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九州北部で記録的な大豪雨があった。
福岡県朝倉では、5日15:38までの1時間に観測史上1位となる129.5mm、また朝倉市付近では6日02:00までの24時間で、レーダー解析によると約1000mmの雨量を観測するなど、福岡県筑後地方や佐賀県南部、大分県西部では5日昼以降、7月1か月分の平年値を大きく上回る記録的な豪雨となっていま
( → レスキューナウ )
気象庁のレーダー解析で、それぞれ1時間に110〜120ミリ超の猛烈な雨が降ったとみられ、同庁は、数年に一度の大雨が降ったとして「記録的短時間大雨情報」を出した。
( → 産経WEST )
これほどの大雨ならば、どのように予報されていたか? 実は、まったく予報されていなかった。気象庁が豪雨の注意報を出したのは島根県だけ。九州北部については、単に普通の雨の予報があるだけで、注意報などは出されなかった。( ※ 朝日新聞・西部版 05日〜06日で確認。)
要するに、気象予報の精度は、著しく低いのだ。こと、豪雨については。
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では、豪雨の予報はまったく不可能なのか? そう思って、豪雨の理由を調べると、今回の豪雨は、「線状降水帯」だとわかった。
九州北部に記録的な豪雨をもたらしたのは、積乱雲が次々と発生する「線状降水帯」だった。
気象庁の説明によると、日本付近に停滞する梅雨前線に向かって、太平洋高気圧の縁をなぞるように南から非常に湿った空気が流れ込み、福岡県などで雨雲が発達。5日正午ごろから線状降水帯になった。前線の北から入る乾いた風と合流して身動きが取れず、長時間にわたって福岡県朝倉市などに猛烈な雨を降らせた。
( → 朝日新聞 2017-07-05 )
つまり、前線が東西に長く延びる。下図のような感じ。
ここで雨雲は、西から東へ次々と移動するのだが、前線が東西に延びているせいで、一つの雨雲が去っても、また次々と別の雨雲が来る。雨雲の波状攻撃だ。そのせいで、局所的に大豪雨となる。
( ※ 前線が東西に延びていなければ、雨雲の移動にともなって、豪雨の地域は次々と場所が変わるから、局地的な集中豪雨とはならない。)
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では、このような前線のタイプは、予報できないのか?
ヒントとなる情報が、朝日の記事(上記)にある。
同日午前に島根県などに降った大雨とメカニズムは同じ。その後、前線が南下したため、九州北部が豪雨に見舞われたという。
九州大の川村隆一教授(気象学)は「梅雨末期の西日本でみられる典型的な集中豪雨。暖かく湿った空気が東シナ海から入りやすく、梅雨前線の南側に線状降水帯が発生しやすい。2012年7月に大きな被害をもたらした九州北部豪雨もほぼ同じメカニズムだった」と指摘する。
( → 朝日新聞 2017-07-05 )
線状降水帯は決して珍しい現象ではないのだ。しばしば起こることなのだ。とすれば、気象予報をすることも、難しくはあるまい。
「前線ができるが、その前線は東西に長く延びる」
というふうに予測することは十分に可能だろう。
また、その前線の位置も、正確にはわからなくとも、
「九州北部や中国地方、または近海」
というふうに予想することも可能だろう。近海の分を「外れ」というふうに見なせば、「九州北部に豪雨が起こる可能性は 40%ぐらい」というふうに予想することも可能だろう。
何も予想しないのに比べれば、40%でも予想ができれば、十分に実用的だ。
なのに、現実には、それができなかった。十分にできそうな技術なのだが、実際にはできなかった。
これはどうしてか?
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もちろん、簡単に結論を下せる。
「現在の気象予報の技術レベルが低いから」
だ。
これはまあ、トートロジーみたいなものではあるが。
予報が当たらない ⇔ 予報の技術レベルが低い
となる。
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とはいえ、これだけではつまらない。ここは「困ったときの Openブログ」だ。当たらない気象予報がうまく当たるようにする、うまい方法はないか?
