2017年01月15日

◆ トランプ大統領の衝撃 2

 トランプ大統領はひどいものだが、こういう大きな結果をもたらしたのは、ごく小さな出来事だった。それはロシアの介入だ。

 ──

 トランプ次期大統領が記者会見で、メディアと大喧嘩したことが話題になった。
 《 【トランプ次期大統領】「偽ニュースは無礼だ」対露問題追及の記者質問にいらだち露わ 》
 11日のトランプ米次期大統領の記者会見では、米大統領選へのサイバー攻撃にロシアが関与したとされる問題をめぐり、トランプ氏とロシアの関係を追及する質問が相次いだ。当選後の初会見で、ビジネスから退き大統領職に専念する姿勢を強調したかったトランプ氏の思惑は外れ、意に沿わないメディアにいらだちをぶつける場となった。
 「無礼はやめなさい。君の質問には答えない。偽ニュースだ」
 何度も質問しようと試みる米CNNテレビの男性記者に、トランプ氏はこう言い放ち、発言を認めなかった。CNNは会見前日の10日、ロシアがトランプ氏の「不名誉な個人的、財務的情報」を保持していると最初に報道したためだ。
 世界各国から約250人の記者が集まった注目の会見で、トランプ氏は終始、この問題への対応に追われ、「(内容は)捏造(ねつぞう)だ。事実ではない」と怒りをあらわに。「不名誉な情報」が書かれたメモを公開したネットサイト、バズフィードニュースについては、「ごみの山」とまでこき下ろした。
( → 産経ニュース

 何ともまあ、品がないことだ。誰もが呆れ返っているようだ。当選直後には、「トランプは案外まともらしい」という希望的な楽観も出たようだが、それはただの蜃気楼だったようだ。選挙中にも見せた粗暴さ・下品さが、記者会見ではっきりと出てしまったようだ。

 ──

 トランプがこういう人物であることから、この先のことに懸念する旨、私は前に書いた。
  → トランプ大統領の衝撃
 そこでは、次の趣旨で述べた。
  ・ ほんのわずかな票の差が、結果を大きく左右した。
  ・ トランプは妥協しないタカ・タイプだ。


 前者では、小さな差が大きな差をもたらすので、バタフライ効果に似ている、と示した。
 後者では、タカ・タイプの特徴として、妥協しないで対決するタイプだ、と示した。このタイプでは、妥協しないゆえ、結果は中間的にはなりにくく、極端な結果になりやすい、とわかる。

 さて。この二つのことをまとめると、次のことが言える。
 「ほんのわずかな票差が、結果的には世界の運命を大きく左右する。ひょとしたら、第三次大戦の発生」というような大事件をもたらす。

 これはちょっと、第1次大戦の勃発に似ている。もともと不安定な状況があったところで、皇太子の暗殺(サラエボ事件)が起こり、これが第1次大戦を開いた。たった数人の小さな石が、世界規模の大戦争をもたらしたのである。

 ──

 さて。これと似たことが、トランプ大統領の誕生においても起こった。
 そもそも、トランプ候補は、セックス・スキャンダルのせいで、当選の見込みはまったくない……というのが、選挙一カ月前の状況だった。この時点ではトランプ大統領の目は完全に消えた、と誰もが思った。
 ところが、その後、FBI がクリントン候補のメール問題を大々的に取り上げた。
  → クリントン氏の私用メール問題、FBIが再捜査( 2016年10月30日 )
 これで形勢が大変化して、トランプとクリントンは伯仲するほどになった。
 ところが、この FBI の介入は、どうやらロシア情報局の介入があったらしい。ロシア情報局が、民主党のデータをハッキングして、FBI に提供することで、クリントン候補に不利になるように仕向けたらしい。
 ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官はロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がクリントン氏に対して持つ個人的な恨みや、国務長官在任中の私用メール問題で米連邦捜査局(FBI)が投票日直前に捜査再開を公表したことが大統領選の敗北につながったと述べた。
( → AFPBB News 2016年12月17日

 米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省(DHS)は28日(現地時間)に発表したロシアの米大統領選ハッキング関連分析報告書で、ロシアの2つのハッキング集団を指摘した。
( → 東亜日報 December. 31, 2016

 この疑いが強まったので、米国司法省も調査に乗り出した。
 米司法省のマイケル・ホロウィッツ監察長官は今日(米国時間1/12)、2016年選挙に関連するいくつかの事件、特にヒラリー・クリントンのメール問題の扱いに関して、FBIの対応に問題がなかったかを調査中であると発表した。
( → TechCrunch Japan

 肝心のロシアはどうかと言えば、悪びれずに、事実上認めたも同然だ。プーチン本人が語っている。
  米大統領選を巡る一連のサイバー攻撃について、プーチン氏は「問題の本質は誰がやったかではなく、暴露された情報が事実だったということだ」と繰り返している。
( → 朝日新聞 2017-01-15

 ロシアがやったという疑いについて、否定もしないのだから、やったのは明らかだろう。
 というわけで、ロシアによる、米国大統領選への介入があったわけだ。こうしてロシアの介入が、米国の大統領選挙の結果を左右したわけだ。(サラエボ事件みたいに。)

 ──

 で、このあと、どうなるか? 
 プーチンとしては、「ロシアはトランプのスキャンダルを握っているから、脅迫して、こっちの意のままに操れる」と思っているのだろう。
 しかし、トランプのことだから、頭に来て、核ミサイルのボタンを押してしまうかもしれない。


