2017年08月25日

◆ ハイブリッドの価格差

 ガソリン車に比べてハイブリッド車はどのくらい高いのか? 特に、新型カムリは?

 ──

 新型カムリが発売された。ハイブリッドの価格が気になったので、調べてみた。

 (1) 新型カムリ

 国内はハイブリッド車のみの販売なので、米国価格を調べたところ、4000ドル弱の価格差があった。つまり、40万円の価格差だ。
  ※ 本日の円レート 1ドル = 109.7円
 新しいカムリはTNGA思想に基づいたプラットフォームを採用。搭載されるパワーユニットは2.5リットルエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドで、エンジンが178馬力/221Nm、モーターが120馬力/202Nmのスペック。システム出力は211馬力。ミッションはトヨタオリジナルの電子制御式CVTだ。
( → 【トヨタ カムリ 試乗】‐GAZOO

 モーター出力が 120馬力もある。これは注目するべきことだ。このモーターは、ノート e-power のモーターよりも高出力だ。プリウス・ハイブリッドのモーターが、比較的小さめのモーターだったのに比べて、ずいぶん大きなモーターが搭載されている。それでいて価格差は 40万円にすぎない。
 
 (2) クラウン

 クラウンのハイブリッドとガソリン 2L車の比較は、やはり 40万円程度。
   → トヨタ自動車WEBサイト

 やはり、40万円ぐらい高い。しかもモーターはさらに大きくて、143馬力もある。

 (3) ノート e-power

 モーター出力は 109馬力だ。それでいて、価格差は 40万円をかなり上回る。とはいえ、装備の差もあるので、実際には少し縮小する。
 ノートe-POWER・Xの価格をノーマルエンジンを搭載した「X」(149万5,800円)と比べてみよう。価格差は46万3,320円だが、e-POWER・Xにはエアコンのオート機能などが装着されるので、この金額を差し引いた正味の実質差額は約42万円になる。
( → 日産 ノートe-POWER - 価格.comマガジン

 この記事には、価格差の理由も記してある。
 ノートとノートe-POWERで動力性能を比べると、e-POWERのほうが圧倒的に高く、ドライビングフィールも実に軽快だ。これまでは、高い動力性能や滑らかさが欲しい場合、高額を払って大排気量エンジン搭載車を選んでいた。そこを考えると、ノートe-POWERでは動力性能、滑らかさ、静粛性などが向上して、なおかつ燃費も大幅によくなるといいことずくめだ。それを考えると、ノートe-POWERは買い得といえるだろう。だからこそ、販売も好調なのだ。
( → 日産 ノートe-POWER - 価格.comマガジン

 なるほど。高性能という魅力が付加されている。それゆえ価格差にも納得、ということらしい。
 しかし、よく考えると、これはおかしい。商品的魅力を別とすれば、カムリやクラウンにはもっと大きなモーターが搭載されているのだから、コストはかかっている。また、カムリやクラウンは、パラレルでも作動するように、遊星ギヤが付いている。このコストがけっこうかかっているはずだ。

 ──

 ここで、以前の私の判断を示すと、こうだった。
 「トヨタ方式は、遊星歯車やエンジンやモーターなどに、余分のコストがかかるので、コスト的に不利である。一方、日産 ノート e-POWER の方式は、(余分なものがないので)余分なコストがかからないので、コスト的に有利である」
  → トヨタの PHV の問題: Open ブログ

 このような理由で、「トヨタのハイブリッドは、(特にモーターが大型化した場合には)コスト的に不利だ」と結論した。
 ところが、すでに示した通り、実際の販売価格は、トヨタの方が高いどころか安くなっている。デカいモーターと遊星歯車がくっついていて、なおかつ、ノート e-POWER よりも少し安価になっている。

 私の予想は外れてしまったようだ! 

 ──

 これはたぶん、原理の差ではなくて、生産台数の差だと思う。トヨタのハイブリッドは圧倒的に多数が売れている。一方、日産の e-POWER はノートぐらいしかない。それも国内販売だけだ。これに加えて、日産リーフを足しても、販売台数はたいしたことがない。
 となると、トヨタのハイブリッド車の実力は恐るべし、ということになる。

 ──

 結論。

 トヨタのハイブリッド車は、ガソリン車との価格差が 40万円ぐらいだが、これは恐るべきコストダウンをしている。モーターと遊星歯車の追加があっても、この価格差だ。しかも性能では、エンジンとモーターの同時駆動で、高い出力を出せる。つまり、高いパフォーマンスを発揮できる。それでいて、燃費は大幅に改善されている。
 変速機がないという点では、ノート e-power と同様だが、モーターが大型で、遊星歯車まであることを考えると、ノート e-power に比べて圧倒的なコストダウンを達成している。
 トヨタのハイブリッド技術は、恐るべし。
 