「ある」というのが私の見解だ。その方法は、こうだ。
「気象予報にディープラーニング技術を導入する。画像解析は、ディープラーニングが最も得意とするところだから、ディープラーニング技術を導入することで、気象の予報レベルが大幅に向上するはずだ」
実は、この見解は、本項で初めて述べるものではなく、前にも述べたことがある。下記だ。
→ AI と気象予測
詳しくは、上記項目を参照。
[ 付記1 ]
注意点をいくつか記す。
(1)
気象予報で現在の主流の方式は、「数値予報」だ。一方、私の方法は「画像認識技術」を使うものだ。ここがポイント。詳しくは、上記項目。(リンク先)
(2)
画像認識能力では、ディープラーニングはすでに人間の能力を大幅にしのいでいる。たとえば、顔認識能力。
だから、その能力を気象予報に使うべきだ、という趣旨。
(3)
ディープラーニング技術というのは、「とりあえずいろいろと試行錯誤して、たまたまうまく行ったのをうまく選び取る」という方式を取る。
その意味では、進化論の原理にちょっと似ている。(自然淘汰。)
ただし、重要な差異もある。ディープラーニング技術では、「教師役」というものが登場して、試行錯誤の結果に対して「判定」をしてあげるのだ。そして、この「教師役」の出来映えしだいで、最終的な出来映えが左右される。良い「教師役」に学んだ AI 生徒は優秀となり、劣った「教師役」に学んだ AI 生徒は劣悪となる。
気象予報の場合は、好都合なことに、天気図のデータが多様に用意されている。だから、「予報が当たるか否か」は、現実の天気図によって判定可能となるわけだ。(なお、降水量などの気象データも含む。)
というわけで、ディープラーニング技術で AI にうまく教え込むことは可能だろう。
[ 付記2 ]
朝日に次の記事があった。
気象庁によると、積乱雲の帯はいくつかの条件が重なってできた。一つは湿った空気の流れ込みだ。九州の北側にあった梅雨前線に向かい、南西の東シナ海側から暖かく湿った空気がもたらされた。
さらに地形の影響が加わった。福岡・佐賀県境の脊振山地の南北からきた湿った空気が東端付近でぶつかって上昇。上空には寒気があり、積乱雲ができやすい条件も整っていた。ここで発生した積乱雲が、朝倉市がある東の方向へ流れていった。積乱雲一つひとつの寿命は1時間ほどだが、湿った空気が同じ場所でぶつかり続け、次々に新たな積乱雲ができて豪雨につながった。
こうした線状降水帯は、九州西側の山地で発生しやすく、12年の九州北部豪雨も同じメカニズムだった。ただ、発生場所や継続時間の予測は「風の動きによってぶつかる場所が変わるため、非常に難しい」(松本積主任予報官)という。
( → 九州豪雨、なぜ起きた? 空気・地形:朝日新聞 2017-07-06 )
核心がズレている。「発生場所や継続時間」を予測する必要はない。「発生するか否か」だけを予測すればいい。
今回は、島根県について、ある程度の予測をしていた。なのに、九州北部については警告がなかった。これでは、「九州北部は安全だ」との印象を与えかねない。
大被害の可能性があるのなら、精度は低くとも(ハズレになる可能性が高くとも)、発生の可能性を予告しておくべきだった。人々が慎重な行動を取れば、被害も少なくて済んだかもしれない。
( ※ 今回の被害者は、死者も行方不明も、ともに出ている。無視できない量の生命が奪われているようだ。)
[ 補足 ]
前に前に鬼怒川でも、大規模な豪雨と大被害があった。あのときは、雨雲の位置と、鬼怒川の位置が、ちょうど重なってしまったために、鬼怒川流域だけで大豪雨となった。そのせいで氾濫したのだった。
これは、「線状降水帯」とは違った理由であったと言えるだろう。

タイムスタンプは 下記 ↓
あたかも、まれな事例に対応した自動運転技術が対応できないように...
24*365*70=613200
60万以上もありますよ。
別に、豪雨になるときだけ予報するわけじゃないし。
ちなみに、囲碁のディープラーニングだって、特定の局面に限ってディープラーニングをやるわけじゃないです。全局面についてディープラーニングをやると、そのうちの一部として特定の局面が現れるだけです。
発生場所がわからなければ、避難指示が出せない。
継続時間が短ければ、そもそも「線状降水帯」にならない。
福岡県朝倉市の7月5日の時間ごとの降水量(mm)
11 **4.0
12 *17.5
13 *88.5
14 *45.5
15 *67.5
16 106.0
17 *22.5
18 *22.0
19 *44.0
20 *59.0
21 *33.5
22 **0.5
9時間にわたって、500mmの雨が降り続いた。
その上で、線状降水帯を予想することになりますが、その学習の積み重ねがないという意味です。
その上で、囲碁などと異なり、強化学習を行うことができません。
それに、蓄積された天気図は、便宜上のスナップショットに過ぎなく、線状降水帯を予測できるほどの内容をカバーできていないと思います。
数十年後はわかりませんが・・・
囲碁などと異なり、気象情報は便宜上のスナップショットですから、現状で得られるデータは不完全ないし不足です。
それに、バタフライ効果
線状降水帯を予想するのも、今ではまったくできていない(0%ぐらい)だから、それより少しマシであればいい、ということ。
局地的に避難指示を出すほどの精度は必要ない。全般的に注意報を流す程度の精度で十分。ないよりはマシ、ということ。要するに、「この地方で大豪雨が起こりそうだ」というぐらいの予報ができれば十分。何も予報しないよりずっとマシ。
そもそもの話、線状降水帯を予想するのが最終目的ではなくて、まずは「気象にディープラーニングを導入すること」が先にあって、そのついでに、「線状降水帯も予想できそうだ」というだけの話。前線が東西になることは容易に予想できるだろうから、あとは湿気の空気団を数値予想することで何とかなる。
今後の有力なテーマとして賛同いたします。
大量の流木の原因としては、根の浅い針葉樹の植林が指摘されています。
防災用の植林(根が深い)をすべきところに材木用の植林(根があさい)ががされていたのではないかと思いまする
日本の森を救う「植えない森=地球が再生する森」のすすめhttp://blog.livedoor.jp/rokuten1/
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170706005032.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170709/k10011050991000.html
https://mainichi.jp/articles/20170709/ddl/k41/040/118000c
どうも、枝や表皮のない、まっすぐな丸太がほとんどのようです。材木置き場から流れたものかも。
>うーん、豪雨になるかどうか、雲の分厚さまでは衛星写真からじゃわからないんじゃないかなぁ?
つまり、
線状降水帯の発生回数 >>> 豪雨になる回数
なので、予想は、
「九州北部に"豪雨"が起こる可能性は 40%ぐらい」
ではなく
「九州北部に"雨"が起こる可能性は 40%ぐらい」
ってこと?