2017年07月28日

◆ 稲田防衛相の辞任の理由

 稲田防衛相が辞任したが、その理由は? どうもマスコミの報道は、事実とは違っているようだ。

 ──

 この問題は、連日、マスコミが報道している。焦点は、
 「幹部会議で稲田防衛相が報告を受けて了承したか」
 ということであるようだ。その事実については、情報が錯綜している。
 防衛監察本部は「稲田氏にデータの存在を報告したと証言する者がいる一方、稲田氏を含めた複数の関係者が『そうした報告はなかった』とも証言しており、報告自体を確認できない」と説明している。
( → 稲田氏関与、認定せず 特別防衛監察:朝日新聞・夕刊 2017-07-28

 《 稲田氏、最後まで関与否定 「報告の認識、今もない」 》
 稲田氏はこれまで、一貫して「そのような事実はない」と否定してきたが、監察結果は「日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘した。会見で稲田氏は「報告を受けた認識は今でもないが、監察の結果は率直に受け入れる」と話した。
( → 朝日新聞・夕刊 2017-07-28

 一部の部下は「話した」と言っているようだが、稲田防衛相やその周辺は「聞いてない」と否定している。
 一見すると、部下の言っていることの方が正しそうだが、防衛相が頑固に「聞いていない」と言っているのであれば、これが嘘だとも思えない。(冤罪事件で無実の人の証言に近い。)

 ──

 では、真相は? 私は初め、「稲田防衛相が嘘をついている」という印象を持ったのだが、ネットで情報を調べてみると、この件はすでに解決済みだと判明した。
 防衛省は全体として、「日報は存在しない」と発表していたのだが、その後、日報が存在していると判明した。「存在しない」と答えていたものが存在していたと判明すると、まずい。そこで、これを隠すことに決めたのだ。決めたのは、防衛相の部下である。NHKの記事から引用しよう。
「ところが1月下旬。重要な発言が行われました。発言したのは統合幕僚監部の『背広組』と言われる防衛官僚。『今さら言えない』。
 つまり最初、司令部には日報が存在しないと公表してしまったので、今さら『あった』とは言えないと、外部には公表しない方針を陸上自衛隊側に伝えてきたことがわかりました。そのあと2月になると、陸上自衛隊の上層部から司令部に対して日報のデータを消去するよう指示したんです。」

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( → 南スーダン「日報」問題 - ニュースウオッチ9 - NHK

 要するに、防衛相のすぐ下で、情報が遮断された。「今さら言えない」ということで、部下が防衛相に伝えなかった。どこかの小さな部下は、それとなくデータの存在を軽く伝えたのかもしれないが、直属の部下である最高幹部級の人々は、そろって「存在しない」と口裏を合わせた。とすれば、それを防衛相が信じるのは、当然のことだ。

 ──

 以上からわかることは、こうだ。

 (1) 稲田防衛相自身は、特に責任はない。「知っていたのに隠蔽した」とか「偽証した」とかの責任はない。その意味で、野党の責任追及は、見当違いだ。

 (2) 稲田防衛相には、「部下をきちんと掌握できなかった」という無能さが生じている。職責を果たせなかった、とも言える。この無能さは、あまりにも罪が大きい。防衛相の仕事をしていなかった、ということでもある。

 (3) 防衛相の最高幹部には、より重大な責任が生じる。大臣に黙って情報を隠蔽した、という組織的な情報隠蔽があった。これは「上司への裏切り」であり、「国への裏切り」でもある。国家の最高レベルの命令に対して、組織が全体として政府を裏切ったのだ。これは「クーデター」にも近い犯罪的行為である。戦後日本の自衛隊において、史上最大の不祥事だと言えるだろう。

 (4) 3月に事情が判明したのに、最高幹部たちは、そのあとも知らんぷりを続けて、7月末ごろになってようやく辞任を表明した。これもまた、嘘を長く続けていた(自白しなかった)ことになる。

 ──

 以上のことからして、政府は次のように表明するべきだ。
 「今回の出来事は、制服組を中心とした、国家への裏切りに相当する。命令の無視と暴走という点で、クーデターにも近い。内乱罪に抵触しそうなぐらい、ひどい。その意味で、関与した全員は、銃殺刑になっても仕方ないぐらいだ、と認定する」

 こう表明した上で、次のような処置を取るべきだ。
 「関与した防衛省の職員は、国家に対する反逆行為をしたと認定し、その全員を、共謀罪で逮捕するべきだ。実際に多くの人々が共謀したのは明らかであるから、共謀罪の容疑で、多数を逮捕するべきだ。共謀の目的は、『防衛相を辞任させること』とでも示しておけばいい。実際、防衛相は辞任したのだから、そういう目的があったと見なしてもいいだろう」(容疑段階では。)
 犯罪の要件は、「内乱罪の準備」とでもしておけばいい。「準備」ならば、実際に内乱を起こすまでもなく、準備行為だけで足りる。また、あくまで内心の問題であるから、具体的な証拠などは必要ない。「証拠なしでいくらでも犯罪者を逮捕できる」という共謀罪を利用して、防衛省にいる反逆者たちを、次から次へと逮捕してしまえばいいのだ。

 ──

 なお、これらの逮捕者たちは、裁判では、次のように弁解するだろう。
 「日報は存在しない、というのは、官邸の意向に従ったまでです。あくまで官邸のためにやったんです。決して反逆行為をしようとしたわけではありません。むしろ官邸に従順であっただけです」

