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英国で爆弾テロがあった。
英国中部のマンチェスターのコンサート会場で22日夜(現地時間)、自爆テロが発生し、子供を含む22人が死亡、59人が負傷した。爆発は午後10時半頃、米国の人気歌手、アリアナ・グランデさん(24)がコンサートを終えた直後、出入口付近のチケット売り場で起き、……
( → 東亜日報 2017-05-24 )
演奏会場でのテロは、入口付近で爆弾の持ち込みをチェックすることで予防するのが普通だ。しかし今回は、その方法が効かなかった。
コンサート会場や繁華街など、多くの人が集まり、警備が難しい場所を狙う「ソフトターゲット型」のテロに関しては、15年のパリ同時テロで、ルバタクラン劇場やサッカー場が狙われた。以降、英国ではコンサート会場で入り口での荷物検査やバックパックの持ち込みを禁じるなど、一定のテロ対策を取ってきた。
しかし、こうした対策は公演前の入場時が中心だ。警備が緩む公演終了時のタイミングを狙い、人があふれかえる出口付近で自爆するという今回のテロは、「意図的に時間と場所を選んだ」(メイ英首相)新たな手法とみられる。警備のスキをつくソフトターゲット型のテロを完全に防ぐことは難しいのが実情だ。
( → 朝日新聞 2017-05-24 )
報道によると、爆発はロビーで起こったという。
→ 英爆発事件、直後に叫び声が広がる衝撃映像 | 日テレNEWS24
場所は、出口付近であり、ロビーである、ということらしい。どっちにしても大差はない。要するに、不審物の持ち込みチェックをするゲートの外側だ、ということだ。
図もある。(出典:時事通信)

これに懲りて、ゲートをもっと外側に置くことも考えられるが、そんなことをしても無意味だ。ゲートをどこに置こうが、人はたくさんいるので、そのゲートの外に爆弾を持ち込んで、自爆することができる。
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ともあれ、核心は、次のことだ。
「不審物の道込みチェックのためにゲートを設置しても、何の意味もない。ゲートの外側で爆発が起こるからだ。ゲートを設置することは、爆発の位置を変えることができるだけで、爆発そのものを阻止することはできない」
つまり、不審物チェックなんて、やっても何の意味もない、ということだ。
では、お手上げか? 爆弾テロを止めることは不可能なのか?
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そこで困ったときの Openブログ。うまい方法を出そう。
原理はこうだ。
「いったん爆発テロが行動開始されたら、それを阻止することはできない。しかし、行動開始そのものを阻止することはできる。つまり、テロの行動意欲そのものをそぐことはできる」
では、どうやって?
その方法は、ゲーム理論によって、すでに判明している。エゴイスティックな行動を取る敵対的な相手に対して有効な方策は、こうだ。
「相手が友好的にふるまえば、お礼をする。相手が敵対的にふるまえば、損失を与える」
これは「しっぺ返し戦略」と呼ばれる。(「応報」と言ってもいいが。)
これは、実に単純な戦略だが、これこそが最も有効だと、ゲーム理論で判明している。
しっぺ返し戦略とは、ゲーム理論におけるゲームの1つ「囚人のジレンマ」での戦略の1つ。
アメリカ合衆国ミシガン大学の政治学者ロバート・アクセルロッドの呼びかけで、世界中の専門家から集められた戦略をリーグ戦方式で対戦させる選手権が2度開催されたが、2度ともしっぺ返し戦略が優勝している。
日本語としては応報戦略と呼ばれることもある。
( → Wikipedia )
この戦略を、テロにも持ち込めばいい。つまり、こうだ。
