2017年06月16日

◆ 共謀罪のまとめ (独裁体制)

 共謀罪が強行採決で成立した。これについてのまとめ。(独裁体制との関連も。)

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 共謀罪が強行採決で成立した。
  → 共謀罪「ウルトラC」強行採決 そのワケは|日テレNEWS24
  → 「共謀罪」法が成立 与党が参院本会議で採決強行

 朝日新聞の社説が、これについて「まとめ」ふうの話を示しているので、一部抜粋の形で引用しよう。
 277もの犯罪について、実行されなくても計画段階から処罰できるようにする。刑事法の原則の転換につながる。
 マフィアなどによる金銭目的の国際犯罪の防止をめざす条約に加わるための立法なのに、政府はテロ対策に必要だと訴えた。
 処罰対象になるのは「組織的犯罪集団」に限られると言っていたのに、最終盤になって「周辺の者」も加わった。
 条約加盟国の法整備状況について調査を求められても、外務省は詳しい説明を拒み、警察庁は市民活動の監視は「正当な業務」と開き直った。
( → 朝日新聞・社説 2017-06-16

 上記のように問題点が指摘されたが、政府はろくに議論もせず(批判を無視して)、強行採決した。社説には次の文言もある。
 委員会での審議・採決を飛ばして本会議でいきなり決着させるという、国会の歴史に重大な汚点を残しての制定である。
 捜査や刑事裁判にかかわる法案はしばしば深刻な対立を引きおこす。
 とりわけ刑事立法の場合、独善と強権からは多くの理解を得られるものは生まれない。
 その観点からふり返った時、共謀罪法案で見せた政府の姿勢はあまりにも問題が多かった。

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 政府のこの方針について、「民主主義国家だから大丈夫」と主張する人もいるが、今の安倍政権は、民主主義からはほど遠い。そのことは、加計学園問題からもわかる。
 たとえば、官房長官は、証拠文書について「怪文書」などと述べたあげく、それが表に出ると、居直った。
 文書を「怪文書」と表現した菅氏は、会見で何度も発言を撤回するかどうかを問われたが、「当初は出所や信憑性が分からない文書だった。事実関係が異なっていることの説明がされず、怪文書という言葉だけが独り歩きしたことは極めて残念だ」と述べるにとどめた。
 政府は当初、……再調査を否定し、野党や一部メディアの追及もかわせるとみていたようだ。ところが、菅氏の「怪文書」発言に端を発したかのように、朝日新聞などが文書の存在を認める複数の文部科学省職員の証言を報道した。
( → 産経ニュース 2017-06-15

 嘘をついたあと、嘘がばれても、撤回しないわけだ。(「残念だ」というふうに、他人事みたいに語るだけ。嘘と隠蔽の責任感は、なし。)
 官房長官ばかりが矢面に立っているが、もっとひどいのは首相だ。この問題では、部下任せにして、自分ではろくに語らない。
 「文科省がどう対応しているかということにつきましては、まさに文部科学大臣が答弁したとおり」(安倍晋三首相)
( → 加計学園問題を野党追及、首相「印象操作」と反発 TBS NEWS(キャッシュ)

 《 安倍首相に再三注意 加計学園問題の質問答えず野党批判続け 》
 学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題の質疑が集中した5日の衆院決算行政監視委員会で、安倍晋三首相が玄葉光一郎委員長(民進党)から「質問に答えてください」と再三注意された。野党は「答弁拒否の態度で真相解明にはほど遠い」と批判。野党を攻撃したり一方的に持論を展開したりする首相の答弁態度が、対立を深める要因になっている。
 首相は民進の宮崎岳志氏から学園の加計孝太郎理事長との関係を指摘され、学園の役職に就いていたときの報酬額を尋ねられると、「加計氏と友人であることと政策に関与したかは別問題。印象操作を一生懸命している」と宮崎氏を批判。玄葉氏から「質問に答えてください」と注意されても批判を続けた。重ねて「もう質問に答えてください」と言われ、ようやく報酬額を答えた。
( → 朝日新聞

