2017年07月28日

◆ 朝鮮学校の無償化

 朝鮮学校の無償化について、新たに判決が出た。これについて情報を整理する。

 ──

 この件では、マスコミの情報が不十分なので、「それじゃ肝心の論点が見えていないぞ」というふうに指摘しよう。

 まずは、次の記事がある。
 《 朝鮮学校を無償化対象外にした国の処分を取り消す判決 》
 国が朝鮮学校を高校授業料の実質無償化の対象にしなかったことについて、大阪・東大阪市にある朝鮮学校を運営する学校法人が違法だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は学校側の訴えを認めて国の処分を取り消し、無償化の対象に指定するよう命じる判決を言い渡しました。
 大阪地方裁判所の西田隆裕裁判長は、「無償化に関する法律を朝鮮学校に適用することは拉致問題の解決の妨げになり、国民の理解が得られないという外交的、政治的意見に基づいて対象から排除したと認められ、法律の趣旨を逸脱し、違法で無効だ」と指摘して、対象から除外した国の処分を取り消し、無償化の対象に指定するよう命じました。
( → NHKニュース 2017-07-28

 これについては、次の賛否両論がある。
  ・ 民族差別はダメだ。生徒にシワ寄せするのもダメだ。
  ・ 北朝鮮の影響下にある学校に公費を投入するべきでない。

 どちらも「ごもっとも」と思える理屈だ。私としては、両方の意見を認める。

 ──

 一方で、私としては、次の点を重視したい。
 憲法89条は、宗教団体や「公の支配」に属しない慈善、教育、博愛事業への公金支出を禁止しています。
( → 【中高生のための国民の憲法講座 第84講】 - 産経ニュース

 朝鮮学校は明らかに「公の支配」に属していない。とすれば、ここに公金を支出することは、憲法違反となるのだ。

 なお、この話題を厳格に適用すると、「政府の支配下にはなくて独自の教育をする」という私学への助成金も、憲法違反となってしまう。これはまずい。
 そこで政府は、私学助成を憲法違反としないように、憲法の解釈を変えた。つまり、「厳密な適用」を辞めて、「甘い適用」にした。具体的には、こうだ。
 そこで「公の支配」に対する疑念を解消し、私立学校に対する公金支出を合憲とするため、昭和24年に「私立学校法」、50年に「私学振興助成法」が制定され、文部省の見解も大幅に緩和されました。
 その結果、人事、予算等に直接のコントロール権は及ばなくても、これらの法律によって業務・会計報告を求めたり、予算の変更を勧告するといった程度の監督が行われていれば「公の支配」に当たると解されるようになりました。
( → 上記ページ)

 とすれば、業務・会計報告をするぐらいのことで、朝鮮学校への助成金も容認されるべきか?

 ここは簡単ではない。そこで、朝鮮学校の現状を調べることにする。

 ──

 朝鮮学校の現状を調べると、次のページが見つかる。
  → 朝鮮学校のいま 「在日」生徒たちの胸の内

 ここでは、「朝鮮学校の生徒も幸福に暮らしている」「朝鮮の言語や文化を学べる」という趣旨がある。それ自体はけっこうなことだ。
 しかし、目を引く話もある。それは、「北朝鮮の独裁体制を肯定する政治教育をしている」ということだ。一部抜粋しよう。
 教室の前方には、独裁国家北朝鮮の指導者である故金日成・金正日の肖像画が掛かっていた。
 金校長に理由を尋ねると、日本国内で民族教育が困難だった頃に支えてくれたことに対する感謝の気持ちからです、との答えが返ってきた。

 朝鮮学校は、北朝鮮の現体制をたたえる教育をしているのではないか。誰もが感じる問いを金校長にぶつけてみた。
 金校長は「たたえるという表現が合っているかどうかは別として、支援してもらったという感謝の気持ちが教育内容に反映されているのは事実」と答えた。

 独裁国家であり、政治犯の処刑も行われる北朝鮮。いくら「祖国」とはいえ、そういった国に恩義や義理を感じる気持ちは、日本人にとって理解しがたい─。そう問うと、金校長は言った。
 「もう朝鮮とは切り離せない。切り離したら、朝鮮学校の存在意義って何なのかな、と」

 朝鮮学校の高校3年生は修学旅行で北朝鮮を訪れる。
 宋さんは「今まで(北朝鮮は)少し離れた感じがしましたけど、行ってからは『常に祖国が守ってくれているんだ』って。どんな形にしろ、恩返しをしなくては」と言い切った。
( → 朝鮮学校のいま 「在日」生徒たちの胸の内

 独裁者の肖像画を掲げて、感謝の意を示すように促す。わずかな援助に対する感謝を促す。
 その一方で、拉致や独裁体制の弊害を示さない。核開発やミサイルで日本を恫喝していることも示さない。餓死者がいっぱい出たことも示さない。つまり、次の二件を示さない。
  → 北朝鮮「米本土と在日米軍に核兵器照準」と威嚇
  → 北朝鮮で餓死者が続出…金正恩氏の「失政」

 このような情報統制は、もはや「政治的な洗脳教育」と呼ぶにふさわしい。
 比喩的に言えば、「神が人間を作った」という創造説を教えて、「進化はありえない」というふうに進化論を否定するようなものだ。

 とすれば、そのような洗脳教育をする学校に公金を支出するのは、とても許されるものではない。これは明白に、憲法違反だ。

 ──

 憲法は「公の支配」に属さない団体への公金支出を禁じている。
 それは、厳格に適用すると、おかしなことになる。(私学助成ができなくなったり、私学に公権力の介入を許したりすることになる。)
 しかしながら、まったく対象を野放しにすると、創造説のようなトンデモ教育をしたり、北朝鮮のような独裁国家を是認する洗脳教育をしたり、……ということにも、公金が支出されてしまう。
 ゆえに、憲法のこの規定は、ある程度はきちんと適用するべきなのだ。トンデモ教育や洗脳教育を許さないために。





 ただし、である。ここでは、ネトウヨの騒ぐようなことも認められない。つまり、
 「朝鮮学校は北朝鮮系だから、北朝鮮系への公金支出は認められない」
 という主張も認められない。これは、民族差別だからだ。
 
 では、どうするべきか? 私の結論は、こうだ。
 「洗脳教育をやめる、という条件をつけた上で、公金支出を認める」

 この場合、次のようになる。
  ・ 洗脳教育を続ければ → 教育無償化はなされない。
  ・ 洗脳教育をやめれば → 教育無償化がなされる。


 つまり、朝鮮学校の方針しだいだ。現状のままでは補助金を出せないが、洗脳教育を辞めて、普通の教育にすれば、補助金を出す。そういうことだ。

( ※ 結果的に、どうなるか? 朝鮮学校は、たぶん、分裂する。洗脳教育を続けたい人々は、今までの学校で、有償。洗脳教育をやめたい人々は、新たな学校で、無料に。)



 [ 付記 ]
 北朝鮮系でなく韓国系の朝鮮人は、「朝鮮学校」のかわりに「韓国学校」に入る。ただし、在籍者は圧倒的に少ないそうだ。
 それでも、日本政府からは補助金を得られるので、高校無償化の対象となっている。その意味では「民族差別」にはなっていない。
 以上は、Wikipedia による。

posted by 管理人 at 23:58| Comment(0) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
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