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高齢者のひどい運転による交通事故が多い。そこで、
「高齢の運転不適格者を排除する」
という方針を、前項では示した。
しかし、いきなり「免許停止」というのは厳しい。オール・オア・ナッシングではなくて、もっと中間的な措置を考えたい。そこで提案するのが、
「高齢者向けの限定免許」
というものだ。
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それはどんなものか? 骨子は、次の二つだ。
・ AT車に限定 (マニュアル車は運転不可)
・ 自動ブレーキ車に限定
重要なのは後者だ。つまり、自動ブレーキが搭載されている自動車に限定して、運転を許容する。
ちなみに、前項で述べた横浜の集団登校事故は、自動ブレーキが搭載されていれば、事故は免れたものと思える。
この事故では、軽トラックが前方の自動車に衝突した。ここで、自動ブレーキが作用していれば、事故は起こらなかったはずだ。
それを裏付ける情報もある。追突した軽トラックは、ブレーキをまったくかけて折らず、高速で走行していた、と報道されているのだ。
防犯カメラには、事故直前の午前8時すぎ、小学生9人が道路の左側を一列で歩いて小学校に向かう姿が写っていました。子どもたちと路線バスが通り過ぎて画面から消えて5秒後に緑色の軽乗用車が通ります。そして軽乗用車から15秒ほどあとに白い軽トラックが通過しています。軽トラックは、バスや軽乗用車よりも速いスピードで通過しているように見えます。
このあと事故が起き、軽トラックが小学生の列に突っ込みました。
( → NHKニュース )
防犯カメラの映像には・・・。小学生の列の脇を通り過ぎる乗用車は、ブレーキランプが点灯しているように見えます。ところが、すぐあとに通り過ぎる軽トラックのブレーキランプは点灯していないように見えます。この直後、事故は起きました。
専門家は・・・
「(1つ目の防犯カメラ)時速25〜30キロ、(2つ目の防犯カメラ)時速35〜40キロ、最も事故現場に近い防犯カメラの方が速度が高くなってる」(日本交通事故鑑識研究所 大慈彌拓也 代表)
1つ目のカメラと2つ目のカメラの距離はおよそ10メートル。軽トラックは、このわずかな間に加速していた可能性が高いことが分かったのです。
( → TBSの動画ニュースサイト )
前方に自動車があるのに、速度を落とすどころか、加速していたという。ひどいものだ。
とはいえ、こういうひどい運転も、自動ブレーキがあればうまく衝突を回避できるのだ。
それゆえ、「自動ブレーキを搭載した自動車に限定した免許」というのを、高齢者向けに用意するといい。
それが私の提案だ。
[ 付記1 ]
どのくらいの年齢が対象か?
当面は「 70歳以上」として、以後、少しずつ年齢を下げて、将来的には「65歳以上」や「60歳以上」に引き下げるといいだろう。
免許そのものは、従来の免許とまったく同じであり、書き換えなどは必要ない。ただし、年齢に従って、運転できる自動車の範囲が限定されるだけだ。
許容された自動車には「限定免許で運転できます」というランクみたいなものを与えるといい。
( ※ 「自動ブレーキ車では保険料を引き下げます」というときのランクと同様だ。)
[ 付記2 ]
自動ブレーキ車の資格は、きちんとしたものにする必要がある。特に「時速 50キロで衝突しないこと」は、絶対に必須だ。
これにともなって、日産のセレナやエクストレイルみたいな「単眼カメラ式の自動ブレーキ」は、「低性能なので駄目だ」というランクが付く。
→ 40km/h程度までしか完全停止出来ない
したがって、これらの日産車は、高齢者限定免許では運転できない。
※ 単眼カメラでも、ミリ波レーダーが併用されていれば
大丈夫だが、日産車はそうなっていないので、駄目だ。
一方、ベンツの Eクラスみたいに、高度な自動運転までできる自動車なら、もっと優遇してもいいかもしれない。
[ 付記3 ]
「ベンツみたいに高額な自動車を買える金持ちばかりが優遇されるぞ! 日産車しか買えない貧乏人を冷遇する気か!」
と文句を言う人もいそうだ。しかし、それは勘違いだ。
まず、スバルのインプレッサは、高性能で低価格だ。自動ブレーキも最高だ。下記項目で記した通り。
→ 日産セレナの自動運転の性能は?
また、スズキの軽自動車の自動ブレーキは、時速 50キロでもちゃんと作動する。下記項目で記した通り。
→ 自動車の自動ブレーキ
動画は下記だ。
ほらね。時速 50キロでもちゃんと作動する。ステレオカメラを採用すれば、こういうふうに、きちんと「安価で高性能」が実現するのだ。これは、
「超高額のくせに、まともに自動ブレーキが作動しないで、前走車に衝突する」
なんていう日産セレナやエクストレイルのプロパイロットとは、段違いなのだ。日産は技術がないから、イスラエルの会社の単眼カメラ式なんかを導入して、低性能の自動ブレーキと自動運転を導入するしかない。(哀れ)
その点、スズキは、はるかに技術的に進んでいる。立派だ。
だからこそ、スズキは、日産なんかとは提携しないで、トヨタと提携したのだ。
→ トヨタとスズキ、業務提携検討を発表 (huffingtonpost)
[ 余談 ]
新旧の対比。
昔: 技術の日産
今: コストカットの日産
ことわざ: 貧すれば鈍す

