2017年07月15日

◆ 新電力の詐欺

 新電力と契約すると、電気料金が割安になります……と宣伝しておいて、実際には高額の料金を取る、という詐欺が横行している。

 ──

 電力自由化で新電力と契約すると、電気料金が割安になります……という宣伝があちこちに出ている。
  → 新電力 安く - Google 検索

 とはいえ、実際にはどうかというと、たいしたことがないらしい。
 まず、各家庭が個別に新電力と契約した場合には、大量に電力を使用する家庭のみが割安となり、少量しか使用しない家庭はメリットがない。(デメリットすらある。)
 個別契約を一度でも検討した人ならもうお気付きだろう。新電力の多くが、電気使用量の多い家庭を狙った料金設定をしており、300kWh未満の家庭でも安くなるのは、東燃ゼネラルやエイチ・アイ・エスなどごくごく少数。
( → ルENERGYeye/エナジーアイ

 そこで、各家庭ごとに契約するかわりに、マンション全体で一括して契約する……というのが普通だ。これならば5%ぐらい割安になるらしい。少なくとも、ネット上で検索する限りは、そういう数字ばかりが出ている。また、会社を見ても、次のように宣伝している。
 高圧電力を一括購入し、マンション内で家庭用に変圧して各住戸に分配することで、電気のご利用量によらず電気料金が5%※程度お得です。
( → マンション電力提供サービスでお得になる理由 | NTTファシリティーズ

 ところがこの宣伝がまったくの嘘であることが判明した。朝日新聞が報道している。
 《 マンション1棟契約「電気割安」…実は割高 》
 マンション1棟分でまるごと電気の契約を結べば、1戸あたりの電気料金が安くなるとうたう「高圧一括受電サービス」で、実際には住民の負担が割高になっていたというトラブルが起きている。
 「調べたら、エレベーターなど共用部の料金が通常より高くなっていて、各戸の割安分を合わせても高い料金を払わされていた」
( → 朝日新聞 2017-07-15

 各戸向けの料金は5%安いが、管理組合が払う共用部の料金は大幅に高いので、支払う総額は前よりもずっと増えていた……というわけ。「割安になります」という宣伝はまったくの嘘だったわけだ。

 ──

 朝日がこの情報を示したことは、素晴らしい。しかし、肝心のことが抜けている。「これは詐欺だ」という指摘だ。この指摘がないから、悪を悪として認識しない。また、犯罪だということも認識しない。
( ※ 賃金泥棒を「賃金不払い」ならぬ「賃金未払い」というふうに表現して、泥棒を黙認するのと同様だ。)


dorobou.png


 では、犯罪者である会社側は、どう対処したか? こうだ。
 NTTファシリティーズが同様のサービスを提供しているのは3月末時点で全国で4万5千戸。同社は取材に、「トータルで割高になっていれば問題」と回答。そのうえで、必ず割安になるように読めるウェブサイトを改め、パンフレットの使用もとりやめた。ただし、他のマンションでも同様に課金しているとして、こうした仕組み自体は改めないという。解約については「契約上、全戸の同意がなければ応じられない」としている。
( → マンション1棟契約「電気割安」…実は割高でトラブルも:朝日新聞デジタル

 対処は「ウェブサイトを改め、パンフレットの使用もとりやめた」ということだけだから、単に「今後は宣伝をしません」というだけだ。
 しかし、これでは過去の犯罪(詐欺)への補償ができていない。正しくは、次のようにするべきだろう。
  ・ 解約
  ・ 超過料金の返還(または割引料金との差額の返還)
  ・ 慰謝料の支払い
  ・ 元の電力会社の契約への原状復帰

 以上のように金銭的に弁済するべきだ。また、その上で、会社全体を詐欺罪で起訴するべきだろう。代表者には刑事罰を科するべきだ。(懲役1年ぐらいがふさわしい。)

 今回の行為を「犯罪」(詐欺)として認定すれば、上のような措置が妥当だとわかる。一罰百戒の効果で、他者もすくみ上がり、大幅な是正効果が出るだろう。
 ところが、朝日は「犯罪」(詐欺)として認定しない。そのせいで、会社は、上記のような措置を取るだけだ。つまり、次の通り。
  ・ 宣伝文句だけは改めます。
  ・ 過去への弁済はしません。
  ・ 今後も高い料金を取り続けます。


