2017年02月03日

◆ 日産の自動ブレーキが駄目なわけ

 日産の自動ブレーキが駄目なことには、理由がある。ドイツのコンチネンタル社の部品を使わない(使えない)ことだ。

 ──

 前項で述べたように、政府は「自動ブレーキの義務化をしよう」と検討しているそうだ。
 記事には、「各社の自動ブレーキの性能には大きな差がある」という記述があることから、「このような差をなくそう」という意図があると見ていい。要するに、政府の方針は、「性能の低い自動ブレーキは排除する」ということのようだ。

 これは、当り前だろう。私も前に、「性能の低い自動ブレーキを排除せよ」という趣旨で述べたことがある。
  → 高齢者の事故・自動ブレーキ・保険

 しかし、である。そうなると、日産自動車は、すべての新型車が販売中止になってしまうだろう。なぜなら日産自動車は、日本の会社のなかで唯一、劣悪な自動ブレーキを搭載しているからだ。前出の通り。
  → 日産の自動ブレーキ(他社比)

 ではどうして、日産だけは、劣悪な自動ブレーキなのか? 調べてみたところ、事情が判明した。

 ──

 実は、日産以外のすべての自動ブレーキがまともであるのは、理由がある。ドイツのコンチネンタル社の自動ブレーキを搭載しているのだ。これが、高性能かつ安価であるので、他社は皆これを搭載している。
  → コンチネンタル、日本での受注額2年で倍
  → 自動ブレーキでトヨタ採用 デンソー猛追、独製センサー
  → コンチネンタル製センサー
  → 急浮上したドイツの自動車部品メーカー『コンチネンタル』とは?
  → コンチネンタル、新センサーモジュールを開発…トヨタに提供

 一部抜粋しよう。
 コスト競争力で優位にあったことに加え、「(デンソーとの間で)技術力に明確な差があった」。
 トヨタだけではない。ホンダの自動ブレーキシステム「シティブレーキアクティブシステム」にはレーザーセンサーを、マツダの安全システム「i−ACTIVSENSE」には短距離レーダーやカメラなどをコンチネンタルが納入している。
( → コンチネンタル、日本での受注額2年で倍

 トヨタ、ホンダ、マツダが採用しているわけだ。
 これ以外にも、スズキ・ワゴンRにも搭載された。
 ワゴンRでは、単眼カメラと赤外線レーダーで車や歩行者を認識し、自動的にブレーキをかける「デュアルセンサーブレーキサポート」を軽自動車に初採用した。
 デュアルセンサーブレーキサポートでは、全てのセンサー類が独コンチネンタル製。スズキはこれまで、軽自動車「スペーシア」などに日立オートモーティブシステムズ製のステレオカメラを積んでいた。今年1月に発売した小型車「スイフト」とワゴンRから、コンチネンタル製に切り替えた。
 コンチネンタルのセンサーは、トヨタ自動車の衝突回避支援回避パッケージ「セーフティセンスC」でも使われている。スズキの担当エンジニアは「(コンチネンタル製センサーは)コストが魅力だ」と明かす。トヨタの売れ筋車種である「アクア」や「シエンタ」「カローラ」「ヴィッツ」などに搭載されたことで、量産効果が出ているとみられる。
 スズキが日立オートモーティブからコンチネンタルに切り替えた理由はコストだけではない。コンチネンタルのセンサーシステムは小型なのがもう一つの魅力だったという。「ステレオカメラは(比較的大きいので)室内空間が犠牲になる。なるべくユーザーに広く感じてもらいたかった」。ワゴンRの開発担当者である四輪商品第一部の新美大輔氏はこう言う。
 デュアルセンサーブレーキサポートの開発に当たっては、スズキがソフトウェアの共同開発をコンチネンタルに提案。開発初期から、歩行者検知の機能を盛り込むことを決めていた。トヨタのセーフティセンスCには歩行者検知機能は搭載されていない。ほぼ同一のハードウェアを使っているが、ソフトウェアの進化で機能を追加したわけだ。
( → 日経ビジネスオンライン 2017-02-02

