2017年05月04日

◆ 獣害対策とジビエ

 獣害対策として、ジビエが推進されているが、「あちらが立てばこちらが立たず」という状況がある。うまい手はないか?

 ──

 獣害対策として、ジビエが推進されている。
 《 ジビエ拡大、官邸主導で 鳥獣被害対策 》
 シカやイノシシなど、農作物に深刻な被害を与える野生の鳥獣。安倍政権きっての実力者である菅義偉官房長官が旗振り役になり、政府が対策に乗り出すことになった。目指すは野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大。官邸主導で盛り上げ、被害減少と農村の所得向上という「一石二鳥」を追おうとしている。
 ジビエの利用拡大には、安全性の確保や肉のカットの共通ルール化、安定的な供給などが課題とされ、課題解決への対応を速やかにまとめる方針だ。
 野生鳥獣による農作物の被害額は年間200億円近くにのぼる。政府はジビエの利用拡大が、政権が掲げる地方創生にもつながると算段。農林水産省に新たな組織を設け、外食や学校給食、ペットフードなどで、利用拡大を図る方針だ。
( → 朝日新聞 2017年4月28日

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 ところが、ジビエ拡大には、「あちらが立てばこちらが立たず」という状況がある。
 《 ジビエ、鳥獣害の万能薬? 》
 農産物の被害を減らすには収穫前の夏に捕獲するのがよいが、肉の品質が低い。商品価値は脂肪がたっぷりのった秋以降に捕獲する方が高いが、農業被害を減らす意味では効果が小さい。
 ジビエにするシカやイノシシを効率よく集めようとするあまり、人里に近いところばかりで捕獲が進み、奥山や高山などの貴重な生態系は荒れるがまま――。そんな状況も懸念される。
( → 朝日新聞2017年5月4日

 ここでは、次の対立が指摘されている。
 (i)
  ・ 収穫前の夏に捕獲 = 農産物の被害を減らせるが、肉の品質が低い。
  ・ 秋以降に捕獲 = 商品価値は高いが、農業被害を減ら効果が小さい。

 (ii)
 人里に近いところで捕獲すると
  ・ 効率よく集めることができる
  ・ 奥山や高山などは放置されて、生態系は荒れる

 ここには、「あちらが立てばこちらが立たず」という状況がある。では、うまい手はないか?

 ──

 ここで、困ったときの Openブログ。うまい手を出そう。
 まず、原理はこうだ。
 「これは、効率の問題である。効率を最適化するには、経済学の方法に則って、パレート最適市場原理という経済原理に従えばいい」


 つまり、政府が「こうしよう」と決めて、計画経済みたいに国家主導で推進するのではなく、あくまで民間に任せればいい。そうすれば、経済効率に従って損得が決まるので、最も効率的な道が自動的に選択される。
 ただし、完全に民間任せだと、採算ラインが上がって事業が進まないかもしれない。その場合には、採算ラインを下げるために、一定の補助金を出せばいい。(例。捕獲1頭あたり3万円を支給する。)

 以上が原理だ。この原理に従えば、次のように言える。
  ・ 収穫前の夏には、商品価値が低いので、人里に近いところで捕獲するだけにする。これなら、低コストだからだ。
  ・ 秋以降には、商品価値が高いので、人里から遠いところでも捕獲する。これなら、高コストでも割が合う。

 以上が基本だ。こういう選択をすることで、先の問題(「あちらが立てばこちらが立たず」という状況)については、最適解が得られる。
 
 Q.E.D. (証明終わり)



 【 関連項目 】
 残る問題は、次のことだ。
 「獣害の被害を減らすには、捕獲コストを全般的に引き下げることが大切だが、そのためにはどういう方法を取るべきか?」
 この件は、別の話題になるので、別の項目で述べる。
  →  獣害対策の方法 (次項)
 


 [ 付記 ]
 特に読まなくてもいいが、関連情報として、次の新聞記事を引用しておく。(2014年の記事)
     《 食べきれない、「わな猟」姉妹猟師が獣肉加工所 》
     イノシシなどをオリなどにおびき寄せる「わな猟」に取り組む大分県豊後大野市の姉妹が、獣肉加工施設「女猟師の加工所」を同市大野町に開所した。
     害獣退治とその肉の有効利用を目指している。
     緒方町の田北たず子さん(61)と朝地町の東藤さき代さん(57)の姉妹。
     2011年春、姉妹は大野町の実家近くの竹林でタケノコ作りを始めたが、イノシシに荒らされてしまい獣害を実感した。被害を受けている近所の人から、「猟師が少なくなっている。女性でも猟師になれる」と勧められ、わな猟免許を取得しようと東藤さんが、姉の田北さんを誘った。猟に使う道具や規則などを勉強し、その年の秋に狩猟免許を取得した。
     免許を取って、先輩猟師に箱わなや、ワイヤを使うくくりわなの設置方法を習い、これまでにイノシシやシカなど85頭を捕獲。肉は自宅で食べたり、知人に配ったりしていたが、次々に増えて消費しきれなくなってきた。
     そこで、食材として活用するため加工し、販売できるよう加工所を作ることにした。実家の敷地に設置した建物は、木造平屋で床面積は約30平方メートル。県の補助を受け、肉を切るスライサーなどもそろえた。
     処理した肉は、精肉にして道の駅あさじで販売したり、市内の農産物加工所へ卸したりする。イノシシの買い取りも行う。
     県によると、女性の狩猟免許取得者(2011年度末時点)は県内に41人いるという。
     代表を務める東藤さんは「せっかく命をいただくのだから、おいしくいただけるようにし、ぜひ多くの人に味わってほしい」と話している。(小笠原可奈)
    ( → 読売新聞 2014年1月29日)


posted by 管理人 at 09:27| Comment(3) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 関連項目(過去記事)
  → 鹿肉はおいしい ( 2014年12月06日 )
   http://openblog.seesaa.net/article/435850947.html
Posted by 管理人 at 2017年05月05日 17:28
ジビエの普及には鮮度という問題があります。きびしいところでは、死後30分以内に食肉処理を始めなければ、品質が保てないとも言われます。
里山駆除ならばよいかもしれませんが、奥山では林道に引き出すことさえ難儀な場所で銃砲駆除される場合が多く、そのほとんどが尻尾なりを切除されたのち埋められるか、廃棄処分がほとんどです。(尻尾で補助金が出る。)
特に里山での銃砲使用については、一番効率的にもかかわらず、すぐに近隣住民から苦情が来るためなかなか行えません。わな捕獲であっても、わなを見回り、かかっていたら殺処分するためには結局銃砲に頼らざるを得ず、次から次にという訳にはいきません。
ジビエ料理はたいへんおいしいものですが、人の口に入れるものは余程条件が整った場所でなければ、安定確保がむずかしいと思います。
何か決定的な方法が見つからないものでしょうか。
Posted by 地方公務員 at 2017年05月08日 13:25
> 何か決定的な方法

次項で説明済み。(2) の箇所。
そのリンク先に詳しい話がある。ここ。
http://openblog.seesaa.net/article/435850913.html
Posted by 管理人 at 2017年05月08日 20:26
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