2017年08月02日

◆ 東芝は本体を売却せよ

 東芝の半導体子会社を売却するよりは、東芝本体を売却する方がいい。(子会社でなく親会社を売るといい。)

 ──

 東芝の半導体子会社である東芝メモリについて、あれこれと報道が続いている。
  → 経産相、東芝半導体売却「大詰め」 (2017.8.1)

 世間の人はこれを興味深く見ているようだが、ここで別の記事が出た。
 《 「優秀で割安」シャープ・東芝の技術者が、続々外資に流出中 》
 経営危機に直面する東芝から、有能な技術者が次々と流出している。先行きの見えない原子力事業部門などを中心に、会社を見限る動きが強まっているのだ。
 まだ、退職に至っていなくても、水面下で転職活動をしている人たちは少なくない。とくに30歳から40歳台前半の、「最も現場で仕事をしている中堅ほど、浮き足立っている」(東芝を辞めた技術者)という。
 「今まで、市場に出て来なかったようなピカピカの技術者が転職活動しています」と、転職支援会社のコンサルタントは言う。しかも、「かなりの割合で外資系企業に転職している」という。
 外資系企業からすれば、これまで、優秀な理科系の学生を採用するのは困難を極めていた。それが、このところの日本の製造業の“崩壊”によって、転職を希望する技術者が一気に「労働市場」に現れ始めたわけだ。
( → 現代ビジネス | 講談社

 東芝メモリは、鴻海が3兆円の値段を付けたのに、「中国への技術流出の懸念」という理屈で、2兆円あまりほどの安値にもかかわらず、他グループに売却されるらしい。1兆円近い損失をかぶってまで、技術流出を拒む、というわけだ。
 しかし、いくら技術流出を避けようとしても、肝心の東芝本体からは、技術者がどんどん流出しているわけだ。頭隠して尻隠さずというか。尻抜けというか。バケツの底から水が漏れているというか。……

 ──

 実を言うと、「鴻海に売却すると技術が流出する」というのは、嘘である。なぜか? たとえ流出するとしても、その分、高価な金を払っているからだ。とすれば、これは単に、「技術を金で売却する」というだけのことだ。ただの商取引であるにすぎない。何も恐れることはないのだ。
( ※ 実は日本は特許料収入で、莫大な金を毎年得ている。これは、金を受け取って技術を渡すことに等しい。そして、それは、避けるべきことではなく、好ましいことなのだ。)

 こういう状況があるのだから、東芝メモリを鴻海に高値で売却することは、恐れることではなく、好ましいことだ。
 一方、技術者がどんどん流出することは、対価なしで大切なものを失うことに等しい。こちらこそ、避けるべきことなのだ。
( ※ 経産省は、「売却」と「流出」の区別が付かない。だから、「技術流出が怖い」と言って、「技術の売却」を拒む。その一方で、対価なしで技術者が流出するのを放置する。)

 ──

 これを解決するには、どうすればいいか? 
 ひとつは、「東芝メモリを鴻海に売却すること」だ。これによって、1兆円に近い巨額の対価を得る。妥当な価格だろう。
 もうひとつは、「東芝本体を売却すること」だ。特に、次の三つを売却する。
  ・ 東芝の家電
  ・ 東芝の重電
  ・ 東芝の原子力

 この三つを、全部、売り払ってしまえばいい。そうすれば、妥当な価格がつく。誰も損しないで済む。

 ──

 一方、現状のままだと、どうなるか? こうだ。
 「東芝メモリの売却益である2兆円あまりを、東芝本体が手に入れる。しかし東芝本体は、原子力その他で大きな赤字を出すので、せっかく得た2兆円あまりを、すべて赤字解消で費やしてしまう。のみならず、家電・重電・原子力では、今後は大幅に赤字を出す。特に原子力は、途方もない大赤字を出す。全体として、大きな赤字を出す」

 放置すれば、こういうふうに、最悪の結果となるのだ。
 たとえば、東芝の原子力部門は、今後は巨額の赤字を出すだろう。一方、東芝の原子力部門っを売却して、日立か三菱に引く受けてもらえば、赤字の額は最小限で済むだろう。もしかしたら債務込みの価格で、(マイナスでなく)無料で引き受けてもらえるかもしれない。
 そもそも日本に、日立・三菱・東芝という三つの原子力会社があるのは、無駄である。ここで、東芝というゴミみたいな会社を、日立か三菱に引き受けてもらえば、東芝の莫大な赤字をうまく解消できる。(将来の赤字発生分を込みで。)
 また、会社の数が減れば、採算性が良くなるので、ノシ(持参金)をつければ、日立か三菱に引き受けてもらえそうだ。
( ※ 隠れた赤字の対策としては、株式会社への出資という形にすればいい。そうすれば、有限責任なので、損失額は最大でも出資金の分[≒ ゼロ]で済む。)



 [ 付記1 ]
 ただし、東芝の原子力部門については、「単純に消滅させる」という方策もある。それでもいい。
 これはかなり劇薬であるので、実現の可能性は大きくなさそうだが、それでも俎上には上がっているようだ。下記の記事で紹介されている。
  → 東芝、消滅が濃厚…「国営」原発会社設立か、東芝・日立・三菱の事業分離し統合

