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五輪ボート会場は、次の三候補がある。
・ 臨海部の「海の森水上競技場」
・ 宮城県の「長沼ボート場」
・ 埼玉県の「彩湖」
「海の森」の案には、「恒久建築」と「仮設建築」の2案があるが、それは細かいことなので、どうでもいい。
以上の三つのうち、「長沼」は、場所が遠すぎるし、コストもかかるので、論外だろう。競技団体も大反対している。
埼玉県の「彩湖」は、既存の「戸田競艇場」も合わせて考えると、コストは激安で済む。(距離も 2km の直線があって十分だ。)ところがこれは、どういうわけか、最初から「検討外」となってしまった。
→ 東京五輪ボート、カヌー会場 「彩湖」案は絶望的に
かくて、残るのは「海の森」となって、消去法で「海の森」に決まるようだ。
以上が、現状だ。
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しかるに、ここには大きな欺瞞がある。重大な追加コストが隠されているのだ。それは「土地代」である。
「長沼」と「彩湖」ならば、ボート会場を建設しても建設しなくても、土地代には差はない。(その土地を、別に何かの用途に使うわけではないからだ。)
一方、「海の森」ならば、ボート会場を建設するかどうかで、大差が付く。
・ ボート会場を建設する → その土地の購入費が必要
・ ボート会場を建設しない → その土地の購入費が不要
ここで、土地の持ち主がどうやら東京都らしいので、新たに購入費は必要ないらしい。それで、「購入費が必要だ」という事実が隠蔽されている。
しかし、それならそれで、「土地を売却する」という形で同様の結論が得られる。
・ ボート会場を建設する → その土地の売却代金が得られない
・ ボート会場を建設しない → その土地の売却代金が得られる
たとえば、土地代を 200億円にするなら、「 200億円の購入費を払わないで済む」か、「 200億円の売却代金を得る」か、どちらかの形で、200億円の差が付く。
とにかく、海の森にボート会場を設置すれば、その土地が必要なので、その土地の代金に相当する追加費用が発生するのだ。(あるいは、同じことだが、費用削減効果をなくす。)
「海の森」には、このような重大な難点があるのに、その難点が隠蔽されている。それでいて、土地代を抜きにした建設費用ばかりが計算されている。これは大いなる欺瞞だ。
小池都知事は、豊洲市場のどうでもいい安全性や手続きミスにばかりに注目させることで、海の森における巨額の無駄コストを隠蔽しているのだ。
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一方、彩湖という案が否定されたことには、「調整池」であることが理由とされる。
「調整池の機能を兼ねているため、大雨が降った場合は水浸しになる」などの理由で困難との見方を示した。
( → 日テレNEWS24 )
しかし、ここにはいくつかの「ひとりよがりな思い込み」つまり「誤解」がある。
(1) 「水浸しになる」のは、建物だけであり、競技場には影響しない。
(2) 建物が「水浸しになる」としても、数日後には水が引くので、問題ない。競技日程を五輪期間の最初の方に置いておけば、たとえ洪水が来ても、日程を数日間ずらす(遅らせる)ことで、水が引いた後に競技を実施できる。だから、問題ない。
(3) ここが調整池であることから、建物は「いつでも撤去できる仮設設備」である必要がある、という見解もある。( → アゴラ )しかしこれはただの誤解である。
(4) その証拠に、調整池(遊水池)に建設された、日産スタジアムの例がある。これは、前に述べた。
→ 新横浜の遊水地 (画像多数)
上のリンクで示した画像を見てほしい。
台風が来て、鶴見川が氾濫しそうになると、その水は越水堤を越えて、遊水地に流れ込む。すると、日産スタジアムの1階は水没する。
では、洪水で水没することで、日産スタジアムは使い物にならなくなるか? いや、そんなことはない。ここはもともと「水没する」ことが想定されて、2階以上に観客席があるのだ。だから、1階が水没しても、何ら問題ではないのだ。
なるほど、洪水の最中には、あたりは一面の水の海であり、そこに人が来ることはできない。しかしながら、数日後に水が引けば、あとは何事もなかったかのように、そこでサッカーの観戦をすることができるのだ。

彩湖もまた同じ。そこが洪水で水没することはある。しかし、それを前提として、建物の観客席を2階以上の高さに建設すれば、水没した数日後には、何事もなく競技を実施できるのである。
こういう真実を知らずに、「調整池だから水没するので不可能」なんていう主張をする人々は、「調整池とは何か」ということをまったく理解できていない。「横浜の日産スタジアムを見学しろ」と言ってやりたい。
まったく、無知蒙昧の連中が物事を決めようとするのだから、呆れはてるしかないね。
で、こうやって、巨額の公金がどんどん浪費されるわけだ。そのリーダーが、小池都知事だ。
( ※ 豊洲なんかで下らない騒ぎばかりをしているから、海の森で巨額の浪費が発生するのに気づかない。ま、100円ぐらいの買物代の節約にはめくじらを立てるが、数百万円の浪費には無頓着……というのは、家庭の主婦には、よくある例だが。)


