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すでに述べたのは「技巧」との一致率だが、ついでに Bonanza との一致率を調べると、どうか?

実際に調べたデータがある。
私は100時間ほどの時間を費やし、
プロ棋士とBonanza6.0の指し手の一致率を50局累計100人分
を調べました。
その結果、プロ棋士とBonanza6.0の指し手の一致率は平均で
71.5%であることがわかりました。(※調べる棋譜により誤差有り)
その数値は、私でも時々出る値ですので驚きません。
ところが、100件中13件は80%を超えていました。
( → 将棋ソフトとの一致率の真実 - 将棋のブログ( 2014-07-24 ) )
Bonanza6.0 とプロ棋士との一致率は 71.5% になる。場合によっては 80% を越える。
これはつまり、Bonanza6.0 とプロ棋士とがほぼ同レベルにある、ということを意味する。
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一方、Bonanza でも古いバージョンでは、一致率はこれほど高くない。かなり前に調べた人がいる。
→ 棋士別Bonanza一致率の計算(PDF)
これは PDF ファイルだが、要旨を言うと、こうだ。
Bonanza4.0 (2009/02/21)
(1)狭義一致率は平均 46-51%。
(2)広義一致率は平均 58-63%。
数字を見ると、かなり低いとわかる。このころ(2009年)の Bonanza は、プロ棋士よりもかなり弱い、と結論していいだろう。
ちなみに、棋士別で一致度が最も高いのは三浦弘行(当時八段?)だが、ここでは「ソフトを使っていた」という疑いはない。理由は二つ。
・ 最も一致率が高いといっても、他の棋士と大同小異。
・ ソフトの真似をすれば、かえって弱くなるだけだ。
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さて。プロ棋士との一致率を見ると、
・ Bonanza4.0 の一致率は低い
・ Bonanza6.0 の一致率は高い
・ 技巧 の一致率は低い (例外は三浦九段)
このことから、次のように結論していいだろう。
・ Bonanza4.0 は、プロ棋士より弱い。
・ Bonanza6.0 は、プロ棋士と同程度。
・ 技巧 は、プロ棋士より強い。
まあ、論拠はいちいち示さないが、上のように結論するのが常識的だろう。
かなり興味深い結論だと言える。
[ 付記 ]
その技巧は、以前の大会では、Ponanza に次ぐ準優勝だった。
第26回世界コンピュータ将棋選手権 大会結果は以下の通りです。
優勝:Ponanza
2位: 技巧
3位: 大将軍
4位: Apery
5位: 大合神クジラちゃん
6位: NineDayFever
7位: 読み太
8位: うさぴょん2
( → 第26回世界コンピュータ将棋選手権結果 )
ところが、この技巧が、最近の大会では予選落ちだ。
→ 【電王トーナメント】 WCSC準優勝の技巧が予選落ち
技巧は4勝4敗。技巧に勝ったソフトが4つもある。
半年前なら、技巧よりも強いのは1つだけだったが、今ではもっと強いのが15個もあるのだ。
( ※ 予選順位だけなら、技巧よりも上なのが 15個だ、ということ。技巧は 16位。技巧よりも弱いのは4つだけ。詳細は上のサイトを参照。)
ソフトの進歩はあまりにも急激であるようだ。くちあんぐり。
※ この技巧にも負けてしまうのが、プロ棋士(人間)だ。……
丸山4五桂飛びに対して、渡辺は三浦戦と同じ手の2二銀引き(一時間以上考える)と指した。ただし、画面でのソフト(ponanza)は4二銀引きを推奨していた。
竜王は、研究済みだったのか、圧勝した。
人間のつっぱり合いが見えるようで、面白かった。