「テロをした相手には、損失を与える」
では、どういうふうに? ここから先が肝心だ。
普通の法律的な考え方では、こうなる。
「罪を犯した悪人には、法律で処罰する」
しかし、こんな生ぬるい方法では、命を賭けて自爆するテロには有効ではない。そもそも自爆したテロ犯は、生きてはいないのだから、処罰することもできない。すでに死んだ犯人を死刑にすることもできない。
警察当局者は、犯人が爆発装置を現場で起動させ、自らも死亡したとみていることを明らかにした。
( → 犯人は自爆:時事ドットコム )
そこで、普通の法律的な考え方を越えて、別の考え方を取る。
そもそも、犯人の利益は、テロ組織であるIS(イスラム国)を守ることだ。最近、IS への攻撃がひどくなっているので、それを阻止しようという目的で、今回のテロを起こしたとみられる。
とすれば、犯人の狙い(利益)とは逆のことをもたらせばいい。つまり、こうだ。
「今回のテロは IS の利益が目的だ。ならば、今回のテロをもたらした IS に報復する」
つまり、しっぺ返しをする相手を、犯人自身ではなく、犯人をあやつる IS にすればいいのだ。
具体的には、こうだ。
「今回のテロへの報復として、英国は IS への軍事的攻撃を行う。期間は限定で3カ月のみ」
こういう形で、「ISへの軍事的攻撃」を行なえばいい。
大事なのは、期間限定だということだ。IS への攻撃それ自体が(政治的な)目的となっているのではない。だから、3カ月たてば、攻撃は終了する。
その後、IS がテロを続発させなければ、自動的に軍隊は撤退する。一方、IS がまたテロを続発させたなら、さらに3カ月間の軍事的攻撃が追加される。
かくて、IS に取っては、次のようになる。
「英国へ爆弾テロをすればするほど、その何十倍もの攻撃を英国から受ける。相手に被害を与えれば与えるほど、その何十倍もの被害を自分が受ける」
これが、爆弾テロに対する「しっぺ返し戦略」だ。これによって、「テロを行おう」という意思・意欲をそぐことができる。
いったん行動開始したテロを実力で阻止することは困難だが、行動開始する意欲そのものをそぐことはできる。かくて、続くテロを予防することが可能となる。
[ 付記1 ]
本項では、攻撃を受けた国が単独で報復することを原則とした。英国が攻撃を受けて、英国が報復するわけだ。
一方、英国が攻撃を受けて、欧州全体(特に英独仏)が報復する、という形も考えられる。この場合、3カ月間の攻撃と言っても、かなり大規模な攻撃となる。
IS にとっては、たまったもんじゃない。それゆえ、テロの予防効果は高い。
[ 付記2 ]
「しっぺ返し戦略」というのは、かなり有効な方策である。テロというものを阻止する方策として、留意しておくといいだろう。
一方、共謀罪法案(テロ予防法案)では、「テロ予防のために、共謀行為をやたらとたくさん罰する」という方針を取る。これは、「テロを予防するために、テロの可能性があるものを広く予防的に摘発する」というものだ。
これでは、テロの予防ができても、とばっちりを受ける人々の被害が大変だ。
似た発想は、病気の検査でも言える。
「病気の検査で、見逃しをなくそうとして、感度を高めると、たしかに見逃しは減るが、同時に、病気出ないのに病気だと判定される誤判定(偽陽性)が多発する」
感度が高すぎると、誤判定を受ける人の被害が多くなりすぎる。だから、やみくもに感度を高めればいいというものではない。
共謀罪というものが、テロ対策としてはいかに見当違いのものであるか、本項からもわかるだろう。
【 関連項目 】
共謀罪については、前項。
→ 共謀罪のまとめ

英国はさらに厳しく攻撃→ISは「英国のせいだ。」と言って親英国の国家を狙う。
欧州全域で攻撃→ISはさらに「おまえらみんなやっつけてやる」と南米・北米など、世界中で同時多発テロ。
という悪循環で人口半減?