[ 付記1 ]
海の森の会場は、図で示すと、下図だ。

出典:公式文書(PDF)
[ 付記2 ]
同じ場所を、地図で示すと、下記だ。
中央の水路に沿った幅の狭い地域が、該当地域になる。
「だったら、面積はたいしたことはないぞ」
と思うかもしれない。
しかし、である。どうせだったら、ここ(幅の狭い領域)に、そばの「海の森」公園を含む領域をプラスして、その広大な領域に、豊洲市場の建物を平屋で建設すればよかったのだ。
そうすれば、豊洲市場の土地を、別の用途に転売できた。その価格は 1860億円(豊洲市場の土地代)である。
つまり、「豊洲市場を海の森に移転する」というのとセットにすれば、「海の森のボート会場の土地代」の分、1860億円の節約が可能となるのだ。
ま、ここには「公園の分」も含まれるから、丸々 1860億円 を計上するわけには行かないが、それにしても、相当に高額の土地代金を節約できるはずだ。
また、実際の額がどれだけになるにせよ、少なくとも土地代の計算が抜きになっているのは、まったくの欺瞞だと言える。
[ 付記3 ]
彩湖については、「工事が大変だ」という説もある。しかし、問題ない。
なぜか? ボート競技ならば、水深は浅くて済むからだ。たぶん、水深 1.5〜2メートルもあれば十分だ。船が通るわけじゃないんだし、ちょっと浅瀬を作るだけで済む。
ブルドーザーでちょっと土地を削るだけだから、早ければ1カ月で工事完了だろう。豊臣秀吉に任せれば、三日間でも済みそうだ。
( ※ 豊臣秀吉の話は、また別のところで。ま、有名な話だし。私は小学生のときに本で読んだ。)
[ 付記4 ]
彩湖の洪水問題については、重要なことがある。
「台風が来たら水位が上昇する」
ということが懸念されているが、次のことが言える。
・ 八月に台風が来ることは少ない。(九月が多い。)
・ 仮に台風が来たら、海の森でも競技は実施できない。
特に後者が重要だ。台風が来て、水位が大幅の上昇するような場合には、彩湖では競技を実施できないが、海の森でも競技は実施できないのだ。(暴風雨や海面水位上昇)
両者の違いがあるとしたら、「台風の翌日にまだ水位が高いことがある」という程度だ。だが、そんなことは1〜2日ぐらいのことにすぎない。ちょっと日程をずらせば済むだけのことだ。
だいたい、「調整池では日程上の問題がある」なんてことをいちいち懸念していたら、日産スタジアムではマリノスの試合ができないことになる。馬鹿げている。あつものに懲りてなますを吹く、みたいな過剰な心配であるにすぎない。
[ 付記5 ]
海の森には、実は致命的な欠陥がある。ボート競技には海は不適切なのだ。下記に、ボートの関係者(ボート競技経験者)の見解がある。
→ 2020年東京オリンピックボート会場を変更せよ!ボート競技は海ではできない!
一部抜粋しよう。
これを撤回してもらわなければならない。理由は簡単、ボート競技は海上ではできないからである。
私は大学時代ボート競技を経験したが、ボートは波、風があればバランスがくずれ漕ぐことができなくなる。よって競技会場は湖か波の少ない川と決まっている。
ところがオリンピック委員会と東京都はあろうことか東京湾上でボート競技をするという。ボート関係者の要望も無視し事を進めようとする姿勢にはクレームを言わざるを得ない。このような基本的なこともわからず事を進めるオリンピック委員会と東京都には大きな不信感を持つものである。
ではどこが候補地かと言うと、戸田オリンピックボート競技場(埼玉県戸田公園)が良いと思う。
【 関連項目 】
→ 東京五輪のボート会場は無料にせよ
豊洲を引っ張って、東京都の公務員の人件費浪費も尋常ではない。それによる混乱の人件費。
また、メディアの目に掛かりそうなこと(スキャンダル系)は意味が全くない。ポピュリズムだけのこと、人気だけのことと、現在東京都がやらなければならないこと、は全然別。
単に人気取り、テレビ上の視聴率至上主義のひとかな。今回の塾と、宗教団体とどこが違うの。
タイムスタンプは 下記 ↓
現時点の方法や手順はともかく、小池都知事の中には【正義】があると見ています。私はここに東京の未来を期待しています。
表面の問題ではなく、結果として出てきた表面の奥を片付けてる最中だと見れませんか?
そこは男性より女性脳の方が有利に働く特徴です。
男性はエンジンを作るのが得意ですが、データベースを整理しながら無駄を省いて物事を整理するのは女性の方が利があります。
小池都知事の場合は、そのエンジン部分には殿方の頭脳を得意分野ごとに配分しているじゃないですか。
この【正義】が明るい未来を作ることを楽しみにしています。ここの管理人さんにもその部分を応援してもらいたいです。
豊洲やボート会場で駄目だからといって小池さん自身を全否定するつもりはありません。逆の方針を取れば、その方針を支持します。本人についての好き嫌いはありません。
> 【正義】...応援してもらいたいです。
本サイトはどちらかというと、「自分の正義に自己陶酔して盲目的に失敗する」というのを指摘するのが、基本方針です。錯覚・誤認を指摘する、という形。真実を明かす、という形。
相手が誰であっても、それは同じです。
特定個人を応援 or 否定するというのは、本サイトの方針ではありません。
これからは記事を正しい姿勢で読めそうです。
個人的には目黒区碑文谷公園のボート池を押したいです。
項目内容が別内容に書き換えられていました。済みません。
現在では訂正されています。
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最後に [ 付記5 ] を加筆しました。
タイムスタンプは 下記 ↓
他府県にゆづるべきなんだよ
東京都としてはね
おれが悪代官ならそうするな
土地代と工事費をせしめるって案もあるな
頭がまともならそうするが、残念ながら、小池さんだし。論理よりは、感情論。
頭がまともなら、豊洲なんかで騒がない。
> 国立ボート競技場に昇格
東京都が勝手に「財源は全部負担します」と言って応募したくせに、あとで国にツケ回しするなんて、他の県民が怒り狂う。
ここは『日産スタジアム』に訂正した方が。該当する別施設があるので。