2017年03月21日

◆ 北陸新幹線(京都−新大阪)は不要

 北陸新幹線の南ルートが決まったが、このうち新大阪に近い部分は不要だろう。建設中止が妥当だ。

 ──

 北陸新幹線の、「京都−新大阪間」のルートが決まった。これは前に述べたとおり。
  → 北陸新幹線の新駅に松井山手駅

 ここでは、「松井山手駅を通るルートは妥当だ」と述べた。
 だが、あとで考え直すと、このルートそのものが必要ないと言える。「どのルートが必要か」ではなく、「ルートそのものが必要ない」と言える。

 ──

 「また Openブログが過激な提案をしている」
 と思うかもしれない。だが、実は、言い出しっぺは、私ではなく、朝日新聞だ。このルートそのものをやめてしまえ、という論調だ。(社説)
 《 (社説)北陸新幹線 延伸を無理に進めるな 》
 福井県敦賀市と大阪市を結ぶ北陸新幹線の延伸ルートが決まった。最後に残っていた京都―新大阪間について、与党は京都府京田辺市を経由する「南回り」を選んだ。
 朝日新聞は社説で、国の厳しい財政事情を踏まえ、整備新幹線の新規着工は努めて慎重にするよう求めてきた。
 国土交通省は、北陸新幹線の大阪延伸には総額2兆1千億円かかると試算している。
 財政規律を安易に緩めれば禍根を残す。大阪延伸をそこまでして急ぐ必要はない。
 市街地が多く、建設費がかさむことが確実な京都―新大阪間にそもそも新たな新幹線が必要なのか。突っ込んだ議論はなく、疑問がぬぐえない。
 新幹線整備に巨費を投じることにどれだけ国民の理解が得られるか。大阪延伸を無理に進めてはならない。
( → 朝日新聞 2017年3月19日

 論旨としては、たいしたことは言っていない。
  ・ 財政が厳しい
  ・ 巨額の支出は大変だ

 というだけだ。

 「大赤字が出るから大変だ」
 という理屈ならばまだわかるが、実際には、わずかながらも黒字になると見込まれている。だったら大赤字の心配もない。朝日の論調は、財政至上主義の趣旨であって、あまりまともな理屈ではない。こんな理屈で「新幹線の建設中止」を唱えても、賛同は多く得られまい。
( ※ 本四架橋や、東京湾横断道路なら、大赤字だから、廃止の主張は根拠があった。しかし今回の新ルートは、黒字である。建設中止の根拠は弱い。)

 ──

 というわけで、朝日の主張は根拠不十分だ。
 とはいえ、朝日の主張は、新たな視点を出してくれた。「どのルートを選ぶのでもなく、ルートのすべてを建設中止してしまう」という視点だ。
 その過激な視点で考え直すと、「これは妥当だ」という結論が出た。ただし、論拠は朝日とは別だ。
 私の論拠は、以下のことだ。

 (1) 東海道新幹線の存在

 「京都−新大阪」間なら、すでに東海道新幹線がある。ならば、これと並列する形で新たな新幹線を設置する必要性は薄い。二重に路線を走らせるのは、根本的に無駄である。

 (2) 東海道新幹線との相互乗り入れ

 北陸新幹線と東海道新幹線で、相互乗り入れをしてしまえばいい。どちらも京都駅を通るのだから、「京都−新大阪」間は、東海道新幹線を共用すればいい。
 つまり、金沢から小浜を経て京都に達したあとは、東海道新幹線の路線に入ってしまえばいいのだ。
 こうすれば、新路線を使わずに、北陸新幹線の列車は新大阪まで達する。

 (3) 東海道新幹線はガラガラになる

 「北陸新幹線の列車が東海道新幹線に入る」ということは、ちょっと無理に思えるだろう。というのは、東海道新幹線のダイヤは、すでに超過密であって、これ以上は増発できないからだ。
 しかし、である。将来的には、リニア新幹線ができる。とすれば、乗客の多くはリニア新幹線に移るから、東海道新幹線はガラガラになってしまうのだ。常識的に言って、乗客数は現状から半減するだろう。となると、列車の本数も半減する。となれば、ダイヤはがらがらとなり、いくらでも増発できる。そこに、北陸新幹線の列車を割り込ませればいい。