 盗人猛々しいにもほどがある。悪党を処罰しないから、悪がそのままのさばるわけだ。

 しかも、である。朝日はバカだから、泥棒の嘘をまるまると信じる。
 「ウェブサイトを改め、パンフレットの使用もとりやめた」
 という泥棒の弁明をそのまま掲載する。そのあと自社で検証しない。本当にそうしているか検証しない。しかし、検証すれば、「ウェブサイトを改め」というのが真っ赤な嘘だとわかる。該当の文句を再掲しよう。
 高圧電力を一括購入し、マンション内で家庭用に変圧して各住戸に分配することで、電気のご利用量によらず電気料金が5%※程度お得です。

 「電気料金が5%※程度お得です」と記しているが、これは真っ赤な嘘だ。
 そのことは、修正後に新たに加筆された文章(加筆分)を見ればわかる。下記。
※ 共用部電気料金については、電灯は電力会社の低圧料金より5%程度安く、動力は電力会社の低圧料金と同等でご提供いたします。
( → マンション電力提供サービスでお得になる理由 | NTTファシリティーズ

 これが加筆分だ。ここには、こうある。
 「電灯は電力会社の低圧料金より5%程度安く、動力は電力会社の低圧料金と同等でご提供いたします」

 しかし、これは一種の詭弁である。これだけ読むと、「5%安と0%安の中間の値」というふうに感じられるが、実際には違う。なぜなら、共用部(動力)の料金の比較対象は、電力会社の低圧料金ではなく、電力会社の高圧料金だからだ。したがって、正しい値は、「5%安と15%高の中間の値」となる。現実には、安くなるどころか、高くなる。(朝日の記事にそう書いてある通り。)

 要するに、会社側は、朝日の指摘を受けたあとでも、宣伝文句で嘘をついている。
  ・ 全体では高くなるのに、全体では安くなると虚偽表示する。
  ・ 比較対象を、電力会社の高圧料金でなく低圧料金とする。

 こういう二種類の虚偽を続けている。(嘘のつき方を変えているだけで、嘘自体はやめていない。)

 そして、朝日は、詐欺師の弁解をそのまま掲載するだけで、詐欺師の言葉が嘘であるということを検証しない。詐欺師にだまされている形。

 朝日はあまりにもちょろい。詐欺師にあっさりだまされている。そこで、詐欺師には厳しい本サイトが、詐欺師のペテン行為をきちんと指摘するわけだ。
 


[ 付記 ]
 ちょっと文章が説明不足だったので、わかりやすくするよう、解説を足しておく。

 (1) 会社の当初の文章では、加筆分の文章はない。高圧と低圧の区別をする説明はない。単に「5%安い」と記してあるだけだ。下記の魚拓で確認できる。
  → 魚拓

 (2) 現時点では、加筆分の文章がある。高圧と低圧の区別をする説明がある。とはいえ、その説明は不十分であり、あえて誤解を招くような表現である。(上記)

 (3) 結果的には、総合して、安くなるどころか、高くなる。なのにその表記がなくて、「安くなる」と思わせるような表現としている。つまり、だましている。

 (4) 結果的に高い料金を取るのに、返金しない。

 (5) 今後も、嘘でだまして、高額の料金を取り続ける。つまり、詐欺は続行される。



 [ 補足 ]
 ( ※ 読まなくてもいい。)
 電力自由化で新電力と契約……というのが、話の前提としてある。(話の流れふう。)
 ただ、厳密に言うと、「高圧一括契約から分配して割安に」とう方式は、電力自由化とは別に、もっと前から実現されていた。
 これはまあ、行政手続きの歴史の問題であるから、いちいち気にしなくてもいい。
( ※ 歴史を無視して現在だけに限って考えれば、「新電力で安く → 高圧一括 → 虚偽 = 詐欺」という順序で成立する。)
 
posted by 管理人 at 14:26| Comment(8) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと判らない部分があるのですが。

契約を切り替えるに当たって過去の一ヶ月間の使用電力量(各家庭部分と共用部分)からの試算や年間の電気料金削減量の見込みは業者側からなかったのでしょうか。

マンションの管理組合側も試算を検討しなかったのか、不思議でなりません。

単価の安い動力契約による使用電力量を、電灯契約の単価で計算すれば相当高額になって当たり前です。提案する方も不誠実なら、鵜呑みにする方も間抜けです。
Posted by 作業員 at 2017年07月15日 18:00
> 単価の安い動力契約による使用電力量を、電灯契約の単価で計算すれば相当高額になって当たり前です。提案する方も不誠実なら、鵜呑みにする方も間抜けです。

