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糸魚川で大火事があった。
→ 【糸魚川大規模火災】140棟以上に延焼
→ 【糸魚川大規模火災】炎と火柱、町を覆う
→ 【糸魚川大規模火災】日本海側へ強風、真っ赤な炎が点在
→ 【糸魚川大規模火災】密集する建物に強い風 延焼広がる条件そろう
原因はラーメン店の空だきらしい。
→ 大規模火災 出火原因はラーメン店の鍋の空だきか
→ 新潟・糸魚川市大規模火災 「鍋の空だき」が火災の原因か
→ <糸魚川火災>「コンロに鍋かけたまま自宅に」と火元男性
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さて。これを見て、「ひどいボケ老人だ」と詰ることは可能だが、これに類することは、普通の人でもありがちだ。特によくあるのは、次の二つ。
・ ヤカンの空だき。
・ 鍋の空だき
いずれも、長時間の加熱で、水分が蒸発したあとに起こる。本人は、途中で火を止めるつもりだったが、ついつい、忘れてしまう。そのせいで、空だき状態隣、ついには出火する。
実を言うと、この手の空だき防止は、最新式のガスコンロには付いている。安全装置が付いているわけだ。その意味では、安全だ。しかしながら、
・ 古いガスコンロは、そうではない。
・ 最新式のガスコンロでも、一部には安全装置を付けない。
(さもないと強火の加熱ができなくなるから。)
という点があり、安心しがたい。
また、そもそもの話、「安全装置でガスを自動的に止める」という方式そのものが、危なっかしい。「もし安全装置が働かなかったらどうする?」という問題が付随するからだ。
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一方、根源的に安全な方式もある。「ガス(の火)のかわりに、電気を使う」という方式だ。
以前から、オーブントースターや、電子レンジが使われてきた。しかしこれらは、使える範囲が限られている。ガス調理のかわりにはならない。
しかし近年では、ガスのかわりになる調理器が普及してきた。それも、安価になってきた。
次の二通りがある。
IH調理器
IH調理器は、昔からあったが、やや高価だった。しかし今では安価に買える。
http://amzn.to/2i756eM
http://amzn.to/2GGvfuq
1400W の高出力の製品が、5000円前後で買える。かなりお手軽な価格だ。これを使えば、「空だきによる火事」の心配はなくなる。長時間も火をつけるようなケースでは、とても安全性が高まる。お薦めだ。
実は、これは、火事の数日前に私が買ったばかりだ。他に、アィリス・オーヤマの商品もあるが、それは「壊れやすい」という評価が付いているので、お薦めしない。(値段は安いが、安かろう悪かろう、らしい。)
また、火力は強いほどいいらしくて、1400W のものがお薦めだ。
( ※ 家庭のコンセントは 15A の定格なので、1400W が限度だ。コンセントの電圧は、100V ということになっているが、実際には、少し変動があるので、余裕を見て、1400W にしているのだろう。)
私が使ってみての感想は、次の通り。
(1) 火力は強い
思ったよりもかなり火力は強い。中火で焼いていると、すぐに焦げてしまう。
(2) 湯沸かしが早い
ヤカンで火を沸かすのも、ガスよりも時間は短めで済む感じだ。特に、ガスでとろとろ時間をかけて湧かすのに比べると、圧倒的に短い時間で済む。
これはどうしてかというと、IH調理器は、熱伝導率がいいので、強火で過熱してもいいからだ。一方、ガスで湯沸かしするときは、強火だと、熱の大部分が空中に逃げてしまうので、もったいない。そこで、中火よりも弱い火力で湧かすのが普通だが、そうなると、時間がかかりすぎる。
(3) 複数の火力は使えない
ガスコンロだと三つを一度に使えるが、IH調理器では一度に一つだ。三つ使いたければ、三つ買う必要があるが、馬鹿げているね。
というわけで、複数の火力を使うときには、やはりガスを使いたい。ガスコンロと IH調理器を併用するがベストのようだ。
(4) 長時間加熱は安心
長時間の加熱には、安心できる。たとえば、冷えたおでんを温めて食べるとする。ガスだと、火を付けっぱなしだと、安心できない。
しかし、IH調理器だと、「保温」に設定して、そのままほったらかしておけばいい。
「保温 80度」に設定すれば、10分ぐらいで 95度ぐらいの状態まで過熱される。
「保温 70度」に設定すれば、10分ぐらいで 80度ぐらいの状態まで過熱される。
これらは、冷たい状態から、「保温」という設定を利用して過熱したわけだ。(通常は、「保温」は、熱い鍋を温度維持するために使うが、今回は、詰めたい鍋から過熱するわけだ。)
こういうふうにすると、ほったらかしたままで、大丈夫だ。食べる直前に「加熱」というボタンを押すと、数秒で、沸騰状態になる。
