2017年06月25日

◆ パワハラ死を殺人認定せよ

 職場の上司の不当な圧迫(パワハラ)による死は、殺人に認定するべきだ。

 ──

 職場の上司の不当な圧迫(パワハラ)による死があった。長野県のヤマト運輸。
 ヤマト運輸(東京)の長野県内の営業所で、従業員の男性=当時(46)=が上司に暴行や暴言などのパワハラを受け自殺したとして、男性の妻ら遺族が、同社と当時の上司に計約9500万円の損害賠償を求める訴訟を長野地裁に起こした。
 鏡味弁護士によると、男性は平成元年に入社。同15年に同営業所のセンター長に就任した。その後、23年に被告が男性に代わってセンター長に着任し、24年秋ごろから暴言や暴力がなされたという。
 男性は26年9月ごろに鬱病を発症したとみられる。27年1月に自殺した。
 遺族は27年8月に労働基準監督署に労災を申請し、昨年3月に認定された。遺族側は労災給付では不十分として今年2月28日付で提訴した。
 鏡味弁護士は記者会見で「当時の上司が行ったことが不法行為であることは明らかだ。社会を支える重要な企業で、過重労働以外にパワハラなどの悪質な労働環境があることを知ってもらいたい」と述べた。

 録音のほか、暴行された傷跡を撮影した写真や医師による診断書が証拠として地裁に提出された。
 男性が残した録音には、被告である当時の上司が「半身不随にでもしてやろうか」「その場で叩き殺すぞ」「組合でも何でも泣きつけ」などと暴言を浴びせる音声が記録されていたという。
( → 産経ニュース

 2時間以上にわたる叱責(しっせき)が録音されていた。
 「本当に役に立たねえ」「バカなんだよコイツ。それがむかつくんすよ」「ここまでクズだと思ってもなかった」「俺の気に障るようなことが起きたら、その場でたたき殺すぞ」
 センター長の上司にあたる「支店長」も同席していた。録音内容からは、支店長がセンター長の叱責を制止しようとした形跡は確認できなかった。
( → 朝日新聞


圧迫


 これほどの圧迫があれば(それも一回ではなく継続的に長期間にわたってあれば)、人が死んでしまうのも不思議ではない。
 ここにはほとんど「未必の故意」と言えるほどの殺意があったと認定してもいいぐらいだ。
 仮に、殺意はないとしても、「精神的な傷害」(相手の心を傷つけること)をもたらす意図はあった、と明らかに認定できる。とすれば、「傷害致死」ないし「過失致死」ぐらいはあったと認定できそうだ。
 その意味で、「広義の殺人」と見なしてもいいだろう。したがって、この上司を「傷害致死」ないし「過失致死」という罪状で、殺人の咎で起訴してもいいはずだ。
( ※ 精神的な意味での「傷害」も、刑法の「傷害罪」で認定されるようだ。ググってみたところ、「精神的でも傷害罪になる」という趣旨の記述が多い。 → Google

 さらに言うと、加害者個人でなく、会社側の責任も問うべきだろう。朝日の記事では、こう続く。
 ヤマトは4月に提出した答弁書で、センター長が強い口調で注意・指導したことは認める一方、こうした指導は仕事上のミスや勤務態度などで男性に原因があった場合だけだったと反論した。自殺する前の6カ月間は「パワハラなるものが日常的に継続して行われていたとは認められない」と主張。「センター長の注意・指導が男性を自殺に至らしめるほどのものだったか疑義がある」として請求の棄却を求めている。
( → 朝日新聞

 人を死なせるような労働環境に置いておきながら、まったく反省せず、自己正当化する。これはつまり、「これからもずっとヤマトの職場ではパワハラによる自殺者を出しますよ。それがただしことなんです」と主張しているのも同然だ。殺人の正当化。呆れる。
 ヤマトはこういう会社なんだ、と大々的に宣伝するといいだろう。

 ──

 一方で、こういう会社をのさばらせないように、行政や司法で対処するべきだ。
 刑法では、法人は処罰の対象となっていない。そこで、次の対処が考えられる。
  ・ ヤマトに対する営業停止命令。
  ・ パワハラを正当化することを決めた重役を刑法で処罰
   (傷害致死などの共犯で起訴する)

