2017年06月28日

◆ ドラッグラグは解消した

 海外で承認されている薬を国内の患者が使うまでに時間がかかる「ドラッグラグ」が、ほぼ解消したそうだ。

 ──

 「ドラッグラグ」の問題については、前に本サイトでも論じたことがあるので、問題の解決にともなって、解決した旨を報告しておこう。
 といっても、私が報告するのではなく、朝日新聞の記事があったので、それを紹介するだけだ。
  → 5大がんドラッグラグ、ほぼ解消 承認遅れる希少がん薬:朝日新聞

 一部抜粋すると、次の通り。
 海外で使われている治療薬(ドラッグ)が日本では使えないといった時間差(ラグ)が生じる状態は、「ドラッグラグ」と呼ばれる。
 対策は、10年前にがん対策推進基本計画が策定されたころから加速した。ラグの要因は、海外と比べて承認申請に向けた準備に時間がかかる申請ラグや、承認を得るための審査に時間がかかる審査ラグがあげられる。厚労省研究班の調査によると、12年度に 32.9カ月だった申請ラグは 13年度に 5.7カ月に、審査ラグは 1.6カ月がゼロになったという。
 「5大がん(大腸、胃、肺、肝臓、乳)については、ドラッグラグはほぼ解消されたと言って良いだろう」
( → 朝日新聞 2017-06-25

 主な薬剤については解消したが、患者数の少ない病気(特に癌)では、まだ不十分であるそうだ。

 というわけで、話はこれでおしまい。「よかった」と言うだけで済む。(完全解決ではないが、とりあえずは。)


kusuri_ippouka.png

 ──

 なお、本サイトでは、これまでドラッグラグについて少し言及したことがある。特に、混合診療との関連で。
  → 混合診療と日本独自の治験

 この項目では、「日本独自の治験」というものが俎上になっていた。そこでは次の画像も掲載した。


blackjac.png

出典:ブラックジャックによろしく 第7巻


 ──

 この漫画では「ジェムザール」という癌の特効薬が紹介されていた。「これを使えば延命できるが、未承認薬なので使えない」という話を、医者(の卵)の葛藤問題として漫画にしていた。

 では、それから数年たった今ではどうなっているのか? ちょっと気になったので、調べてみると、回答は下記に見つかった。
  → 膵臓がんに抗がん剤は効くのか?最新の研究結果
 
 これによると、次の通り。
  ・ ジェムザールはたしかに有効度の高い特効薬である。
   特に、膵臓ガンには、よく効く。
    ただし、その効果は大きくない。
  ・ 切除可能膵臓がんでは、延命効果は6カ月だけ。
   (薬剤なしの5カ月が、11カ月まで伸びた。)
  ・ 切除不能膵臓がんでは、生存期間は5〜9カ月だけ。
   延命効果は、それよりもかなり短いことになる。
  ・ いずれにしても、完治からはほど遠い。

 要するに、効果はあるにはあるが、せいぜい半年ぐらいの延命効果しかない、と見ていいようだ。

 なお、現在では、ジェムザールよりももっと効果の高い新薬が出ているので、そちらの方が注目を集めているようだ。
 それでも、膵臓がんへの効果は限定的なので、人類はいまだに癌を克服するには程遠い。
 
 こういう状況であるから、ドラッグラグの話題も、あまり大きな話題となるほどではないだろう。やらないよりはやった方がいいということで、実際にやって来たのだが、やったからといって、ガン患者の命が救われるというわけでもない。(少しの延命にはなる。)

 どちらかというと、「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)みたいな画期的な新薬の方が、影響はずっと大きい。
 
  ※ この新薬についての情報 → 参考情報



 [ 付記 ]
 朝日の記事には、この新薬についての記述もある。
 免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)は、免疫のブレーキ役の分子の働きを抑え、免疫ががん細胞を攻撃できるようにする。14年にメラノーマの治療薬として承認され、その後、対象のがんは広がったが、承認されたがんの患者全てに効くわけではない。
 がんが完全に消えるか30%以上小さくなる「奏効率」は約10〜30%。多くの患者に効くわけではない。
 河上さんは「がんの組織や血液の検査で、薬が効くかどうかを見分ける手法の開発が重要」と話す。
( → 朝日新聞


 ※ 記事は現在、無料で読めるので、詳しくは自分で記事を読むといいだろう。本項は、あくまで紹介に留める。
 ※ テレビ番組の「あの人は今」みたいな感じである。
   本項は過去記事の続報だ。(前項と同様に。)

posted by 管理人 at 19:53| Comment(0) | 医学・薬学 | 更新情報をチェックする
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