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頭隠して尻隠さず、という言葉あるが、頭が隠れるだけ、まだマシだ。ところが日本政府は、もっと馬鹿げたことをやっている。
《 北ミサイル想定、初の避難訓練 秋田・男鹿で小学生ら参加 》
北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次ぐ中、政府は17日、日本領域への攻撃に備え、秋田県男鹿市で初の避難訓練を行った。
県、市との共催。仮想の国「X国」からミサイルが発射され、秋田県沖 20キロの領海内に着弾したと想定し、海に面した男鹿市北浦地区の北陽小学校児童や住民約 110人が公民館と小学校に避難した。
北陽小では、校庭で運動していた児童 44人が、発射を知らせるサイレンを受けて体育館に小走りで避難。周囲で清掃活動をしていた住民も後を追った。
( → 産経ニュース 2017-03-17 )
避難というが、体育館に入っても、それは避難にはならないだろう。ミサイルが着弾すれば、体育館は大破するからだ。体育館に入れば、建物の被害を受けるせいで、かえって被害が拡大しかねない。
避難の目的は、「被害を受けないこと」なのに、体育館なんかに入ったら、逆効果になる。何をやっているんだか。どうせなら、屋外にいた方がまだマシだろう。
( ※ 屋外ならば、爆発の圧力は拡散する。屋内にいれば、爆発の圧力をまともに受ける。これでは被害が拡大する。)
では、どうするべきか? 正しいのは、次のことだ。
「強固なコンクリの建物の東側に身を置く」
こうすれば、コンクリの建物が防護壁になるから、安全とは高まる。(できれば建物から 10メートルぐらい離れるといい。)
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なお、抗弁もあるかもしれない。
「秋田県沖 20キロの領海内に着弾したと想定し、だから、陸上に着弾はしない」
しかし、陸上に着弾しないのなら、そもそも避難の必要はない。また、着弾地が正確に予想できるという保証もない。そもそも、ミサイルが一発だけだという保証もない。
国は迎撃ミサイルという「数量限定の防衛策」という馬鹿げたことをやっているので、「北朝鮮のミサイルは数が限定されている」とう想定でやっているのだろうが、馬鹿げている。北朝鮮がミサイルを飛ばすのなら、数は多数になるはずだ。そのすべてを正確に予想することはできない。としたら、あらかじめ避難することは妥当だ。もちろん、「海に着弾するから安全だ」というような架空の前提を取るべきではない。
【 関連項目 】
北朝鮮のミサイルは数が多数になるので、ミサイルを日本が迎撃することはできない、という話は、別項で示した。
北朝鮮のミサイルはたくさんあるから、少数の迎撃ミサイルを用意したところで、すぐに「弾切れ」になって、何の意味も持たなくなる。たとえ命中率が 100%であろうと、「飽和攻撃」の前にはひとたまりもないのだ。
( → 迎撃ミサイルは有効か? )
【 関連サイト 】
ニュースサイト。
→ www.fnn-news.com )
動画があるので、そこからキャプチャーすると、これだ。

これは、体育館でなく、公民館。これも、建物の中に入るよりは、東側に身を置く方がいい。
[ 余談 ]
そもそも、「海に着弾する」という想定は、いったい何だ? あまりにも馬鹿げた訓練だ。
避難訓練をするなら、「被害が大きくなる」ことを前提とした訓練とするべきだ。したがって、「海に着弾」なんていうのは馬鹿げている。むしろ、
・ 陸上である
・ 都会である (東京近辺や関西など)
という前提で避難訓練するべきだ。そうでなくては意味がない。
なのに、「海に着弾」だって。呆れる。
これはまるで「原発は暴走しない」ことを前提とした避難訓練みたいだ。
あるいは「南海トラフ地震は大被害が生じない」ことを前提とした避難訓練みたいだ。
何をやっているんだか。自己矛盾。
ここまで考えると、これは、「軍事知識がない」というよりは、「災害についての想定が甘すぎる」という問題だな。原発や地震への対策が大甘なのと同様の問題だ。「大被害が起こらないように、好都合に災害が起こる」という前提で考えている。まるで大震災の前の東京電力並みだ。
※ 考えてみたら、(原発事故の原因となる)原発の安全策を大甘にしたのも、第1次安倍内閣だった。下記項目の最後の 【 追記 】 の箇所に書いてある。
→ 安倍晋三のデマ(海水注入の中止)
【 追記 】
続報となる報道があった。朝日の記事。
日本全土をほぼ射程に入れる北朝鮮の中距離弾道ミサイル・ノドンの場合、発射から着弾まで7〜10分と日本政府はみている。発射したことを把握し、弾道を予測し、着弾先の住民になるべく早く伝えることが、避難には不可欠だ。
今回の訓練では、住民が発射を3分後に知る。ゆったりとした暗い音程のサイレンに続き、「先ほどミサイルが発射された模様です」。首相官邸の情報が消防庁経由で自治体に伝わり、防災無線で流れる「Jアラート」という仕組みだ。住民らは掃除の手を止め、続報を待った。
またサイレンが鳴り、「直ちに避難。屋内に避難してください」。発射から5分。政府は北海道・東北付近の領土か領海に落ちると予測し、対象となる地域の住民に避難を呼びかけた。
「屋内に避難」の指示には、訳がある。ミサイルが爆発した場合、周辺にいても爆風や熱に直接さらされないことで死傷者が減るからだ。
屋外にいた住民らは、すぐ公民館へ。高齢者が目立つ。慌てて転ばないように歩き、付近にいた 43人が1分半で避難を終えた。もう一つの会場の小学校では67人参加で2分強。結局、発射から避難終了まで6分半〜7分強。7分で着弾していれば、かなりきわどいタイミングだった。
( → 「7分」でぎりぎり 秋田で日本初のミサイル避難訓練:朝日新聞デジタル )
記事を読めばわかるように、時間はこうだ。
・ 発射から着弾まで7〜10分
・ 発射から5分して、避難を呼びかけた。
以上からして、残された時間は、たったの 2〜5分しかない。これっぽっちの時間で、避難できるはずがない。最短だと2分だが、2分で避難なんて、たいていは無理に決まっている。
また、「ミサイルが爆発した場合、爆風や熱に直接さらされないこと」が大事なら、自宅や職場の屋内にいればいい。なのに、避難するとしたら、屋外に出る。かえって危険になるだろう。何をやっているんだ? 被害を増やす訓練をしているとしか思えない。
特に、直撃のことを考えていない。直撃を考えるなら、コンクリの建物の東側に逃げるべきだ。(本項の前半に書いたとおり。)
まあ、常識的に言ったら、自動車に乗って、窓ガラスを閉めて、建物の東側に逃げるのが一番ですね。
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ただし、秋田みたいな田舎だったら、ミサイルが来ることは、まずあり得ない。ミサイルが破壊する建物よりも、ミサイルの方が、高額になるからだ。
ミサイルが落ちるとしたら、東京みたいな都会か、軍事基地か、橋や発電所などのインフラだろう。特に、原発が危うい。
政府はどうせなら、「原発にミサイルが落ちても安全課」を検証するべきだ。秋田の民家の心配をしているときじゃない。
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[ 補足 ]
「2分で避難なんて、たいていは無理に決まっている」
と記したが、次の記述があった。過去の実績。
発射後3分で警報、5分で避難指示。実績は2012年12月12日は発射後6分で沖縄県を対象に警報、上空通過の2分後に通知。2016年2月7日は発射後4分で沖縄県を対象に警報、上空通過の3分後に通知/男鹿には基地があります。
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