 これらの措置が妥当だ。特に、後者については、社長を刑法で処罰してもいい。「社長の経営方針に反して、部下が勝手に暴走した」ということを自分で否定しており、「パワハラは会社の認める方針だった」と自分で自白しているのだから、直接の上司を訴追するよりは、社長や重役を訴追する方がいいだろう。

 労基署や検察の適切な対応を望む。

( ※ だけどたぶん、安倍首相が介入して、阻止するんだろうな。何しろ「残業手当ゼロ法案」の主導者が安倍首相なんだから。→ 「残業代ゼロ法案」が閣議決定



 【 関連サイト 】
 ヤマト運輸は、サビ残の続くひどい労働環境を改善し、そのために宅急便の料金を上げる……と先日、声明した。
 しかしながら、ヤマトの労働環境は、相も変わらずひどいようだ。
  昨年11月、ヤマト運輸の横浜市の営業所でセールスドライバー(SD)をしていた30代の男性が厚生労働省で記者会見を開き、職場で常態化する長時間労働と残業代未払いの実態を「告発」した。
 ヤマトで10年以上SDとして働いた。「入社した頃は、昼休みに営業所仲間で野球ができた」と男性は振り返る。だが、インターネット通販大手アマゾンの荷物の取り扱いが始まった2013年以降、昼休みを削らないと間に合わないほど荷物量が増えた。
 高校時代は、それぞれ陸上部と野球部のキャプテン。体を動かすのは得意だが、朝から走り回っても配り切れなくなった。
 夜中に帰宅しても、「明日は配り切れるのか」と考えて目がさえてしまう。「眠れない」。
 「もう続けられない」と退職を決め、昨年6月に労基署に訴え出ることを決意した。
 この訴えを機に、横浜北労基署が昨年8月と12月の2度、2人の勤務先だった支店に残業代未払いと違法残業で是正勧告を出した。
 この「告発」の後、ヤマトは全社的な未払い残業代の調査に乗り出した。
 現役社員の間に感謝の声があることも耳にした。だが、表情は晴れない。「支店長が威圧的で、未払い残業代を申請できない」。現役のSDから伝えられる職場の雰囲気が、働いていた当時と変わっていないからだ。
 ヤマトが2月に新設した「働き方改革室」や労働組合に現役のSDの不満や要望を届けようと試みた。だが、「電話は切られました。『会社を辞めた人間の話は聞けない』と」
 「『社外に情報を漏らしたら懲戒解雇だ』と言われ、口を閉ざしている人がいる。

( → 朝日新聞 2017-06-25

 これでは、なかなか改善されないどころか、改善する意思が初めからない、とすら見なせる。
 利用者たちは、「労働環境が改善します」という口先にだまされて、大幅値上げばかりを受け入れることになりそうだ。



 【 関連項目 】

 ヤマトの値上げの方針にだまされるな、という話は、前にも下記項目で記した。
  → ヤマトの値上げを許すな(個人向けは)



 [ 余談 ]
 ともあれ、昔のヤマト運輸は優良企業だったが、アマゾンの荷物を引き受けたあとは、クズ経営者の経営の下で、クズ会社になってしまったようだ。
 いや、クズ会社よりもひどくて、反社会的な会社だ。存在自体が悪だと言える。(違法行為をしているのだから、犯罪会社と言っても過言ではない。人を死なせているしね。)

 ──

 なお、1カ月ほど前に、朝日新聞の投書欄に掲載された情報がある。宅急便の社員の話。Amazon を引き受ける前は、ヤマトの荷物を1個 240円で宅配していたが、Amazon を引き受けるようになってから、荷物が急増し、かつ、1個 160円に引き下げられたそうだ。
 「荷物の取扱量が増えたんだから、その分、収入は増えるだろ」
 というのが会社側の言い分らしいが、単価が下がりすぎなので、収入は据え置きのまま、労働量ばかりが大幅に増えた……というのが、実状であるようだ。
 これでは、退職者が続出するのも当然か。



 【 追記 】
 関連情報がある。
  → 「鬱になる原因は長時間労働ではなく人前で自分の能力の無さが露呈する事にある」という指摘に非常に納得のTL「まさに」「これ私だ」 - Togetterまとめ