そうではないでしょう。IS はもともと国として存在していなかった。他国が IS という国を攻撃したわけじゃない。
> 悪循環で人口半減
大きな実力差があるときには、そうなりません。IS は今では大幅に衰退している。最大拠点では滅亡寸前。
http://www.afpbb.com/articles/-/3128444
戦場では勝てないから、外に出て、イヤガラセみたいなことをしているだけ。戦争とは違い、ほとんど効果はない。
もちろん、人口半減なんて、あり得ない。心理的に効果が大きいだけ。(だから、terror テロ=恐怖 という名称になる。)
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なお、テロによる死者数なんて、実際には、たいしたことはない。鉄道で人身事故(自殺)が、ほぼ毎日起こっているのに比べれば、ずっと少ない。
> 人身事故は10年間で3145件。
> 10年間で鉄道自殺が1985件
http://toyokeizai.net/articles/-/120456
テロなんかよりこっちの方がずっと大問題だ。日本ではテロの死者はゼロなんだし。
ところで北朝鮮がミサイル発射を続けています、これをやめさせるにはどうしたら良いですか
また、北に拉致された人を取り戻すにはどうしたらいいでしょうか
たとえば東京オリンピックにきた北朝鮮選手を拘束して拉致被害者と交換するというアイディアはどう思いますか
仮に理屈通りに動かなくても、英独仏軍の攻撃があれば、IS は壊滅に向かうので、その効果はあります。
国民だって、テロのときなら「派兵反対」とは言わないはず。
かくて、純然たる軍事効果がある。
テロ予防の効果も、いくらかはあるでしょう。完璧ではないにしても。
> 北朝鮮がミサイル発射を続けています、これをやめさせるにはどうしたら良いですか
明日の項目で書く予定。
テロ行為がISの命令で行われたという確たる証拠は集まるのでしょうか。また通信内容等が偽装されてる場合でも見抜けるものなのでしょうか。
毎度毎度、自分で犯行声明を出している。
「ISが犯行声明」
http://www.sankei.com/world/news/170524/wor1705240004-n1.html
そもそもテロの目的がISの政治的示威なのだから、声明をしなければ、テロをやった意味がない。
たとえば、他の別組織がやったと見なされたら、いくらテロをしても、ISとしては何の効果もなかったことになる。手柄を横取りされたら、自分のところの兵士の命を失った甲斐がない。
だからテロをすれば、必ず犯行声明を出す。つまり、自白する。
ゲリラやテロリストは「自分自身」以外に失うものがありません。だから「神出鬼没」が可能なのです。「やられたらやりかえす」では「失うもの」を持つ国家は「失うものが無い」ゲリラやテロリストに対しては不利です。武力攻撃をしてもゲリラやテロリスト以上に占領地の住民が犠牲になるかも知れませんし、ゲリラやテロリストの家族が判明しても国家が「テロ活動を止めねば家族を殺すぞ」と"公然"とは言えないでしょうから(某国及びその類似国を除いて)。
「失うものが無い」のはゲリラやテロリストの最大の強みですが、それは同時に「自立自活できず、後ろ盾(強制されている占領地住民含む)を必要とする」という弱みです。自立自活すれば、その基盤が「失うもの」になります。イスラム国の場合、その後ろ盾は「イラク国内で少数派であるスンニ派」ではないかと思われます(アフガンのタリバンは自分の都合の良い方に付く地方の武装勢力)。となればイラク国内のスンニ派を離反させるのが得策と思われますが、多数派のシーア派に譲歩させるのは困難ではないかと思われます。
IS はゲリラじゃありません。国家規模のテロ集団です。シリアの半分ぐらいを支配したことがある、と言ってもいいぐらい。
ただのゲリラだと誤解するぐらいなら、正式名称の「イスラム国」というのを額面通り信じた方がいいかも。
失うものはありますよ。広大な領土(支配地域)です。
だから、その地域を攻撃することで、領土(地域)を奪う……というのが本項の主張なんだが。本項を読んでないの?
※ テロの実行犯はゲリラです。だけど彼は IS そのものではなく、IS のシンパです。両者は違うのだが、混同しているのかな?