2017年06月07日

◆ 温暖化と米国の協定離脱

 地球温暖化対策の協定から米国が離脱した。その影響はどのくらいか? 実は、たいしたことがない。

 ──

 地球温暖化の対策としての国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を、米国が表明した。トランプ大統領の方針。
 これで「大変だあ」と騒ぐ人が多い。「米国はまったく間違った方針を取っている」と騒ぐ人も多い。しかし、「たいしたことはない」というのが、私の判断だ。

 温暖化対策の時期


 温暖化を「大変だあ」と騒ぐ人は多いが、実は、「今すぐに大変だあ」ということにはならない。たいていは「今世紀末には大変なことになる」というだけだ。そして、今世紀末までには、あと80年以上もある。それだけの時間があるなら、このあといくらでも対処は可能なのだ。
 要するに、ここでトランプ大統領が温暖化対策をサボるとしても、それは長い歴史のなかでは、たったの4年間のことにすぎない。このあといくらでも挽回可能だし、50年後になれば「どうでもいいこと」と見なされるだろう。

 一般に、温暖化対策を主張する人は、「今すぐ大規模に対策をしなければ大変なことになる」というふうに騒ぎ立てる。しかし、「今すぐ少しだけやること」は、最終結果には大きな影響をもたらさない。それよりは、30年後ぐらいに、そのときの進歩した技術で、大規模に温暖化対策をする方がいい。
 たとえば、太陽光発電なら、10年前にはとても高いコストがかかったが、今ではかなり安いコストになっている。(自然条件が良ければ、火力発電と対抗できるぐらいのコストだ。)さらにこの先、太陽光発電のコストは大幅に低下していくので、今すぐ太陽光パネルを大々的に設置させるより、その金を貯金した上で、10年後に太陽光パネルを設置する方が、同じ費用でも倍ぐらいの効果が生じる。だったら、その方がずっと得策なのだ。
 つまり、太陽光発電などの温暖化対策として最も有効なのは、「何もしないで貯金すること」なのだ。そうしてこそ、長期的には最も温暖化対策が可能となる。
 このことは、日本の再生エネ促進制度でも同様だ。菅直人の政策で、馬鹿高い太陽光パネルを大々的に設置したが、どうせなら、同じ金を貯金した上で、今になって設置した方が、同じ金をずっと有効利用できた。また、今でさえ、何もしないで貯金して、10年後に設置すれば、その方がずっと金を有効利用できる。(太陽光パネルの設置量を倍増できる。)
 
 結局、正解はこうだ。
 「今は貯金して、技術の進歩を待つ。その後、技術の進歩が生じたら、貯金しておいた金で大々的に設置する」
 ところが、温暖化対策を主張する人は、そういう長期的な計画を理解できない。「毎年少しずつ設置するのが正しい」と思い込む。だから「今すぐやらなくてはいけない」と思い込む。
 これは、「亀さん作戦」だ。鈍足で少しずつ進むのが最善だと思い込む。しかし正解は、「ウサギ作戦」である。最初は何もしないで、寝ていればいい。のちに時期が来たら、一挙に駿足で駆け抜けて、亀を一挙に追い越せばいい。
 こういう柔軟な発想ができないところが、温暖化論者の硬直した思考だ。


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 排出量よりも吸収量


 では、現状では、何もしない(貯金だけする)のが最善か?
 太陽光パネルなどの省エネ技術に関しては、その通りだ。しかし、それ以外にも、やるべきことはある。
 「炭酸ガスの排出抑制」とは別に、「炭酸ガスの吸収」がある。それは、植物による吸収だ。実際、恐竜時代には炭酸ガス濃度が高かったのに、その後には炭酸ガス濃度が現在までの程度までに下がったのは、地球に植物がたくさん繁茂したからだ。
 なのに、その植物が、近年ではどんどん減少しつつある。南米のアマゾン密林や、アフリカのサバンナ地帯などで、植物の量がどんどん減りつつある。
  → 陸地温暖化説 (緑地減少説)
  → 温暖化の原因は炭酸ガスでなく緑地減少
  → 地球環境の変化(緑地減少)を画像で見る

 炭酸ガスの排出量ばかりに、人々は目を奪われている。しかし炭酸ガスの吸収量こそ、大切なのだ。
 炭酸ガスの排出量は、別に、今すぐ急ぐ必要はない。将来になってから新技術で排出量を一挙に減らすことは可能だ。また、実際、そうなるだろう。だから今は急がなくてもいいし、今のところは一喜一憂する必要はないのだ。
 一方、炭酸ガスの吸収量は、今すぐやる必要がある。なぜなら、アフリカや南米の緑地減少(または砂漠化)は、どんどん事態が悪化しつつあるからだ。何としても今の段階で悪化を食い止めねばならない。また、たとえ現状で食い止めたとしても、今後、緑地を回復させるためには、非常に長い時間がかかる。緑地は、破壊するのは簡単だが、復活させるのは容易ではないのだ。密林を砂漠にするには、枯れ葉剤を撒くぐらいでも可能だが、砂漠を森林にするには、とてつもない手間と時間がかかるのだ。

