2017年07月18日

◆ マグネシウム電池

 リチウムを使う電池のかわりに、マグネシウム電池というものが開発中だ。

 ──

  ※ 本項は、情報のまとめです。
    私の独自見解は、ありません。



 リチウムを使う電池が普及しているが、リチウムは資源的に制約されている。そこで次世代のものとしてマグネシウム電池が開発中だ。
 《 マグネシウム電池はリチウムイオン電池の後継になるか 》
 現在繰り返し使える2次電池はリチウムイオン電池で今後もまだまだ主流が続き、市場の拡大は続くと見られている。
 しかしリチウムやコバルトの希少資源(レアメタル)を多用するので原材料の安定的な確保や使用後のリサイクルに課題がある。
 リチウム電池の次の電池としていま最も近いものとして資源が豊富なマグネシウムを利用するマグネシウム電池が考えられているが、電力密度が低いことや反応で電極表面に絶縁物が生じる等技術課題があった。
 東工大の矢部教授らは、薄膜状のマグネシウム電極を使うことでこれらの課題の克服に目途をつけ、ベンチャー企業を興した。
( → 最先端科学・技術ニュースと新製品情報

 現在は技術開発の途上だ、ということになる。
  → マグネシウム電池 - Google 検索

 マグネシウム電池をつくるには、金属マグネシウムが必要だが、それは資源としては存在しない。他の元素との化合物となっている。
 そこで、他の元素とマグネシウムを分離する必要があるが、そのためにはエネルギーの投入が必要だ。そのエネルギーは、太陽光を用いることが想定されている。つまり、
   太陽光エネルギー → 金属マグネシウム

 というふうに、エネルギーを移転するわけだ。発電の際には、水を注入することで、マグネシウムと水の化合を促す。すでに発売済みのものもある。
  → マグネシウムの発電原理
  → 水を注ぐだけで発電するマグネシウム電池 一般向けに発売
  → 「マグネシウム発電」で走る電気自動車が誕生

 電池の種類としては、一次電池(自ら発電する電池)のように見えるが、燃料電池の一種と見なすべきらしい。
  → 空気マグネシウム電池 - Wikipedia

 とはいえ、燃料としては、(普通の燃料電池のように)水素を補充するのではなく、金属マグネシウムを補充する。
 このマグネシウムは、使用されたあとは、(普通の燃料電池の水のように)捨てられてしまうのではなく、回収されて、ふたたびエネルギーを注入されることで、再利用される。
 ただ、その方法は、現実的には効率が低くて、実用化は困難だったが、近年ではいくらか実用化に近づいているようだ。
 (……) 生成マグネシウムの割合はわずか9%であった。このように、太陽だけを利用する場合には、あまりにもマグネシウム生産量が少なく、実用には無理であるとの試算もあり、実用化に至っていない。大量に発生するマグネシウム蒸気の、光を導入する窓への付着や、炭素還元剤を使用した場合に発生する二酸化炭素等々の問題により、単純な太陽炉でのエネルギー循環は、まだ未解決の部分が多い。
 これに対して、東京工業大学の矢部教授らは、太陽光から生成されたレーザーや、自然エネルギーから得られる可能性のある半導体レーザーを用いたマグネシウム再生を提案しており、従来のピジョン法の約4倍の効率を実験により実現している。
( → 空気マグネシウム電池 - Wikipedia

 矢部教授の方法は、下記。
  → マグネシウム文明の夜明け / 矢部孝
  → マグネシウム電池は「死の谷」越えるか

 現在は、技術開発の途上なので、先はどうなるかは不明だ。一挙にブレークスルーを経て、急激に普及するかもしれない。あるいは、ブレークスルーが起こらず、停滞したままかもしれない。……先行きは不透明だ。見守るしかない。
( ※ ただし株式市場では、マグネシウム電池関連は、有望だとして、株価が急騰することもあるようだ。)



 [ 付記 ]
 マグネシウムは、軽い金属元素なので、宇宙にはたくさん分布する。
  → 元素の宇宙存在度

 しかしながら、(地球の表面に近い)地殻における元素の存在比率(クラーク数)では、マグネシウムは比較的少ない。リチウムのように極端に少ないわけではなく、海水中にはふんだんに含まれているのだが、他の金属元素に比べると、圧倒的に少ない。
 では、どうしてか? 
 実は、マグネシウムは、地殻には少ないが、地球の中心部のマントルには大量に含まれているのだ。
 地殻ではカルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属は主に長石および輝石として、ナトリウムおよびカリウムのようなアルカリ金属は主に長石として存在するが、地球全体の質量の約67%を占めるマントルは主にかんらん岩の組成から成ると推定されるため、マグネシウムが多くなる。
( → クラーク数 - Wikipedia

 マグネシウムは、他の金属と違って、地殻よりもマントルに多く含まれる。そのせいで、地殻における存在比率は少なめになっているのだ。
 といっても、1.93%もあるんだから、量的にはふんだんにあると言える。

posted by 管理人 at 20:00| Comment(4) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マグネシュウムダイキャストを削ると、「削りカスが爆発するから注意しろ」と注意されたのを思い出しました。
いろんな応用があるものと感心します。
Posted by senjyu at 2017年07月20日 09:34
マグネシュウム粉を水に触れさせないで保管し
補充する技術(素人でも簡単にできる方法)が確立しないと
濡れた手で触ると大やけどするんじゃないか
Posted by 田舎者 at 2017年07月21日 05:33
> 水に触れさせないで保管し

もちろん密閉状態です。リチウムも同様だが、そもそも、ただの乾電池だって、密閉されています。
Posted by 管理人 at 2017年07月21日 06:54
アルミも一定の条件で燃えたり、爆発したりするが、通常の状態では危険ではない。それは表面の酸化膜が緻密で安定しているからだ。純マグネシウム表面の酸化膜は多孔質でアルミと異なるが、Caを数%添加すると、酸化膜が緻密となり(いわゆる難燃性マグネシウム)アルミと同じような使い方ができるようになる。
Posted by 楊 積彬 at 2017年09月21日 14:36
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