2017年08月15日

◆ バナナの品種改良の方法は?

 バナナはタネがないのに、どうやって品種改良をするのだろうか?

 ──

 バナナの原種(野生種)は、巨大なタネを持つが、一般に食用されるバナナは、タネがない。(ごく小さなタネの名残があるが、無視できる。タネなし葡萄と同様だ。)
 タネがないバナナは、タネで繁殖させることができないので、株を分ける形で栽培する。当然ながら、すべては遺伝子が同じくローンである。
 以上は、広く知られた知識だ。


バナナの野生種(タネあり)
original_banana.jpg
出典:Wikipedia


 ここで問題だ。バナナはタネがないのに、品種は 300もある。では、タネがないのに、どうやって品種改良をするのだろうか?
( ※ 品種改良というものは、交雑による変異を前提とするから、種なしだと交雑できず、品種改良もできないはずだ。)

 ──

 そこで疑問に思って、ネットを調べてみたら、あちこちを調べて、ようやくわかった。

 (1) 知恵袋

 知恵袋に簡単な解説がある。
 種なしバナナは種なしの変異種ですが、厳密には種のある可能性が非常に低い種類のバナナだそうです。ですから、交配の方法を取りたければ大量のバナナを網でこすなどして品種改良用の種を見つけ出して使うしかないですね。
 当然、面倒極まるものですから、バナナの品種改良はほとんど進まないわけです。できないわけではない、という程度。
( → Yahoo!知恵袋

 これで一応、回答を得たわけだが、これでは不十分だ。もっと調べると、真相がわかる。

 (2) 放射線

 バナナにタネがないのは、3倍体であるせいだ。
 そこで、バナナにガンマ線をかけることで、突然変異を引き起こし、6倍体にして、タネができるようにする……という方法が 2004年ごろに開発された。これが決定的だ。
 ガンマ線生体緩照射植物の培養体に倍加処理をして得た6倍性の再分化個体を用いた場合は、開花性の突然変異体を誘導でき、この突然変異体は高率で稔性花粉を生産し、2倍性植物との間で結実種子を採取することができることを見出した。これにより、食用バナナにつき、世界で初めて人為的な交雑育種の方法が提供され、食用バナナの品種改良が可能となった。

 本発明により、バナナ属の交雑による品種改良の方法が提供され、食用バナナの遺伝的な改良が初めて可能となった。

 その結果、世界的に深刻な被害を及ぼしているバナナの病害抵抗性を根本的に改良した優良品種が育成され、バナナの生産性を高めて安定させることができる。
( → 公開特許公報

 以上により、バナナの品種改良方法はわかった。詳しい情報は、引用元を参照。
 


 【 関連項目 】
 最近、次の項目がちょっと人気記事となっている。
  → 人間のDNAの半分はバナナと同じ?: Open ブログ

 そのわけは、次の与太記事を読んだ人が多いから。
  → 人間とバナナのDNAは60%共通という話を聞いて人間とバナナの境界が揺らぎ始める人々「そんなバナナ」

 このあと、 twitter などでも話題になってから、正しい情報を求めて、本サイトにたどり着くようだ。本サイトでは「15%」という正しい数値を示している。

posted by 管理人 at 19:39 | Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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