 ステレオ・カメラにこだわるスバルを除いて、ほとんどすべての会社がコンチネンタルの自動ブレーキを採用しているわけだ。

 ※ 単眼カメラに加えて、高いのはミリ波レーダー、安いのは赤外線レーダーを併用する。
 ※ ミリ波レーダーの価格は、5,000〜17,000円ぐらい。
   → ミリ波レーダーの低コスト化

 ──

 ところが、この流れから1社だけ、はずれている会社がある。日産だ。日産だけは、コンチネンタルのセンサーを使わない。かわりに、イスラエルの Mobileye 社製のセンサーを使う。そのせいで、低性能な自動ブレーキとなる。
( ※ 単眼カメラ専用で、ミリ波レーダーも赤外線レーダーも搭載しないからだ。)

 ではなぜ、日産は Mobileye 社製のセンサーにこだわるのか? よほどユダヤが好きだからか? 
 調べてみたところ、次の記事が見つかった。
  → Mobileye、日産とのパートナーシップを発表
 日産は Mobileye とパートナーシップを結んでしまったのだ。要するに、悪女と結婚したようなものだ。離れたくても、離れられない。離れようとすれば、莫大な違約金を取られるのかも。
 かくて、優れた製品を出すコンチネンタルとは交際できずに、いつまでも Mobileye とくっついているわけだ。かわいそうに。
 で、最終的には、日産は、新型車を販売できなくなり、会社そのものが倒産することになるのかもね。政府の方針で、高性能な自動ブレーキが義務づけられた時点で、日産はもはや新型車を販売できなくなる。倒産確実、ということか。

 ま、MRJ の三菱自動車とか、原子力発電の東芝とか、液晶のシャープとか、失敗した会社はいっぱいある。日産もまた、そのうちの1社になる、ということらしい。



 【 関連サイト 】

  → コンチネンタル (自動車部品製造業) - Wikipedia
 従業員は 20万人。タイヤのほか、自動車電子部門がある。その前身は、シーメンスの部門。(買収した。)

  → Mobileye - Wikipedia
 従業員は 350人ぽっち。ただの中小企業である。元は、大学教授の設立した、個人企業。10年前には、技術水準が傑出していたが、今ではもう会社の規模が小さすぎる。自動ブレーキが世界的な大産業になりつつあるときに、従業員 350人の中小企業は、もはや出番ではない。
 にもかかわらず、こんな会社に依存するのだから、日産の経営はおかしいね。正常な判断ができなくなっている。スズキの経営者でさえできることを、まともにできない。

 日産は、自動車の衝突を阻む自動ブレーキの研究はしていたが、しかしながら、ゴーン社長の暴走だけは、どうしても止められなかったようだ。ゴーン社長にこそ、自動ブレーキが必要だったのだが。


posted by 管理人 at 20:00| Comment(9) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
英語ができるが技術がわからない人が、綺麗な英文資料に騙されたってことでしょうか。
本当は技術がわかるが英語は読める程度の人が内容を精査していたのでしょうが、そういうエンジニアがいなくなったのなら末期です。
Posted by 京都の人 at 2017年02月03日 23:46
ちょっと酷い内容ですね。mobileyeは画像処理に特化した企業で、所謂ファブレスですよ。画像処理技術自体は既に車両カメラの分野ではスタンダードになってますので、コンチネンタルのカメラセンサーも処理チップはmobileyeの物だとお思いますよ。

日産がフュージョンセンサー使わないのはコストの問題だと思いますが、次辺りからはコスト下がってきたしフュージョンセンサーになるんじゃないですかね。企業姿勢としてどうかとは思いますが。
Posted by あと at 2017年02月06日 09:14
> コンチネンタルのカメラセンサーも処理チップはmobileyeの物だとお思いますよ。

