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これは朝日新聞がインタビュー記事で報道している。
→ (インタビュー)新競技場に欠けたもの:朝日新聞 2017-02-21
その趣旨は下記。新国立競技場について。
・ 巨大建築のせいで、緑地が足りなくなった。
・ そこで人工地盤に草木を植えて、緑化する。
・ しかし人工地盤は 50年で崩れる。永続しない。
・ それは偽物の自然だ。だから人工地盤をやめるべき。
・ かわりに、通路を仮設通路にして、五輪後は撤去しろ。
・ これなら、永続的な緑地ができる。
わかりやすくまとめると:
・ 現状:人工地盤を設置する。五輪中も五輪後も。
・ 新案:五輪中は仮設物。五輪後は永続的な緑地。
一部抜粋すると、下記。
「一見、森らしくみえますが、ニセモノの森なのです。世界の潮流となっている自然共生の考え方とは相いれません」
「木を植えるためには、普通より丈夫な構造物をつくらなければなりません。その分、建設コストはかさみます。水やりなど維持管理の費用もかかる。それに無理をして植えた木は長生きしません。コンクリートの建造物の寿命は 50年です。やがてぼろぼろになり、その上の公園とともに壊さないといけない。このままでは負のレガシーを残してしまいます」
「神宮外苑という緑の豊かなところで、すでにあった公園を壊し、その一部を人工的な立体公園に切り替えるのは、制度の趣旨になじまず、本末転倒です」
まあ、「ごもっとも」という感じである。「本末転倒です」という言葉遣いは、威勢が良くて、私好みだ。(私もよく使う言葉だ。 (^^); )
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この方針は、学術会議が提唱した。詳細は、下のリンク。
→ 神宮外苑の歴史を踏まえた新国立競技場整備への提言―大地に根ざした「本物の杜」の実現のために(PDF 2.9MB)
この学術会議の提唱をリードしたのが、上記のインタビューの人だ。(女性)
上記ファイルから画像を抜粋しよう。

この画像の青色部分が、「立体公園」という人工地盤であるようだ。説明は下記。
立体都市公園として定められた区域は、……に示す通りである。ザハ案が白紙撤回され、見直しが行われたものと考えられていたにもかかわらず、面積、区域とも、全く変更が行われなかったことが、この都市計画決定図書及び平面図を比較することにより確認することができる。
環状4号線や補助24 号線上に建設される歩道橋は、延長、それぞれ、100m、60mという長大なものである。このため、地上部の景観の悪化、排気ガスの問題、防犯、交通安全の問題、災害発生時などの避難等に問題が生じる恐れがある。
立体都市公園として、現在計画されている歩道橋や広場については、競技場本体の構造には影響を与えるものではない。しかしながら、動線計画と密接な関係があるため、JSC はこの見直しに速やかに着手し、立体都市公園を撤去することが可能な区域、仮設構造物により将来撤去する区域などを明示し、コストと工期縮減を行い、次世代に負のストックを残さないようにすべきである。
参考で、Google マップを示しておく。
[ 付記 ]
提言では、「渋谷川の復活」も唱えられている。一部抜粋しよう。
提言2
新国立競技場の敷地内には、渋谷川が、暗渠となって流れている。下水道の整備が行き渡っていなかった 1960 年代には、人々の生活に潤いを与える身近な水辺が都市から次々に失われていき、渋谷川も前回の東京オリンピック開催時に地上から姿を消した。2014 年「水循環基本法」が公布され、生命の源としての水循環を回復する施策の展開が行われることとなった。国、東京都、JSC は、協力をし、都市計画の変更がされないがために残った人工地盤上の不自然なせせらぎの整備をやめ、渋谷川を地表面に戻すべきである。21 世紀の地球環境の課題である健全な水循環を回復し、いのちを尊重する自然共生都市への先駆的プロジェクトとして、当該地に、せせらぎを復活させ、憩いの場とし、熱環境、生物多様性の改善をはかり生態系の回廊を創り出していくべきである。
この件に関連する話(渋谷川の暗渠化)は、本サイトでも前に述べた。
→ 東京の水害対策: Open ブログ
→ 東京の暗渠のガイド本: Open ブログ
[ 余談 ]
小池都知事は、どうせなら、こっちの方を問題視するべきだ。金額的にも巨額の節約になる。
なのに、豊洲市場にばかりかかりきりだし、おまけに、延期によって余計な費用がどんどんふくらむばかりだ。節約とは逆に浪費するばかり。困った都知事だ。
そうでない自然なら、どこにでもありますよ。住宅地の公園でも、川のそばの土手でも、田舎の道端や草地でも。
ま、勝手に誤読しないで、意味を正しく理解しましょう。