2017年06月11日

◆ 違法行為への安全性を保証するべきか?

 違法行為には危険が伴うが、それへの安全性を保証してあげるべきか? 

 ──

 違法行為には危険性がともなうことが多い。たとえば、殺人や泥棒には危険性がともなう。(自分だけでなく相手への危険性をも含む。)
 こういう違法行為に対して、フェイル・セーフの発想から、「犯罪者に対して安全性を保証して上げる」という発想がある。つまり、殺人や泥棒をするときに、安全に殺人や泥棒ができるように、制度を整える、ということだ。
 このように安全性を保証して上げることは、好ましいことだろうか? 

 ──

 上の質問に対しては、
 「馬鹿げている。違法行為に安全性を保証する必要などはない」
 と答える人が多いだろう。なるほど、言われてみれば、その通りだ、と思うのだろう。

 ところが、現実には、
 「違法行為にも安全性を保証するべきだ」
 というふうに思い込む人が多い。つまり、特に何ら前提をしないで、
 「何ごとに対しても十分な安全性を保証するべきか?」
 という質問に対して、
 「イエス。高度に安全性を保証することは大切だ」
 と答える。そして、あまりにも高度な安全性を保証するせいで、
 「違法行為による危険性に対しても、安全性を保証するべきだ。そのために政府は多大な出費をするべきだ」
 と答えてしまうのだ。


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 この件について、事例を二つ見よう。(二つの内容は、やや異なる。)

 (1) 自動車の速度超過という違法行為

 時速 180 km (推定)という高速で突っ走ったあげく、空を飛んで対向車線のバスにぶつかった……という衝突事故があった。( → 前々項
 これに対しては、高度な安全性を要求する声が出た。つまり、
 「 時速 180 km で走るスピード違反の運転手に対しても、安全性を保証するために、中央分離帯の盛り土をなくしてしまえ。そのためには莫大な工事費がかかってもいい。また、スピード違反をしない人々への危険性が上がってもいい」
 というメチャクチャな意見だ。( → 前項
 ここでは、違法行為をする人の安全性を保証するために、大金をかけよう、というふうに主張される。どうせなら、同じ金をかけて、信号機をたくさん設置する方が、ずっと有効なのだが、そうしないで、半世紀にいっぺんあるかないかという犯罪者の稀な事故に備えて、大金をかけて、過剰な安全性を保証しようとする。

 (2) 自動ブレーキの対歩行者安全性

 自動ブレーキについても、同様のことが言える。対歩行者安全性では、
 「違法行為をした場合の安全性を高める」
 という方向に制度が進んでいる。すなわち、
 「横断歩道の直前では、先行車が停止している場合には、後続車は停止する義務がある。なのに、それを守らず、停止しない(ブレーキをかけない)違法運転をする人がいる。こういう違法運転を止めるべきなのに、むしろそういう違法運転を助長するように、制度が進んでいる」
 この件は、下記項目で示した。
  → 日産が自動ブレーキを改善
  ※ (2) および コメント欄で。

 ここでは、違法行為は、「意図的」というよりは「うっかり」であることが多い。ならば、こういう違法行為に対して、フェイル・セーフの機構が働いて、対歩行者の安全性を高めることは、むしろ好ましいことだ。その意味では、違法行為を助長するような機構があった方がいい、とも言える。(この点では、スピード違反という意図的な違法行為の場合とは異なる。)
 問題は、政府の制度だ。このような違法行為は、「うっかり」であることもあるのだから、違法行為に対する安全性を保証する方がいいのだが、政府はそれを禁じている。(コメント欄を参照。)
 ここでは、たいして費用もかからないし、その費用は自動車保有車の自己負担だ。政府が費用負担をするわけではない。なのに、政府は、このような安全性の向上の装置を搭載することを禁じている。(コメント欄を参照。)

 (*) 評価

 上の (1)(2) を評価しよう。
 (1) では、「安全性を高度に高めよ」という声が出ている。そこで守られるのは、主として違法行為をする運転手である。また、その安全性のための費用を払うのは、国や道路公団などである。……これは、好ましくないことだ。
 (2) では、「安全性をいくらか高めよ」という声が出ている。そこで守られるのは、歩行者である。また、その安全性のための費用を払うのは、運転手(車の保有者)である。運転手が金を払って、歩行者の命を守る。……これは、好ましいことだ。

 現実には、好ましくない (1) が支持されている。たとえば、下記。
  → はてなブックマーク
 一方で、好ましい (2) は支持されない。(というか、政府には拒否され、国民からは無視されている。)
 別項(下記)を参照。
  → 自動ブレーキと横断歩道
  → 自動車の自動ブレーキ
posted by 管理人 at 18:47| Comment(2) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
『原発に対するミサイル攻撃』などという意図的な違法行為に対しては、
大金をかけてでも安全性を確保する方向であって欲しいものです。
Posted by けろ at 2017年06月12日 11:18
> 『原発に対するミサイル攻撃』などという意図的な違法行為

 北朝鮮がやった場合には、国外犯だから、日本の法律では裁けないんじゃない?
 やるとしたら、北朝鮮政府と「犯罪人引渡条約」を結んでから、金正恩を日本政府に引き渡してもらうこと。(ナンセンスだが。)

 なお、安全性確保のために大金は必要ありません。コストゼロで実現できる。前に書いたとおり。
  http://openblog.seesaa.net/article/450516994.html
Posted by 管理人 at 2017年06月12日 12:12
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