 そうですね。確認しました。
  → http://prw.kyodonews.jp/opn/release/200808147719/

 しかし、それならなおのこと、コンチネンタルを使えばいい。カメラとレーダーの双方を使えるのだから。
 あえてカメラだけに限定する日産の方針は馬鹿げている。自分で右手を縛っているようなものだ。他社は両手を使えるのに。

 日産の「単眼カメラだけ」という方針は、下記の引用部で示した。
  → http://openblog.seesaa.net/article/445837323.html

 なお、次の記述もある。ベンツの例。

>> 「ステレオカメラに関しては、SクラスはContinental(コンチネンタル)製だったが、新型EクラスではMobileye(モービルアイ)製となっている。」
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1603/28/news016_2.html

 Mobileyeを採用するにしても、ステレオカメラを選択できる。ベンツはそうしている。単眼カメラ(だけ)にこだわるのは、日産だけ。
Posted by 管理人 at 2017年02月06日 12:36
他のとこにコメントついてましたが。日産がどうかはおいといて、mobileyeを本文では酷く馬鹿にしてますが、自分の認識不足だったことは理解できましたでしょうか。

実際フュージョンセンサーといっても赤外線レーザーが有効な範囲は限られているので、カメラ一つでも50〜60km/hくらいなら止められるのはmobileyeのアルゴリズムが優れているからです。これは世界でもmobileyeくらいではないでしょうか。

日産の車が止まらないのは多分日産の技術不足なんでしょうね。次からはなんとかしてほしい、というかいい加減遅すぎるとは思いますが。
Posted by あと at 2017年02月06日 22:04
> mobileyeのアルゴリズム

 たいしたことないですよ。同種の技術は、あちこちでいっぱい公開されています。似たり寄ったり。
 原理が、技術的につまらない原理なんだよね。高コントラストが前提で、低コントラストのものには向いていない。安全性が低い。あくまで安さが優先される。
 将来的には消えてしまう技術だと思う。

> これは世界でもmobileyeくらいではないでしょうか。

 本文中に書いてあるように、スズキとコンチネンタルも開発したそうですよ。あとからちょっと出てきて、あっさり開発したんだから、たいしたものだ。
Posted by 管理人 at 2017年02月06日 23:11
多分mobileyeのチップ使って使用料払ってると思いますけどね。
まぁ管理人さんの程度がわかったのでもう返信する事ないと思います。思い込みが強いと色々大変だと思いますが頑張ってください。
Posted by あと at 2017年02月07日 00:09
> カメラ一つでも50〜60km/hくらいなら止められる

 本当にそうなら、セレナで実現しているはずなんですよね。一番近い日産の車で実現していないんだから、駄目なんじゃないの? 
 実現するとしたら、日産は何のためにパートナーシップを結んだのか。せっかく得た技術を使うためではなく捨てるために? まさか。

 ──

 いろいろ考えると、論理的に成立するのは、次のことだ。
 「基本技術は mobileye の技術(輪郭抽出と差分)だ。しかしながら、それを発展させて高精度化したのは、コンチネンタルだ。日産は mobileye の技術だけを得て、コンチネンタルの技術を得ないから、基本技術があるだけで、高精度化はできなかった。だから、日産のセレナは、とりあえずは自動ブレーキはできるが、高精度化はできなかった」
Posted by 管理人 at 2017年02月07日 00:59
> Posted by 管理人 at 2017年02月06日 12:36

のコメントは、間違って他の項目にくっつけていたので、本項に移転しました。
Posted by 管理人 at 2017年02月07日 07:39
 よく考えたら、Mobileye は、単眼カメラ方式の基本技術を特許で押さえているはずだ。だからライバルは、方法を知っても、商売にできない。Mobileye と提携した上で、基本技術を発展させる部分でのみ、競争することになる。

 そこを理解しておけば、コンチネンタルなど、あちこちのメーカーから選んで、最適の部品を買えばいいとわかる。
 そこがわからないと、Mobileye 1社と契約すれば最高の製品が入手できる、と勘違いする。
 そういうことのようだ。

Posted by 管理人 at 2017年02月07日 12:48
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