2017年06月22日

◆ 日本企業が没落するわけ

 日本企業が没落するわけは何か? その一因は、社員の採用で面接を重視することだろう。これで人材が劣化する。

 ──

 日本企業は没落しつつある。特にIT分野ではなはだしい。かつては半導体や電子機器で世界トップを走っていたのに、今では台湾企業(生産地は中国)のはるか後塵を拝している。
 《 実は幻想、iPhoneの「日本製部品頼み」 》
 アップルサプライヤーとして掲載された269社中、台湾企業は71社、米国企業は60社、日本企業は55社である。
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 日本企業がサプライヤーの最大勢力だった時期について、明確なデータはない。ただし10年以上前のiPodシリーズは、そうだったと推測される。東芝や日立グローバルストレージテクノロジーズ[現在の米ウエスタンデジタル]のハードディスク装置、ソニーのリチウムポリマー電池、オプトレックス(現在の京セラディスプレイ)の液晶パネルなどが採用されていた。こうした大型部品の採用実績が“神話”を生み出したのだろう。
 しかし、それも今は昔。台湾企業がトップの座を占めている。
( → 日本経済新聞 2017/6/22コピペ

 以前はどうだったかというと、日経の古い記事がある。
 《 アップル新スマホ、日本勢は部品で存在感 》
 米アップルが19日に日本で発売する新型スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)6」は日本メーカー製の電子部品を多数採用している。
( ※ 以下、実例多数)
( → 日本経済新聞 2014/9/15

 以前は栄えていたのに、今は衰退している。栄枯盛衰。昔の光、今いずこ。おごれるもの久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす。
 では、どうしてこうなったか? 

 ──

 ヒントとなる話がある。
 《 グーグル会長が語った「価値を生み企業を成長させる人材のたった2つの資質」とは 》
 規模が拡大した結果、グーグルは優秀で感じのいい「潤滑油」のような人材を採用し続けた。しかし、「彼らは職務と職務の間に入り、物事を潤滑に進める役割は果たすが、彼ら自身は大した価値を生み出さない」
 (グーグル会長のシュミット氏は)結局のところ、大企業であろうとスタートアップであろうと、何よりも重要なのはたった2つの資質だという結論に至った。
 根気強さと好奇心だ。
( → BUSINESS INSIDER JAPAN

 なるほど。根気強さと好奇心。これが強い人は独創的な人であることが多いので、うまく成功しそうだ。そのことは、スティーブ・ジョブズの性格を見てもわかる。

 しかし、である。ジョブズを見てもわかるように、こういうタイプは、協調性がない。組織との適合性が低い。根気強さと好奇心があるから、一つの研究に没頭して、切り替えが容易でない。また、組織による馬鹿げた方針になかなか従わない。組織としては、バカな上司の命令に素直に従う協調的な人材がほしいのに、バカな上司の命令に反抗して、組織の統率を乱す。
 こういう人材は、日本の会社では排除される。

 では、どういうふうにして排除されるか? 入社試験の面接の段階で、「協調性がない」というタイプは排除されるのだ。というのは、「協調性がある」ということが、入社試験の面接のときに最重要のポイントとなるからだ。

 一般に、次の二点は排反的だ。
  ・ 協調性がある
  ・ 独創性がある(≒ 根気強さと好奇心)


 Google の会長は、後者こそが重要だと判定した。それこそが Google のような先端企業で急成長する最大の要因だと判定した。

 日本企業はどうか? 前者こそが重要だと判定した。それこそが大組織が安定した経営を持続する最大の要因だと判定した。
 しかしながら、世界が全体が急激に進展していく状況では、安定した経営などをめざせば、あっという間に取り残されてしまう。それが現在の日本のIT企業の現状だ。NEC、パナソニック、日立、東芝……これらはいずれも没落した。(日立は業態を変えて生き残っている。ソニーと富士通は、かろうじて変化に食いついている感じか。)
 「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」
( → 赤の女王仮説 - Wikipedia

 激動のIT産業のなかで、多くの企業はつぶれてしまい、少数の企業だけが、自らを変革しながら生き残ってきた。そして、自らを変革するためには、「協調性」なんかとは別のものをもつ人材が必要なのだ。
 なのに日本企業は「協調性」を重視して、面接による人柄重視で採用してきた。こんなことでは没落するのは当然だと言えるだろう。



 [ 付記 ]
 ただし、理系では、面接の比率が低いか皆無であることもある。大学からの推薦だけで入社が決まることもある。何ごとも例外はある。
 


 【 関連項目 】
 面接重視ではまともな人材を得られない……という話は、別項でも論じた。
  → 面接入試はなぜ駄目か?
 
