2017年05月14日

◆ 認知症の免許の制限(外国の例)

 認知症の免許の制限について、オーストラリアの例が紹介されている。朝日新聞の記事。

 ──

 本項の要旨:
  ・ 認知症っぽい高齢者の事故が多発している。
  ・ 認知症っぽい高齢者の免許を制限するべきだ。
  ・ 日本ではそのための制度が機能していない。
  ・ 免許制限をうまく機能させる方式を私が提言した。
  ・ その提言はオーストラリアで(一部)実現している。


 上のことが話の要旨だ。つまり、
 「高齢者の免許制限について、問題があるので、私が提言したが、その提言はすでに外国で実現している。そのことが朝日新聞の記事で示された」
 ということだ。

 以下では、話の順序は逆になるが、まず、朝日新聞の記事から紹介しよう。

 朝日新聞の記事


 朝日新聞の記事は、下記だ。
  → 自宅5キロ、日中のみ 認知症でも運転できる豪州:朝日新聞
  → 認知症、症状ごとに判断の豪州 日本では一律取り消し:朝日新聞
 ここから、一部抜粋しよう。
 認知症と診断されるとみんな免許が取り消しか停止となり、運転できなくなる――。日本では普通に思えるが、海外ではドライバー一人一人の能力を判断して運転を認めているところがある。その一つが、オーストラリアだ。
 ビクトリア州では認知症がある人の免許について、かかりつけ医や専門医の意見書と作業療法士(OT)による運転評価、過去の違反歴などを中心に継続か取り消しかを判断している。
 オーストラリアでは州政府が運転免許行政を所管し、運転の可否も決める。人口約600万人のビクトリア州では免許更新の際、日本のような視力や認知機能の検査はない。ただ、ドライバーには安全運転に影響を与えうる病気や障害を、更新時に限らず担当機関の「ビクロード」に届け出る義務がある。届け出ないと、事故の時に保険金を受け取れない恐れがある。

 運転評価は、専門の研修を受け、免許当局「ビクロード」が認定したOTが担う。体を指示通り動かせるか、運転に関わる法律を理解しているかなどを約90分でみるほか、約60分の実車もある。補助のブレーキとアクセルが付いた助手席に運転指導員、後部座席にOTが同乗し、本人が日頃運転する地域などで行う。認定OTのルイーザ・キングさんは「ほかの病気の人と比べて評価が難しいことはない」とする。

 上記の要点は、次の二つだ。
  ・ 免許の停止・取消しのほかに、弱い免許制限がある。
  ・ 判定は、医師だけでなく、作業療法士(OT)も行なう。


 日本の現状


 逆に言えば、日本では、記事のことができていない。つまり、こうだ。
 (i) 弱い免許制限というものが制度化されていない。
 (ii)判定は医師のみが行なう。

 このことから、次の問題が生じている。
 (i) 全面的な免許制限は、人権上の問題から実施しにくいので、軽度の認知症患者にも免許制限はなされない。運転のし放題だ。そのせいで、軽度の認知症患者による暴走事故が多発する。
 多発する事故の一例は、下記だ。
  → イオン入間店で 高齢者の車が歩行者や軽自動車に衝突
  → 83歳女性の車暴走、30代男女死亡 立川の病院敷地内
  → さいたま市の市道で15歳の女子高校生がはねられて死亡
 (ii)判定は医師のみが行なうが、医師の数は限られている。そのせいで、医師不足となり、認定が進まない。(つまり制度が形骸化する。実効性がなくなる。)
 この件は、前に別項で述べた。
 高齢者の運転免許に認知症診断をすることにしたら、受診者急増で、医者不足となり、診断できなくなった。制度不全。
( → 高齢者免許と認知症診断: Open ブログ

 対策・提案


 この問題を解決するために、上記項目(のリンク先)では、私が解決策を提案した。
 まずは、基本方針を示そう。こうだ。
 「認知症であるかを決めるには、医学的な方法に頼らない