(5) 長時間の「加熱ボタン」は駄目。
上記では、「保温」ボタンを使った加熱を紹介した。一方、「加熱」ボタンを使う加熱は、長時間利用に適さない。特に、中火や強火で放置すると、鍋が沸騰状態になって、水がすべて蒸発してしまう。その場合でも、空だき防止装置が働くので、火事になることはない。しかし、こういう使い方は、駄目だ。
ずっと放置するのならば、次のいずれかだ。
・ 「加熱」の「弱火」(300W)。大量の水を入れた鍋で。
・ 「保温」。
このような使い方ならば、水が全部蒸発してしまう心配はないので、放置しても大丈夫だろう。ガスでは絶対にできない「放置」という方法が、IH調理器 では、(部分的には)可能となるわけだ。
(5) 揚げ物の危険性
IH調理器で揚げ物をすると火事になった、という事例がときどきある。(ググればわかる。)
理由は、ステンレス鍋を使ったことだ。ステンレス鍋は、熱伝導率が低いので*、実際の温度よりも低い温度が、センサーで検知される。すると、センサーでは安全だと思って加熱していても、油はどんどん加熱されて、発火点以上になる……ということが、ときどき発生する。
ゆえに、「揚げ物を使うときには、ステンレス鍋を使ってはいけない。絶対に!」という注意が必要だ。この点は、説明書(トリセツ)にも書いてある。
じゃあどうすればいかというと、鉄の鍋を使えばいい。これなら、安全だ。
- * 「熱伝導率が低い」ことを理由としたが、実際は、別の理由があるらしい。コメント欄を参照。
( ※ ただし、「揚げ物にステンレスは駄目」という結論には影響しない。)
(6) フライパン料理
IH調理器が圧倒的に強みを発揮するのは、フライパン料理だ。
ガスでフライパン料理をすると、ガスの火の当たる箇所だけが円弧状に焦げてしまって、その一方、他の箇所は生焼きみたいな状態になる。火力が均等に当たらないからだ。
一方、IH調理器では、火力が均等に当たる。フライパンのどの箇所にも、同じような火力が当たる。だから、フライパン料理では、すごく便利だ。
たとえば、下記。
・ 卵焼き
・ ホットケーキ
・ お好み焼き
・ 魚の切り身
・ 肉(ステーキ)
これらの料理のとき、火が均等に当たるので、とても便利だ。
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以上をまとめると、IH調理器がガスよりも有利なのは、次の三つ。
・ ヤカンの湯沸かし
・ 長時間の煮物
・ 大きな身の焼き物
・ 揚げ物(ただしステンレス鍋は厳禁)
不得意なのは、次のものか。
・ 大火力の中華料理(チャーハンなど)
・ すごく弱い弱火を長時間で使う場合
・ 火力を微妙に細かく調整したい場合
・ 一度に複数のコンロを使う場合
まあ、使い分ければいいですね。6〜8割ぐらいの場合は、IH調理器の方が有利だろう。残りの2〜4割のところで、ガスを使えばいい。(割合は、個人差あり。)
電気圧力鍋
上記の弱点として、
「すごく弱い弱火を長時間で使う場合」
というのがあった。これを補うのが、電気圧力鍋だ。シチューやカレーなどの長時間の煮込み料理を、放置して作ることができる。まさしく、IH調理器の弱点を補うものだ。利用したユーザーからは、絶賛されている。
http://amzn.to/2i780R0
この商品にも、難点はある。値段を抑えるために、サイズが小さめになっているのだ。鍋の容量が2リットルで、内容物の容量が 1.3リットル。ここに、水と肉と野菜を入れるわけだが、カレーの4皿分は入らないそうだ。
となると、大人二人と育ち盛りの子供二人……というケースでは、物足りないようだ。
一方、家族が3人以下であったり、単身者の場合には、十分に役立つことになる。また、タイマーも付いているので、炊飯器のかわりにもなるそうだ。炊飯器を買おうと思っている人なら、これを買ってもいいかも。
( ※ ただし、炊飯器だと、保温機能もある。ご飯を保温するジャーとしても使える。その意味では、電気炊飯器は、炊飯器のかわりにはならないようだ。調理の際に、ご飯が入っていると困るので。)
( ※ ただし、一時的に「炊き込みご飯」を作るには便利だろう。白米とは別に、炊き込みご飯を作れる。)
この商品は、価格はかなり高めだが、調理時間短縮できるので、「時間の節約」「電気代の節約」という大きなメリットが付随する。そのため、利用者からは、圧倒的な好評が来るようだ。
→ Amazon コメント
なお、ときどき故障するケースもあるようだ。この点が心配なら、アマゾンで購入するのがいいだろう。故障時の対応が優れているからだ。
[ 付記 ]
《 注記 》
価格には注意した方がいい。かなり変動する。
IH調理器(上記製品)は、私が2週間ほど前に買ったときには 4950円。そのあと5500円ぐらいに上がり、さらに 5800円ぐらいまで上がった。そのまま高値の維持が続いたが、今見たら、5500円ぐらいまで下がり、さらに見直したら、 5,373円まで下がっている。変動がとても大きい。
