軍の攻撃によってオスプレイは全機が撃墜される。飛んで火に入る夏の虫。だから、次の二者択一だ。
・ オスプレイを飛ばして、全機が撃墜される。
・ 撃墜されないように、オスプレイを出動させない。
どっちにしても、「オスプレイは役立たずだ」ということが、バレてしまう。これまでは「オスプレイは有益だ」と主張して、国民をだまし続けていたのに、もはや国民をだますことができなくなる。それはまずい。そこで、今後も国民をだまし続けるために、「オスプレイはあっさり撃墜される」という真相を隠蔽することにしたのだ。そのために、敵軍の存在をなくしたのである。
つまり、自衛隊は、本当はバカなのではない。「自分たちはバカである」と見せかけることで、国民をだまし続けようとしたのである。
つまり、「だまされた国民はバカである」という真相を隠すために、自分たち(自衛隊)がバカであるフリをしたのだ。
だから、本当にバカなのは、自衛隊ではなくて、自衛隊にだまされた国民なのだ。「オスプレイは素晴らしい」というデマを信じて、莫大な金を(税金から)出して、喜んでいるカモ。こういうカモになっている国民こそ、愚かなのである。

( ※ では、どうすればよかったか? どうせならオスプレイなんかより、戦闘機の近代化をする方がずっとよかった。F-4 が退役しているのに、その代替機がないなんて、あまりにも馬鹿げている。なお、F-35 の生産は遅すぎて、間に合わない。)
( ※ オスプレイとは、「航続距離が長くて高速の大型ヘリコプター」だが、そんなものの用途はほとんどない。特に日本では、離島防御用ぐらいだ。しかし離島防御にも役立たない。では、他の国は? 普通のヘリコプターを大量配備している。これが正解だ。航続距離の長さなどは、ほとんど必要ない。)
( ※ 警察庁は離島警備用に、普通の大型ヘリコプターを導入することを決めた。2機で 100億円。→ 出典 / ちなみに、オスプレイは 17機で 3600億円だから、1機あたりのコストは 4.2倍だ。馬鹿高い。)
単なるパフォーマンスと 消費期限間近の弾薬を使っただけじゃないでしょうか
ふつうは、空自が制空権、海自が制海権を握り、(爆撃機はないが)爆撃や艦砲射撃で敵を弱らせてから上陸するので、ここでやっているのは最後の上陸だけなのでは?
それだったらなおさら、オスプレイの出番はない。急ぐ必要はないので、ヘリ空母などの船でゆっくり運べばいい。
【 追記2 】で記したとおり。
そもそも、「勝利したあとの訓練」なんて、あんまり意味がないんだけどね。「勝利するための訓練」ならば意味があるけど。
自分が何をやっているかわかっていない状態だ。やっぱりバカだな。
コメントから見ると、軍隊経験、しかも幹部で部隊運用とかやったことの無いド素人の専門家なんでしょうね。
総火演なんてただの見せにしか過ぎないでしょ。ましてや、観客いるのに敵からの攻撃がないとか。演習場で民間人に死人出すのか?
一度、自衛隊にでも入って将軍になってからコメントしな。
だったら、ショーがあるだけで、訓練をしていないことになる。
ならば、自衛隊がただのショー会社であって、軍事的な練習を何もしない、と言っているだけ。荒唐無稽。
> 観客いるのに敵からの攻撃がないとか。演習場で民間人に死人出すのか?
演習で実弾を発射すると思うのなら、あなたは軍事知識が皆無であるだけ。軍事演習とは何かを勉強してから、いらっしゃい。
下記を参照。
http://j.mp/2vEwZhi
http://j.mp/2iCNSYi
敵の攻撃を想定しろ、と言っているだけでしょ。
オスプレイを見せろ、ではなく、見せるな、と言っているんです。手の内を明かすのとは逆でしょ。
ショーとして見せる、なら、わかるが。
> あくまでも観客のための演習だ
前にも書いたけど、それだったら、まともな演習をやっていないことになりますよ。
> 自衛隊に失礼極まりない事だ。
それはインパール作戦と同じ。間違いを指摘する意見を聞かないので、結果的には大敗北にいたる。
あなたは是正を拒むことで、中国の味方をして、日本を敗北させようとしているわけ。コメント欄で名乗るときには「中国のスパイ」と書いてください。
タイムスタンプは 下記 ↓
陸自の戦車や兵員をどのように上陸させるか
オスプレイで運んでロケットランチャーでむざむざ撃ち落とさせるのか
敵の情報を掴んで先に上陸させておくなら使えるかもね
観客に見せたいならパブリックビューイングでもいいぜ
私はそちらを見学しました。戦車の実弾使用における空気衝撃は二次元では得られないものでした。
離島への演習では、空自の戦闘機F-2が参加していました。
優秀な人は海軍空軍に配置、残りカスが陸軍だ。脳みそがついてることを期待するところから間違い
日本海の不審船に、WWII独軍のV1に相当する巡航ミサイルを積んだ上で全隻日本領海に突入させて、日本海沿岸の原発を狙い撃ちでしょう。目標位置までは、GPSとみちびきが高精度に導いてくれます。
不審船の9割がダミーの巡航ミサイルを積んでいたとしても、迎撃する側はてんてこ舞いです。
自衛隊もバカではないので、原発の手前にネットを広げたりするのでしょうが、北朝鮮は目標手前でミサイルをポップアップさせるかもしれません。
兵器開発はいつの世もイタチごっこです。
原発を全部破壊しても、被害はたいしたことがない。もともとほとんどの原発は停まっている。巡航ミサイルの爆薬は量が少ないので、原発の炉心を破壊できない。
戦争をするなら、相手の軍備をたたくのが最重要。仮に米軍が北朝鮮と本格戦争をするなら、最初に北朝鮮の軍隊のすべてを破壊します。インフラを破壊するのは、そのあと。というか、敵軍を壊滅させたあとでは、インフラを破壊する必要がない。
ただし、全面戦争でない限定戦争なら、経済制裁の一種として、インフラを少しだけ破壊することもありそうです。戦争というよりは、イヤガラセ or 警告の一種。
直接的な被害ではなく、住民の避難、経済ダメージ、輸出品の風評被害、シャルリーエブドを使ったヘイト拡散を考えてみてください。福島第一原発と同じ状況が同時に複数発生するわけです。
> 巡航ミサイルの爆薬は量が少ないので、原発の炉心を破壊できない。
炉心が無事でも排水ポンプが止まるだけで大変な事になるのを、我々は学んだのではないですか?狙いはコントロールセンターでしょう。
北朝鮮が日本の占領ではなく弱体化を狙っているならば、弾道ミサイルを対米国兵器として温存しておくことでしょう。
誤解を招く表現でしたが、「たいしたことがない」は、「超大被害ではない」というぐらいの意味です。まあ、風評被害が発生するとか、メルトダウンが起こるとかは、ありそうですが、「炉心大爆発で核物質が飛散する」ということはない、というぐらいの意味です。
あと、普通状態に比べてのことではなくて、「軍事基地を破壊されるのに比べればたいしたことはない」という意味です。
北朝鮮としては、どちらかと言えば、米軍の航空戦力を破壊することの方が優先でしょう。