 ともあれ、私の提案は、
 「自動車の運転能力をチェックするには、自動車の運転で検査すればいい」
 ということだ。
 一方、現状は、
 「自動車の運転能力をチェックするには、医学的に検査すればいい」
 というものだ。こんな方式は、あまりにも非本質的である。この非本質的な難点を指摘するのが、本項の意図だ。
( → 高齢の運転不適格者: Open ブログ

 上記では、「医者が医学的に(認知症の程度を)診断するかわりに、専門の判定者が(運転能力の程度を)判定する」という方式を提言した。これならば、次のメリットが生じる。
  ・ 医者に頼らないので、医師不足による制限がない。
  ・ 運転能力を調べるので、より正確な診断となる。


 以上が私の提言だった。
 そして、そのことは、朝日の記事で紹介されたオーストラリアの方式で、ある程度は実現しているとわかる。私の提言にかなり似た方式だと言えるだろう。
 それが、本項で言いたいことだ。
 ( ※ 冒頭の「要旨」を読み直すといいだろう。話の流れがわかる。)

 免許の限定


 免許の限定については、記事では次のような例を示している。
 認知症は症状が進むため、免許継続と判断されたら6〜12カ月ごとに再チェックを受ける。進行具合に応じ、「自宅から半径5キロ以内」「日中のみ」など限定免許となることもある。
( → 自宅5キロ、日中のみ 認知症でも運転できる豪州

 ここでは、距離や時間による制限がある。
 一方、私の提言では、使用する車種による制限がある。
 「高齢者については、自動ブレーキ付きの自動車についお手のみ、運転を認める」

 こういう形の限定免許だ。
 例。「 65歳以上、または、70歳以上では、自動ブレーキ付きの自動車のみ、運転を認める。」
 これは、認知症にかかわらず、一律に制限してもいい。(認知症でなくても、反応や判断が鈍いことがあるからだ。また、自動ブレーキの価格は、あまり高額ではないので、負担が可能だからだ。乗り換えを含む。可能な車には、軽自動車もある。)

 この件は、下記に示した。
 高齢者は運転能力が衰えていることが多いので、高齢者向けに限定免許を用意するといい。AT車限定免許みたいなものだ。
( → 高齢者には限定免許を: Open ブログ

 こうすれば問題の多くが解決する。詳しい話は、上記のリンク先を読んでほしい。

 ※ 「高齢者と自動ブレーキ」という話題は、他の行為目でも論じている。
   → サイト内検索



 [ 付記 ]
 朝日の記事は、情報の紹介としては良かったのだが、「もともとの問題点がどこにあるか」という背景解説がなかった。そこを説明したのが、本項だ。



 【 関連サイト 】
 暴走事故の例。





  ※ 以下は読まなくてもいい。

     [ 余談 ]
     朝日の記事では「ビクロード」という名称が出てくるが、ここでは、この名称を使う必要性がない。「何のことか?」と読者は戸惑うだろう。
     「ビクロード」という名称は、考えればわかるように、「ビクトリア州の道路」という意味だろう。

     VicRoads or the Roads Corporation of Victoria is a statutory corporation which is the road and traffic authority in the state of Victoria, Australia.
     It is responsible for maintenance and construction of the arterial road network, as well as driver licensing and vehicle registration.
    ( → VicRoads - Wikipedia日本語訳

     こんなものにいちいち固有名詞を使う必要はあるまい。 statutory corporation だと記されているのだから、単に「特殊法人」と示すだけでいい。(意訳でなく直訳ならば「法定法人」でもいい。)
     どうしても固有名詞を使いたければ、「 VicRoads 」と記すべきだった。これなら、何のことかわかるからだ。
     朝日の記事は、目の付けどころが良かったが、翻訳の点で、味噌をつけたな。


posted by 管理人 at 08:58| Comment(0) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
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