 質問されたときの答弁は、次の二通り。
  ・ 「部下が語ったとおり」というふうに、人任せ。
  ・ 質問に答えず、他者攻撃で返す。

 こうやって、のらくらりと、質問を回避する。まともに議論をしない。これでは国会というものが存在しないのと同然だ。国会閉鎖と同様だ。
 いや、国会閉鎖よりも、もっとひどい。強行採決して、自分の好きな法案だけを通すからだ。
 民主主義の破壊だろう。

 ──

 そして、民主主義が消えたあとに残るのは、何か? 独裁体質だ。この政権の独裁体質は、歴代のなかでも際立っている。
 今回の問題で浮かび上がったのは、「官邸主導」の強さだ。北朝鮮情勢や安全保障関連法制の運用をめぐる重要案件が相次ぐ防衛省も官邸側に逐一報告をあげて指示を仰いできた。ある幹部は「実施の可否、何を発表し、どこまで公にするのか細かい部分まですべて官邸が指示してくる」。
( → 朝日新聞 2017-06-16

 常識的には官僚に任せるようなことでさえ、いちいち自分の好きなように独善的に支配したがる。
 そして、そういう体質があるからこそ、加計学園の問題も生じた、と見るべきだ。
 つまり、加計学園の問題は、単に一つの学校の許認可の問題ではない。安倍首相が独裁的にふるまって、民主主義をないがしろにしつつある(破壊しつつある)ということの、典型的な現れなのだ。
 比喩的に言えば、氷山の一角である。「独裁者体質」という巨大な氷山があり、そのほんの一部だけが、水面上に現れている。それが、加計学園問題だ。
 だから、この水面上の問題だけをとらえては、本質を理解したことにはならない。本質は氷山全体なのだ。つまり、首相の独裁者体質であり、民主主義の破壊なのだ。
 そこを理解することが、物事の本質だ。



 [ 付記1 ]
 首相の独裁体質を示すエピソードがある。韓国総領事の更迭だ。ここでは、ありもしない首相批判が誤報で報道されたすえ、それを信じた人々が勝手に本人を処分した、という事例。
 その異例の人事に、外務省内で驚きと同情の声が上がったのは、5月半ばのこと。韓国・釜山の森本康敬総領事の更迭説が広がったのだ。
 一時帰国中の森本さんが旧知の記者と食事をした際の発言メモがなぜか流出。自分は邦人保護などを担う総領事だから早く戻って仕事ができればいいといった発言を、別の社の記者が「政権批判」と問題視し、政府高官にご注進。逆鱗(げきりん)にふれ、任期わずか1年で異例の交代――。
 政権に弓を引くような言動は許さない。トップの意向に配慮して先に人事を断行。これまた、このごろ都にはやる忖度(そんたく)か。だが森本発言は政権批判と思えないし、こんな理由で更迭されるなら公務員は仕事への意欲すら語れまい。
( → (社説余滴):朝日新聞 2017-06-16

 独裁者自身が更迭したわけではなく、周囲の忖度で更迭した……という趣旨。
 しかし、すぐ上で述べたように、首相は「何から何まで自分で決める」という独裁体質であるようだ。とすれば、この「総領事の更迭」も、首相の意向が入っていることは間違いあるまい。(首相の意向なしで勝手に更迭することなど、できるはずがない。)
 とすれば、「どこかでこっそり首相批判をしたら、それが密告されて、たちまちクビになる」という状況が、公務員には用意されていることになる。暗黒の独裁体制。
( ※ 北朝鮮の金正恩体制や、イラクのフセイン体制では、こういう密告社会となっていた。独裁者の悪口をちょっとでも言うなら、密告されて、処刑される。)