 ──

 人々は、アメリカのトランプ大統領の方針を見て、大騒ぎしている。だが、そういう人々こそ、何をやるべきかを、完全に間違えている。



 【 追記 】
 トランプ大統領が、パリ協定離脱を決めたのは、石炭産業へのアピールが狙いだった。しかし、その狙いははずれるようだ。
 というのは、石炭産業自体が、高コストなので、競争力をなくしているからだ。石炭産業は、労働者の給与も高く(他の倍額)、労働者数も多いので、労働コストが多額になって、競争力をなくしているそうだ。かくて米国の石炭発電は次々と廃止され、シェールガス・太陽光・風力などに転換しつつあるという。
  → 米の石炭火力、戻らぬ競争力 パリ協定離脱宣言:朝日新聞 2017-06-08

 要するに、トランプ大統領の方針でパリ協定離脱を、しようがするまいが、どっちみち、米国では「脱・石炭」が進む。大きな流れは、変えようがない。

 また、アメリカの各州が独自に温暖化対策をするという情報もある。
  → パリ協定離脱、米自治体から反旗 独自に温暖化対策:日経
  → パリ協定 ニューヨーク州など協定支持の連合結成 | NHK
  → 米の州知事や市長 パリ協定順守の声明文を国連に提出 | NHK
 つまり、トランプ大統領一人が抵抗しても、流れを止めることはできないのだ。

 なお、各国の排出量のランキングは、下記にある。1位は米国、2位は韓国。
  → 環境破壊のならず者国家、1位米国、2位は韓国 - BIGLOBE
posted by 管理人 at 23:35| Comment(9) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
パリ協定には、森林の減少・劣化への対策についてもきちんと書かれています。世間が注目してないだけです。

アメリカが4年後にきちんと戻ってくれるならおっしゃるとおりです。また、アメリカが抜けるなら、うちも抜けよう、という国がたくさん現れないことも大事だと思います。いずれ戻ってもらうために、今非難する必要がある、んじゃないかな。
Posted by PVtaro at 2017年06月08日 00:43
興味深い記述がありますね
植物が繁栄したから気温が下がった。
であれば、恐竜の時代にはあまり植物が繁栄してなかった。植物が繁栄していないということは巨大な草食動物は繁栄できていなかった。ということは巨大な肉食動物も繁栄できてなかったことになる。
つまり象徴的な動物として恐竜はいたが、恐竜の時代というほど繁栄していた時代ではないということですか?
Posted by かーくん at 2017年06月08日 07:11
> 恐竜の時代にはあまり植物が繁栄してなかった。

 この意味は「植物が生育できる環境がなかった」という意味ではなく、「植物が生育できる地域が限定されていた」という意味です。具体的には、荒れた岩石の地域が多く、土のある地域は少なかった。
 岩石の地域が土の地域になるには、まずはコケ類の繁茂が必要です。
  → http://openblog.seesaa.net/article/441117499.html

 コケ類が育って、その死骸が土になると、そのあとは、シダ類・裸子植物が繁茂します。この過程で、土はさらに厚みを増します。その時代が、恐竜時代と重なる。(シダ類の時代。)

 こうして土がたくさんできると、ようやく、被子植物の時代となります。被子植物が繁栄すると、炭酸ガスの濃度が大幅に下がるようになりました。同時に、気温もどんどん低下していきました。
 恐竜が急激に絶滅したのは巨大隕石が理由だったようですが、たとえ巨大隕石がなくても、被子植物が繁栄して、炭酸ガスの濃度が低下し、気温がどんどん低下すれば、どっちみち恐竜が生きながらえることは不可能でした。

 ──

 恐竜の時代は、植物が繁茂するのには適していた(炭酸ガス濃度が高くて、気温も高かった)のですが、いかんせん、土の量が少なかったので、初期値が小さかった。初期値が小さいまま、シダ類はどんどん増えていった(成長率は高かった)が、土の量が少なくて、土地の面積が少ないという制約のせいで、恐竜の住める面積は限定されていました。
 この時代、炭酸ガスの濃度は低下しつつありましたが、(炭酸ガスの濃度の)高い初期値を急速に引き下げるには至りませんでした。炭酸ガスの濃度が大幅に下がったのは、被子植物の時代になってからです。

 ※ 以上の変化は、5千万〜1億年ぐらいの単位で考えてください。長い時間をかけた変化です。
Posted by 管理人 at 2017年06月08日 07:39
> パリ協定には、森林の減少・劣化への対策についてもきちんと書かれています。

