2017年07月30日

◆ Amazon は独禁法違反

 Amazon が電子書籍の価格を勝手に取り決めているのは独禁法違反である。

 ──

 Amazon が電子書籍の価格を勝手に取り決めている。このことが話題になった。
  → Amazonで佐藤秀峰氏の作品が勝手に無料化されロイヤリティが支払われないという事件が発生し作品名を変える事態に - Togetter

 実は、この件は、欧州でも独禁法違反とされて問題視された。その後、この件は、Amazonが「方針を是正する」ということで解決したはずだった。また、日本でも同様に決まったはずだった。
  → 欧州委、電子書籍販売巡るアマゾンの改善策受け入れ
  → 欧州委、アマゾンと改善策で合意 電子書籍巡り
  → アマゾン、納入業者と最安値契約廃止 独禁法調査受け(日本)

 ところが、冒頭記事のような問題が発生した。これはつまり、Amazon が(公取との)合意をホゴにしている、ということを意味するのだろう。つまり、独禁法違反を続けているわけだ。
 そこで、この問題について、解説しよう。

 ──

 Amazon の問題は、電子書籍の価格の決め方がおかしい、ということだ。契約の際、「Amazonにおける販売価格を、常に最低価格にする」という条件を結ばせる。このことで、Amazonでの販売価格は、他社の販売価格よりも高い価格にはならない。他社( Booklive や 楽天book )の価格に比べて、アマゾンの価格は常に同額以下となる。……そういう契約だ。(比喩的に「最恵国待遇」というふうにも言われる。

 これのどこが問題か? そこを理解できない人が多いようなので、説明する。
 普通の商品ならば、納入価格に利益を加えて、販売価格とする。ここで、「納入価格が他社よりも高くない」というふうにするのは、普通にあることであって、別におかしくも何ともない。
 ところが Amazon は違う。納入価格でなく販売価格において「他社よりも安い」という設定にする。その一方で、Amazonの利幅は極端に高くする。その結果、納入価格は極端に引き下げられる。

  納入価格 + Amazonの利幅 = 販売価格
   A       B      C  


 ここで、普通はAが一定になるが、アマゾンの契約では C が一定になる。そのせいで、Cが一定のまま、Bを大幅に増やすことができて、割を食った A が大幅に減る。
 要するに、「Amazon はいくらでもボッタクリができて、そのために、納入者は納入価格を極端に引き下げられる」ということだ。
 
 このようなことは、「優越的立場の濫用」であるから、明らかに独禁法違反だ。同様のことは、メーカーが下請けに強要することがしばしばあるが、たいていは公取が独禁法違反を指摘して、是正させている。
 Amazonの問題も、これと同様だ、と言える。
 違いは、独禁法違反がいくら指摘されても、なかなか是正されないことだ。公取が仕事をしていないせいですね。馬鹿にされているのだろうか。

( ※ 独禁法がザル法に近い、ということもある。是正勧告が出るぐらいで、なかなか処罰されないのだ。「罰則のない法律なんか、守らない方がいい」というのが、Amazon の立場かもしれない。腹黒い犯罪者ならば、そうするのが当然だろう。)

( ※ なお、これと同様の問題は、Apple の電子コンテンツ販売でも生じている。どっちも悪徳業者だ。)



 [ 付記1 ]
 Amazonは、さらに別の不当行為(独禁法違反)もしている。
 「販売価格(H)をいくらでも勝手に引き下げられる」
 ということだ。この契約を強制する。そのせいで、「半額セール」や「無料セール」で、勝手に安値販売することを強要する。(冒頭記事に書いてある通り。)

 [ 付記2 ]
 納入する側の取り分は、どのくらいか? 
 書籍ならば、著者は 10% 。出版社は「経費プラス適正利益」となる。
 電子書籍だと、著者は 6.5% ぐらい。出版社は、比率では取り分がかなり多いが、額ではかなり少ない。というのは、部数がろくに出ないので、経費ばかりがやたらとかかって、コストをうまく回収できないからだ。

 この問題を回避するには、書籍の電子書籍化をするソフトで、電子化のコストを大幅に削減するしかない。そのあと、書籍よりも少し安い価格にして、部数を出して、電子化のコストを回収する。

 現状では、そうなっていない。著者も出版社も、紙の書籍に比べて大損している。その一方で、Amazonは一人勝ちの状態だ。単に右から左へ流すだけで、莫大な差益を稼いでいる。Apple も同様だ。ボロ儲け。(Apple は売上高利益率が 30〜40%ぐらい。アマゾンの電子書籍販売も、同程度だろう。)