 [ 付記2 ]
 首相に独裁体質があっても、司法が是正できればいいのだが、日本ではこのシステムが停止状態になっている。つまり、首相が違法行為をした場合、司法はそれを咎めるどころか、それを是認する。
 その実例は、次のことだ。
  → 安倍晋三のデマ(海水注入の中止)
 安倍首相は、野党時代の自民党総裁であったとき、「菅直人首相は原発の海水注入を妨害した」というデマを飛ばした。その場にいたわけでもないのに、その場にいたフリをして、「菅首相はこういうふうに言った」とデマを飛ばした。
 菅直人はその後、このデマ行為を裁判所に訴えたのだが、最高裁まで行ったすえ、訴えは却下された。つまり、判決時の安倍首相については、違法行為を認定しなかった。違法行為があっても、「現首相だから」という遠慮で、違法行為を見逃した。
 当時野党議員の安倍首相は2011年5月20日付のメルマガで、原子炉への海水注入について「止めたのは、何と菅総理その人」「海水注入を菅総理の英断とのうそを側近はばらまいた」と記載。菅氏は事実と異なるとして、1100万円の損害賠償と謝罪記事の掲載を求めて提訴した。
 一審東京地裁は、実際に菅氏には海水注入を中断させかねない振る舞いがあったなどとして、「記事は重要な部分で真実と認められる」と結論付け請求を棄却。二審東京高裁も菅氏側の控訴を棄却した。
( → 菅元首相の敗訴確定=安倍首相メルマガ訴訟−最高裁:時事ドットコム

 「止めたのは、何と菅総理その人」というデマについて、それが事実であるかどうかについては判断せず、「実際に菅氏には海水注入を中断させかねない振る舞いがあった」という虚偽をもって真実だと認定した。
 呆れる。理屈になっていない。このような理屈ならば、どのようなデマさえも是認されてしまう。最高裁自体が、違法行為を是認しているのも同然だ。(首相に限ってのことだろうが。)
 これはつまり、「司法が行政に屈服した」ということだ。かくて、日本では独裁体質がまかり通る。

( ※ 韓国では行政の違法行為は、「大統領を弾劾する」という形で是正されたが、日本では独裁を是正するシステムが機能停止状態だ。)

 [ 付記3 ]
 安倍首相の独裁的な体質は、トランプ大統領によく似ている。二人とも、まともな人間ならば恥ずかしくてできないような、独裁的なふるまいをする。「恥知らず」という言葉がぴったりだ。
 国民から嵐のような批判が襲いかかっても、「蛙の面にションベン」という感じだ。
 その一方で、ネトウヨみたいは人々からは、圧倒的な支持を得ている。
 首相や大統領が愚かだということだけでは済まないような、社会的・国民的な問題であるのかもしれない。
 


 【 関連サイト 】

 解説記事。
  → 「共謀罪」法案とは何か? わかりやすく解説します【今こそ知りたい】

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 【 関連項目 】

 → 共謀罪のペテン
 → 共謀罪はこう直せ
 → 共謀罪と未決勾留
 → 共謀罪のまとめ
    ※ 本項とそっくりなタイトルで、前にも書いていた。
      (忘れていたが。)

  
posted by 管理人 at 22:33| Comment(4) |  ごみ箱 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 関連項目 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2017年06月17日 16:49
この国では三権分立は機能していないですからね。
国会は議論が形骸化して本来の役割を果たしていませんし、司法も原発再稼働の差止め仮処分を決めた裁判官がただちに左遷されるような状況ですし。
三権連立といったほうが正しい表現かと。
国民がしっかりと権力を監視するしかないんですが、それもなかなか難しい。
Posted by 解析する者 at 2017年06月17日 22:18
そうなると、誰が首相になっても同じことなので、制度の問題だと思います。
Posted by 北海道の人 at 2017年06月18日 12:18
ますます、日本の"北朝鮮化"が進みましたね。
Posted by 反財務省 at 2017年06月18日 20:38
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