2016年10月31日

◆ プラズマディスプレイの倒産

 パナソニックプラズマディスプレイ株式会社が倒産した。これは私の予言通りと言える。

 ──

 パナソニックプラズマディスプレイ株式会社が倒産した。
  → 倒産速報 | 株式会社 帝国データバンク[TDB]

 一部抜粋しよう。
 2009年3月期には年売上高約3137億1400万円を計上していた。

 しかし、液晶との競争激化や市場価格の大幅下落などにより2014年3月期は年売上高約202億円まで減少。プラズマディスプレイパネル事業の継続が困難となり、2014年3月末をもって事業活動を停止していた。その後、当社が所有する工場資産などの処分を進めていたが、処分が完了したことにより、今回の措置となった。負債は債権者1社に対して約5000億円。

 5000億円の負債が出て、その損失は親会社のパナソニックに行った。つまり、パナソニックが 5000億円の赤字を被ったのと同じことになる。まあ、大変な損失だ。


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 ──

 ところで、この件は、とっくに予想されていた。本サイトの 2012年の項目で、こう書いてある。
 ともあれ、生産技術におけるIT化の進展にともなって、IT商品の生産は、途上国に次々と移行しつつある。これが長期的な流れなのだ。この流れを認識することが大切だ。

 そして、そう理解すれば、先先進国の企業が取るべき道もわかる。こうだ。
 「IT商品は、変化が急速だ。すばやく陳腐化する。それにともなって、生産は、先進国から途上国へと移行する。とすれば、先進国の企業は、従来製品を次々と途上国へ移管し、先進国では別に最先端の技術の製品のみを生産するべきだ。そして、それができなければ、事業を丸ごと売却するべきだ」


 具体的に言おう。駄目なのは、次のような方針だ。
  ・ 生産技術が進歩しなくなったプラズマを、いつまでも国内生産する。
  ・ 生産技術が進歩しなくなった液晶を、いつまでも国内生産する。

 前者はパナソニックであり、後者はシャープだ。いずれにせよ、プラズマや液晶を生産することは、10年以上前なら正しかった。なぜなら、当時は最先端技術だったからだ。しかし、5年前ならば、もはや正しくなかった。なぜならば、この時点ではもはや技術が頭打ちになることが、先に見て取れたからだ。となれば、市況が悪化する前に、この分野の国内生産からは撤退するべきだったろう。次のいずれかが選択肢となる。
  ・ 途上国に生産を移管する
  ・ 事業そのものを外国に売却する

( → IT化時代の企業経営: Open ブログ

 太字で示したように、
 「市況が悪化する前に、この分野の国内生産からは撤退するべきだった」
 と述べている。これが 2012年の記事だ。そして、「撤退するべきだった」というのは、2012年よりも5年前だ。(2012年では遅すぎる。)
 
 では、現実には? 上記の記事にあるように、「2014年3月末をもって事業活動を停止」である。2012年03月18日 に私が記事を書いてから、丸々2年も遅れた。そして、その分、大幅に負債が拡大した。
 仮に、2012年03月18日 の時点で事業停止していれば、負債が 5000億円にもふくらむことはなかっただろう。たぶん半額以下で済んだ。
 また、「2009年3月期には年売上高約3137億1400万円を計上していた」ということだから、この時点で事業停止していれば、負債ははるかに小さくて済んだだろう。

 現実には、多くの企業がプラズマから撤退するなかで、パナソニックだけが最後までプラズマにこだわった。撤退の判断が最も遅れたから、赤字の額も最も拡大した。

 ひるがえって、プラズマディスプレイの開拓者であるパイオニアが撤退したのは、2008年だ。この時点で撤退するのが、最も合理的な判断だった。
  → 悲劇の開拓者パイオニアがプラズマパネル生産撤退
 
 パイオニアにはできたことが、パナソニックにはできなかった。経営判断の致命的な失敗が、被害をこれほどにも拡大したのだ。それはちょうど、シャープの経営者が経営を失敗したのと、同様である。
( ※ シャープの場合は、太陽光パネルで大赤字を出した。液晶でもそうだ。)

 ──

 ちなみに、私は、パイオニアが撤退した 2008年ごろから「パナソニックはさっさと撤退しろ。プラズマみたいに時代遅れのことをやるな」と思っていた。
 思っていたけど、特に何も書かなかった。はっきりと書いたのは、やや遅れた 2012年のことだ。ここでははっきりと「撤退すべき」というふうに書いた。
 ここでは、特に「将来は大幅赤字で倒産する」とは書かなかったが、実質的には書いたのも同じだ。「撤退しろ」というのは、「撤退しなければ、将来は大幅赤字で倒産する」という意味になる。当り前ですね。
( ※ 馬鹿でもわかる。馬鹿でもわかることは、いちいち書かなかっただけだ。明白に含意されている。)