 [ 付記 ]
 では、「 e-power 方式を推奨する」という私の従来の説を撤回するか? いや、撤回しない。なぜなら、両者は別のことだからだ。
 従来の私の説と、本項で述べたことを、あわせて考えるといい。すると、次の結論が出る。
 「トヨタが e-power 方式を取ると、ハイブリッドで途方もない低価格が実現できるかもしれない。ガソリン車との価格差が 25万円ぐらいで済むかもしれない」

 ただ、以前の情報(ノート発売前の情報)を見ると、25万円という価格差は、日産でも実現できていたらしい。ただ、ノート e-power はあまりにも大人気で、値引きしなくてもどんどん売れるので、高値を付けているらしい。
  ( ※ 正価で高値、という意味。実際の値引き額は、ガソリンも e-power も 15万円程度で、ほぼ同じ。)


 となると、コストの問題は考えなくていいのかも。むしろ、
 「ノート e-power は、人気がありすぎて、高値が付いているので、買わない方がいい。トヨタのハイブリッドの方がお買い得だ」

 とはいえ、この方針で見ると、トヨタのヴィッツ・ハイブリッドは、モーターも小さいし、ちっともお買い得ではない。ノート e-power と、どっこいの感じだ。トヨタのハイブリッドだからといってお買い得であるわけではない。

 とすると、新型カムリとクラウンだけが、ハイブリッドとしてはお買い得なのかもしれない。(どちらもハイブリッド車がメインであり、ガソリン車はサブの扱いだ。)

 
( ※ 本項は、コストの話と、お買い得の話。性能技術の話というよりは、生産技術の話。)







posted by 管理人 at 22:53| Comment(5) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
車の原価は何%くらいを想定して話をしているのでしょうか?

感覚的に言うと数百万円の車で部材費(シャーシやエンジン、電子装備品などすべて含んだ部材費)は実売価格の2〜3割程度と思われる。一つ二つの部品の高い安いは車の販売価格に対しての影響度はかなり小さい…
Posted by ななし at 2017年08月25日 23:36
トルクはNote e-POWERが254NmでCAMRYの202Nmよりも太いです。さらに車重を比較するとNote e-POWER Sが1,170kgでCAMRY Xが1,540kgです。
ここからEV部のトルク・ウェイトレシオで比較すると、大まかにCAMRYの加速はNote e-Powerの6割程度で穏やかな性能になります。この辺は実際にアクセルペダルを踏まないとわかりにくいですが、およその予想はつきますね。

トヨタのハイブリッドもよくなったと思うのですが、カタログトルクがランエボの390Nmを超える400Nmを表記していた2代目プリウスNHW20の様に、どこをどのように制御していたのか極めてジェントルな車があったので、トヨタ方式は信用していません。

一方、Note e-POWERはLEAFと同じトルクのモーターです。LEAFの加速は70km/hまでは2Lターボをしのぎましたから、キビキビ走りたいのであればNote e-POWERになると思います。

トヨタのハイブリッドもルマンのマシンの様にゼロ加速に積極的に介入してくれて、さらにワンペダルドライブができる様になってくれたら魅力が増すでしょうね。
Posted by 京都の人 at 2017年08月26日 01:35
> EV部のトルク・ウェイトレシオで比較すると、大まかにCAMRYの加速はNote e-Powerの6割程度で穏やかな性能になります。

 カムリはエンジン出力も併用されるパラレル方式なので、モーター出力だけでの計算では不足です。エンジン出力も加えると、総合出力は2倍になるので、加速はカムリの方が上でしょう。
Posted by 管理人 at 2017年08月27日 06:21
パラレル方式のハイブリッドの優位点は中速以上で、エンジンパワーが効いてくることだと考えています。
LEAFの様なEVが低中速域の加速を中高速域で失うので、カムリもそこまではほとんどガソリンエンジンを使わないと思います。
なので、私はe-POWERが軽さも加わっていい加速をすると思います。そのうち、誰かが実測するで時に何かがわかるでしょう。


Posted by 京都の人 at 2017年08月28日 23:30
 e-POWER は、方式としては最も優れている、と私は何度も記しています。
 本項の話は、技術的優位かどうかの話ではなくて、「トヨタのハイブリッドはいっぱい装置が付いているのに価格が上がらないので、お買い得」ということです。
 大量生産効果もあるのでしょう。自動車用モーターの生産台数は、トヨタが世界で圧倒的多数ですから。
  → http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1708/28/news027.html

 たぶん、一番優れているのは、トヨタが生産する e-POWER 方式だ。価格差は 25万円ぐらいになりそう。
Posted by 管理人 at 2017年08月29日 00:29
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