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東京五輪のボート会場の建設費が、500億円だとか、300億円だとか、騒がしい。
都は、海の森の総整備費 491億円を 300億円前後に削減することが可能との見通しを明らかにした。
( → 都が説明 - 毎日新聞 )
しかし、 491億円でも 300億円でも、金がかかりすぎることには変わりはない。もともとの計画予算が 98億円であったことを考えると、とんでもないことだ。
では、どうすればいい?
ここで私が提案しよう。
「ボートの会場の席を無料にせよ」
と。つまり、誰もがボートレースを無料で見ることができる。そして、こうすれば、収益性が最も良くなるのだ。
( ※ 嘘みたいな話だが、本当だ。)

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「収益性を改善するための最善の方法は、販売価格をゼロにすることである」
こう語ると、「バカな!」と思う人が多いだろう。
しかしながら、大幅赤字になる事業については、これが成立するのだ。つまり、普通の黒字事業は別として、赤字が 300〜500億円にもなるような赤字事業については、販売価格をゼロにすることが最善である。
なぜか? そうすれば、費用を大幅に縮小することができるからだ。
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だいたい、大幅赤字になる原因は、売上げに比べて費用が滅茶苦茶にかかるからだ。
たとえば、5000円の切符を4日間売ると、売上げは2万円。一方、その席を作るために、建設費が莫大にかかると、1つの席あたりで100万円ぐらいかかったりする。100万円の建設費をかけて、売上げが2万円なら、赤字は 98万円だ。あまりにも馬鹿馬鹿しい。
一方、席を無料にすると、どうなるか? 席が無料なんだから、席の建設費はゼロだ。とすると、赤字もゼロだ。かくて、「 98万円の赤字」が消えてしまう。
こうして、大幅な赤字を縮小できるのだ。
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具体的に示そう。
東京都が建設予定なのは、「海の森水上競技場」というものだ。図で示すと、下図だ。

出典:公式文書(PDF)
ここには、必要性のない施設がいっぱいある。
・ 一般観客立ち見席(1万人 × 2箇所)
・ 関係者席(2千人)
・ グランドスタンド棟(2千人)
ずいぶん、いろいろと建設することになっている。そのせいで、300億円もかかる。(特に、関係者席とグランドスタンド席は、すごくぜいたくに作るので、ものすごく金がかかりそうだ。)
しかし、「席を無料化する」ことで、上記の観客席はすべて不要になる。立ち見席だけがあり、それはただの地面だけだ。したがって、建設費を大幅に圧縮できる。
グッド・アイデア!
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ちなみに、上のアイデアは、私の独創ではない。世界の常識だ。
たとえば、世界で最も伝統のあるボート・レースである「オックスフォード・ケンブリッジ対抗戦」は、「ザ・ボート・レース」という名前で呼ばれるが、無料である。川沿いで、人々はいくらでも見ることができる。(地面の上で立ち見だ。)
見ればわかるように、沿岸にいる人々は、まばらである。コースはかなり長い距離があるので、大勢の観客がいても、それらの人々をすべて配置するだけの敷地(つまり川べりの土地)があるのだ。
日本でもそうすればいい。建物なんかは不要なのである。せいぜい、ゴールの近くに、臨時の椅子でも置けばいい。こういうのを。
Amazon:折りたたみチェア
これなら、安価だし、軽量だし、運搬も可能だ。こういうのを、ボートレースの当日だけレンタルで借りればいい。そして、その期間が過ぎたら、返却すればいい。
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というわけで、東京都がやるべきは、せいぜいゴール付近の路面を平坦に舗装することぐらいだ。あと、川べりの土地も、ちょっとぐらいは整備するといい。(舗装は不要。)
以上のようにすれば、会場の整備費は最小限まで減らすことができるだろう。スポーツ用の施設として、50億円ぐらいはかかるかもしれないが、総額で 100億円をはるかに下回る額で済むだろう。
私としては、総予算 50億円を提案したい。
( ※ 300億円もかけるという小池都知事は、とんでもない浪費家だよ。人々は、豊洲市場の地下水なんかで騒いでいるから、こういう巨額の浪費を見逃す結果になる。小池都知事のペテンにだまされる。)
[ 付記 ]
