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前項 の続き。
アフリカでは内戦が続く。これへの対策として、自衛隊の PKO 派遣がなされた。
PKO は、やるべき事柄だ、というふうに思える。だが、実際には効果が少ない。今回の南スーダンへの PKO 派遣でも、その後、内戦が激化して、自衛隊撤退という結末になった。つまり、PKO 派遣は失敗した。
では、どうすればいいか?

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まず、根源としては、歴史を見るといい。次のことがある。
「もともとは現地の部族の部族社会があったのだが、欧州各国が介入して、植民地化した。その後、欧州各国が引き上げると、力の真空地帯へ、部族が流れ込んで、土地の奪い合いとなった。特に、地下資源が豊富な地域が多いので、
土地の奪い合い = 資源の奪い合い = 富の奪い合い
という形で、欲得のかかわる奪い合いとなった。これが戦争(内戦)の本質だ。
※ 同趣旨は、下記項目でも論じた。
→ 歴史と現在 : nando ブログ
このことは、現在でも、内戦の両派が富の奪い合いをしていることからもわかる。南スーダンでもそうだし、ガンビアでもそうだ。
→ PKO 撤退の意味: Open ブログ
そこで、この問題を解決するために、
「部族間の対立をなくすために、民主主義のかわりに、国連の統治」
という暫定的な案を示した。
「アフリカ人には、民主主義は使いこなせない。だから当面は、国連主導で、国連の信託統治とするべきだ。つまり、国連が大統領を出して、その大統領の下で民主国家を建設するべきだ。ちょうど、第二次大戦後の占領軍みたいな感じで」
こうして民主主義国家を建設して、国連主導の下で数十年を経過したら、その後に、現地の人々に被選挙権を与えればいい。そして、そのときまでは、現地ではない外部の人が大統領(または首相)になるべきだ。
これで解決するだろう。
( → PKO 撤退の意味: Open ブログ )
これで、一応、解決が付くはずだ。(政治的には)
ただし、これで話は終わらない。
さらに、別の問題がある。それは、
「いかにして経済を正常化させるか」
ということだ。
アフリカで戦争(内戦)が起こるのは、富の奪い合いをするからだが、それは、「富」が「資源」と等価であるからだ。
つまり、アフリカではもともと農業以外には産業がなくて、あとは地下資源を掘り出すことぐらいしか富を得る方法はない。
ここでは、「富を得ること」と「地下資源を得ること」が等価になっている。自立した産業がないからだ。
とすれば、大切なのは、次のことだ。
「地下資源を掘り出すこと以外の、自立した産業を育成すること」
といっても、ここで政府が国営事業をしても、社会主義になってしまうので、ろくなことはない。原則は、自由主義経済だろう。
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ただし、自由主義経済といっても、まるきりの自由放任では駄目だ。「インフラ整備」などは必要だ。
ここで、「インフラ整備」をしたのが、自衛隊だ。この意味で、自衛隊は(現地で)高く評価されている。前項でも述べたとおり。( シアラー事務総長特別代表 の話 )
とはいえ、ただの「インフラ整備」のために、自衛隊を使うのは、コスパが悪すぎる。自衛隊員の人件費はすごく高い。これを、現地の民間人に置き換えれば、コストは大幅に下がるはずだ。
さらに、日本政府が払った金は、次のように流れる。
・ 自衛隊員に払った金 → 日本で使われる
・ 現地住民に払った金 → 現地で使われる
これは、経済学で言う「乗数効果」の話に相当する。
自衛隊員に多額の金を払っても、それは現地の産業を育成することに貢献しない。一方、現地住民に金を払えば、それは現地の産業を育成することに貢献する。
だから、どうせ金を払うのであれば、自衛隊員に金を払うより、現地住民に金を払う方が、ずっといいのだ。どうせ、やることは、戦争(戦闘)ではなくて、ただの土木工事である。それだったら、現地住民を雇用する方がずっといいのだ。
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では、具体的には、どうすればいいか?
本来なら、現地の土木会社に請け負わせるのが、一番いい。とはいえ、途上国では、現地の土木会社というものが存在しないかもしれない。だったら、土木会社を現地に作り上げるように、土木会社の技術員を派遣すればいいのだ。
・ 土木建設の技術指導員を派遣する。
・ 現地に土木建設の会社を設立する。
・ 経営権は、現地政府との関係で、適切に処理する。
ともあれ、こういう形で、現地に土木建設のできる会社を設立して、人材を育成して、土木建設を委ねるべきだ。そうすれば、「自衛隊の施設部隊が土木建設をする」という無駄をなくすことができる。
こうしてインフラが整備されれば、あとは国家の発展がどんどん進むだろう。
[ 付記 ]
日本の中古車は、高品質でも、買い手が付かない。10年落ちぐらいでほとんどタダになる。これをアフリカにもっていくと、相当の高値になって、立派な商品となる。ゴミが宝となるわけだ。しかも、リサイクルされるので、エコでもある。(もったいない、の精神か。)
この発想で、日本の中古車をアフリカに持っていってボロ儲けしたのが、パキスタン人だ。
一方、これをネットでやった会社がある。ビィ・フォアードという日本の会社だ。ネットで中古車を販売する。販売相手は、日本国内でなく、アフリカだ。現地の業者に大量販売するのが普通だが、ビィ・フォアードという会社は、アフリカの個人にネット販売して、自社で現地の各地に配送する。中古車販売と宅配とを兼ねているわけだ。
これで急成長……という話が、朝日新聞に掲載された。
→ 朝日新聞の記事の紹介 、画像
説明記事は、他にもある。
→ 日本品質のサービスで、世界の中古車市場を席巻する
朝日の記事は、「アフリカの Amazon をめざす」なんて話もあって、ちょっと面白い。Amazon は、書籍販売からネット販売全般へと進んだが、この会社は、中古車販売からネット販売全般へと進もうとする。しかも、宅配を兼ねている。
こんな形で現地貢献する会社もあるのだ。自衛隊より、ずっと有効かもね。