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太陽光発電の推進で、メガソーラーが各地でどんどんできている。通常は既存の更地にできることが多いようだ。一方、田畑などの農地を使うことは、農水省の「農地転用の禁止」みたいな方針のせいで、抑止されているようだ。(たいていは許可を申請しても「農地転用は不可」という理由で、拒否される。)

一方で、未開発の自然の地域は、「エコのため」という理由らしくて、どんどん開発が許可されているようだ。そのせいで、環境破壊が進んで、絶滅危惧種の存続が危惧されているそうだ。
この話は、本日の朝日新聞に掲載されていたが、さすがの朝日も、「環境保護」よりは「太陽光発電の推進」の方が優先されるらしい。(エコだという理由で。)
だから、「太陽光発電のせいで環境破壊」というような趣旨にはなっていない。しかし、事実はまさしく、「太陽光発電のせいで環境破壊」なのである。
該当部分を引用しよう。
希少な野生生物の絶滅を防ぐ種の保存法が、生息地の土地開発で調整力を発揮できていない。
種の保存法の保護対象、ベッコウトンボがすむ大分市沿岸の工業埋め立て地に2014年、丸紅がメガソーラー発電所を建設した。生息していた4ヘクタールの池と周辺の草地にも太陽光パネルが作られ、生息地は 1.5ヘクタールに減った。
松木和雄・日本トンボ学会前会長は「絶滅は時間の問題だ」と指摘する。狭いとベッコウトンボが生息できる環境を保つのが難しいためだ。
環境省は鹿児島県の池を種の保存法に基づく保護区に指定したが、大分市ではしていない。学会は環境省に検討会の設置を求めたが、開かれなかった。環境省の担当者は「保護区外では対策を事業者に求める法的手段はない」と言う。
生息地はもともと農地整備など、開発から取り残された場所だった。自治会長の塚田勇さん(72)は「保護も開発も大事だが、遅れた地域にやっと来た好機を批判されたくない」と言う。
( → 「種の保存法」実効性に課題 生息地保全か地域振興か:朝日新聞 2017-01-20 )
要するに、絶滅危惧種の絶滅を防ぐために、規制をかけたいのだが、現地は「保護区」には指定されていないのだ。そこはただの沿海部である。(自然はあるが。)
そこをつぶして、下記のようなソーラーパネルを敷設した。
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この手の環境破壊は、東京湾でも、しばしばなされた。湾岸の砂浜を次々と埋め立てていったのである。そのせいで、東京湾は、「砂浜による浄化機能」を次々と失っていって、一時は「死の海」に近くなった。
それでも、とりあえずは「三番瀬」という砂浜が残っているこで、ここで東京湾の水は浄化されている。しかるに、この三番瀬が埋め立てられたら、東京湾の水は浄化されなくなり、東京湾は「死の海」になりそうだ。
なお、現状では、東京湾では多様な魚が獲れている。(近年の河川浄化のおかげで。) とはいっても、まだまだ危機的な状況だが。
→ 死の海だった東京湾! 身近な海の“今”を知る
話が逸れたが、ともあれ、東京湾でも次々と埋め立てで環境が破壊されていった。それと同様に、大分でも、残された自然をどんどん破壊しつつある。「どうせ都会なんだから、どんどん開発したって構わない」というような理屈で。また、「開発すれば金儲けができるさ」というような理屈で。
それでも、これがきちんと採算ベースで黒字になるのならまだいいのだが、実際には、再生エネ法案による補助金が大量に投入される。つまり、事業的には大赤字なのに、補助金のおかげで、事業者だけは黒字になるわけだ。
一方で、一般の国民は、環境破壊という大損害を推進するために、自分たちの金を勝手に使われてしまうわけだ。
もう、詐欺同然ですね。環境詐欺。エコ詐欺。
[ 付記 ]
朝日の記事では「保護区」をきちんと指定できない環境保護法の問題だ、という趣旨で示している。
しかし、そうではあるまい。たいして必要性もないところで、やたらと自然破壊を推進するという、太陽光発電の促進策こそが大本の元凶だろう。そこを指摘するべきだ。
だいたい、太陽光の開発でなければ、開発許可が下りたかも怪しいものだ。(もともと更地だったわけではない。緑豊かな自然だったのだ。)
開発以前のときの衛星写真。(Google Earth)

※ この画像はいちおう掲載したが、どこがどうなのかは、
あまりよくわからない。もともとの緑地や池は不明。
【 関連サイト 】
丸紅の、大分のメガソーラー(画像あり)。
→ 日本最大82MWのメガソーラーが大分で運転開始
→ 国内最大82MWのメガソーラーが竣工、大分臨界工業地帯
→ 日立製作所、丸紅より受注の82MWpの大分ソーラーパワーを竣工
→ 国内最大規模のメガソーラー、80MWで2014年3月に稼働開始
ソーラー設置したりしてます
田畑より規制が緩いので
(同じ町に20年以上住んでると簡単に宅地許可がおります)
武蔵野の雑木林はどんどん消滅しています
落ち葉を肥料に使ったり、雑木を薪に使ったりしなくなり
人手不足で手入れもされていませんが
動物にとっては貴重なすみかです