ボートの観客席に莫大な費用をかける、というのは、五輪貴族である五輪委員を特別に優遇するためのものだ。かれらのために莫大な金を投入する。……馬鹿げていますね。
こんなことなら、ボートについては韓国に譲ってもよさそうだ。
なお、私のお薦めは、「戸田の施設を利用して、安上がりに済ませること」である。
だいたい、湾岸地区でボート競技なんて、いつまで長く続くかもわかったもんじゃない。戸田みたいに都心を離れたところで、ひっそりとマイナーな競技を続けていればいいのだ。それなら、安定的に続く。
【 関連サイト 】
NHK の記事。
《 埼玉 彩湖をボート・カヌー会場に 県議が国に協力要請 》
東京オリンピック・パラリンピックのボート・カヌーの競技会場をめぐっては、都の調査チームは、東京・臨海部の「海の森水上競技場」から、宮城県登米市や、埼玉県の彩湖などへの変更を提案しています。
これを受けて埼玉県議会の4つの会派でつくる議員連盟が18日、国土交通省を訪れ、田中副大臣と会談しました。国土交通省が管理する彩湖を会場として利用できるよう協力を求める要望書を手渡しました。
議員連盟によりますと、田中副大臣は「ボートの競技会場として彩湖を使用することは不可能ではない」と答えたということです。
埼玉県の上田知事は18日の記者会見で「選択肢の1つとして考えていただく分には、大変いいことだと思っている」と述べ、受け入れる用意がある考えを改めて示しました。
彩湖は、主に埼玉県戸田市にあり、一部は和光市とさいたま市南区にまたがる、周囲8.5キロの人工の湖です。
国が所有して管理しているため、ボートやカヌーの競技会場として新たに施設を整備する際には、国土交通省の許可が必要となります。
国土交通省によりますと、彩湖には洪水対策と飲料水を供給する2つの機能があり、整備にあたっては、これらを損なわないことが条件になります。
特に大雨によって並行して流れる荒川の水位が上昇した際は、湖とその周辺に水を流し込んでためることで下流の洪水を防ぐ「調節池」としての役割が求められています。そのため、観客席をつくる場合は大雨のときでも浸水しないよう床を高くしたり、流れない構造にしたりするなどの対応が求められるということです。
また、水不足の際には彩湖の水を荒川に放水し、飲み水を確保するため、水位が下がる可能性があるということです。
さらに、湖は「く」の字型に曲がっているため、国際大会の規格となる2000メートルのレーンを整備する場合は、湖自体を広げたり、管理用の橋を架け替えたりする必要が出てくる可能性もあるということです。
国土交通省河川環境課は「具体的な提案があればアドバイスはできるが、今は詳細な計画がないので、良いか悪いかなどコメントができない。もし実施する場合は、本来の機能が損なわれないよう協議をしていきたい」と話しています。
( → NHKニュース 10月18日 )
[ 付記5 ]
海の森には、実は致命的な欠陥がある。ボート競技には海は不適切なのだ。下記に、ボートの関係者(ボート競技経験者)の見解がある。
→ 2020年東京オリンピックボート会場を変更せよ!ボート競技は海ではできない!
一部抜粋しよう。
これを撤回してもらわなければならない。理由は簡単、ボート競技は海上ではできないからである。
私は大学時代ボート競技を経験したが、ボートは波、風があればバランスがくずれ漕ぐことができなくなる。よって競技会場は湖か波の少ない川と決まっている。
ところがオリンピック委員会と東京都はあろうことか東京湾上でボート競技をするという。ボート関係者の要望も無視し事を進めようとする姿勢にはクレームを言わざるを得ない。このような基本的なこともわからず事を進めるオリンピック委員会と東京都には大きな不信感を持つものである。
ではどこが候補地かと言うと、戸田オリンピックボート競技場(埼玉県戸田公園)が良いと思う。
隅田川がダメなら多摩川とか、利根川の河川敷に仮設観客席を作ったら十分だと思うんですけど。
それと淡水競技を海水でやって大丈夫なのでしょうか?
なんか韓国でやったらいいとか外野がうるさいのですが、それだったら琵琶湖でどうぞ(その前に霞ヶ浦がありますが)。
海の森会場はのちに競艇開催場になるのでしょうかねぇ?(邪推ですが)ならば船舶振興協会が費用を負担すれば丸く収まりますね。
この遺産を維持するためには、金がかかりそうです。喜ぶのは、天下リ先ができた役人ぐらいでしょう。埼玉か宮城の二択で選んでほしいな。
コースは、2Kmもあるのだから、立ち見席無料は賛成(ビール可ならさらに結構)。
ルールなどで作らなきゃダメなのでは?
携帯版の椅子だけを用意しても、席数は満足できる。
屋根と柱だけがある(壁がない)簡易建設のプレハブがお薦めです。風通しがいい方がいいので、壁は不要だ。冷房も不要。扇風機だけあればいい。
激安で済みそう。