 協定に書いてあっても、マスコミは騒がないし、政府は対策を取らないんですよね。「炭酸ガスを減らせ」という大騒ぎばかりしていて、南米やアフリカの緑化の必要性についてはまったく報道されない。そんな記事を見たことがない。(温暖化とは別の環境保護の話としてなら、たまにあるが、温暖化と絡めた話ではない。)

> 世間が注目してないだけです。

 だから、それが問題なんです。マスコミも政府も世間も注目しない。
 私は別に、新たな事実を新発見してアピールしているわけじゃないです。「こっちに注目せよ。こっちを見失うな」とアピールしているわけです。
Posted by 管理人 at 2017年06月08日 07:41
> 協定に書いてあっても、マスコミは騒がないし、政府は対策を取らないんですよね。「炭酸ガスを減らせ」という大騒ぎばかりしていて、南米やアフリカの緑化の必要性についてはまったく報道されない。そんな記事を見たことがない。

そりゃ、マスコミが全て正しいということはないですから。
当の南米やアフリカやインドネシアはわかっていますし、先進国は支援しています。パリ協定に書き込まれていること自体、多くの国がわかっている証拠です。日本も支援しています。林野庁がやっています。JICAも頑張ってます。
基金にもお金を出しています。米国は止めるらしいですが。

日本の個人が途上国の森林を守り植林を進めることにできることは少ない、とマスコミが思っているから、報道しないんでしょう。
日本人が自分でできることは、まずは削減です。それは間違っていません。

> 「こっちに注目せよ。こっちを見失うな」とアピールしているわけです。

それはそうですね。見失うべきではないです。JICAを応援してやってください。
Posted by PVtaro at 2017年06月08日 21:34
http://www.reddplus-platform.jp/

さきほどの書き込みでアドレスのところに書いてしまいましたので、ここに書き直します。
Posted by PVtaro at 2017年06月08日 21:36
> 多くの国がわかっている証拠です。

 お金は出しているけど、実効性がほとんどない。アマゾンでもアフリカでも 砂漠化が急激に進行しているのに、「緑化の努力を少ししていますよ」と言うだけで、「砂漠化を止める」という方向になっていない。現実に南米やアフリカの緑地破壊がどんどん進んでいると理解すべき。

> 林野庁がやっています。JICAも頑張ってます。
> JICAを応援してやってください。

 それじゃ全然ダメだ、というのが私の主張です。砂漠化が大々的に進行している状況で、少しだけ緑化をやっているだけ。海の水をバケツで汲むようなもので、ほとんど効果がない。焼け石に水。

 大切なのは、砂漠化という巨大な破壊を食い止めることです。一部でちょびっとだけ緑化をしても、ほとんど無効。
 だから、「人々は全然わかっていない」というのが、私の主張です。

 http://openblog.seesaa.net/article/435848034.html
 http://openblog.seesaa.net/article/435849967.html
 http://openblog.seesaa.net/article/435846752.html
 http://openblog.seesaa.net/article/435847438.html
Posted by 管理人 at 2017年06月08日 23:14
トランプ大統領は地球温暖化を「でっち上げだ」と広言してきましたが、1998年以降に限れば、そのとおりです。その頃から地球の気温上昇は停滞しているからです。
その間、二酸化炭素濃度は上がり続けていたので、IPCCの人為的温暖化説は明らかに破綻しています。そもそもIPCCの説は中世の温暖化も、その後の寒冷化も説明できません。IPCCはホッケースティック曲線を捏造した前科もあり、牽強付会の説が目立ちます。IPCCは今もホッケースティックを握り締めているかのようです。
このまま二酸化炭素濃度が上がり続けても、IPCCが主張するような大きな温暖化は起きないと確信しています。むしろ緩やかに寒冷化に向かうのではないかと思っています。既にその兆候が見られます。
地球温暖化騒動は詐欺です。新型インフルエンザ騒動も大きな詐欺事件でしたが、それとは比べものにならないくらい巨大な詐欺事件です。
Posted by 素浪人 at 2017年06月20日 06:05
 二酸化炭素主因説については、私も同様に懐疑的ですが、「地球砂漠化」との合わせ技でなら、温暖化説は一定の妥当性で成立しそうです。実際、北極圏の氷は、これまでにない規模で溶けています。海水面上昇もある。サンゴの死滅もある。
 「地球砂漠化」だと、水分蒸発の減少もあるし、炭酸ガス吸収の低下もあるし、気候変動もある。
 二酸化炭素主因説は巨大詐欺かもしれませんが、地球温暖化そのものは、「地球砂漠化」との合わせ技で、ある程度は成立していると考えられます。
  http://openblog.seesaa.net/article/435847190.html
  http://openblog.seesaa.net/article/435847143.html

Posted by 管理人 at 2017年06月20日 06:43
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