ちなみに、価格コムだと、Amazon よりもかなり高いことが多いようだ。
電気圧力鍋も、今見ると 13,200円と表示されているが、1日前に見たときには、11,800円だったはずだ。今は品切れ気味で、値段が高くなっているようだ。価格コムだと、今では 12,800円だ。(執筆時点。)
[ 参考 ]
IH調理器のための 「 IH調理器用の鍋」というのは、どこでも売っているが、スーパーのヨーカドーの独自ブランド商品がお薦めだ。イオンに比べて、半額ぐらい(半額以下)で、同等の商品が買える。特にフライパンが圧倒的に低価格だ。
( ※ ただしサイズに注意。使える鍋の最大サイズは 24cm なので、それより小さいフライパンしか使えない。)
ヤカンは、普通のステンレスヤカンで十分だ。ただし、底に付いている汚れを取り除いた方がいい。金属タワシで取れる。
【 関連項目 】
IH調理器には、カバーを付けるといい。故障防止。
→ IH調理器のカバー: Open ブログ
故障の例は、下記。(こぼれた水が内部にしみこんでショートしたらしい。)
→ 高齢者の調理と火災: Open ブログ
※ コメント欄 ( Posted by 暇な人 at 2018年02月05日 10:15 )
【 追記 】
電気代の話をする。
(i)電気代
電気代については、あまり考慮しなくていい。
実際に払う電気代は、1〜3割ぐらい上がるようだが、もともとの(料理用の)ガス代が少額なので、上がる額は小さい。標準家庭で、800円が 1000円になる程度。
一方、14アンペアも多く使うと、契約するアンペア数を 10〜20アンペア増やす必要がある。もともと余裕があれば 10アンペアでいいが、余裕がなければ、20アンペア増やすべきだ。
一方、「エアコンと併用することはない」(調理中にはエアコンを使わない)とわかっている場合には、アンペア契約を増やさなくてもいいかもしれない。……こういう事情は、家庭ごとに異なる。本人しだい。
なお、20アンペア増えても、月に 500円ちょっと増えるだけだ。たいした額ではない。詳細は下記。
→ IHクッキングヒーターの電気代と節電豆知識
(ii)夏は涼しい
ガスで調理すると、夏には部屋に熱気がこもって、すごく不快になる。しかし、IH調理器ならば、(鍋に蓋をしておけば)熱が部屋にこもらないので、快適である。エアコンの電気代も節約できる。この意味で、夏には、IH調理器が絶対的に有利だろう。
冬はどうか? 逆に、ガスには暖房効果があって有利か? いや、どうも、そんなことはない。ガスで調理しても、部屋はほとんど暖まらない。熱はみんな天井に逃げてしまう感じだ。効果なし。
というわけで、この判定は、「 IH調理器の圧勝」だ。
電気炊飯器の場合も、同様だろう。
【 別商品 】
別の IH調理器 もある。ちょっと値が張るが。
(1) タイマーつき
タイマーつきの商品
http://amzn.to/2iwOKgi
(2) 2口コンロ
二ついっぺんに調理できるタイプ。いずれも高評価。
http://amzn.to/2il9wfw
http://amzn.to/2iy4nQJ
タイムスタンプは 下記 ↓
IH対応の調理器具は底に18/0(Cr18%, Ni 0%)のプレート(磁性を持つステンレス)を埋め込むか圧着しています。圧着品はたまに歪んで底面がフラットでなくなることがあります。ここが危ないところですね。
IH調理器による発火は次が要因であると独法)国民生活センターが検証しています。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20030704_1.pdf
・油が少量過ぎて温度上昇にセンサーが追いつかなかった
・底面の歪みで実際の温度とセンサーの温度に誤差が生じた(空焚きで生じた歪みで固形分の燃焼を含む)
・余熱でも急速加熱されるため油を引く時すでに高音だった
ステンレスは使うな。という内容は正しいですが、理由は異なると思いますので、記しました。
また、我が家ではIH調理器だけではなく無水調理鍋も重宝しています。電気圧力鍋も悪くないと思いますが、容量が足らないのでガスの圧力鍋で一気にやっています。
このコメントを見て、考えてみたら、……
ステンレスの鍋は、底面がフラットではない。板が薄いので、波状に凸凹している。さもないと、強度を保てないからだ。
一方、鉄の鍋は、厚みがあって、強度があるので、底面はフラットだ。
このような形状の違いが、センサーの精度に影響しているのかもしれない。
つまり、ステンレス鍋が駄目なのは、熱伝導率の問題じゃなくて、薄くて形状が凸凹しているから。そう理解するといいようだ。
※ 駄目なのは、揚げ物の場合に限る。
タイマーを使えるが便利で、弱火でトコトコ煮るのです。