 (4) 時期はリニアの方が早い

 時期はどうか? 調べたら、こうだ。
  ・ リニア新幹線が全線開業するのは 2037年。
  ・ 北陸新幹線の南ルートが開業するのが 2046年。

 つまり、2037年〜 2046年の間は、東海道新幹線はガラガラ状態となっている。そのあと、2046年になると、北陸新幹線が京都まで到達するので、北陸新幹線の列車は、京都で東海道新幹線の線路に入って、その線路で新大阪まで達する。このとき、ダイヤは十分に余裕がある。

 ──

 というわけで、北陸新幹線の「京都−新大阪」間は不要だ、という結論になる。
( ※ ただし「路線廃止」という意味ではない。「その路線は新たに作らなくてもすでにある」という趣旨だ。東海道新幹線と共用するわけだ。)


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 ただし、話はここで終わらない。別案として、次の案も出る。

 「京都−新大阪」間の全部を通すことはしないが、「京都−松井山手」間だけは通す。(つまり、「松井山手−新大阪」間だけを廃止する。)
 そして、松井山手で、リニア新幹線と接続する。


 この場合には、金沢方面から来た人は、次の三つが可能だ。
  ・ 京都で乗り換えて、東海道新幹線に乗る。(名古屋方面。)
  ・ 京都で相互乗り入れで、東海道新幹線の線路に入る。(新大阪方面。)
  ・ 松井山手でリニア新幹線に乗り換える。(上り・下り)


 この場合、リニア新幹線に接続可能なので、利便性は著しく向上する。それでいて、建設費は、「京都−松井山手」の分だけだから、たいした額にはならない。

 私としては、この案を推奨したい。つまり、
 「 松井山手−新大阪 の間だけを廃止する」

 という案だ。

 ※ この部分(松井山手−新大阪)は、人口密集地を通るので、たぶん地下路線となり、建設費はすごく上昇する。一方、この部分を含めないならば、松井山手のあたりでは田畑が多いので、大半を地上に建設することが可能だ。



 [ 付記1 ]
 「松井山手−新大阪」という路線は、もともと必要性が薄い。
 第1に、新大阪という駅は、利便性が低い。阪急や阪神の路線と接続していないからだ。新大阪から梅田まで行くのに、手間と時間がかかる。新大阪では、乗り換えも大変だ。実は、京都駅から梅田駅に行くには、新幹線よりも、在来線の方が速い。だから、乗り換え案内を調べても、「新幹線で新大阪乗り換え」という選択肢は出てこない。
 第2に、松井山手から北新地駅(梅田駅のそば)までは、片町線が通じている。41分で着く。これを新幹線にするメリットは大きくない。「松井山手から、新大阪で乗り換えて梅田駅へ」というルートを取る人は、少ないだろう。この点は、第1の場合と同様だ。
 
 以上の2点から、「松井山手−新大阪」という路線は必要性が薄いとわかる。大阪の場合、新大阪という駅が中心部(ハブ)からはずれていることが、致命的に痛い。東京駅とは事情が異なる。

 要するに、北陸新幹線を新大阪までつなげても、その先の利便性が低いので、新大阪までつなげることのメリットは低いのだ。
 金沢方面からずっと乗ってくる人は別として、松井山手の近辺に住んでいる人は、松井山手から新大阪まで北陸新幹線に乗ることはろくにないだろう。
 ちなみに、新横浜と品川の間は、時間で 16分、料金で 2860円。松井山手から梅田までだと、料金は同じぐらいだろうが、新大阪で乗り換えの時間が追加されるので、時間はあまり短縮されない。

 [ 付記2 ]
 コメント欄に興味深い意見が寄せられた。
 「いっそのこと、米原で接続すれば?」
 という案。



 なるほど。これはこれで「あり」だと思う。建設コストは格安だ。
 リニアには接続できないが、走る距離が短くなるので、名古屋までなら時間は短くなるだろう。東京までだと、微妙だが。
 この案だと、名古屋まで行くメリットが最大となるので、北陸圏は、関西よりも名古屋との結びつきが強まりそうだ。
 ここは、一長一短というところ。
 ただし、米原ルートだと、京都・大阪への時間は少し増えてしまうが、名古屋・東京への時間は大幅に短縮する。東京のことも考えて、総合的な利便性を見ると、米原ルートが最も便利だとも思える。(リニアとは接続できないが。)

