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日産は、自動ブレーキで駄目なところがある。
トヨタとホンダは、燃料電池車なんかをやっていて電気自動車で遅れたという、大失敗をした。( → 別項 )
しかしまあ、上記の二点は、致命的というほどではない。会社そのものが傾いてしまうというほどではない。
一方、ホンダの失敗はひどい。会社そのものが傾いてしまうほどだ。
三点あるので、列挙しておこう。
(1) エアバッグの失敗
エアバッグのタカタが欠陥商品を販売して大失敗したが、これで大失敗したのがホンダだ。もともとタカタとホンダの結びつきが強いことから、ホンダはタカタを支援してきたのだが、タカタの大失敗といっしょに、ホンダも沈没してしまいそうだ。
タカタはもはや自力再建が困難で、損失の自己負担ができなくなっている。となると、ユーザーへの保証は、(つぶれてなくなった)タカタではなく、自動車会社が(いくらか)負わなくてはならないようだ。
ホンダはタカタのエアバッグを使っていた率がとても高いので、他社に比べてホンダの負担額は圧倒的に多い。エアバッグ関連で、莫大な損失が発生するだろう。
(2) ハイブリッドのリコール
フィット・ハイブリッドは、DCT という先進的なハイブリッド技術を搭載した。私はこれを見て、次のように書いた。
で、このたび、ホンダ・フィットの新しいハイブリッドが出たのだが、これがかなり複雑で、理解しがたい。
ま、自動車マニアなら、知りたくなる情報だ。だけど、やたらと面倒で、理解しがたい。よくまあ、こんな面倒なシステムを考えたものだ。トヨタの遊星ギヤ式のシステムだって、ずいぶん面倒なのに、ホンダのはもっと複雑なシステムだ。
( → ホンダのハイブリッド )(2013年10月06日)
伝達効率が高いので、高速燃費が良く、欧州の高速走行にも向いている。これは高速燃費が悪いトヨタのハイブリッドをしのぐ高性能さだ。
そういう美点はあるのだが、構造があまりにも複雑すぎるという問題があった。で、私は「複雑すぎる」と上記で表した。(2013年10月06日)
で、その後、どうなったか? フィット・ハイブリッドは、あまりにも複雑すぎるせいで、メーカーでもまともに製造できなかった。やたらと故障だらけとなり、1年間に5回もリコールを繰り返した。
それでも、これで不具合が解決すればいいのだが、どうやらいまだに完全には解決していないようだ。
《 ギクシャク、加速不良 》
題目の理由にてリコール以外に2回目のミッション交換をしましたが良くなりません。
バッテリセグメント1で上り坂の進みが悪い、また低速走行時ギクシャクする。
ギクシャクに関しては1速から2速に変速するタイミングで発生しています。
DCTハイブリッド車の正常作動でありますとの事。
ミッション交換後、セグメント量に関わらず、ギクシャク・加速不良があります。
( → 価格.com - クチコミ掲示板 )
そこでリンクをたどると、同様の不具合報告が多数見つかる。
→ 不具合情報一覧|自動車のリコール・不具合情報
もう、メチャクチャですね。不具合は続いているのに、リコールをしないということだから、もはや修正することすら諦めてしまったようだ。欠陥品を欠陥状態のまま販売している状況。
これがホンダのハイブリッドだ。呆れる。
ホンダの DCT は、ちょっと見たときは、「すごい。なんて頭のいい方式だろう」と感じたこともあったのだが、アイデアは良くても、あまりにも複雑すぎると、製造が困難になってしまうわけだ。
とはいえ、そういうことは、別に珍しくもない。たとえば、日産でも、「無段変速機」という新型アイデアを出したのだが、製造がすごく難しくて、結局、ものにならなかった。製造中止。
→ 世界初「エクストロイドCVT」(日産・公式)
→ 日産・エクストロイドCVT( Wikipedia )
→ トロイダルCVT (ベストアンサー)(知恵袋)
とはいえ、日産は、ものにならなかった時点で、これの製造を諦めた。損失を出したとしても、限定されていた。
一方、ホンダは、欠陥が解決されないまま、商品化して、大量に販売して、それからリコールを繰り返した。また、「性能が低い」だけでなく、「まともに動作しない」(ギクシャクする)という欠陥品を売り続けた。
かくて、評判がガタ落ちとなった。販売台数も、2012年には 209,276台も売っていたのに、2016年には 105,662台と半減している。
→ ホンダ フィット フィットハイブリッド 新車販売台数
一方、日産ノートは、2012年には 85,330台だったのに、2017年には国内での販売台数1位になることが多い。3月には 24,383台も売っている。馬鹿売れだ。
→ 日産 ノート 新車販売台数
フィットとノートは、どちらもハイブリッドだが、ハイブリッドの方式の違いで、まったく明暗が分かれた。
(3) F1 の低迷
自動車レースの F1 で、ホンダの性能があまりにも低い(ダントツのペケ)なので、業界で呆れられている。
→ ホンダF1、海外メディアから厳しく批判される (2015/9/7)
この時点であまりにも低迷していたので、監督が解雇されて、別人になった。それでいくらかまともになったようだが、なかなか状況が改善されず、やはりペケの状態が続いた。(2016年)
2017年になっても、まだまだひどい状況が続く。
→ 【最終F1テスト:1日目タイム】1分22秒を切れないのはマクラーレン・ホンダだけ・・・トップはウィリアムズ
→ 【マクラーレン・ホンダ】アロンソ、とうとう怒り爆発「ホンダはパワーも信頼性もない」
→ F1 Topic:アロンソの「ホンダパワーユニットは時速30km遅い」は本当か?