 [ 余談 ]
 直接の関係はないが、似た話がある。太陽光事業の会社が続々と倒産しているそうだ。
 《 「太陽光関連事業者」の倒産が過去最多ペース 》
 2016年1-9月の太陽光関連事業者の倒産は42件(前年同期比10.5%増)に達した。このままのペースで推移すると、年間最多の2015年の54件を上回り、調査を開始した2000年以降で最多を記録する勢いで推移している。
( →  (東京商工リサーチ) - Yahoo!ニュース

 グラフがあるが、倒産件数も負債総額も、昨年に一挙に急増している。今年はそれを上回る勢いだ。

 初めのころに、やたらと甘い高額で買い取り価格を設定したので、雨後の竹の子のごとく、次々と乱入した。そのあとで、どんどん買い取り価格を下げたから、「思惑違い」と思った劣悪な業者がどんどん倒産していく。

 のみならず、買い取りの総量も、あまり増えていないようだ。
  → 太陽光発電買取り制度が破綻! 電力会社が新規契約を拒否,これからどうなるの?

 政府が甘い予想でどんどん参入を推進したが、参入した事業会社は、途中でハシゴをはずされる形だ。
 全体としては、政府の計画がずさんすぎた、と言えるだろう。そして、馬鹿な政府の計画を信じて、甘い見込みで参入した会社が、次々と倒産する。
 「政府の仕組んだ倒産劇」
 と言えなくもない。もっとはっきり言えば、
 「政府の滅茶苦茶な計画によってもたらされた、太陽光事業に限定しての、バブルとバブル破裂」
 である。
 まあ、悲劇というか、喜劇というか。……見ている方としては、「馬鹿丸出し」と言うしかないが。
 
 パナソニックの場合は、パナソニックの経営者の責任だけがあったが、太陽光事業の場合には、政府の責任も大きかった。


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 【 関連項目 】

 パナソニックの失敗の本質については、上記の項目(2012年の項目)に詳しく書いてあるので、それを読むといい。重要な話があるので、ぜひ読んでほしい。
  → IT化時代の企業経営 (2012年03月18日)

 簡単に言えば、こうだ。
  ・ IT分野では、状況の変化が急激である。
  ・ 現在の事業は次々と古くなって、途上国に移管される。
  ・ 同じ事業がずっと継続可能である、ということはない。
  ・ 企業は現在に安住せず、自らを次々と変えていく必要がある。


 こういう話が詳しく説明してあるので、なるべく読んでほしい。もしパナソニックの経営者が、この項目を読んでいれば、今回のように大規模な倒産・負債は生じなかったはずなのだ。



 【 追記 】
 ちょっと思い出したことがあったので、書き足しておく。
 2008年ごろ、パイオニアを初めとして、他社が続々とプラズマから撤退したのに、パナソニックだけは事業継続を決めた。これを見て、私は不思議に思ったものだ。
 「他社はみんな撤退するのに、どうしてパナソニックだけは撤退しないのだろう? プラズマについて、特別な技術や自信があるのだろうか? まったく不思議だ。不思議だ」

 ずっと不思議に思っていたが、ようやく事実は判明した。
 特別な技術や自信があったのではない。単に馬鹿だったからだ。それで撤退の決断できなかっただけだ。
( ※ 何かをしたというより、何もできなかった。自動車の運転で言えば、目の前に障害物が現れたとき、他社はみんなブレーキを踏んだのに、パナソニックだけはブレーキを踏めなかった。だから衝突して、大破した。)

 ──

 ただ、今にして思うと、パナソニックが撤退できなかったことの理由は推察が付く。こうだ。
 「事業停止しなくても、事業を存続できた」
 「プラズマ事業が大幅赤字でも、本体の債務保証があったので、大幅赤字のまま事業継続が可能となった」

 つまり、大幅赤字にさらに金をぶっ込むという、パナソニック本体の決定があったのだ。プラズマ事業が単独で愚かだったのではなくパナソニック本体(つまりその経営陣が)どうしようもない阿呆ぞろいで、5000億円もの債務保証(無駄金投入)を決定したのだ。
 とすると、パナソニックについては、むしろ本体の方について心配した方がいいのかもね。
( ※ それは見当違いとは言えない。その後、パナソニック本体が大幅赤字で倒産しかけたからだ。 → 2012年の記事 / ただし、そのあとで回復したので、現在では倒産の危機を脱したようだ。 → 今期純利益

posted by 管理人 at 23:40| Comment(1) | コンピュータ_04 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2016年11月01日 17:24
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