 なお、コスト面で言うと、米原は費用対効果が 2.2 なので、収益性は圧倒的に優れている。(ボロ儲けとも言える。)
 なお、ボロ儲けするのは、「建設費負担なしで売上げが上昇する」という JR 東海だ。JR 西は「売上げが減る」というデメリットがある。
 そのせいか、現状では、JR西は米原ルートに反対している。「これじゃJR東海ばかりが儲かって、こっちはうまみがない」ということらしい。
 この問題(利益の偏り)を解決するには、「北陸新幹線の建設費を、JR西でなく JR東海が負担する」というふうにすればいいだろう。こうすれば両社にとってメリットが生じる。
 仮に、それでもまだ JR西 が強硬に反対するとしたら、その場合は、「敦賀−米原」の路線を全部 JR東海に担当させてしまえばいい。JR西には「いやならやるな。引っ込んでいろ」と言うわけだ。これで落着。
( ※ 建設は JR東海で、列車は JR西で、JR西が JR東海に線路使用料を払う、という形。レンタルみたいなものだ。)

  参考:Wikipedia 「米原ルート」



 【 関連サイト 】
 北陸新幹線の開業時期。
 小浜・京都ルートはおよそ130km程度にもかかわらず、着工が2031年、開通が2046年と、完成までにあまりにも時間がかかる。
「全線開業想定が2046年?中央リニア大阪開業より9年も後なんですけど…」
リニア新幹線の東京〜大阪間は2037年に開業予定となっており、着工に際しては改めて存在意義が問われることになりそうだ。
( → 北陸新幹線延伸の小浜・京都ルート 「2046年開業」に呆然

posted by 管理人 at 23:59| Comment(9) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  [ 付記 ]  を加筆しました。
 大阪のローカルの事情。新大阪駅の不便さの話。
Posted by 管理人 at 2017年03月22日 20:10
ご指摘面白いと思います。
確かにリニア開通後であることを考えると東海道新幹線に乗り入れるのが最適かも知れませんね。
乗り入れの案は聞いたとがありましたが、リニアと絡めての議論は、少なくとも私は聞いたことがありませんでした。
Posted by 1 at 2017年03月22日 21:52
今更ですが、
やっぱり米原につないで名古屋方面は対面乗り換え、新大阪方面乗り入れ、がベストだったのでは?
米原ルートは、東海道乗り入れができないからダメという話だったのは、リニアの前に完成してしまうから、だったと思います。しかし、リニア完成後は乗り入れでもよかったと思うんだよな。
Posted by pv3taro at 2017年03月23日 00:07
新幹線が通ると在来線がカスカスになったり廃線になったりすることのほうが
地元民にとっては影響が大きい
Posted by 田舎者 at 2017年03月23日 08:18
そもそも大阪金沢間は今でも在来線特急の独占状態だから新幹線を作ったところで需要が増えるわけではない
作るならまだ名古屋需要が見込める米原ルートしかないだろう
小浜ルートはあまりにも無駄
Posted by ナナシ at 2017年03月24日 20:54
 あと、新幹線の建設には国や自治体から補助金が出ている。(駅舎建設費など。)
 こういう補助金は邪道なので、それを廃止することが最優先となるだろう。となると、営業係数が 2.2 となる米原ルートが最善となる。これをもって補助金総額を大幅に削減できそうだ。
 他のルートについては、「補助金ゼロでやれ」と言ってやるべし。(ゼロでなくても大幅削減。)
Posted by 管理人 at 2017年03月24日 22:40
北陸新幹線の整備計画に名古屋なんて関係ない。
何で大阪より優先しろとか主張できるだろ。
整備新幹線なんだから整備計画で行くのは当たり前。
ようするに大阪へ行くのが嫌なだけだろ。
何で西から東海に変えろとか怖いですね、まるで中国ですね。
そもそも東海はそんなに北陸新幹線に興味ない。
整備計画の終点は大阪であって京都ではない
Posted by ひろ at 2017年03月25日 01:43
この話題になると何で整備計画部外者の名古屋人が沸いてくるんだろう。
うざい
Posted by ひろ at 2017年03月25日 01:45
東海が負担(笑)
東海にそんな大メリットがあるならやってるだろ。
さしてメリットもないから乗り入れ拒否の他人事
、JR東海は整備計画とは何の関係もない部外者です。
米原厨房や大阪アンチ厨房は自分の思い通りにする為に○○は協力しろ理論、協力しない奴は徹底的に敵対して叩いて西か取り上げろ。
出来るものならやってみろ、出来ないなら書くな。
Posted by ひろ at 2017年03月25日 01:50
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