2017年03月15日

◆ PKO 撤退の意味

 南スーダン PKO から自衛隊が撤退することが決まった。その意味を考える。(背景分析など)

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 南スーダン PKO から自衛隊が撤退することが決まった。これについて、5点を考える。

 世論の支持


 そもそも、南スーダン PKO に自衛隊を派遣することについて、世論の支持はどうだったか?
 世論調査によると、国民の半数以上が派遣に反対していたが、賛成も3割程度あった。(駆けつけ警護については、もうちょっと支持率が低いが、おおむね同程度。)
  → 南スーダン駆けつけ警護「反対」56% 朝日新聞調査
  → 駆け付け警護、反対47%=時事世論調査:時事ドットコム
  → 毎日新聞世論調査:駆け付け警護、反対48% - 毎日新聞

 ところが、このたび政府が「 PKO 撤退」を決めた。これについての賛否も同程度かと思ったら、大違い。撤退を「評価する」が 67%で、「評価しない」が 14% だ。つまり、政府が「撤退する」と決めたあとで、なおも「 PKO 派遣」を主張する人は、たったの 14% しかいない。

 政府が自衛隊派遣を決めたときには、軍事オタクみたいな人が賛成のラッパを吹いていたのだが、政府が撤退を決めれば「やっぱり、まずいよね」と掌を返すわけだ。こっちが本音だろう。
 派遣している最中の「派遣支持」なんていう意見は、てんで当てにならないわけだ。


 PKO の意義


 派遣を支持する意見としては、「ここで撤退したら、現地の人が大変な目に遭う」という建前を述べる人が多かった。しかし、これは勘違いに近い。
 自衛隊が撤退しようがするまいが、現地の情勢には大差がない。なぜなら自衛隊はもともと工兵部隊(施設部隊)しか派遣しておらず、もともと道路建設ぐらいしかしていないからだ。重武装していないので、交戦能力もあまりない。現地で介入して戦況を左右するような能力はないのだ。

 そもそも、PKO の原則は、現地がおおむね平和状態であることだ。ときどき散発的な交戦があるぐらいならばいいが、本格的な内戦状態となっては、もはや PKO の前提からはずれる。そして、南スーダンは、そういう内戦状態となっていた。こんな状況では PKO 活動をするというのは、ほとんど矛盾または無意味である。
 いてもいなくても同じだとしたら、被害を防ぐためには、さっさと撤退するべきだった。
( ※ そのことに気づかないで派遣とか駆けつけ警護とかを主張していた人たちは、軍事常識をまったく理解できていない。単におのれの盲目的な信条に従っていて、軍事的な現実を無視していた。まるで急にの本軍だ。戦艦大和みたい。)
 

 代案(援助)


 では、撤退するとして、かわりにどうすればいいか? 単に尻尾を巻いて逃げるだけか? いや、それでは非人道的だ。別に何かをするべきだ。

 政府が取ったのは、「食料援助 600万ドル」という方策だ。
  → 首相、南スーダンへ600万ドル表明 撤収に代わる支援
  → 南スーダンに600万ドルの支援検討 食糧援助など
 
 それというのも、食糧不足で、大飢饉の危険があるからだ。
  → 南スーダン 280万人を襲う食糧危機に警鐘 | 国連WFP
  → 南スーダン、飢餓の中で最も深刻な「飢きん」が発生 | 国連WFP

 ここで金を出すのは、目先の方策としてはいいが、非本質的だ。この食糧不足の原因は、自然災害ではなく、人為的なものだからだ。
 「戦争、国内経済の崩壊、人道援助へのアクセスが確保できないことが主な要因であり、国際社会からの迅速な支援が実現しなければ、多くの死者が出ることは避けられない。」
( → 南スーダンで国連が飢饉を宣言、食糧不足の原因は人為的要因

 つまり、内戦という根本原因を解決することが大切だ。食料だけ(または金だけ)を与えればいい、という問題ではない。
 では、内戦という根本原因を解決するには、どうすればいいか? 


 内戦の本質


 内戦を解決するためには、内戦の本質を理解するべきだ。それは、こうだ。
 「南スーダンでは、大統領派と副大統領派が、武力闘争している。その両者は、別々の民族であり、民族間の争いである。そしてその争いは、利権の確保を狙いとする」

 要するに、南スーダンでは、石油資源があって、巨額の利益を得られる。だからその利益を狙って、民族間で争っている。……これが本質だ。つまりは、すべては金が狙いである。

 そして、こういうことは、他にも見られる。たとえば、こうだ。
  → ガンビア前大統領、亡命直前に12.5億円持ち出しか 国庫ほぼ空
  → ガンビア前大統領が亡命 多額の政府資金「行方不明」
 選挙で負けた大統領(前大統領)が、退任するときに、国庫の金を持ち逃げした……というわけ。大統領が国の金を盗む泥棒だというのだから、何をかいわんや。呆れはてる。そして、これが、アフリカの現実なのだ。

 こういう利権争いで最も有名なのは、フツ族とツチ族の争いだ。大量虐殺も生じた。
  → ルワンダ虐殺 - Wikipedia
  → 20年前に起こった「ルワンダ虐殺」が恐ろしい。

 これをまとめれば、「アフリカ人には、文明や民主主義が成立していない。昔ながらの部落社会だ」というしかない。


 解決策


 ここまで見れば、問題の本質も見えてくる。こうだ。
 「民主主義を理解しない未開人に、民主主義という制度を与えたら、この制度を使いこなすどころか、悪用した。この制度を、利権を得るための手段として使うだけで、文明建設のために使わなかった」

 とすれば、解決策もわかる。こうだ。
 「アフリカ人には、民主主義は使いこなせない。だから当面は、国連主導で、国連の信託統治とするべきだ。つまり、国連が大統領を出して、その大統領の下で民主国家を建設するべきだ。ちょうど、第二次大戦後の占領軍みたいな感じで」

 こうして民主主義国家を建設して、国連主導の下で数十年を経過したら、その後に、現地の人々に被選挙権を与えればいい。そして、そのときまでは、現地ではない外部の人が大統領(または首相)になるべきだ。
 これで解決するだろう。

 実は、この方式には、多大なメリットが付随する。
 「複数の民族の、どの民族が権力を独占することもないから、それぞれの民族が、いずれも納得できる」

 これは、次のことと対照的だ。
 「現状では、複数の民族の、どれかの民族が権力を独占する。多数決または武力で勝利した一派が、全面的に権力を握って、他の民族を排除する。そうなると、排除された民族が怒って、軍事的な内戦に持ち込む」
 
 ここまで理解すれば、何をすればいいかも、はっきりするだろう。そしてまた、現状のどこがおかしいかも、はっきりするだろう。
 南スーダンで PKO が失敗しているのは、たまたまそうなっているのではない。失敗するしかないような運営をしているからだ。民族間の対立を放置しているからだ。
 そして、この根源を無視したまま、単に PKO だけを実施しても(自衛隊を PKO 派遣しても)、それでは本質を無視した対応でしかないのだ。




 [ 余談 ]
 「アフリカ人を未開人扱いするのは、けしからん!」
 と思う人もいるかもしれないが、いまだに内戦なんかをやっている状況を肯定する方が、よほどおかしいだろう。
 なお、これは人種差別とは違う。ただの歴史的発展の段階にすぎない。
 どちらかと言えば、アメリカのトランプの方がやばい。「アメリカ・ファースト」なんていう発想は、部族社会の発想に近い。



 【 関連動画 】


posted by 管理人 at 22:03| Comment(1) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Posted by のぐー at 2017年03月16日 15:08
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