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登山中に行方不明になった男性がいた。救助隊は見逃して、捜索を打ち切っていたが、13日後に発見された。
《 登山中に遭難の男性、13日ぶりに発見 》
奈良県天川村の弥山(みせん、1895メートル)で登山中に行方不明になっていた島根県土木部長の冨樫篤英(あつひで)さん(53)が22日、13日ぶりに同村内で見つかった。
弥山の登山者が22日、登山道に現れた冨樫さんを見つけたという。冨樫さんは奈良県の防災ヘリコプターで県内の病院に搬送されたという。
冨樫さんは8日夜は山小屋に泊まり、9日朝は姿が確認されていた。
( → 朝日新聞 2016-10-23 )
あっさりした記事だが、紙の新聞にはもっと詳しい情報がある。
奈良県警や消防、山岳救助隊は、20日まで延べ人体制で探したが、見つからなかった。
富樫さんは「崖下に滑落した。2日ほど痛くて動けず、3日目に湧き水があるところまで移動した。21日に少しずつ崖を登り始めた」と話した。
ここからわかる要点は、こうだ。
・ 捜索は 12日間を費やしたが、見つからず、打ち切り。
・ 本人は、崖下にいた。(だから見つからなかった。)
ここから得られる教訓は、こうだ。
「今回はたまたま自力で崖を登ったから、発見された。自力で動けなかったなら、死んでいた」
これは重要なことだ。人がいるとわかっていて、捜索を打ち切ることとなった。「生きている人を死なせることにした」という決定に等しい。あまりにも残酷だ。家族の思いたるや、いかなるものだっただろう。
しかしながら、捜索隊の努力が足りなかったわけではない。人の行けるところはきちんと探した。努力は十分だったのだ。では、何が足りなかったか?
ここで、なすべきことを考えればいい。それは、
「崖下を捜索するべきだ」
ということだ。(正解)
しかしながら、崖下を捜索するべきだとしても、崖下に人が降りるのは危険すぎる。無理だね。やりたくても、できない。では、どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案がある。
「崖下をドローンで捜索する」
これなら、うまく行くだろう。
具体的には、こんな感じ。
見ればわかるように、ハイビジョン(HD)画像だ。高精細であり、解像度は十分。捜索には十分役立つだろう。
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ただし、ドローンを使うといっても、ドローンを操作できる人材は限られている。素人が下手に使うと、ドローンが操作ミスで衝突・落下することが多い。ドローンがオジャンになる。
そこで、ドローンを操作する専門家が必要となる。しかも、山岳の登山能力も必要だ。人材的には、かなり限られてくる。県や市町村レベルでは、常備はできないだろう。
そこで、国が配備するといい。全国で、5箇所ぐらい。(東北・関東・中部・関西・九州など)
ここで、要請を受けたあとで、現地に派遣する。24時間体制である必要はなく、「当初の捜索隊では見つからなかった場合」にのみ派遣すればいいだろう。放置の場合の生存期間は 72時間、という話もあるが、これは水や食料がなかった場合の話。登山する人ならば、水と食料はあるはずだから、3日間ぐらいは十分に大丈夫だろう。危険域に達するのは、早くても5日目か。ま、3日目ごろに到着すれば十分だろう。その時点で発見されたら、帰ればいい。発見されなければ、現場に行く。
というわけで、こういう部局を、消防庁あたりが設置するといいだろう。
「山岳救助隊・ドローン班」
という感じだ。何だか、テレビドラマになりそうだな。
[ 付記 ]
「ドローンは三日目でいい」
と述べたが、これは、ドローン(本体 or 捜索者)の数が少ない、ということを前提としての話だ。
将来的には、ドローンの数を大幅に増やすことで、捜索の1日目から投入するといいだろう。
そのことで、コストは増えるか? いや、増えるどころか、激減する。なぜなら、ドローンは1機で百人分ぐらいの仕事ができるからだ。場合によっては、ドローンだけで捜索して、百人規模の捜索隊をゼロにしてもいい。ドローンだけで発見することは十分に可能だ。それも、高速で。(人間ならば1日がかりの行程を、1時間ぐらいで飛んで行ける。)
人間は、ドローンが遭難者を発見したあとで、事後的にめざす目的地に向かえばいい。そのための人員は、5〜10人ぐらいで足りる。百人も必要ない。
かくて、捜索コストは大幅に下がる。コストはドローンと下がるよ。

【 関連サイト 】
ドローンが対象に近づくと、対象にぶつかって、壊れる危険がある。そこで、ドローンを檻のようなもので囲ってしまえば、ドローンは壊れない、という発想。
→ ドローンで橋の裏を確認
詳細は、下記。
→ ぶつかっても落ちないドローン(球殻ヘリ)の研究
【 追記 】
コメント欄で情報を得た。この提案と同じことがすでに検討されているそうだ。
→ http://j.mp/2f6zLrT
要旨は下記。
《 新技術開発「山岳遭難者をドローンで捜索」 》
公益社団法人東京都山岳連盟は、jROと共同で「ドローンによる山岳遭難捜索技術開発報告書」(A4判、23ページ)をこのほど発表しました。
都岳連救助隊員の実感では“ドローンによる捜索はきわめて有効、かつ実用的な捜索方法”との結論を得ました。
都岳連とjROではこの研究結果を都岳連内部のみでなく、全国の多くの山岳関係者や捜索関係者に紹介するため「ドローンによる山岳遭難捜索技術開発報告書」を発表しました。
( → jRO 日本山岳救助機構合同会社 )
報告書の内容は、下記。
・ 4台使って試した。機材は Phantom 3 など。
・ 操作は簡単。初心者でも習熟は容易。
・ 高精細で非常に有効。
・ バッテリーは複数必要。
・ バッテリーが切れると行方不明になるかも。
・ 天候によっては飛行が困難なのが問題。雨や雪。
・ 撮影ファイルが3分間1GB と巨大。保存法が問題。
おおよそ予想していたとおりだが、最後の点は気づかなかった。でもまあ、8テラバイトの HDD があれば大丈夫。それを用意しておくことが大事か。
USB3.0/2.0 3.5インチ 外付HDD 8TB

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