2017年08月13日

◆ 電気自動車の時代は来るか?

 電気自動車の時代は来るだろうか? もはやハイブリッドは時代遅れなのだろうか? 

 ──

 日産の新型リーフやテスラ・モデル3などの新型電気自動車が話題になっている。本サイトでも話題にした。
  → テスラと日産の新型 EV: Open ブログ

 上記項目では「どっちがいいか?」というような話題を扱った。
 一方、本日の朝日新聞では、「電気自動車の時代が来そうだ」というような話題を扱っている。
 《 電気自動車へ、駆ける世界 》
 約130年前、ドイツ人ベンツとダイムラーが生み出したエンジン車。不動と思われたその地位がいま、電気自動車(EV)の本格的な挑戦を受けている。自動車産業の勢力図を塗りかえようとする国やメーカーの動きが背景にある。
( → 朝日新聞 2017-08-13

 冒頭のあたりでは、「日産も中国も、ハイブリッドを跳び越して、一挙に電気自動車に突き進む」というような話がある。ずいぶんと楽観的だ。「日産は電気自動車の販売台数は世界一だ」という話もある。

 しかし、この記事には記してないが、日産の電気自動車の販売台数は、当初の予想を大幅に下回っている。累計でも 28万台にすぎない。テスラのモデル3がすでに 37万台もの予約を集めているのに比べると、あっさり追い抜かれてしまう数字であるにすぎない。また、年間 1000万台を販売する自動車会社に比べると、累計で 28万台なんて、誤差レベルの少数にすぎない。
 要するに、現状では、電気自動車の時代なんて、ほとんど画餅にすぎない。記事の話は、ほとんど与太だ。

 少し読んで、「バカな記事だな」と思ったのだが、実は、それほどバカでもなかった。記事の後半では、悲観的な見方も示している。
  ・ 日産よりもテスラの方が台数が上になりそうだ。(上記)
  ・ コストが高くて、とても価格差を回収できない。
  ・ 電池の劣化がひどい。
  ・ 火力発電を使うのでは、環境改善効果が少ない。

 こういう点もあるので、一概にバラ色とは言えない。

 ──

 ではなぜ、「電気自動車の時代が来そうだ」という話題が出たのか? それは、冒頭にも述べたように、新型リーフやテスラ・モデル3が出て、新しい時代を感じさせるからだ。たしかに、大幅な進歩があった。その意味で、期待を持たせる。
 とはいえ、その進歩は、ガソリン車のレベルに追いつくほどではない。だから、結論としては、「ガソリン車を追い越す」どころではなくて、「ようやくガソリン車に追いつきつつある」というのが、妥当な評価だろう。
 だから、前出の項目では、次のように述べた。
 今年は「電気自動車の普及する元年」と言えそうだ。これまで助走段階だった電気自動車は、いよいよ普及に向かって大きく羽ばたくこととなる。いよいよガソリン車と正面切って対抗できることになりそうだ。
( → テスラと日産の新型 EV: Open ブログ

 電気自動車は今後、急速に販売台数を伸ばしていくだろう。その意味で、新しい時代に入りつつある。
 とはいえ、それは、「ガソリン車に取って代わる」という意味ではない。あと 10年ぐらいは、まだまだガソリン車の方がずっと優勢だろう。販売台数でガソリン車に並ぶのには、あと 10年以上かかるだろう。ガソリン車を蹴散らす(追い出す)のには、あと 20年以上かかるだろう。……というわけで、かなり長期戦となる。

 ──

 それでも、重要なことはいくつかある。
 (1) ガソリン車は当分、生き残るが、それは普通のガソリン車ではなく、ハイブリッド車だろう。その意味で、今後の数年間は、ハイブリッド車が主役だろう。(日産や中国の見方は外れるだろう。)
 (2) ハイブリッド車では、日産の e-power の方式(シリーズ方式)が大きな比率を取るだろう。これは「発電機つきの電気自動車」とも言える。その意味で、電気自動車への過渡的な段階としては、有効だ。
 (3) e-power の方式では、エンジンは定常回転が可能なので、発電専用のエンジンを使える。現行のようにアトキンソンサイクルのエンジンを使うだけでなく、稀薄燃焼方式や可変圧縮比エンジンや HCCI エンジンなど、いろいろと特別な技術が導入されることで、大幅に効率を高めることができるだろう。これらはもはや、旧来のガソリンエンジンとは大幅に異なる。
 (4) まとめて言えば、今後は、ガソリン自動車と電気自動車の折衷的(中間的)な自動車が主流になるだろう。
 (5) トヨタのハイブリッド方式と、日産のノート e-power の方式は、どちらも高速燃費が悪い。そのせいで、欧州ではほとんど売れない。
 ただし、日産のノート e-power の方式は、エンジン直結のギアを一つ用意することで、高速燃費を改善できる。
  → 次のハイブリッドは?: Open ブログ
 この方式(エンジン直結のギアを一つ用意する方式)が、欧州では主流となるだろう。
 他に、クラッチで直結する方式(日産の高級車で使っている方式)もあるが、この方式は、定常回転はできないので、効率が低い。また、変速機が必要なので、高コストとなる。というわけで、あまり普及はしないだろう。
( ※ 回生エネルギーを得るためだけに 50万円ぐらいの機構を備えるのでは、コスパがあまりにも悪すぎる。節約したガソリン代では、当初の価格差をとうてい回収できない。 → 参考記事:ノートe-POWER の加速は“3リッター”並み

 以上が、今後の見通しとなる。(私見)



 [ 付記 ]
 一方、燃料電池車は、もはや生き残る可能性はなくなった、と言える。今回の朝日の記事でも、まったく言及されていない。
 これまで「燃料電池車こそ次世代の環境車だ」と持ち上げていた朝日も、ようやく、燃料電池車よりも電気自動車の方が主役だと気づいたようだ。



 【 関連動画 】 
 日産の広告




posted by 管理人 at 21:49| Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フランスのマカロン(けなしています)大統領が宣言したらしいけど
デーゼルトラックはどうするんだろ
ハイパワーのモーターはつくれるの
EUを左から右へ移動できるだけの電池がつくれるの


Posted by 田舎者 at 2017年08月18日 15:43
 モーターは、分散配置ができるので、エンジン車よりは有利です。六輪車に6モーター、という自動車の例もある。

 電池は、すごく重たくなるので、現状では大変ですね。ただし、将来的には解決が可能になりそうです。また、商業用途なので、途中で急速充電をすることで対応も容易そうです。
 ベンツなどのトラックメーカーは、すでに EV トラックを研究開発しています。

 あと、基本的には 2040年は乗用車のみで、トラックは数年遅れて規制されることになりそうです。
Posted by 管理人 at 2017年08月18日 22:08
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