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 こうなる可能性は、十分にある。人類滅亡寸前。

 「まさか」と思うかもしれないが、そう思う人は、イラク戦争を思い出すがいい。
 父ブッシュは、イラクの国境で軍を止めたので、特に世界規模の大戦争が起こったわけではなかった。あの戦争は単にクウェートとイラクの間だけにあったもので、湾岸に限られたものだった。
 しかしその後は違った。子ブッシュは、イラクに侵攻して、イラク全土を破壊した。その結果、イラクを崩壊させただけでなく、中東全体を無秩序化した。荒廃したイラクのあとで、イスラム国がのさばり、シリアを破壊して、シリア難民を流出させた。その大量の難民を受けて、欧州は移民に悩まされた。のみならず、英国は EU 脱退を決めたし、他のフランスその他でも移民問題で国が割れるようなありさまだ。欧州はほとんどバラバラになりつつある。これほどの壊滅的打撃を欧州にもたらすことになった。
 では、その根源は、何か? 子ブッシュがイラクに侵攻したことだ。では、そのまた根源は? 子ブッシュが大統領選で僅差で勝ったことだ。実は、子ブッシュは、票数ではゴアに負けていた。なのに、(子ブッシュの弟が知事をしていた)フロリダ州で、選挙不正をして、票数を操作して、子ブッシュの票を増やし、ゴアの票を減らした。こうして選挙不正による小さな票差が、大統領を子ブッシュにするかゴアにするかという結果を左右した。そして、それが、のちに大々的な差をもたらしたのだ。

 今日の欧州の大混乱の原因は、フロリダ州における選挙不正という小さな出来事だった。それが大きな差をもたらした。
 今日の米国の大混乱の原因は、ロシア情報局による情報の不正アクセスという小さな出来事だった。それが大きな差をもたらした。
 そのいずれも、第1次大戦をもたらしたサラエボ事件のようなものだ。
 ほとんどバタフライ効果だとも言える。歴史の分水嶺では、不安定な状況を左右するのは、小さな出来事なのである。



 [ 付記1 ]
 バタフライ効果については、下記で説明した。
  → リビア情勢とカオス理論: Open ブログ

 [ 付記2 ]
 フロリダ州における選挙不正があったことについては、今日ではネット上には情報はあまり残っていない。だが、当時は朝日新聞などで詳しく報道された。そちらを調べればわかる。



 【 関連サイト 】 ( 2017-03-21 )
 トランプ大統領の当選のためにロシアが介入した、という話は、下記でも報道されている。一部抜粋しよう。(詳細は元記事で。)
 米国の情報機関を統括する国家情報長官室は6日、大統領選を標的にしたロシアによるサイバー攻撃について、プーチン大統領が指示したと結論付ける報告書を公表した。ロシアによるサイバー攻撃は、民主党のクリントン前国務長官の選挙活動を妨害し、トランプ次期米大統領を後押しする狙いがあったと指摘した。
( → サイバー攻撃、ロ大統領が指示=トランプ氏後押し:時事
 米情報機関が先週末に公開したロシアハッキングについての報告書は、プーチンがクリントンに対する執念深い恨みから米大統領選挙に介入したと断定する。
 ロシアが前例のない選挙介入に及びアメリカの政治団体のコンピューターシステムを標的にして、サイバー攻撃で盗んだ情報を流出させたと断定する。
( → ロシアハッキングの恐るべき真相 | ニューズウィーク
 米国情報機関のCIAは、ロシアが米大統領選でトランプ候補を勝たせるためにクリントン陣営にサイバー攻撃をかけたと断定した。
 ワシントンポストが報じたところによると、CIAの極秘調査の結果、ロシア政府とつながりのある人物がクリントン陣営に何千通ものメールをハッキングして得た情報をウィキリークスに提供していたという。
( → ロシアのサイバー攻撃をCIA断定 トランプ勝たせるため: J-CAST
 去年行われたアメリカ大統領選挙をめぐり、FBI=連邦捜査局は、選挙に干渉したとされるロシア政府と、トランプ陣営との間に連携があったのかどうか、捜査していると明らかにしました。
( → FBI ロシアとトランプ陣営の“連携”捜査 | NHK




 【 関連項目 】
 
  → トランプ大統領の衝撃
posted by 管理人 at 20:43| Comment(2) | 一般(雑学)4 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国とは、基本的に国民を保護する砦で、危険を感じたら取りあえず閉めるのは、「ドクターストップ」と云っ大統領で無くても、国境警備隊の権限でも有る筈。判事が其れを禁止する「ドクターアクセル」と云う法理論、リスクマネージメントは存在するのか。アクセルとブレーキを踏み間違えて居ないか。

私の「小嶋裁判傍聴記」にも記した様に、街の信用金庫は、融資は役員が決めても、焦げ付きの危険を察知したら、窓口の係長の権限で止められるのだそうです。若し其れが、ガセネタで、会社やお客に損害を与えたとしても、其れは「リスクマネージメントの範囲内」とされるのだそうです
Posted by 岡田元浩 at 2017年02月07日 01:32
 最後のあたりに 【 関連サイト 】 を加筆しました。
Posted by 管理人 at 2017年03月21日 07:35
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