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「天下りは悪だ」という意見が強い。
その理由は、こうだ。
「省庁の天下りを受けた民間業者が利便を図ってもらう。このことで省庁と民間業者とが癒着する。省庁は特定業者に有利になるように運ぶことで、国民の利益を損なうようにする」
しかし、これは、天下りにともなう弊害であって、天下りそのものが悪であることを意味しない。比喩的に言えば、「自動車には交通事故という弊害があるぞ」と言っているようなものだ。交通事故という弊害があるからといって、「自動車は悪だ」(自動車の存在自体が悪である)という結論にはならない。
一方、天下りには、悪い点だけでなく、良い点もある。
「有能な官僚が民間に入ることで、人材の無駄遣いを避けることができる」
実際、天下り官僚というのは、省庁のトップクラスに上り詰めた人が多いのだから、優秀な人材である。これを「適材適所」で民間に配分することは、決して悪いことではない。(無理に押し込むような場合は別だが。)
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以上のことからして、私としては、こう結論したい。
「人材の最適配分には、マッチング理論を使うべきだ」
マッチング理論については、下記で述べた。
→ 2012年ノーベル経済学賞:マッチング理論
ここで述べた方式で、人材の供給側と需要側とで、最適の組み合わせをすればいい。(具体的な方式は、ノーベル賞学者が示している。その方式に従えばいい。上の項目を読んでもわかる。)
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ひるがえって、現実の方式は、どうか? マッチング理論とは正反対だ。最適配分も考えずに、とにかく「給料の高いところに押し込んでしまえ」というふうになっている。
また、特に「省庁ごと」というのも、よろしくない。これでは、人材と権益とが、リンクしてしまう。
私としては、次のようにするべきだと考える。
・ 情報は、特定部門(人事院?)に集中する。
・ この部門が、人材配分をする。
・ この部門は、ハローワークみたいなものだ。
・ 各省庁は、いちいち個別に担当しない。
・ 民間企業は、この部門に人材派遣を依頼する。
・ そのあとは、マッチング理論で、配分を決める。
このようにすれば、省庁の権益とは、直接的には結びつかない。従って、冒頭の弊害は、かなりの程度、阻止できる。
( ※ この部門は、独立組織にして、独立行政法人にしていいかもしれない。人材紹介会社として、独立採算にすることもできる。紹介料を受け取ることができるからだ。)
【 追記 】
「すでにそうしている」という指摘が、コメント欄に寄せられた。内閣人事局という組織が担当しているそうだ。
私は知らなかったので、ご指摘に感謝します。
【 関連サイト 】
「天下りは駄目だ」という批判をする意見。
→ 文科省天下り もたれ合いに切り込め:朝日新聞(社説)2017-02-22
今回の問題は内閣人事局を通さずに昔ながらの方法で周旋をしていたことでしょう。
むしろ優秀でないからこそ天下るらしい。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/25a7fa04eaca7dcafb5d8f020403de18
強固な天下りシステムがあります。
「優秀な人材だから……」なんていうのは、建前。
ハッキリ言って、民間企業ではクソの役にも立たない、「パイプ」だけを目的とした天下りが少なくないと感じます。
昔のように予定価格の聞き出しとか業界内調整などは難しくなっているようですが、プロポーザル条件の把握とか総合評価方式への対応とか、費用対効果でプラスが見込めるから、採る。
普通に、ハローワークを活用すれば良いんじゃないでしょうか。そして、OBを採用することによるメリットは完全に排除すべきと思います。純粋に人材としてのメリットがある場合に限るような制度にしなければ、「天下り者・採用企業ともに甘い汁を吸える(納税者と同業者が損をする)」現状の天下り制度は無くせないと思います。
確かにそうなんですが その自動車が高度な構造設計でしかもカーボンファイバーで作られたリヤカーだということ
なんじゃないですか
これには異議があります。
なるほどごく一部の方には当てはまるでしょう。
しかし多数は、入省時にはかなりの優秀さを持ち合わせていたでしょうが・・・
1)それは行政能力とは別物であり
または
2)天下り時には燃え尽きた抜け殻のようになっておられる
などなどに当てはまってしまうのではないでしょうか?
問題は、本来の能力よりも、もっと高い地位につけること。たとえば、大学学長とか。それは明らかにミスマッチ。
しかし、事務局長とか、事務局長補佐とか、そのくらいのレベルなら、十分に勤まるでしょう。
現状では、過剰な地位に就くことが多いので、問題になっています。それ相応の地位に就くようにすれば、何とかなるでしょう。一律に排除するよりは、適正なマッチングが好ましい。
省庁のトップクラスまで上り詰めたような人はそれ相応の地位と報酬が欲しいでしょ。
まずは再就職する本人の意思と再就職先がマッチするシステムにしないと問題は解決しないと思われ、抜け道を探すだけでは?
過剰な地位を用意しないなら、再就職する本人がそれ相応の地位を求めるような何かが必要ですね。
本人が決めるんじゃなくて、後輩が決めているはず。
「ここで制度を維持すれば、俺の番になったときにも、その時点の後輩が何とかしてくれるはず」という期待で。
この後輩は現役官僚だ。だから、この後輩たちをどんどん摘発すれば、状況は改善する。現状は、そうなっているようだ。
なので、やっぱり本人が「相応の地位」につきたいと思う何かが無ければいけない。
後輩に過剰な地位を期待するようなのは、優秀でもないし、役にも立たないので、一般の企業では役所とのパイプ以外の価値は無いよね。
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そうは限らないんだな。ミスマッチというのがある。
だから結婚も不調で、世の中には、大量の未婚男女があふれている。
vvvv
「相応の異性は自分で探せる」
なんてことが成立するなら、そういう現状にはなっていない。
溢れてる未婚男女の大多数は一般庶民ですから、少数の優良物件である(優秀なw)天下り役人とは違うと思います。
そもそもそういう優秀な人材が欲しい企業はハローワークや就職情報誌に載せるだけで済むはずです。
少数のエリートを取るために、ハローワークや就職情報誌に掲載するなんて、効率が低すぎる。日本でも数十人か百人ぐらいに知らせるために、毎月何十万人にも情報を掲載するなんて、無駄の極み。
ハローワークや就職情報誌に掲載する求人は、凡人向けです。そんなものは、エリートは見ない。
エリート向けの求人は、今でも一本釣りが主流です。