 【 関連サイト 】
 日経の記事に情報がある。
 電子商取引(EC)大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)は、電子書籍など取り扱い商材の納入業者との契約を見直し、競合するECサイトと同等の価格・品ぞろえを保証させる「最恵国待遇(MFN)条項」を撤廃する方針を固めた。
 同条項を巡っては昨年8月、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いがあるとして立ち入り調査に入っていた。欧州連合(EU)の欧州委員会も同様の疑いで調査していた。
( → アマゾン、納入業者と最安値契約廃止 独禁法調査受け 2017/5/30:日本経済新聞



 【 追記 】
 あとで調べると、次の記事もあった。
 《 公取委、アマゾンジャパンの独禁法違反審査を打ち切り 》
 公正取引委員会(公取委)は、アマゾンジャパン合同会社とAmazonマーケットプレイスの出品者との間の出品関連契約に関する独占禁止法違反の審査を打ち切ったと発表した。アマゾンから「自発的な措置を速やかに講じる」との申し出があり、その内容を検討したところ、疑いを解消すると認められたという。
 Amazon.co.jpでは、アマゾンが自ら消費者に商品を販売しているほか、出品者がAmazon.co.jpサイト上で商品等を販売できる「Amazonマーケットプレイス」が展開されている。問題視されていたのは、アマゾンジャパンとマーケットプレイス出品者との間の出品関連契約で、出品者に競合サイトと同等かそれ以上の価格や品揃えを求めていた。今回のアマゾンの申出では、この契約条件の撤回、および撤回の出品者への周知などが含まれている。
 従来の契約では、競合より有利か同等の価格で販売するよう求める「価格等の同等性条件」と、一部の出品者との契約において、他社と同等かそれ以上の品揃えを求める「品揃えの同等性条件」が含まれていた。守られていない場合は、アマゾンから契約についての説明や、品揃えの拡大を求める要望などが行なわれていたという。
 公取委は、こうした契約が「出品者の事業活動を制限する効果がある」、「電子商店街の運営事業者間の競争をゆがめる」、「運営事業者のイノベーション意欲や新規参入を阻害する」と指摘し、審査を行なってきた。アマゾンジャパンから自発的に、価格等の同等性条件と品揃えの同等性条件の削除やその周知を行なう申告があり、また、今後3年間にわたり、年1回公取委に実施状況の報告を行なう申立が行なわれたことから、公取委は「独占禁止法違反の疑いを解消するもの」と判断。審査を終了することとした。
( → AV Watch

 これを読むと、問題が解決されたように思える。だが、よく読めばわかるように、ここには電子書籍の話がない。したがって、この取り決めは尻抜け・骨抜きだ。
 公取はどうやら、Amazonにすっかり手玉に取られてしまったようだ。比喩的に言えば、殺人犯を逮捕したつもりが、「万引きをしたことを認めて、今後は万引きをやめます」という申し出を受け入れたようなものだ。かくて殺人犯がお咎めなしになる。メチャクチャだ。
 かくて、冒頭の記事のように、佐藤秀峰氏のような被害が延々と続くわけだ。公取が手玉に取られると、こういう結果になる。
 
posted by 管理人 at 09:51| Comment(3) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2017年07月30日 14:27
 Amazonが方針を改めたという報道が出た。以下、転載。

 ──

《 アマゾン、出版社に電子書籍の最安値求める契約見直し 》

 公正取引委員会は15日、米アマゾンの子会社から、電子書籍の配信事業で独占禁止法違反(不公正な取引方法)の可能性がある契約を見直したとの申し出があった、と発表した。アマゾン側が出版社などに対し、ライバルの配信サイトに比べて最安値にすることなどを求めていたという。

 申し出たのは、米子会社「アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インク」。公取委によると、日本国内の出版社などと結んだ契約で、電子書籍の販売価格を他サイト以下にすることや、品ぞろえをもっとも豊富にする条件を付けていた。セール価格や内容、定額配信やレンタルなどのサービスでも、他サイト以上に優遇するよう求めていた。

 こうした契約は、電子書籍市場でのアマゾンの圧倒的なシェアを背景に結ばれていたといい、公取委は、出版社の自由な取引やライバル社との公正な競争が妨げられる懸念があるとみていた。アマゾン子会社は4日までに契約を見直す対策を講じ、取引のある出版社に伝えたという。

http://www.asahi.com/articles/ASK8B66JXK8BUTIL03D.html
Posted by 管理人 at 2017年08月16日 07:08
トランプ大統領がAmazonに「雇用を奪ったのはお前だ」と吠えてますね。
https://jp.reuters.com/article/usa-amazon-com-trump-idJPKCN1AW163
Posted by 京都の人 at 2017年08月17日 19:49
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