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日産のハイブリッドの e-Power の方式は、シリーズ方式のハイブリッドだ。

この方式では、大きめの蓄電池を搭載して、電気自動車のような感じで使うことで、エンジンを(ほぼ)定常回転させることができる。
この場合、「燃費のいい回転数だけを使う」というのが主なメリットだが、同時に、「エンジンを定常回転させることで、排ガスをクリーンにする」という効果がある。
これは重要だ。
ディーゼルエンジンは黒煙や煤を出しやすいが、それは主としてエンジン負荷のかかったとき(加速するとき)である。ガソリンエンジンだって、無理に負荷を与えてアクセルを踏むと、黒煙が出ることがある。(古い自動車または故障した自動車では。)
→ ガソリン車なんですが、黒煙吐きます。 - 知恵袋
一方、e-Power の方式ならば、エンジンを定常回転させることができる。
「エンジンから直接駆動すると、エンジンの回転数がいろいろと変動するので、(特に高回転域で)燃費が悪くなる。一方、エンジンを発電専用にすると、最も熱効率の高い回転数( 2000rpm ぐらい)だけを使えるので、おいしいところだけ使う形で、熱効率を高めることができる。このことで、電気的な伝達ロスの分を補う」
( → 日産ノートのハイブリッド: Open ブログ )
こういう形で、エンジンを(ほぼ)定常回転させることができる。
・ 回転数が低くなりそうなときは、エンジンを止める。
・ 回転数が高くなりそうなときは、電池が多く出力する。
こういう形で、エンジンの回転数をほぼ一定にすることができる。当然、エンジンには余分な負荷がかかりにくいので、黒煙(つまり煤)は出にくくなる。ディーゼル微粒子も同様だ。
ディーゼルは、原理的にはガソリンに比べて、煤や微粒子が出やすい。だとしても、e-Power の方式を用いることで、その悪癖を大幅に減じることができる。
この意味では、ディーゼル車に e-Power の方式を用いることは、有望だと思える。
[ 付記1 ]
「それよりディーゼル車を全廃しろ。すべてガソリン車にしろ」
という意見もありそうだ。たしかに乗用車ならば、それでいい。しかし、バスやトラックになると、そうは行かない。大型エンジンは、ガソリンエンジンは存在せず、ディーゼルエンジンしかないからだ。
これはどうしてかというと、エンジンの気筒のサイズが大きくなりすぎると、点火プラグで着火した火炎が燃焼室の全体に届かなくなり、不完全燃焼を起こすからだ。
この問題を避けるには、自然着火するディーゼルエンジンを使うしかない。したがって、大型バスやトラックになると、ディーゼルエンジンを使う以外には方法はないのだ。
( ※ まさか 16気筒とかのガソリンエンジンを積むわけにも行くまい。)
( ※ おまけに、ガソリンエンジンは、熱効率が低くて燃費が悪いという、経済上の難点もある。)
[ 付記2 ]
日産ノート e-Power の場合だと、モーターのサイズが限られている。これだと、モーターの出力が限られているので、大型車にはパワー不足だ、という問題が生じそうだ。
しかしこれは、技術的には可能だと思える。次のようにすればいい。
「複数のモーターをギアボックスに連結して、複数のモーターからプロペラシャフト(など)に出力を与える」
あるいは、次の方法もある。
「モーターと車輪を直結する。右の後輪には右モーター。左の後輪には左モーター。さらには、場合によっては、トラックを6輪車にして、後輪を4輪にすれば、4台のモーターを直結することもできる」
一般に、モーター式の自動車は、変速機がない。日産リーフも、ノート e-Power も、変速機はない。(ググればわかる。)
これは、モーターが低速時に巨大なトルクを出せるので、モーター自体が変速機の機能をもつからだ。
このことから、発進時には巨大なトルクを出せるので、巨大な大型トラックでも、あまり大きな最大出力は必要ないとわかる。したがって、ディーゼル車に比べて、少し少なめのモーター出力でも足りるだろう。
( ※ 大きな最大出力が必要なのは、高速道路の上り坂などだが、それ以外の場合には、あまり大きな最大出力は必要ない。)
重要なのはトルクだ、という解説もある。
→ Yahoo!知恵袋
ディーゼルは、最大トルクが出るピークがあるが、電気自動車は、最大トルクが広い範囲で出る。
→ 日産:ノート [ NOTE ] 電気自動車 (e-POWER)| e-POWER
このことと、数値の比較をすると、ノートのモーター6個で、大型トラックのトルクを出せる、とわかる。
→ UDトラック 大型トラック「クオン」をエンジン性能向上で燃費改善
【 関連項目 】
ディーゼル車による環境汚染の問題については、前項を参照。
→ ディーゼル優遇の歪み (前項)