貧する人

コストカット企業で酷使される人

コストカット企業の社長

コストカットした自動車を買って事故る高齢者
※ 画像はイメージです
【 関連動画 】
三菱の場合は……
[ 蛇足 ]
ついでに他社の悪口も言っておく。
「水素方式の燃料電池車なんかにこだわっているトヨタとホンダは、先が見えないアホ会社だよ。20年後には消滅しているかもしれないぞ」
上の話については、下記で説明した。
→ エタノール燃料電池車(日産)
この講習では簡易的な認知症の検査に加えて、実技の実習も原則として課せられています。「子供の飛び出し」といった突発的な事態への対応はありませんが、信号を守れるか、車庫いれの技能、クランク通過などについては実際に高齢者に運転させ教習所のインストラクターによるチェックが行われています。
ただ、問題なのはどんなに技能がひどくても強制的に免許を取り消すことはできないことです。
法律に技能が劣っていることを理由に取り消す規程がない以上、勧告以上のことはできないのですね。
これはいろいろと難しい問題をはらんでいて、新しい種類の免許(最近なら中型免許)をつくったとき、従来の免許の人たちをどうするのか?ということにもつながってきます。免許というものはある種の既得権であるというのが通説のようです。したがって、技能に不安があっても既得権保護という観点から取り上げるという選択は避けられます。
免許の更新でも明らかにアウトになるのは視力くらいですしね。(大型免許は深視力も審査されますが、3回で必ず合格します(笑))
書く項目を間違えているみたい。
なお、法律論で言うなら、
「免許の定年制」
みたいなのを導入する手もある。
パスした人だけが延長できる。他は自動的に失効。
このあたりの通説を大幅に見直すか、あるいは財産権の制約は比較的容易であることに注目し、自賠責の掛金を高齢者が運転する際に大幅に引き上げるというプランはありなのではないかと思いますね。
従来の自賠責に運転者の年齢という要素はないので、これもかなり大掛かりな変更になりますが。
わかりました。では解決方法を示します。それは「法律論でなく、政治で解決する」です。
法律だと因習に縛られるから、かわりに、政治に頼る。政治とは? 国民の意思だ。まずは世論調査をして、圧倒的な支持を得る。次に、与野党で合意して、満場一致にする。
これで民主主義の原理によって法案を成立させることができる。
この法案を裁判所が勝手にひっくり返せるわけがない。そんなことをしたら民主主義の否定であり、裁判所の独裁だ。
というわけで、「民主的手続きにより、民意に従う」という形で、解決可能。……世論調査で圧倒的支持を得ることが前提だが、それは大丈夫だろう。(仮に大丈夫でなければ、法案を諦める。ま、その可能性はとても低い。運転したがる超高齢者は、国民の1%ぐらいしかいない。他の99%は、その逆だ。)
MT限定だと、たいていの人が運転できなくなっちゃいますよ。もともとMTは運転できないのに、MT限定になったら、何も運転できなくなる。
> アクセルとブレーキを間違える
これは、自動ブレーキがあれば、問題ない。
だからいいのではないでしょうか。
MTを運転できるのなら認知症ではないでしょうし。
簡単ニュース
http://www.news24.jp/articles/2017/06/30/07365726.html
詳細ニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170630/k10011036121000.html
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関連して、認知症向けの免許制限、という話もある。この件は、本サイトでは、下記で論じた。
http://openblog.seesaa.net/article/447130282.html
http://openblog.seesaa.net/article/443229116.html
http://openblog.seesaa.net/article/449867671.html
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高齢者らの度重なる事故を受け、衝突軽減ブレーキや踏み間違い防止といった安全運転支援機能のついた新車を買う際に補助金を独自に出す自治体が増えている。
政府も対策を急ぐ。警察庁は、高齢者を対象に安全支援機能がついた車に限った免許制度を検討中。制度設計には課題も多いが、実現すれば、普及を促す効果がありそうだ。
https://www.asahi.com/articles/DA3S14043519.html
https://www.sankei.com/economy/news/190610/ecn1906100025-n1.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45897580Q9A610C1MM8000/
選択制ならば、「安全機能付きの車には、乗ってもいいし、乗らなくてもいい。ご自由に」ということなのだから、現状とは(ほぼ)何も変わらないことになる。まったく意味のない法案だ。
自民党政府というのは、まったく、法律を無効化することばかり考えているな。法律を作るというポーズをするだけで、あとは法律を骨抜きにしようとする。ほとんど邪悪。悪魔的。人を殺す工夫ばかり考えている。
義務化したら高齢者から反発される可能性がありますので。
もしかしたら、実務担当者(官僚)は、義務化したかったのかもしれないですね。
→ https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/07/17/109320/
限定免許のかわりに、加害者への厳罰化を望む署名を募る……というニュース。
→ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190718/k10011997541000.html