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燃料電池車将来には見込みがない、ということについては、2004年ごろから私はずっと指摘してきた。たとえば、下記だ。
→ 泉の波立ち 2004年
また本サイトでも、サイトを開設した 2005年以後、しばしば述べてきた。
→ 燃料電池車の休眠
→ 燃料電池の死
→ 燃料電池の死2
→ 燃料電池の死 3
→ 燃料電池の死 4
さて。最近になって、新たな情報が出た。新型のガソリン車の熱効率が 50%になるという。
→ 日産、熱効率50%の発電エンジンを開発へ、25年目標
※ ここで使われる技術は、本サイトでも前に解説したことがある。
→ 可変圧縮比エンジンが実用化
→ HCCI と可変圧縮比エンジン
ともあれ、こういう新技術が出た。そして、そうなると、燃料電池車の方が効率が低いことになる。なぜなら、水素の圧縮などを含めた全体的な効率は、日産の新型エンジン車を e-power で使った場合の効率に、いくらか劣るからだ。
※ 旧型のプリウスは、エンジンの熱効率が 35%ぐらいだったが、この場合には、炭酸ガスの排出量が、燃料電池車よりも少し多かった。95対78で。……その後、新型のプリウスでは、エンジンの熱効率が 40%程度となったので、その分、改善された。また、日産の新型エンジン車は、エンジンの熱効率が 50%程度なので、このエンジンとシリアル・ハイブリッド(e-power)と併用した場合、総合的な熱効率がとても良くなりそうだ。その分、炭酸ガスの排出が少なくなる。(燃料電池車に比べて。)
(95/78)×(35/50)= 0.85
なので、燃料電池車の方が効率は 15% 低い。
※ 数字の根拠は、本項末を参照。
※ e-power 方式については、下記項目を参照。
→ 日産ノートのハイブリッド
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結局、燃料電池車は、新型のガソリンエンジンのハイブリッド車に比べて、総合的な熱効率がいくらか低い。(15%ぐらい。)
こうなると、もはや、燃料電池車の存在意義がない。社会が燃料電池車を推進すれば推進するほど、かえって炭酸ガスの排出量が増えてしまうのだ。(日産の新型エンジン車に比べると。)
なるほど、旧来のガソリン車に比べれば、燃料電池車の方が炭酸ガスの排出量は少ない。しかし、新型(次世代)のガソリン車に比べれば、燃料電池車の方が炭酸ガスの排出量が多いのだ。
従来はともかく、日産の新型エンジン車の技術が登場したあとでは、事情は一変した。燃料電池車の命運はもはや完全に尽きたと言えるだろう。
これまではコストや生産技術が壁になっていて、「実現性が遠い」というふうに見なされていた。しかしもはや、「技術水準そのものが劣っている」(熱効率が低い)というふうになってしまったのだ。
そして、そのことは、今後、逆転の可能性は少ないだろう。というのは、燃料電池そのものの効率は、すでに 100%に近くて、これ以上、効率の向上の余地がないからだ。
燃料電池車の効率の低下の主要因は、水素ガスの生産や、水素ガスの運搬や、水素ガスを圧縮・膨張させる過程で生じる。これらは「枯れた技術」であるがゆえに、今後も劇的な効率向上は望めない。いずれにせよ、大幅に効率は低いままだ。
それに比べれば、次のことは効率がずっと高い。
・ 電力を送電線で送る。
・ ガソリンをタンクローリーで運ぶ。
いずれも、特別なことはしないので、ごく低コストで運搬が可能だ。水素ガスの場合とは大違いだ。
以上のことからして、燃料電池車はもはや完全に命運が尽きたと言える。ご臨終。

( ※ なお、こうなった原因は、日産の可変圧縮比エンジンと e-power 方式だ。この二つさえなければ、ガソリン車に勝てたかもしれないが、この二つが出たせいで、燃料電池車は命運が尽きることとなった。……トヨタとホンダの燃料電池車は、大破・撃沈みたいな感じだ。)
島風・大破
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[ 余談 ]
燃料電池車なんて、もはや、「水素水」と同じようなトンデモの一種みたいなものだ、と言えるだろう。こんな無駄なものに金を出させるのは、それこそ、水素水詐欺と同様だ。
伊藤園の「進化する水 水素水」
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水が進化するそうだ。すごいですね。さすが。
【 関連項目 】
燃料電池車とハイブリッド車の熱効率の比較については、下記項目の最後を参照。
→ 燃料電池車は普及するか?