 それは、修正後の説明です。修正前には、その記述はなくて、単に 「5%安」というふうに説明しています。
 ちょっと私の説明がまぎらわしかったですね。文章を少し書き換えておきます。

 ──

 最後に [ 付記 ] を加筆しておきました。
Posted by 管理人 at 2017年07月15日 19:04
もう一度読み直してみたのですが、NTTファシリティーズの「電灯は電力会社の低圧料金より5%程度安く、動力は電力会社の低圧料金と同等でご提供いたします」も分かりにくいなぁと。前者と後者の低圧料金がさも同じであるかの印象を抱きます。意図的なんでしょうか。
  低圧電灯<低圧動力<高圧電力
という電力単価の関係が明確にされていないような。
で、ランニングコストだけに着目すれば、キュービクルによる高圧電力の変圧、各家庭への配電は5%どころではない電気料金の削減が可能なはずです。(30%程度?)設備費や事務経費、事業者の利益が一体どの程度見積もられているか気になる処です。
Posted by 作業員 at 2017年07月16日 00:55
「動力は電力会社の低圧料金と同等でご提供いたします」
と言ってるので、
動力で使う電気が高圧でも低圧でも
「電力会社の低圧料金と同等でご提供」
されないなら契約違反ということでしょうか。
Posted by 横断中 at 2017年07月16日 01:21
申し訳ありません。

二つ上のコメントで’電力単価価格優位性の関係’とするところを’電力単価価の関係’としてしまい符号が逆になってしまいました。

訂正させて下さい。
Posted by 作業員 at 2017年07月16日 09:25
『新電力』ってったって、
自前で電気を作るか、
どっかから買って転売するかしかないわけで。

短期的には安くできる可能性はあるんでしょうけど、長期的に既存電力会社より割安で供給し続けられる理由がさっぱりわかりません。

維持にも廃棄にも莫大な費用をかけ続けなければならない原発を持たずに済んでいることぐらいでしょうか。
Posted by けろ at 2017年07月16日 20:50
> 長期的に既存電力会社より割安で供給し続けられる理由

 考えられなくもない。

 (1) LNG 発電がすごく高効率になっている。電力会社の古い奴は効率が低いし、減価償却も済んでいない。

 (2) LNG 発電の新規分は、高額の(旧契約の)LNG でなく、低額の(新契約の)LNG を輸入できる可能性がある。

 (3) 目先の理屈で、新型の石炭発電を使うと、すごく低コストにできる。(あとで炭素税をいっぱい払うと、高額になるが、そこまで頭が働かない。当面だけの低コストを見る。朝三暮四。)

 ──

 といっても、以上は理屈だけのもの。
 現実には、電力市場から購入して転売するのがほとんどだろう。

 ──

 将来的には、太陽光発電が主力となるので、それを補う分(夜間や雨天時の発電)をまかなう、臨時的な電力市場が生じるでしょう。
 これは、不足時をまかなうためのものなので、高コストでもいい。
   太陽光が  5円/kWh
   新電力が  10円/kWh
 ぐらいで落ち着きそうだ。太陽光の補完として、足りないときに高額で売れば、何となりそうだ。(将来の話。)
Posted by 管理人 at 2017年07月16日 22:41
発電設備の効率以前に、電力会社による発送電の地域独占を崩し、新規事業者参入による競争状態を作り出すことで電気料金の低価格化が実現できると考えます。

例えば、家庭の電気機器は低圧の電灯契約で動作させていますが、該契約の電力量単価は割高に設定されています。低圧の動力契約で変圧して動作させればかなりの電気料金削減が可能なんですが、電力会社との契約違反となりできません。

この延長がエントリ本文にある低圧の動力よりさらに単価が安い高圧を受電して変圧、各戸に配電するというやり方です。(NTTファシリティーズがボリ過ぎのため却って高額になってしまったわけですが)

独占状況下で当然とされていた電気料金に占める割高な部分、贅肉というか気づかれないようにボラれている部分が競争によって削ぎ落とされるだけで電気料金の更なる低価格化は十分可能とみています。
Posted by 作業員 at 2017年07月16日 23:48
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