→ アロンソ「これほどパワーのないマシンで走ったのは生まれて初めて」F1バーレーン決勝で苛立ち示す
これほどにも危機的な状況にあった。
とはいえ、つい最近になって、光明も見えてきたようだ。急にマシンが速くなったのだ。
→ ホンダF1パワーユニットが突然示した「完璧な信頼性」にマクラーレンが喜びと困惑 (2017-04-20)
記事にもあるように、たしかに速くなった(うまく行った)のだが、どうしてそうなったのかを理解できていない。問題点がどこにあったのかもわからない。たまたまうまく行った(ことがある)というだけらしい。
女神の気まぐれかもね。気まぐれが変わったら、また元の木阿弥になるかも。
そこで、あまりにもホンダがかわいそうなので、他のチームがホンダのマシンを構造分析して、どこに問題点があるかを解明して上げよう……というお情けの方針が提案されているようだ。
→ 【F1】ストラテジーグループ、パワーユニットの性能均衡化のため、ホンダ救済を計画? (2017-04-24)
何ともまあ、哀れなありさまか。破綻した没落貴族の赤字を負担して上げよう、というようなものだ。物を恵んでもらう乞食も同様だ。
これが今のホンダのありさまだ。
(*) デザインの低迷
おまけでもう一つ。ホンダのデザインは、近年、低迷している。フリードが典型だ。先代はかっこよかったのに、新型は平凡になった。
ここ3年ぐらいのホンダ車のデザインは、やたらと凡庸なデザインが多い。かつての先端的なデザインとは正反対だ。
どうも、全般的に、会社組織が硬直化しつつあるようだ。
桜の木に似て、組織が寿命を迎えつつあるのかもしれない。
参考: → 砧公園の老木・枯木
[ 付記 ]
ひるがえって、トヨタは ル・マン(2016年)で大活躍した。運悪く優勝はできなかったが、優勝の直前まで行った。
2016年のルマン24時間耐久レース。トヨタ5号車は今年のルマン24時間で誰よりも速く、誰よりもたくさんの周回数を消化していた。ただし、それは日曜日の午後2時57分までのこと。直後にトラブルが発生してスローダウンを喫し、その脇を通り過ぎていったポルシェ2号車がトヨタ5号車より1ラップ多い384周を24時間で走破、午後3時過ぎに振り下ろされたチェッカードフラッグをいち早くかい潜って総合優勝を果たした。
( → 【ルマン24時間 2016】トヨタはなぜ勝てなかったのか…総まとめ | レスポンス(Response.jp) )
実に不運だったとも言える。24時間でなく 23時間57分の勝負だったなら、トヨタが優勝していたのだが。
とはいえ、ここまで頑張ったことは、大いに称賛されていい。
ホンダとは大違いだ。
日産は? レースそのものをやめてしまったようだ。
あ、違った。ものすごい大失敗をしていた。
→ 日産・GT-R LM NISMO
ホンダどころではない。ホンダは「周回遅れ」というぐらいで済んだが、日産の方は「とんでもない遅さで、まるでコメディ」というありさまだった。比喩的に言えば、対抗馬がポルシェ911ターボであるときに、日産 GT−R を出さずに、DAYS を出したようなものだ。
→ ル・マン最後発の日産が見せたセオリー無視の「空力」勝負。押し通したのはエンジニアのプライドだ
そもそも、FF のレーシングカーを出すというところからして、おかしい。技術陣は大得意だったが、ただの独りよがり。他社から見れば、レースを馬鹿にしているとしか思えないような、狂気の沙汰だ。その結果、大々的に批判された。
これに懲りて、日産はレース活動から撤退した。
→ 日産がWEC&ル・マンへの参戦を中止
トヨタは素晴らしく、ホンダはみじめだが、それでもどちらもスポーツマンシップはある。日産は論外で、ただのピエロとサボり魔であるにすぎない。
とはいえ、みじめでも参加するのと、物笑いのタネになるくらいなら一挙に撤退するのでは、どちらがいいのか、決めかねる。
役所が発注する『●●●システム』の類いの仕様書が酷いのはよく知られていますが、民間も似たような状況になりつつあるということですかね。
複雑な機構のハイブリッド車は、故障も複雑すぎるでしょう。
ユーザー、サービスマン泣かせと推察されます。