 なるほど。それももっともだ。
 しかし、そうだとすれば、「日報を存在しないものと見なす」というふうにした首謀者は、官邸であったことになる。
 ならば、安倍首相そのものを、国家反逆の罪で逮捕するべきだろう。少なくとも、制服組の共謀者と認定できる。ゆえに、
 「日報の隠蔽の件では、安倍首相を(国家反逆行為の)共謀罪で逮捕せよ」
 というのが、最終的な結論となる。
 
( ※ 「文民統制」という基本原理をないがしろにして、制服組が暴走した。その首謀者 or 共謀者は安倍首相だった……というわけ。逮捕されて、当然だ。何しろ、自分自身が共謀罪を制定したんだからね。)



 [ 余談 ]
 本項の趣旨は、二つ。
 (1) マスコミの報道がピンボケであり、核心を逸らしている、と指摘すること。
 (2) 最後の方では、「安倍首相を逮捕」という皮肉を言うこと。

 一方、本サイトの主目的である「独自の観点の指摘・提案」は、本項の目的とはなっていない。科学的 or 合理的な話ではなくて、一種の情報整理をしているだけだ。個人的見解などは、あまりない。(個人的な皮肉はあるが。)



 [ 補足 ]
 あとで思い直したのだが、この問題の最大の責任者は、安倍首相だと思う。
 そもそも、日報の存在がわかりかけたところで、安倍首相が「日報があるなら、日報を出せ」と命じるべきだった。ところが、そうしなかった。「日報があるとバレると、自衛隊を撤収しなくてはならない。それはまずい。日報はなかったことにした方がいい」と思って、口にチャックをしておいた。つまり、自分の政治的方針の都合で、「隠蔽した方が好都合だ」と判断して、真実を示すことに躊躇した。
 ここでは、明白な共謀があったわけではないが、暗黙の合意があって、その暗黙の合意に基づいて、「隠蔽した方がいい」という仲間の一員となったわけだ(首相が)。比喩的に言えば、犯罪者と警察が同じ利益を共有しているせいで、犯罪者を警察が故意に見逃した。かくて警察が犯罪に加担した。
 こういう形であれば、安倍首相が事件の新の首謀者であるとわかる。そしてまた、安倍首相が稲田防衛相を最後までかばった理由もわかる。それは、「人身御供となる人物を最後まで手元に留めておいて、最後には自分の身代わりとして提出すること」である。実際、稲田防衛相が辞任したことで、人々は「首を取った」と思い込んでいる。つまり、安倍首相は攻撃を免れている。かくて真犯人はまんまと追及を免れる。
 こういうふうに「真犯人が逃げおおせたこと」が、今回の事件の核心だろう。(人々は安倍首相にだまされているわけだ。)



 【 追記 】
 制服組か、文官か、という点については、異論もある。本文中では「制服組」と記したが、「違うぞ」という異論がコメント欄に寄せられた。
 そうかもしれない。
 ただ、制服組か、文官か、という点は、表現 or 分類の違いだけであって、話の本筋とは関係ない。どっちでもいいことなので、気にしたい人だけが気にすればいいだろう。

posted by 管理人 at 23:06| Comment(5) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
暴走したのは背広組でしょう。
一旦は制服組も隠蔽しようとしたのかもしれませんが、日報が存在したと陸上自衛隊から上がってきた報告に対して1月下旬に、あった日報を外部に公表しないようにと陸上自衛隊に伝えていたのは陸上幕僚監部の「背広組」なのですから。

これは「文『民』統制」の欠如と誤った「文『官』統制」が複合しておきた事態といえるでしょう。
Posted by 通りがかり at 2017年07月28日 23:50
陸上幕僚監部の責任者は、統合幕僚長です。組織図。
  http://www.mod.go.jp/js/Joint-Staff/js_organization.htm

統合幕僚長は、明白に制服組です。上に制服の写真も示してある。

> 日報を外部に公表しないようにと陸上自衛隊に伝えていた

 それはどうでもよくて、日報があると知っていたのに防衛大臣に隠していたのが、統合幕僚長および同僚の幹部たち。
Posted by 管理人 at 2017年07月29日 00:08
そこの上にもう一つ透明の「背広組」のビューグラフを重ねないと防衛省・自衛隊の構造は見えてきません。その組織図にも一部背広組の人たちの写真も見えますが。

本来は幕僚長は防衛大臣直属のはずなのになぜか事務次官が付き添わないと大臣に面会できないとか謎ルールが防衛省には多数存在します。
おそらく旧日本軍が帷幄上奏を行ったことを警戒しているのでしょう。

15日の防衛大臣を交えた打ち合わせに参加しているメンバーの多くが背広組です。

>事務次官、陸幕長、大臣官房長、統幕総括官が防衛相に対し、陸自における日報の情報公開業務の流れ等について説明した際

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170728-00000033-mai-pol
Posted by 通りがかり at 2017年07月29日 00:36
 なるほど。そうかもしれませんね。
 そこで、項目の最後に 【 追記 】 を加筆しておきました。
Posted by 管理人 at 2017年07月29日 00:55
 稲田防衛省が嘘をついていない(らしい)ことについては、別件で、次のコメントが的確だ。

 「正直者ではないが嘘をつく能力が足りない」

  → http://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/210411
Posted by 管理人 at 2017年07月29日 01:17
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