次の図(グラフ)がある。

給湯だけをみればエコキュートの方が優れるようにも思え懐疑的です。住設用燃料電池も在庫処分かも。
効率だけ見るとまあ、面倒さばかり目立ちますよね。
ただ一点忘れないでほしいのは、化石燃料の制約についてです。
産油国に頼らざるを得ない状況というのは非常にハイリスクで、少し古い人はオイルショックの恐怖を知っています。
水素だからと言ってどっからでもノーリスクで湧くとは言いませんが、少なくとも購入先の選択肢が多いのは良いことです。
FCVは今必要かと言うと先走った感は否めませんが、日本の立ち位置を考えたとき、スパッと切り捨てず平行して進めるのは別に悪いことじゃ無いと思います。
水素はそのまま水素発電にするのがベスト。それが最も効率的。
エネルギーの運搬は、電気なら簡単なのに、いったん水素の形にして、水素を運搬してから、水素を電気に戻す、というのは、無駄すぎる。
→ http://blog.livedoor.jp/ganbaremmc/archives/51672222.html
が、これはちょっとおかしい。前に「可変圧縮比エンジンの効率は高い」と宣伝していたことはあったが、その時点では 40% 程度の熱効率だった。そのころよりは性能が向上したとは言え、いきなり 50% にまで持ち込むのは不自然だ。
そこで別項を思い出した。
→ http://openblog.seesaa.net/article/449707304.html
ここで紹介した HCCI エンジンならば、非常に高い熱効率が実現できるはずだ。50% も不可能ではあるまい。ただし、 HCCI エンジンを使うなら、「 e-power 方式で発電専用にすること(定常回転にすること)が必要だ」という条件がある。(上記ページで記したとおり。)
そこで、冒頭の日産の記事を読み直すと、「 e-power 方式で発電専用にすること(定常回転にすること)が必要だ」という条件が満たされている。
としたら、日産の可変圧縮比エンジンというのは、実は HCCI エンジンを兼ねているのだろう。冒頭の記事では、日産は何も述べていないが、実は、 HCCI エンジンの開発にメドが立ったのだろう。それが「今後、過去60年分の進化をわずか10年以内に実現する」ということの意味なのだろう。
実は、可変圧縮比エンジンは、すでに実現している。2018年に発売予定だ。
→ https://car-research.biz/nissan/vc-t.html
可変圧縮比エンジンも、 e-power も、実現済みだ。なのに、「10年以内に実現する」というふうに、かなり先の起源が目標値となっている。これはつまり、現時点では未完成の HCCI エンジンを開発中だ、ということなのだろう。それは、開発のメドが立ったが、まだ市販には至らない。だから、冒頭記事では、 HCCI エンジンについては明白に言及していないのだろう。
……そう解釈することができる。
要するに、日産の方針は、
「 可変圧縮比エンジン + e-power 方式 + HCCI エンジン」
なのだ。これで熱効率 50%が実現できる。ただし、3番目の点については、開発中なので、内緒にしているわけだ。
※ あー。Openブログが日産の秘密をばらしちゃった!
企業機密漏洩罪だ! 産業スパイだ! 逮捕しろ!
いえいえ、ただの「名探偵の推理」です。
F1では2014年からメルセデスが、2014年からフェラーリが導入しているようです。ま、メルセデスはDIESOTTOと2007年ごろに発表しています。
いずれも1970年代のホンダCVCCが元祖とも言えますが。
HCCIの和訳が予混合気であることに違和感を感じていたら、日本ではPre-mixed Charge(予混合気(装填)) の圧縮着火でCompression Ignition 略してPCCIだったのに、米国(GM)がPre-mixed Chargeではなく、均質装填Homogeneous Chargeが圧縮着火するので、予混合ではないといちゃもんを付けた様です。
欧州じゃ「希望しない上死点手前でのPre Ignition」じゃない、制御された自動点火Controlled Auto Ignitionとぞと鼻息が荒い様です。
ロータリーに搭載したらワクワクします。
ソースは?
たぶん「 HCCI をガソリン車ではやらない」という趣旨でしょう。可能な領域がとても狭いから。
しかし e-power と併用すれば、狭い領域で使えるから、e-power 方式でなら HCCI を使える……というのが本項の趣旨です。
そもそも燃焼効率の向上は、アトキンソンサイクルでも十分なので、可変圧縮比エンジンの効果は大きくない。50%をめざすには HCCI は不可欠でしょう。すでに日産は研究しています。
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/hcci.html
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/3d_sim.html
内燃機関の歴史ですよね
ボッシュの研究 いまだに続いてるんですね
管理人さんのリンク 見て 少し驚きです
抱懐 200年しか経ってないのか
焼玉エンジンを親父が使ってました
バーナーで加熱して 圧縮空気で回転 始動
懐かしい思い出です