 より根源的な話として、人間の能力について、次の点が重要だ。
  → 外向的な知力/内向的な知力
  ※ 協調性とか人柄とかが、あまり重要ではないことがわかる。

 ──

 なお、「チームメンバーの外向性」は,チームの成果に何ら影響を与えない、という調査結果もある。
  → Googleがたどりついた「効率の高いチームを作る5つの要素」とは - GIGAZINE
 
posted by 管理人 at 22:37| Comment(8) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
調子が良かった頃は”組織力”こそ日本の強みといった声もありました。まぁ、結果良ければ理由は後付で、といった感がないわけではありません。

で、協調性を求める企業の体質ですが、その根源は産業政策等の枠組みを差配する官に求められるのではないかと。日本の伝統とも言えるかも。果たしてここに変革は起り得るでしょうか?
Posted by 作業員 at 2017年06月23日 09:22
うん?
文系は面接重視でいいでしょ。管理部門なんだから
理系は面接なんて形式で最低限のコミュ力みてあとは推薦と成績が普通じゃないの?
IT系はともかく製造業はそんな感じだと思ってた
日本企業の没落はどっちかというと輸送技術の発展のせいだと思いますわ。
昔は金がなかったから自分たちで作るしかなかった。自分たちで作らないといけないからいろんな仕事が生まれた。
今はお金あるから相手が商品を売ってくれるようになった。相手してくれるようになった。
結果どうやってお金を他人からもらうかというビジネスプランを考える機会がなかった。今は過渡期で、またお金なくなったら変わるでしょ。
日本は太古の昔からビンボーな土人国家ですよ。明治から敗北までの一時期を引きずりすぎ
Posted by かーくん at 2017年06月24日 09:26
> 文系は面接重視でいいでしょ。管理部門なんだから

 面接重視でいいかどうかは、リンク先のテーマとなっている。だから、書く前にリンク先を読んでね。
 「面接重視で中野美奈子みたいなのばかりになったらどうなるか」ということを、読んでから考えてね。
 政府の上級官僚が、今は一流大卒ばかりだが、かわりに「漢字の読み書きもできないで、愛想だけのいい美男美女」ばかりになったら、どうするの? AKB48 に日本の国家運営を委ねるのが最善か? 
 もうちょっと頭を使って、考えてから書きましょう。リンク先を読めばすぐにわかるのに。読みもしないで、短絡的に脊髄反射するのは困る。

Posted by 管理人 at 2017年06月24日 11:00
協調性のみで採用というのが適当でないことは確かです。ただ、強烈、優秀なトップダウンの企業では人材としてロボットが求められるのかも。その結果が現在と言われればその通りです。
製造業とそ例外、技術系と事務系で採用を切り分けて考える必要があるのでしょうけど、面接と出身大学以外の基準にすべき指標が見つかっていないのが実の所かと。(新卒採用の場合)
協調性のない社員がすべからく優秀というわけでもないでしょうし。
Posted by 作業員 at 2017年06月24日 12:09
日立、東芝はIT企業では無いよね。どっちかっていうと重電企業。独創性より安定性が必要そうであるが…
東芝が没落したのはたぶん面接重視のせいではないね。
Posted by ななし at 2017年06月24日 21:27
> 日立、東芝はIT企業では無いよね

 総合企業だから、一部にITも含まれていたんです。日立はここ数年でITをほとんど切り捨てたけどHDDは近年まで残っていたし、東芝は最後までフラッシュメモリが残っていた。今も話題でしょ? ニュースを見ていないのかな?
 あと、歴史で言えば、日立のコンピュータは初期には大きな比重を占めていた。日本でもトップと言える位置にあった。 
Posted by 管理人 at 2017年06月24日 22:10
東芝のフラッシュメモリは没落してないじゃん。高値がついてるし。ニュースを見ていないのかな?
没落してるのは重電部門だよ。日立のコンピュータの初期ってIT企業とは呼ばないよなぁ
Posted by ななし at 2017年06月25日 01:51
> 東芝のフラッシュメモリは没落してない

 そりゃ、そうでしょ。「東芝のフラッシュメモリは没落した」なんて、誰も言っていません。東芝が没落した、と言っているだけです。株価は暴落したし。債務超過で東証2部に落ちたし。
 主語を知る。ニュースを読む。……これだけやれば、「東芝は没落した」とわかるでしょ。

> 没落してるのは重電部門だよ。

重電部門は、けっこう健闘していますけどね。特に日立はそうだ。

> 日立のコンピュータの初期ってIT企業とは呼ばないよなぁ

 総合企業だ、と書いたでしょ。その一部門にITがあるだけだ。
 昔の大型コンピュータの時代に、「どれが日本のIT企業か」という話をしたら、そこで日立を排除する方がおかしいでしょ。
 日立がどうか、という話をしているんじゃないの。日本のIT産業はどうか、という話をしているの。その歴史で日立を排除できるわけがないでしょうが。

 あなた、本項のテーマをまったく理解できていませんよ。本項は日本のIT産業をテーマにしています。日立や東芝という個別企業の社史をテーマにしているんじゃありません。
 あなたは本項を勝手に誤読して、勝手に批判している。これを藁人形論法と呼ぶ。
Posted by 管理人 at 2017年06月25日 06:08
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