2017年06月14日

◆ フリーゲージ・トレインの失敗 3

 フリーゲージ・トレインについては、「中止」に決まりつつある。では、かわりにどうすればいいか?

 ──

 フリーゲージ・トレインについては、私はもともと否定的だった。シリーズの最初の項目で、こう述べた。
 フリーゲージ・トレインの開発が失敗しつつある。(長崎新幹線向け。) 
 広軌である新幹線と、狭軌である在来線を、どちらも走ることができる……という目的で開発されているのが、フリーゲージ・トレインだ。車輪間の距離を可変的に動かす。
 しかし、見るからに開発は難しそうだ。実際、開発な難航している。成功するメドも立っていない。

 私の考えを言えば、こうだ。
 「フリーゲージトレインなんて、もともと無理だ。たとえ成功したとしても、寿命が短くて、すぐに壊れてしまうだろう。また、普段から故障だらけになって、稼働率が低くなり、ダイヤが間引きされて、ダイヤ通りに走らなくなる。走っている途中で故障することもありそうだ。とうてい無理」
 比喩的に言えば、高速増殖炉の「もんじゅ」みたいなものだ。今の技術はとうてい無理だ。
( → フリーゲージ・トレインの失敗

 これは、2015年12月07日 の記事だが、1年半後の今になって、「中止」に決まりつつある。
 《 長崎新幹線フリーゲージ断念の方向 安全性や費用ネック 》
 九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)での新型車両フリーゲージトレイン(FGT)導入について、JR九州が断念する方向で検討していることがわかった。安全性への不安のほか、車両の費用も高く、収益が確保できないとみている。国などにも今後、こうした考えを正式に伝える見通しだ。
 FGTの開発は、耐久走行試験での不具合などで難航しており、JR九州は安全性を懸念している。維持管理などの費用も一般の新幹線より高く、「効果的なコスト削減策が見つかっていない」(JR九州幹部)。
( → 朝日新聞 2017-06-14

 というわけで、私が予想した通り、「中止」となるわけだ。
 
 では、代わりに、どうすればいいか? 朝日の記事では、「先行き不明」というふうにある。
 FGTをやめると長崎新幹線の将来像は一気に不透明さが増す。開業時のリレー方式のままで運転することには反発が予想される。博多―長崎間をすべてフル規格にするには財源のめどもなく、佐賀県は地元負担が増えるため難色を示している。 国土交通省には「JR九州が考える落としどころがわからない」(幹部)との声もあり、今後の協議は難航する可能性がある。
( → 同じ記事 )

 どうにも迷走しているようだ。

 ──

 一方、本サイトでは、前に次のような考察をなした。
 次の3通りだ。
  ・ 三線軌条
  ・ 狭軌の新幹線
  ・ 在来線の高速化


 そのうち、どれがいいか? 実は、初めは、「狭軌の新幹線」がいいと思った。
 しかし、この方式は、Wikipedia を読むと、デメリットが多い割にメリットが少ないそうだ。
 かといって、三線軌条はコストがかかりすぎる。また、標準軌を使うミニ新幹線も同様だ。
 となると、消去法で、「在来線の高速化」しか残らない。これが最もお薦めだ。

( → フリーゲージ・トレインの失敗 2

 というふうに、「在来線の高速化」をお薦めした。

 ところが、そのコメント欄で指摘されたところでは、「在来線の高速化」にも限界があると判明した。
在来線の最高速度は130km/hでこれは法令上求められているものです。一部に160km/hで運行される在来線が存在しますが、これは、踏み切りが無いなどの用件を満たした高速規格路線に限定されます。なので、長崎本線の在来線は130km/hが上限で、それを超過した速度で走るためには大規模な改修が必要=大規模予算が必要です。
( → そのコメント欄 )

 というわけで、私の提案も、あまりうまくないことが判明した。

 ──

 では、どうするべきか? 何か、うまい案はないか? ……そう思って、頭をひねった結果、うまい案が出た。こうだ。
 「狭軌ではない標準軌の新幹線を、全線に通す。ただし在来線の区間では、標準軌の新幹線のまま、在来線の特急として走らせる」


 この案は、「全線フル規格」に似ているが、決定的に異なる。
  ・ 車両については、「全線フル規格」と同じである。
  ・ 線路については、「在来線を残す」というふうになる。
   (路線は現状維持だが、レールは標準軌にする。)


 このことから、次のメリットを得る。
  ・ 同一車両なので、乗り換えの必要がない。
  ・ 在来線の路線はそのままなので、コストは格安。
   (レールを1本追加するコストだけはかかる。)


 というわけで、上記の方式ならば、「乗り換えなし」と「コストが格安」という二つのメリットを得るので、最善の案となるだろう。

 ──

 ただし、あとで考え直すと、これは「ミニ新幹線」という既知の方式だ。(そのまんまだ。)


mini-sinkansen.jpg
出典:新幹線E3系電車 | Flickr


 そこで、これについて Wikipedia を調べたら、次のように説明してあった。
建設コストが極めて高い
  "高規格専用線を改めて建設すること"に比べれば安価である一方で、標準軌化は全く高速化に寄与しないコストである。また、全線を一度に工事しなくてはならないため一度の投資額が大きく金利コストがかさむ。
( → ミニ新幹線 - Wikipedia