 [ 付記2 ]
 上記記事では、東芝の事業部門について、次のように説明されている。
 東芝は現在、以下の4つを事業領域とするカンパニー制を敷いている。
・電子デバイス事業領域
・ICTソリューション事業領域
・社会インフラ事業領域
・エネルギー事業領域

 これが正確な表現だ。ただし、わかりにくい用語が並んでいて、面倒臭い。だから、本文中では、もっとわかりやすい(簡明な)用語で説明した。
 話の趣旨には影響しないので、無意味に正確には記さなかった。その旨、お断りしておきます。



 【 関連動画 】



posted by 管理人 at 23:21| Comment(9) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国の変な介入があるせい予測がしにくいので東芝株を買うか判断に迷いますね……
Posted by 七氏 at 2017年08月03日 10:48
東芝の原子力部門を日立や三菱が引き受けますか?日立や三菱側のメリットがよくわかりません。

東芝の家電部門も...相応の対価を払う買い手がいるのでしょうか。投資ファンドならあり得るかも。

価格がつきそうなのは重電部門くらいでしょうか。ただ、外資には手を出させないでしょうし。
Posted by 作業員 at 2017年08月03日 16:20
> 東芝の原子力部門を日立や三菱が引き受けますか?

 「持参金付き」と書いてあるでしょ。有限責任とも。ちゃんと読んで。説明済み。

> 東芝の家電部門も...相応の対価を払う買い手がいるのでしょうか。

 売れそうにない会社だからこそ、売るべきなのです。経営に失敗しているわけなんだから。
 逆に、東芝メモリみたいに、買い手がわんさといるような会社は、経営が成功しているのだから、売る必要はない。つまり、経営改革をする必要がない。
 
> 価格がつきそうなのは

 本項では、高値で売れるかどうか、という(株主の)損得勘定の話をしているのではありません。非効率経営を効率化するにはどうすればいいか、という話をしています。国家的な問題。
 ちなみに、シャープは鴻海に売却されることで、経営が著しく効率化され、大幅赤字が大幅黒字に転じました。ついでに株価も大幅に上昇しました。こういう結果を目的としています。シャープの株を買うと得をするか損をするか、というような話をしているのではありません。

Posted by 管理人 at 2017年08月03日 18:34
原子力部門の”売却”とあったので...どこが持参金を出すのか存じませんが、それはもはや売却ではなく救済では?

重電部門については売却額が高い安いという話ではありません。半導体メモリですら技術の流出を理由に自由な売却が制限されているわけです。これが社会インフラや防衛関連に絡む重電部門なら、さらに各方面から様々な横槍が入ってきて一筋縄にはいかないのでは、ということです。

鴻海(外資)によるシャープ買収の事例をそのまま当て嵌めるには無理があるような。
Posted by 作業員 at 2017年08月03日 18:59
> どこが持参金を出すのか存じませんが

 他人が出すわけじゃなくて、自分自身の財産から出します。
 具体的には、東芝メモリや家電部門の株式。その株式価値が2兆円だとすれば、株を持つことで、2兆円の持参金を持つことになる。
 2兆円の持参金付きで、1.5兆円で売れたら、差し引きして、持参金は 0.5兆円だったことになる。持参金の適正額は、市場で自動的に算出されるので、公正だ。
Posted by 管理人 at 2017年08月03日 19:30
シャープが液晶事業や複写機事業を切り売りせずに全部買い取ってもらったのは僥倖だったのですね。
Posted by 京都の人 at 2017年08月03日 21:36
誰かが管理人の思惑を理解して買い手になる努力をすればいいのだろうが、誰も理解しないので管理人の思惑は外れる。そして管理人に「日本の経営者は愚かである。私の言うことを聞かないからこんな最悪の結果になる。」と言われる。という結末だと思う。
Posted by ななし at 2017年08月03日 23:12
> 誰かが管理人の思惑を理解して買い手になる努力をすればいい

 それも一案だけど、一括購入(TOBなど)は難しいので、部門別に分割しないと、買い手は現れないだろう。
 東芝自身が「売ります」という意思を示すのが先決だ。

> 日本の経営者は愚かである

 というか、東芝の経営者と、経産省の官僚が。(売らないことの責任。)
 普通の経営者は、無関係で責任なし。売りに出されていないものを、買う責務はないので。

 ※ 本項のタイトルは「〜売却せよ」です。 
Posted by 管理人 at 2017年08月03日 23:52
 そもそも東芝は、不正経理があったので、上場廃止するべきだった。経営者も違法行為で摘発するべきだった。そうしなかった国の方針が大幅に甘すぎた。

 ペナルティとして東芝は分割して売却、という方針を取るのが望ましかった。その法的根拠はないが、行政指導の形で、ペナルティを科すべきだった。つまり、強制的に、シャープみたいに売却・改革するべきだった。
Posted by 管理人 at 2017年08月04日 00:10
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