 この情報は妥当であるようだ。(賛成意見が多い。)
 とすると、このことを意図的にやっているとしたら、パワハラをする上司は、意図的に(精神的な)傷害行為をしていることになるね。
 意図的でなければ、未必の故意かも。


posted by 管理人 at 13:26| Comment(7) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>ヤマト運輸は、サビ残の続くひどい労働環境を改善し、そのために宅急便の料金を上げる

アマゾンの荷物を引き受けているため、ヤマトだけが過負荷になってブラック化が突出しているように見えます。ただ、日本郵便や佐川も似たような状況なんでしょう。日本郵便が最も余力はあるかもしれませんが。

で、海外、特に米国の個人荷物配送事業との比較が気になります。人件費や料金といったコスト構造、集配効率等。国内大手の寡占化が進む中、料金、人件費、集配効率、過剰サービスの一体何処がボトルネックになっているのか海外と比較してみたいのですが、海外の事情がなかなかわかりません。
Posted by 作業員 at 2017年06月25日 14:17
> 何処がボトルネックになっているのか

 人数が足りないのがボトルネックです。
 解決策は、人数を増やすことだが、低賃金なので、応募してくれる人が少ない。解決策は、賃金を上げること。そのためには、料金を上げること。

 料金を上げて、賃金を上げればいいのだが、現実は違う。今のヤマトは、料金を上げるけど、賃金を上げるつもりはないらしい……というのが、本項の趣旨。
Posted by 管理人 at 2017年06月25日 16:39
パワハラ、低賃金、長時間労働、違法残業、……。

労働に関する犯罪行為がかくものさばる。。。

安倍、、、というか、小泉の時代から労働環境がちっとも改善されていないですね。

間に民主党政権もありましたが、労働者の待遇改善に働きませんでした。それどころか、財務省に首根っこを掴まれ、消費税増税という愚策をとってしまいました。

やはり、別項で管理人殿がいうような、『ネット労働組合』を作ることが急務ですね。現代版の『団結』が必要。
Posted by 反財務省 at 2017年06月25日 16:56
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2017年06月26日 07:57
ヤマトさんは、不在の際の対応がしっかりしているので、時間がかかりそうです。佐川さんは、電話で駐車スペースの端っこに置いておいて、と頼むとそのまま置いてくれます(笑)。
Posted by 北海道の人 at 2017年06月26日 12:10
突き詰めるとヤマト運輸の順法精神の欠如でしょうか。ここが改善されないと人手不足が解消されない?更には言えば寡占化の弊害とも言えます。
アマゾンは独自の配送網を構築するようですから人手不足に拍車がかかれば多少の待遇改善はすすむのかも。どっちもブラックな気はしますが。
Posted by 作業員 at 2017年06月26日 12:29
 別項コメントから転載。

ヤマト運輸など人手不足なのに、賃金が上がらないという事が……個人的にいまいちピンときません。(事の本質が何か正しく突き止めていない気がします。)

「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」

何が原因で、どうすれば解決できそうか、お考えをお持ちでしょうか? もしあれば教えていただきたくお願いします。

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 それへの回答。

> 人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

 外食産業など、普通のサービス業では、少しずつ上がっています。普通に市場原理が働いています。

 運送業で上がらないのは、料金値上げをしなかったから。今後、料金値上げが進めば、賃金アップも進むでしょう。
 問題は、料金値上げができるかどうか。Amazon向けには、あまりできそうにない。そもそもAmazon向けに激安で引き受けたのが間違い。佐川はAmazonを切ったのに、ヤマトはAmazonを切れない。さっさと切ればいいのに。

 結論。ヤマトの経営者がバカだから。ヤマトが悪い。
 だから私はヤマトの経営者を批判している。

 ※ こういう私の方針は不人気で、「ヤマトは偉い」とヤマトを称賛する人がネットでは多い。としたら、ヤマトという詐欺師にだまされるネット世論がバカなのが理由だ、とも言える。こういう状況を改めようとしているのが、本サイト。
Posted by 管理人 at 2017年06月26日 13:00
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