 コストが高いという点では、たしかにその通り。とはいえ、全線フル規格に比べれば、圧倒的に低いコストで済むはずだ。線路を一本増やすだけで済むからだ。
 全線フル規格ならば、線路をまっすぐにしたり、踏切を廃止したりで、まったく新たな土地と線路を作る必要がある。線路を一本追加するだけに比べると、5〜10倍ぐらいの建設コストになりそうだ。
 逆に言えば、ミニ新幹線ならば、5〜10分の1の建設コストで済む。コスパはあまり良くないかもしれないが、少なくとも、初期投資額が少なくて済む。
 その意味で、この「ミニ新幹線」方式が最善であると結論したい。



 [ 付記1 ]
 在来線部分も走らせるとなると、車両は特注にした方が良さそうだ。
  ・ 質の悪いガタガタの線路でも走れるような頑丈さ
  ・ 最高速度は、低くてもいい


 具体的には、次の通り。
  ・ バネやフレームを、頑丈なものにする
  ・ 重量の増加にともない、最高速は 200 km に制限する。


 このような車両を新設計する。といっても、高性能化するわけではなく、単に頑丈にして低性能化するだけだから、開発は容易だろう。(軽量にして高速化するのならば、慎重な開発が必要だが、その逆だ。)

 あるいは、既存のミニ新幹線の車両をそのまま使っても良さそうだ。それならば、開発費はゼロで済む。

 [ 付記2 ]
 ミニ新幹線方式で最大の障害となるのは、地元の要望だ。「フル規格の新幹線が是非ほしい。そうすれば高速なので、直通の効果が大きく出る」というわけだ。
 ただし、フル規格になると、在来線は第三セクターに移管され、在来線の利便性(および価格)は、大幅に悪化する。そういうデメリットも生じるのだ。地元民にとっては、かえって不便かもしれない。
 ミニ新幹線方式ならば、新幹線もまた特急並みの速度で走るのだから、利便性や運行状況は従来と何も変わらない。この方式だと、メリットも生じないが、デメリットも生じないのだ。
 そういうふうに教えれば、地元民の反発もなくなるだろう。
 ( ※ といっても、地元民はたいてい、「くれくれ乞食」であるから、「くれるものが減る」と言われた地元民は、怒り狂うかもしれない。「朝に四つで 夕は三つだと約束したくせに、朝は三つで 夕夜は四つだと? これじゃ、大損だ。けしからん!」と怒り狂いそうだ。)
 
 [ 付記3 ]
 「在来線の線路を標準軌にすると、列車の車体の幅が広くなるので、往路と復路で すれ違う列車の車体がぶつかるぞ」
 という心配もありそうだが、心配は不要だ。なぜなら、ミニ新幹線の列車(車体)の幅は、在来線と同じで、狭いからだ。
 ミニ新幹線は、レールの幅だけは標準軌なので広いが、車体の幅は広くないのだ。車体が小さい。
( ※ だから「ミニ新幹線」と呼ばれるのだろう。)

 なお、このことで、往復の車両がぶつかる問題はなくなる代わりに、次の問題が発生する。
フル規格区間ではホームと車両の間に隙間が空いてしまう
( → ミニ新幹線 - Wikipedia

 これを解決するため、
 「停車時に張り出すステップを車両側に設置する」
 という対策がなされている。画像は下記。
  → ミニ新幹線 ステップ - Google 画像検索
posted by 管理人 at 21:56| Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ミニ新幹線方式の課題とされているのが長期間の工事による運休および、それに伴う代行輸送です。
秋田、山形の場合はそれぞれ本数が一時間に上下4本程度でしたが長崎本線はそうではありませんので、
工事をすることによる代行輸送が問題となります。
また工事に関係のない佐世保系統の特急も影響を受けるのでそれだけ大人数を運べる代行輸送手段は存在しません。
あと建築限界に関しても建築限界の関係から一部架線中の位置や駅のホームを削る必要があります。
以上のことからミニ新幹線方式を長崎新幹線で実用化することは困難です。
Posted by とおりすがりの兵庫県民 at 2017年08月19日 21:08
>工事による運休

 なるほど。レールを一本追加するだけかと思ったら、そうじゃないんだ。枕木の幅が足りないから、枕木ごと全部取り替える必要があるんですね。気がつかなかった。

 
 となると、残る案でベストなのは、最初の案に戻って、「在来線の特急の高速化」かな。ちょっとだけ高速化すればいい。あと、カッコいい新車両を導入すれば、客寄せにはなりそうだ。
Posted by 管理人 at 2017年08月19日 21:27
> カッコいい新車両

 調べ直したら、すでに実現済み。さらに、振り子式885系電車も。
  → Wikipedia 「長崎本線」

 さらに、次の点もある。

「肥前山口駅 - 諫早駅間は単線であり、有明海の入り組んだ沿岸部を走るため、曲線区間が多い。
 線路状況の良い区間では特急列車は最高速度130km/h、普通列車用の817系でも120km/hで走れるが、前記の沿岸部を走る区間は曲線区間で速度制限がかかり減速、次の直線で再び加速するもののすぐに次の曲線で減速を強いられる、の繰り返しが続く。」
Posted by 管理人 at 2017年08月20日 07:27
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

過去ログ